2011年9月30日金曜日

不要な手術を減らす子宮がん新診断法

子宮がん診断に新手法 福井大、薬剤使い画像判別可能に
 子宮にできた腫瘍(しゅよう)が良性の筋腫か悪性の肉腫かを見分ける手法を、福井大学が確立した。これまでは手術で取り出した組織を調べなければ見分け がつかなかったが、同大がつくった新しい検査用薬剤で画像による診断が可能となる。早い段階で肉腫を発見し、不要な手術を減らすことも期待できる。
 同大高エネルギー医学研究センターの岡沢秀彦教授と医学部医学科産科婦人科学領域の吉田好雄准教授らが開発した。同大によると、良性の子宮筋腫はホルモン療法などで治療可能だが、肉腫は進行が早く、子宮外に転移すると生存率も低く悪性度が高い。
 子宮筋腫の患者は国内で200万~300万人とされるが、うち1~3%が悪性の子宮肉腫だといわれている。しかし、両者はこれまで判別しにくく、手術をして組織を調べなければ、診断が遅れ、手遅れになるケースがあった。
 通常、腫瘍を診断するPET(陽電子放射断層撮影)検査は、ブドウ糖に似た放射性の検査薬(FDG)を体内に注入し、検査薬ががん細胞に集まるのを画像 化する。がん細胞が正常な細胞よりブドウ糖を取り込む性質を利用した手法だ。しかし、この検査薬だと肉腫だけでなく筋腫にも集まってしまい、見分けがつか なかった。
 そこで同大は、筋腫は女性ホルモンを取り込むのに、肉腫は取り込む働きが正常ではないことに着目。女性ホルモンに放射性物質を化合させた薬剤(FES)を新しく作って体内に注入し、PET検査をしてみた。
 患者に了解を得て、FDG、FESの双方を使ってPET画像を比較したところ、24人中22人が手術をする前に筋腫か肉腫かを正しく診断できたという。岡沢教授と吉田准教授は、この研究を米国核医学会議で発表し、「腫瘍診断基準部門」で最高賞を受賞した。
 吉田准教授は「この手法が一般的になれば、手術をする人を減らすこともできる。今後は検査の精度を上げるにはどうしたらいいか、子宮肉腫以外のガン検査に応用できないか、研究を進めたい」と話している。
2011年9月29日 朝日新聞

免疫機能が活性化される核酸由来の化合物


細菌の核酸物質で免疫向上 抗がん剤開発に期待

細菌の細胞内で生成される核酸由来の化合物「c―di―GMP」を投与して、哺乳類の体内にあるタンパク質に刺激を与えると、免疫機能が活性化されることを愛知工業大と北海道大などの研究チームが突き止め、28日までに英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。
 この物質が大腸がん細胞の増殖を抑える効果も確認。マウスの実験では目立った副作用もないという。 c―di―GMPには、さまざまなウイルスの感染を軽減する作用があることは知られていたが、詳しいメカニズムは解明されていなかった。チームの早川芳宏 愛知工業大教授は「抗がん剤やエイズの予防・治療薬の開発につながる可能性がある」と期待。
2011年9月28日 共同通信

2011年9月29日木曜日

「効かない」治療を受けている乳がん患者


乳がん再発すると 3分の1はタイプが変化

乳がん患者の3人に1人は、最初に診断された時と再発後では、がんのタイプが変化していることがわかった。がん組織を調べる検査は通常、診断時にしか行 われず、再発後に「効かない」治療を受けている患者が相当数いる可能性が出てきた。同様の変化は、他のがんでも起きる可能性があるという。
 スウェーデンのカロリンスカ研究所が26日、欧州集学的がん学会で発表した。
 乳がんには、女性ホルモン陽性でホルモン療法が効くタイプと、女性ホルモン陰性で抗がん剤のハーセプチンが効くタイプ、いずれも効かないタイプがある。

大腸がん予防に有効な栄養素


大腸がん、予防に「葉酸」が効果 愛知がんセンター

ホウレンソウ、春菊、小松菜、レバーなどに含まれる「葉酸」を多くとって飲酒しない人ほど、大腸がんになりにくい――。そんな調査結果を、愛知県がんセンター研究所の研究チームがまとめた。
 葉酸は、緑色野菜や肝臓に含まれるビタミンBの一種。欧米人対象の研究で大腸がん予防効果が知られていた。日本人に同じ効果があるか、同研究所の疫学・予防部が検証した。
 がんセンターを受診した4974人に、書き込み式で質問した。内訳は大腸がん患者が829人、がんではない人が4145人だった。ふだんの食事を詳しく 尋ね、回答から個人の1日あたり葉酸摂取量を推定。摂取量が少ない人から多い人までをほぼ同じ人数で4グループに分け、各グループのがん患者の割合などを 分析した。
 この結果、摂取が最も少なかったグループにおける大腸がんのなりやすさ(リスク)を指数で1とした場合、摂取が最も多いグループの大腸がんリスクは0.72になった。

「切らずに治すがん治療」の最前線


切らずに治す、がん治療の最前線に迫る...『ガイアの夜明け』

江口洋介の案内で、現在の日本を切り取る経済ドキュメンタリー『ガイアの夜明け』(テレビ東京系列)。9月27日放送では切らずに治す、がん治療の最前線に迫る。

 日本人の2人に1人がかかる「がん」。今、がんを「切らずに治す治療」が脚光を浴びている。体外からビームを照射してがんを狙い撃ちする「粒子線治療」 は、身体への負担が少なく、ここ数年で急激に普及している。今年、その粒子線治療の巨大な施設が国内で立ちあがった。一方「神の手を持つ男」と呼ばれる胃 がん手術の名医が、手術ロボット「ダヴィンチ」の導入に踏み切った。一体なぜなのか...?!「切らずに治すがん治療」の最前線を追う。

■『ガイアの夜明け』
2011年9月27日(火)22:00~22:54(テレビ東京系列・一部地域を除く)

乳がん細胞を殺すウイルス発見


乳ガンのガン細胞をやっつけてくれるウィルスが発見されました。

ペンシルベニア州立大学の科学者が人類にとって有益なウィルスを発見したそうですよ。なんとガン細胞を殺してくれるんです。 そのウィルスは、アデノ随伴ウィルス タイプ2!(adeno-associated virus type 2) 実験では3つのステージの乳ガンのガン細胞を殺すことに成功したそうです。
これはスゴイ重要なことです。なぜならステージが異なると、それぞれちがった治療法が必要とされるからです。実験について詳しく知りたい方はこちらからどうぞ。
実際にどのようにウィルスがガンをやっつけているかはまだ分かっていません。
そこの仕組みが分かれば、新薬の開発その他の治療に有効だと考えられています。ウィルスそのものを治療に使うこともできるようになるかもしれません。
他の研究では、子宮頸ガンのガン細胞にも作用するという結果がでています。この実験結果が実際に薬などとして使用されるにはまだまだ色々な過程を経なければいけません。動物実験の後、3つのフェーズの厳正な臨床実験を行う必要があります。
女性が一番かかりやすく死亡率も高い乳ガンが治療できたら素晴らしいことですよね。これから様々な実験などが必要という事ですが、それらに成功して早く臨床で使う事ができるようになるといいですね。

直径1ミリメートルの腹腔鏡がん手術

ニチオン、患者負担少ない腹腔鏡手術 国立がん研と開発

医療器具製造のニチオン(千葉県船橋市、本田宏志社長)は国立がん研究センターと組み、開腹せずに内視鏡で行う腹腔(ふくくう)鏡手術で患者の体への負 担の少ない手法と器具を開発した。特殊なクリップの付いた糸を使うのが特徴。内視鏡と手術用のはさみの穴以外は、直径1ミリメートル程度の穴で済むとい う。来年中の実用化と器具の販売を目指す。

通常、腹腔鏡手術では手術をする部分が見やすいように、鉗子(かんし)で内臓を持ち上げたり、押さえたりする。鉗子用の穴を開けるため、内視鏡、手術用のはさみのためのものを含めて、直径3~5ミリメートル程度の穴を4~5個開けることが多いといわれる。

ニチオンとがん研究センターは鉗子の代わりに特殊なクリップの付いた糸を使い内臓を引っ張る手法を考案した。まず内視鏡やはさみの穴を使い、クリップで内臓をつまむ。次に、体外から直径1ミリ程度のはりを刺してクリップの糸をかけて引っ張る。

この手法では直径5ミリメートル程度の穴は内視鏡用とはさみ用の2つで、残りは同1ミリメートルで済む。直径1ミリ程度の穴だと自然にふさがるため、術後に縫う必要はないとされ、「今までの腹腔鏡手術より患者への負担が少なくなる」(ニチオン)。

クリップは血管用クリップなど既存品を改良し、長さ5~10センチの3種類を用意した。内臓を引っ張るため、つかむ力を弱めたほか、鉗子が引っかけやすいように溝を付けた。

今後は動物実験を繰り返し、年内の臨床実験を目指す。操作用の鉗子2本とクリップ数本のセットで60万~70万円程度の販売を検討している。

ニチオンは手術器具の製造のほか、手術器具の洗浄装置の輸入、販売などを行っている。2011年5月期の売上高は約12億円。

2011/9/28

2011年9月28日水曜日

前立腺がんの異常増殖酵素を解明


前立腺がん 特定酵素が異常増殖に関与 研究グループ解明

東北薬科大分子生体膜研究所の宮城妙子教授と宮城県がんセンターの研究グループは、前立腺がんの細胞が特定の酵素で異常増殖することを突き止めた。この酵素の合成や働きを抑えることで、近年増加傾向にある前立腺がんの新しい診断・治療法を開発できる可能性があるという。
 前立腺がんの治療法には、男性ホルモンの一種「アンドロゲン」の働きを抑制することで、がんの進行を阻止・制御するホルモン療法がある。だが次第に効果が低下し、がんが増加することがあり、治療上の問題点となっていた。
 宮城教授らは「シアリターゼ」と呼ばれる酵素に注目。細胞の表層膜にあり、細胞の増殖や分化、細胞内の情報伝達を制御する働きがある。
 マウスを使った実験で、シアリターゼが前立腺がんの組織で異常に増殖することを発見。その変化がアンドロゲンの働きを活発化させ、がんの悪性度と相関関係があることも分かった。
 シアリターゼを抑制すると、マウスに移植した前立腺がん細胞が縮小することも判明。ホルモン療法が効かなくなった患者でも、シアリターゼの働きを低下させることで治療が期待できる。
 宮城教授は「シアリターゼは、前立腺がんの診断・治療に役立つ。将来的には、この酵素をピンポイントでたたく分子標的薬の開発を目指している」と話している。
 研究成果は6月に米国国際誌「細胞死と分化」オンライン速報版に掲載され、アジアの研究者の仕事を評価するウェブサイトで9月のベスト論文の一つに選ばれた。

2011年09月28日 河北新報

2011年9月26日月曜日

1分間の乳がん光検査で1ミリまで検出

乳がんを光で検査 キヤノンや京大、1ミリまで検出 体の負担小さく

 キヤノンや京都大学の椎名毅教授、戸井雅和教授、鍛利幸・特定准教授らは光で乳がんを検査する新技術を開発し、約1ミリの小さながんをとらえるのに成功した。エックス線や核種を使わず被曝(ひばく)の心配がない。マンモグラフィーよりも乳房を押さえる力が弱く検査を受ける人の負担が小さい。2015年ごろの実用化を目指す。

 新技術は波長数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの光を乳房に照射。血液などの生体組織が光を吸収して発生する熱で一瞬膨張すると、超音波が出る。これを外部に設置したセンサーで検出して調べる仕組み。乳房を押さえつける力はエックス線を使うマンモグラフィーの約5分の1で済む。

 約40人の乳がん患者を検査し、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像と照らし合わせて約1ミリの小さながんまで検出できた。計測時間は約1分。来春にはさらに縮めた改良型で臨床試験を始める考えだ。

 光は波長により吸収される分子が変わる。がん組織周辺は低酸素状態といった特徴があり、がんを見極められる。今後、新技術と既存の超音波検査を併用できる装置にして実用化を目指す。京大の「先端医療機器開発・臨床研究センター」で取り組む。キヤノンが建設に約5億円を寄付した。

2011年9月25日 日本経済新聞

がん患者の血液など収集して新治療診断技術開発

がん患者の血液など収集、抗がん剤開発に活用 国立がんセンター

 国立がん研究センターは、がん患者から血液やがん組織を研究用に提供してもらって保管するバイオバンク事業を本格的に始めたと発表した。10年間で約8万人分の試料を集める計画。詳細な遺伝子解析を通じて、抗がん剤の開発やがん発症のメカニズムの解明などの研究につなげる。

 同センター中央病院(東京・中央)と東病院(千葉県柏市)を新たに受診する患者全員が対象。遺伝子の解析や研究の目的などを説明する専任の説明員10人を新たに配置した。同意してくれた患者から血液と手術時などにとれたがん組織の一部などを提供してもらう。同意の有無で診療内容が左右されることはない。

 5月から試行し、9月までの約4カ月間で対象患者の95%にあたる3200人余りが提供に同意した。年間に約8000人分の試料を集める予定。嘉山孝正 理事長は「先進的な治療・診断技術の開発に遺伝子解析は不可欠。研究の意義などを理解してもらい、研究用のインフラ(基盤)としていきたい」と話す。  

2011年9月24日  日本経済新聞

がん病巣をリアルタイムで放射線追尾

がん、放射線で狙い撃ち 京都大成功、病巣を追尾

 京都大病院放射線治療科の平岡真寛教授は20日、病巣を追尾しながら、がんにピンポイントで放射線を照射する手法の開発に世界で初めて成功し、肺がん治療を始めたと発表した。従来は、呼吸に伴って体が動くため病巣をリアルタイムで正確にとらえることが難しかった。

 平岡教授は「副作用を軽減し、病巣により強く照射できるようになった」と話している。

 同教授によると、2000年から三菱重工業(東京)などと装置を開発。照射ヘッドの向きを変えることで、動く病巣をリアルタイムで狙えるようにした。

2011年9月20日 共同通信

LEDでがんの抗体検出

LED光でがんの抗体検出に成功

 発光ダイオード(LED)の光でがんを診断する技術が開発された。

 韓国科学技術院(KAIST)は20日、イ・ゴンジェ新素材工学科教授の研究陣が、窒化ガリウム発光ダイオード(GaN‐LED)を用いてがんの抗体を 検出することに成功したと発表した。抗体は抗原と結合し、各種免疫反応を引き起こす。研究陣は、がんの抗原‐抗体反応によってLED光への感度に差が出る 点を活用し、前立腺がんの抗体を検出したという。また研究陣は、よく曲がるプラスチックの基盤にLEDを取り付け、脳に付着させたり血管・脊椎(せきつい)などを包むことができるようにした。

 イ教授は「LEDで発生するさまざまな波長の強い光を利用すれば、神経細胞を刺激でき、病気の治療にも応用できるだろう」と語った。今回の研究結果は、学術誌『ナノ・エナジー』9月号電子版に掲載された。

2011年9月22日 朝鮮日報

2011年9月22日木曜日

がんに集まる新型高分子


京大・島津、がんに集まる新型高分子 免疫すり抜け患部に

京都大学の木村俊作教授と島津製作所は、がんの診断と治療の両方に使える高分子を開発した。大きさを20ナノ(ナノは10億分の1)メートル前 後にすると、体の免疫反応をすり抜けてがんの患部に繰り返し集まることをマウスの実験で確認した。通常は免疫反応が起きるため、せっかくがんに届く化合物 を作っても繰り返し使えない。効率的ながんの診断と治療に役立てるため、1年後の臨床応用に向けて準備を始めた。
 開発したのは、がん患部に集まる性質がある「ラクトソーム」と呼ぶ球状の高分子。材料にはポリ乳酸など体内で自然と分解するものを使った。がんの周りには血管が多くあるため、注射で血管に入れた高分子は体内を巡りながらがん周辺に集まってくる。

2011/9/22 日経産業新聞

がん治療ソリューション開発の5カ年計画

腫瘍治療ソリューション開発の5カ年計画=英社〔BW〕

医療機器大手の英GEヘルスケアは、新しい腫瘍治療ソリューションの開発に10億ドルを費やす5カ年計画を発表した。陽電子放射断層撮影(PET)やコン ピューター断層撮影(CT)、PET用トレーサー生産システム、リアルタイムの代謝イメージングを可能とするC13薬剤、がん研究に活用できる超解像顕微 鏡に加え、タキサン療法の有効・無効を患者ごとに判定するための新しいバイオマーカー、がん標的治療薬の開発技術など、総合的な個別化医療に貢献する技術 開発に力を入れていく。

2011年9月22日 ビジネスワイヤ

2011年9月15日木曜日

肺がん手術の最先端機器

肺がん 胸腔鏡下手術の発展型「ダ・ヴィンチ手術」とは

肺がんには大別すると小細胞肺がん約2割)と非小細胞肺がん(約8割)がある。小細胞がんは進行が早く、転移していることが多いので、一般的には化学療法が適用される。一方、非小細胞がんは局所に留まっていることが多いので、早期なら手術が適用される。

 手術の方法には「開胸手術」と「胸腔鏡下手術」がある。開胸による手術は治療後も痛みが長く続き、負担が大きいが、「胸腔鏡下手術」は、体の側面に小さな穴を開け、内視鏡の一種である胸腔鏡を挿入し、がん部分を切除するため体への負担が小さい。

 胸腔鏡下手術を積極的に導入しているのが熊本大学医学部附属病院だ。

「CT検査では、約5ミリ以上のがんなら約95%は発見できるので、早期発見が増えています。当院では、肺がんのステージがI期と診断された場合は、胸腔鏡下手術を第一選択とします。手術の対象となる患者さんのうち、約2割が開胸手術、約8割が胸腔鏡下手術です」(同院呼吸器外科科長・鈴木実教授)

 胸腔鏡下手術も当然のことながら技術力が問われる。岩手医科大学附属病院の呼吸器外科・谷田達男教授は「肺がん治療では同じスタッフが年間約100症例について胸腔鏡下手術を担当し、テクニック的にも熟達しています」と胸を張る。

 また、胸腔鏡下手術の発展型ともいえるのが「ダ・ヴィンチ手術(ロボット支援手術)」だ。内視鏡とロボットアームを患者の体内に挿入し、3Dモニターを見ながら手術をするシステムで、導入している病院はまだ少ない。金沢大学附属病院ではこの1月からダ・ヴィンチを導入した。

「ダ・ヴィンチは術者の手にあたるサージカルアームや鉗子の自由度が高くて動きに制約を受けにくい。がんの切除や縫合、結紮が容易にでき、呼吸器の領域でも大きなメリットがあるのです」(同院診療科外科呼吸器科長・小田誠教授)

2011年9月15日 週刊ポスト2011年9月16・23日号

上手ながんとの折り合い方

がんと折り合う 「諦めず自分らしく」

がんで悩む人に読んでほしい」と語る久保田医師

 県立がんセンター久保田彰・頭頸部(けい・ぶ)外科部長(56)が、上手ながんとの折り合い方を一冊の本にまとめた。医学書でも、医学用語で治療法を細かく記した本でもない。「我慢しないで、諦めないで、自分らしく生きていくための参考にしてほしい」と語る。

 この本は「知っていると楽になる、がんとの付き合い方―がんで悩んでいるあなたへの処方箋(・・せん)」。

 「がんを怖がらないで」「焦らず自分が納得できる治療法を選ぶ」「痛みはがまんしない」――。冒頭には「がんと上手に折り合うための15カ条」が並ぶ。20年以上がんと向かい合ってきた久保田医師が、患者やその家族から教えられてきたことなどをまとめた。

 久保田医師自身、かつては生存率を上げるのが正しい治療法と思い、それを選択してもらうよう患者に説明してきた。後遺症のない手術は少ないが、「生きる」ために後遺症に耐えることは仕方がないと考えていた。

 久保田医師は、がんを再発した男性に、「外来治療では弱い抗がん剤治療になって効果も薄れる」と暗に入院治療の継続を勧めたことがあった。しかし、自宅療養を希望する男性は「妻と自宅でゆっくり過ごしたい」と退院。男性は亡くなったが、妻は「濃密で幸せな時間」に感謝していた。

 「医療の役割は、単に残された時間を引き延ばすのではなく、上手に有意義に過ごしてもらうためにいかにサポートするかだと学びました」と久保田医師。著 書では、夫の献身的な支えで奇跡的に回復した妻、がんになったことでいろいろ学んだと前向きにとらえる若者など、出会った様々な患者と家族が登場する。

 生存率より、生きる質を選ぶ患者がたくさんいる。患者自身が納得できる道を選べるよう、きちんと説明し、寄り添うことが医療の役割――久保田医師はそう考えるようになった。

 この本には、久保田医師のそんな思いが多くの経験とともに込められている。「今、がんに悩んでいる人に読んでもらい、自分自身がどう過ごしたいかを考える手助けになればうれしい」と話す。

 1200円(税別)。問い合わせは出版元のかまくら春秋社(0467・25・2864)へ。

がんと上手に折り合うための15カ条から抜粋>
  • 納得する治療を選ぶ。答えは一つではない。
  • がんを患った時こそ、人生を豊かに生きるため何が大切か考える。
  • 家族、友人こそ本当の財産。助けてもらおう。
  • がんを加勢する酒やたばこをやめよう。
  • 痛みは有意義な時間を奪う。がまんしないで。
2011年09月14日 朝日新聞

2011年9月14日水曜日

血液がんの原因遺伝子を特定


東京大学研究チーム、がんの一種の遺伝子解析に成功

血液がんの原因となっていた遺伝子が解明された。

今後、治療薬や診断法が開発される見通しだ。血液のがんの一種「骨髄異形成症候群」である。骨髄に造血幹細胞の前腫瘍細胞である異型クローンが生じ、正常の造血が抑制されてしまう症状であり、2002年の統計では国内で3000人程度の発症者が存在する。

この病気は有機溶剤、化学物質、放射線、抗癌剤などによって遺伝子が変異し発症すると言われていたが、今回は世界で初めて原因遺伝子が特定された模様だ。

12日、血液のがんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見したと発表したのは小川誠司・東大特任准教授(がん分子遺伝学)らの研究グループ。発表は英科学誌ネイチャー電子版にて行われた。日本、ドイツ、台湾の24~88歳の患者29人を対象にし、共通して変異していた遺伝子を複数発見する事に成功した という。今後、同発見を基にして診断法や治療薬開発が行われる事が大いに期待されている。   

2011年9月13日 日刊テラフォー

がん治療で不妊男性の精子を温存


体外で幹細胞から精子作製 「生殖能力温存に期待」

 マウスの精子の元になる精原幹細胞を、体外で精子にまで成長させることに横浜市立大医学部の小川毅彦准教授(泌尿器病態学)らのチームが成功し、13日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(電子版)に発表した。
 これまで精原幹細胞を培養することはできたが、精子にするためには、いったん精巣に戻す必要があり、完全に体外でつくったのは初めて。この精子を使った子どもも生殖能力があることが確認された。
 小川准教授は「人でも同じことが可能になれば、がん治療で不妊になる恐れがある男性の生殖能力を温存することが期待できる」としている。
2011年9月14日 共同通信

直径10ナノメートルの粒子で大腸がん治療


ナノ粒子を利用した大腸がん治療、韓国チームが開発
ソウル大学・高麗大学が共同研究

『ネイチャー・ナノテクノロジー』電子版に掲載

 韓国人男性の大腸がん発生率はアジアで第1位という数字が、世界保健機関(WHO)から発表された。そんな中、直径が髪の毛の1万分の1という微小粒子を扱うナノテクノロジーを利用し、大腸がんの細胞を攻撃する治療法が、韓国の研究陣によって開発された。

 ソウル大学医学部のチョ・ナムヒョク教授、ソン・スンヨン教授のチームと高麗大学工学部のキム・ヨングン教授のチームなどは13日、大腸がんの細胞が作り出すタンパク質を付着させた特殊なナノ粒子で患者の免疫細胞を訓練し、大腸がんを効率的に攻撃させる技術を開発したと発表した。研究チームの論文は今月11日、ナノ技術分野で最高の権威を誇る学術誌『ネイチャー・ナノテクノロジー』電子版に掲載された。

 人間の体には、外部から侵入した細菌やがん細胞を攻撃する「T細胞」と呼ばれる免疫細胞があり、がんとの戦いの第一線に立つ先兵のような役割を果たしている。この兵士たちを訓練する教官に当たるのが「樹枝状細胞(抗原提示細胞)」だ。研究陣は、直径10ナノメートルの粒子に大腸がんの抗原を付着させ、樹枝状細胞にこれを注入、T細胞を訓練させるよう仕向けた。ソン・スンヨン教授は「今後3-4年以内に、実際に大腸がんの患者に対し適用が可能になると期待している」と語った。

2011年9月14日 朝鮮日報

2011年9月13日火曜日

大腸がんが完治する病院の見分け方

早期発見で100%近く完治する大腸がん 良い病院見分ける方法

 胃がん同様、大腸がんも早期であれば、内視鏡による治療で100%近く完治するので、やはり注目する項目は「内視鏡」の割合だ。「内視鏡」の割合が高い病院は、早期発見のために検診体制を整え、内視鏡の専門医が充実している病院といえるからだ。

 初回治療症例数の7割近くを内視鏡が占める島根県立中央病院の医療局次長・今岡友紀医師はこういう。

「島根県は自治体やJAも連携して検診体制がしっかりと確立しているので、早期で見つかる患者さんが非常に多いのです。当院の特徴としては、1回目の内視鏡治療でポリープを切除すること。たいていの病院は1回目に検査をし、2回目で切る。うちは1回で切除してしまうので、非常に多くの患者さんを診ることができる。患者さんにとっても、体の負担はもちろん、経済的な負担も軽くなります。2007年に内視鏡を性能の高いものに総入れ替えして効率が上がったことも2008年の件数の多さに表われたと思います」

 福島県の慈山会医学研究所付属坪井病院も、同様にこういう。

大腸がんの内視鏡の件数が多いのは、そもそも検査の数が多いから。早期がんは自覚症状がないので検査は重要です。当院には内視鏡室が6部屋あり、医師も内視鏡技術に優れています」(同院外科部長・湖山信篤医師)

2011年9月13日 週刊ポスト2011年9月16・23日号

「コーヒー」の美肌効果と抗がん作用

朝のコーヒータイムで皮膚がん予防?

「コーヒー」には、抗酸化作用による美肌効果があったり、ダイエットに効果があると言われたりする一方で、胃に悪いとか体に悪いとか言われたりしている。毒にも薬にもなる食物の代表格なのではないだろうか?
そんなコーヒーについて、ラトガース大学での新しい研究によると、朝の一杯のコーヒーが、太陽からの有害なダメージを予防したり、皮膚がんを予防するなど、肌の健康を守るのに役立つという見解が示された。

コーヒーに含まれるカフェインが、タンパク質リン酸化酵素ATRを抑制し、紫外線で損傷した細胞を死滅させる効果があり、ある種の皮膚がんに対する抵抗性があるという理論は、以前から存在していたが、今回の研究結果はこの理論を裏付けるものとなっている。
今回のマウスを使った実験では、カフェイン入りコーヒーを適度に飲んだり、直接皮膚にコーヒーを塗布すると、皮膚がんを引き起こす原因となる紫外線のダメージから肌を守るのに役立つということがわかったそうだ。

というもの、コーヒーには抗酸化物質が含まれており、皮膚がんリスク を軽減させるのに関係していると言われている。以前行われたマウスを使った研究では、カフェイン入りの水を飲んだマウスに、皮膚細胞のDNAを破壊する UVBを放射させたところ、傷ついた細胞の大部分を取り除くことができ、皮膚がんリスクを軽減する効果があるとされていた。

「コーヒーを飲むことは、非黒色腫皮膚癌のリスクの減少と関係性があることは知られているが、今話題のカフェインが日光によって引き起こされる皮膚癌を阻害できるのかどうかの研究を進める必要がある」と語るのは、スーザン・リーマン・カルマン癌研究所のディレクターであるアラン・コニー氏だ。

アメリカの国立がん研究所によると、日光によって引き起こされる皮膚がんがアメリカで最も一般的なとされ、毎年100万人以上発症しているそうだ。アメリカ人の食生活における最大の抗酸化物質供給源であるコーヒー飲料の摂取量が増えると、皮膚がん以外にも、前立腺がん子宮がんなどの癌のリスクを減少させると言われているが、現在のところ、その理由については詳しくは解明されてはいない。

コニー氏によると、「コーヒを飲んだり肌に直接塗布すると、タンパク質リン酸化酵素ATRが抑制されるそうだ。すると、直接肌にダメージを与える紫外線を吸収するので、紫外線を浴びても皮膚がんリスクが大幅に抑制され、がん予防の最大の武器になるかもしれない」との見解を示している。

2011年9月13日 daizu

がん診療の中核を担う がん・感染症医療センター


がん・エイズ診療中核に 都立駒込病院リニューアル

 老朽化と都立病院再編のため全面改修を進めている都立駒込病院(文京区本駒込三)が十七日、リニューアルオープンの記念式典を開く。「がん・感染症医療センター」と位置付けて施設を拡充、がんやエイズ診療の中核を担う。外来患者の受付は今月下旬に始まる。
 病床数は従来の八百一床のままだが、空いていた都医学総合研究所の建物を利用し、延べ床面積を約五万七千平方メートルから約八万平方メートルに拡大。民間資金などを活用するPFI方式で改修し、工事費や二〇二五年度までの維持管理費に計千八百六十二億円を投じる。
 全面改修により手術室を九室から十五室、内視鏡室を七室から十室に増やし、手術や検査待ちの日数を短縮する。入院せずに抗がん剤などの化学療法を受けられる「通院治療センター」も二十六床から五十床に増床。患者の苦痛を和らげる二十二床の緩和ケア病棟を新設する。
このほか、
▽入院病棟の個室を百二十床から約百五十床に増床
▽相部屋を一室六床から四床に改善
▽高精度の放射線治療装置を導入
-などで医療環境を充実させる。都病院経営本部は「東京でのがんと感染症の拠点病院として、高度で先進的な医療を提供したい」と話している。

2011年9月12日 東京新聞

血液がんの原因遺伝子を発見

東大、血液がんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見

世界で初めて「骨髄異形成症候群」(血液がんの一種)の原因遺伝子を発見

 東京大学医学部附属病院キャンサーボードの小川 誠司特任准教授を中心とする国際共同研究チームは、世界で初めて、難治性の血液がんである骨髄異形成症候群(MDS)の原因遺伝子を発見しました。

 骨髄異形成症候群(MDS)は、白血病などと並ぶ血液がんのひとつです。我が国でも推定で数万人の患者がおり、年間5000人以上が新たに発症していますが、骨髄移植以外には、根本的な治療がないのが現状です。高齢者の場合は骨髄移植のできる例が一部に限られるため、身体への負担の少ない治療法開発が求められています。

 同研究チームは、今回、大量並列ゲノムシーケンス技術を用い、29例のMDS症例のゲノムを詳細に解読することによって「RNA スプライシング」に関 わる遺伝子群が45~85%という高い頻度で変異を生じていることをつきとめました。今後、異常な「RNA スプライシング」の因子を阻害する薬剤などの 新たな治療法の開発が期待されます。今回の発見は、「RNAスプライシング」の異常が、がんの発症に関わることを示す研究としても世界で初めてのものです。

 本研究結果は、大規模シーケンスによるがんゲノムの徹底的な解読による研究が、がんの病態解明の上で有効であることを証明する成果となりました。

2011年9月12日 プレスリリース

新頸がんワクチン


新たな頸がんワクチン発売

 製薬企業のMSD は8月下旬、子宮頸がんや性感染症の尖圭コンジローマ(性器イボ)を引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチン「ガーダシル」を発売した。

 国内では既に、2009年に発売されたグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」が子宮頸がん予防ワクチンとして使われており、新たな選択肢が加わった。
 HPVは100種類以上あるが、子宮頸がん発症原因の約65%、特に20~30代の若年層では80~90%を16型と18型が占めている。ガーダシルはサーバリックスと同様、これら2タイプの感染を防ぐのに加え、尖圭コンジローマの原因となる6型と11型の感染予防効果も持つ。

2011年9月13日 47news

月額30万円の抗がん剤「ネキサバール」


「保険適用外のため薬代が高く治療に踏み出せない」―。秋野公造 参院議員(医学博士)は8日、甲状腺がんの症例4種の中でも特殊な「進行甲状腺髄様がん」を患う岡田泰一さん(58)と福岡市内で面会し、新薬の承認、保険 適用への要望を受けるとともに激励した。これには、高橋雅成県議も同席した。

16年前に甲状腺がん手術を受けた岡田さんは今年8月、第六胸椎両肺の呼吸器官と食道の間に腫瘍が見つかり、進行甲状腺髄様がんと判明。既にリンパ節をはじめ、肺の3カ所や腰骨、腸骨にも転移しており、薬による治療が望ましいと医師から告げられたという。

しかし、治療に有効とされる抗がん剤「ネキサバール」は、保険適用外の未承認薬。「服用すれば月額30万円の薬代で生活が破綻する。肺や肝臓がんなどには保険適用なのに……」と、岡田さんは窮状を吐露した。

こうした切実な訴えに真剣に耳を傾けた秋野氏は「保険適用に向けて、国が一日も早く承認できるよう訴えていきます」と約束し、岡田さんと固い握手を交わしていた。
2011年9月10日

口腔がんの早期治療

口腔がん早期治療で歯科開業医と連携

★日本大学歯学部付属歯科病院

話をするだけでなく、食べ物を噛んで飲み込む上でも重要な口。顔の表情にも影響を与える器官であり、この口の中にできるがんを「口腔がん」という。口という大切な器官だけに、早期発見であっても、治療は腫瘍部分を切除するというだけでは済まないケースもある。

  がんを取り除くためには、周辺の歯や歯茎、顎、頬なども取り除くことがあるからだ。以前のように食べ物を噛んで飲み込み、スムーズに話し、見た目を変わら なくするなど、「再建」技術も不可欠。そんな口腔がんの診断・治療、そして、再建まで、チーム医療で定評を持つのが日本大学歯学部付属歯科病院口腔外科 だ。歯科インプラント科や、顎顔面補綴(ほてつ)科、摂食機能療法科などとタッグを組み、口腔がんに挑んでいる。

 「人間は、歯や顎の骨 が少しずれただけでも、食べ物を噛めなくなる、あるいは、話しづらくなることがあります。繊細な器官ゆえに、私たちは、がんを取り除くだけでなく、インプ ラント、頬や顎の再建など、専門医の集団によるトータル的な治療を実践しています」とは、副院長を兼務する大木秀郎教授(58)。長年、口腔がんや顎変形 症などの手術をこなすエキスパートである。

 がんは進行した状態で見つかるほど、当然のことながら、治療は難しくなる。口腔がんも同じ だ。しかも、口腔がんは、顎の骨などに悪影響を与えやすい放射線治療は適用しにくい。化学療法も今のところ確かな決め手に欠く現状にある。治療の柱は手術 となり、早期であっても発生する場所によっては高度な技術が求められる。その治療を大木教授は、各分野の専門医とタッグを組んで行っているのだ。

  「最近では、かかりつけの歯科で早期の口腔がんが見つかる患者さんが増えました。開業医の先生が、口腔がんかどうか迷うケースでも、病院ではさまざまな検 査でがんを確定することが可能です。そのため、現在、開業医の先生方との『病診連携』のネットワークを強化しようとしています」(大木教授)

 開業医が迷ったときには、メールで相談できるシステムを構築中という。専門領域の歯科医師や医師が中心となり、メールの相談をクリニックから受けたときに、複数の専門の歯科医師や医師がアドバイスを行う仕組みだ。

 「がんかそうでないのかを見極めることで、患者さんだけでなく、開業医の先生方もスムーズに治療が行われるようになればと思っています」と大木教授。院内のチーム医療を外部にも拡大し、口腔がんの早期発見・早期治療に貢献するため、今も力を注いでいる。(安達純子)

<データ>2010年実績

☆手術総数354件
☆外来手術数115件
☆入院患者数411人
☆病床数24床
〔住所〕〒101-8310東京都千代田区神田駿河台1の8の13 
(電)03・3219・8080

 2011年9月12日 zakzak

パンダ茶に抗がん作用

パンダのふんに抗がん作用? 四川大教員が報告

 四川大学の教員・安〓石さんは先ごろ、パンダのふんを肥料として栽培したお茶には抗がん作用があるという報告書を発表。四川省から正式に著作権が発行された。現在、「パンダ茶」は1キロ2万人民元(約27万円)で売買されている。

 安氏によると、パンダは栄養の吸収効率が悪く、食料である竹から吸収できる栄養部はわずか30%。
 従ってふんには、竹の葉に含まれる抗がん成分が豊富に含まれるため、ふんを肥料にすれば、抗がん作用のある茶葉を栽培することが可能だとしている。
 パンダのふんは1頭1日20キロ程度。繊維質が多く含まれるため、紙にすくことで、はがきなどとして商品化されていた。  安氏はパンダ茶が中国の「国茶」となると鼻息も荒いが、専門家には懐疑的な声もある。

※注:〓は王ヘンに「炎」

2011年9月12日 中国時報

2011年9月9日金曜日

唾液を調べるだけの最新がん検査

9月13日放送の『みんなの家庭の医学』は、「がん治療にまつわる3つのスゴイ事実」を大公開!!この30年間日本人の死亡原因の第1位となっている「がん」。がんは早期に発見、治療できるかが生命のカギを握っている。

 まず現在、慶応大学で行われている「唾液を調べるだけでガンかどうかがわかる」という最新研究を紹介。次に女性が発症しやすいがんの第1位である「乳がん」に注目。自身が乳がんを患い、乳がん根絶の啓蒙にも努めるタレントの山田邦子が「乳がんで失った乳房が元通りになる」という最新乳がん治療の現場に密着する。はたしてその最新乳がん治療のスゴイ事実とは!?さらに3つ目のスゴイ事実として「1ミリ以下のガンも見つける!最新の乳がん検診」に注目。ハリセンボンの近藤春菜と箕輪はるか、タレントの新田恵利らが"初めての乳がん検診"を体験する。はたしてその検診の内容とは...?

■『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学 』
2011年9月13日(火) 20:00 ~ 20:54(テレビ朝日系)

2011年9月8日 テレビドガッチ

血液から簡単に高い精度で複数がんを早期発見


味の素ら、がん患者と健常者では血中アミノ酸濃度バランスが異なると発表

味の素と神奈川県立がんセンターは9月8日、がん患者は健常者と比較して「血中アミノ酸濃度バランス」が有意に変化していることなどを共同で発表した。その変化は早期がん患者からも認められること、および血中アミノ酸濃度を変数とした「多変量解析」により、がんの早期発見への応用が可能であることなども明らかにしている。研究成果は、9月7日(米国時間)に米オンライン学術ジャーナル「PLoS ONE」に掲載された。

味の素では、血中アミノ酸濃度のバランスの変動を統計学的に解析・指標化し、健康状態や持病のリスクを明確にする「アミノインデックス技術」の研究開発を 行っている。血中アミノ酸濃度は、生体の恒常性維持機能により一定に制御されるが、種々の疾患においてはバランスが崩れ、健常者と比較して変化しているこ とが多くの論文でこれまで報告されている。ただし、これまでのがん患者における血中アミノ酸濃度の変化についての研究は、小規模に留まっていた。

しかし今回の研究では、複数の病院や人間ドックから早期がん患者を含めて大規模に臨床症例の収集を実施。血中アミノ酸濃度バランスを測定することにより、がん患者と健常者とを判別する可能性を検証するための症例対照研究が行われた。

今回の研究では、5種類のがん(肺がん胃がん大腸がん乳がん前立腺がん)について調査。がん種ごとに130~200名、合計928名のがん患者と、がん種ごとに対象として650~1000名、合計4618名の健常者における血中アミノ酸濃度バランスの比較が行われたのである。

その結果、健常者に比べてがん患者は血中アミノ酸濃度バランスが有意に変化していることが判明。また、がん患者における血中アミノ酸濃度バランスの変化には、がん種間で共通するアミノ酸群の変化と、がん種により特徴的に現れるアミノ酸群の変化があることも確認された。

5種類のがん患者の、血中アミノ酸濃度バランスの変化。健常者のアミノ酸濃度バランスが円形の黒実線で表されており、がん患者のものはその相対値として示 されている。黒実線の内側の灰色の領域にプロットされるアミノ酸は、健常者よりも低下していることを示し、外側の白い領域にある場合は増加しているという 具合。どのがんも健常者に対してかなり増減がある上に、それぞれのがんで特徴的なところが見られる

また、血中アミノ酸濃度バランスの変化は、早期がん患者でも認められることも判明。さらに、多変量解析の一種である判別分析を行うことで得られた判別関数 は、がん患者と健常者を「ROC(受信者動作特性)曲線下面積」で0.75以上の制度で判別できることを示す結果も得られている。

ROC曲線下面積とはある検査によって正しく診断される確率を表す指標で、0.5~1の値を取り、一般に0.7以上で有効な検査、0.8以上になれば優れ た検査とみなされるというもの。今回は0.75以上だったので、有効な検査であり、優れた検査に近いといえるわけだ。なお、この判別関数を用いると、早期 がん患者でも判別できることが示されている。

今回の研究で得られた知見を応用することで、アミノインデックス技術によって、血液で簡単でいて高い精度で複数のがんの早期発見ができる可能性が出てきたとしている。同社では、今後アミノインデックス技術に関して疾患の対象を拡充していくとともに、血中アミノ酸濃度バランスが変動する機構の解明、ならびに「コホート研究」など、さらなる研究を継続していくとしている。

なお、コホート研究とは疫学研究法の一種で、ある集団を将来にわたって追跡調査を行い、後から発生する疾病を確認するという研究手法のこと。例として、血 中アミノ酸濃度バランスの解析結果から疾患リスクが高いと判別された被験者群と、疾患リスクが低いと判別された被験者群というように分類し、将来の疾患発 生率の研究を行い、血中アミノ酸濃度バランスとの間にある因果関係を調べるような研究を指す。

2011年9月9日 マイコミジャーナル

抗がん剤で肝炎ウイルスが再活性化

 過去にB型肝炎ウイルスに感染した人ががんやリウマチなどの治療で免疫力が落ちると、ウイルスが再び増える「再活性化」が起きることが厚生労働省研究班(研究代表者=持田智・埼玉医大教授)の全国調査でわかった。再活性化に気づかず放置すれば、重い肝炎を発症する恐れがある。

 研究班は2009年度から抗がん剤やステロイド、リウマチ治療に使われる生物学的製剤による治療で免疫力が落ちた患者で、過去にB型肝炎ウイルスに感染した235人について調査。うち11人(4.7%)で再活性化が起きていた。

 再活性化が起きると劇症肝炎を発症しやすい。04~09年に全国で18人が死亡。17人ががん、1人がリウマチの患者だった。

 今回の調査で再活性化が起きた11人のうち、5人はウイルス量が基準を超えていた。抗ウイルス薬による治療を受け、いずれも肝炎を発症しなかった。

2011年9月9日 朝日新聞

2011年9月8日木曜日

脳腫瘍の再発を防ぐ遺伝子発見

山形大学医学部の北中千史教授と国立がん研究センターの嘉山孝正理事長らは、悪性脳腫瘍の再発を防ぐ遺伝子を発見した。がん細胞を生み出し続ける「がん幹細胞」の働きを抑える。治療薬の開発につながる可能性があるという。成果は米医学専門誌「ステムセルズ」(電子版)に発表された。

 研究チームは悪性脳腫瘍の一つ、グリオブラストーマの患者を調べた。がん細胞とがん幹細胞の遺伝子を分析し、がん細胞で働き、がん幹細胞では眠っている「Fox03a」という遺伝子を見つけた。ネズミを使った実験で、この遺伝子をがん幹細胞で働かせると、がん細胞がほとんどできなくなった。

 がん細胞にはもととなる細胞があり、がん幹細胞と呼ばれている。がん幹細胞は数は少ないが、手術などで取り残すとがんが再発する原因と考えられている。がん幹細胞の機能を絶てば、再発も防げる。

 研究チームは「Fox03a」遺伝子がよく働くようにする薬剤をすでに見つけており、治療薬として開発していく。

2011年9月8日 日本経済新聞

胃がんに強い病院

胃がんに強い病院 内視鏡治療数の割合に着目すると分かる

胃がんは早期であれば、100%近く完治が可能である。だからこそ、病院選びが重要になる。では、統計データのどこに注意すべきか。国立がん研究センターの西本室長は、「着目すべきは『内視鏡』の割合」だという。

 内視鏡治療とは、電気メス付きの内視鏡で胃の内壁のがんを 切除するもの。腹部を切らないので、体への負担は非常に小さい。早期がんだからできる治療法なのだが、逆にいえば内視鏡治療が多い病院は、検診体制に力を 入れ、早期発見に努めているともいえる。また、専門技術を要する治療法なので、専門医が揃っていなければ数をこなせない。

 がん治療計256例中133例と、内視鏡治療が半数以上を占める山形県・酒田市病院機構日本海総合病院には、他の病院にはない『治療内視鏡科』がある。

「院外的には、「内視鏡内科」と表記していますが、院内では内視鏡治療の専属の科として独立しています。昨年は胃がんと大腸がん合わせて300件以上施術 しました。医療器具メーカーや20名もの医師と一緒に『SBナイフ』というハサミ型レーザーナイフを開発し、効率的に治療できるようになったことが大きい ですね」(同院内視鏡内科・本間清明医師)

 優秀な専門医を揃えていることを誇るのは埼玉医科大学国際医療センターだ。

「治療に携わっている医師は7名で、内訳は内視鏡学会の指導医が3名、専門医が4名。全員が内視鏡のトレーニングを受けた医師で、ビギナーはいません」(同院消化器内科・喜多宏人教授)

 日本一多く、胃の内視鏡検査をやっているというのは長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院だ。

「内視鏡医は14名で、年2万6000件の内視鏡(検査と治療)をやっています。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は10数年前に日本で開発された技術 で、がんを切除する『フックナイフ』は私が開発しました。技術を学ぶため全国から医師が集まってきています」(同院胃腸科部長・小山恒男医師)

 大阪府立病院機構大阪府立成人病センターの消化管内科副部長・上堂文也医師も、「正常粘膜と病変を異なる色で表示し、病変を発見しやすくさせる AFI(蛍光内視鏡)という機器をオリンパスさんと共同開発するなど、先進機器の開発にも積極的に取り組んでいます」と胸を張る。

 このように、早期がんの場合は、内視鏡治療が効果的なケースが多いが、一方、進行がんになると手術や抗がん剤などの化学療法が必要となる。

2011年9月8日 週刊ポスト

2011年9月6日火曜日

膵臓がん、肝臓がんの世界最高レベル病院

2011年9月5日 zakzak
肝・胆・膵がんの外科治療で世界トップレベル

★「千葉大学医学部附属病院」肝胆膵外科

医学が進歩したとはいえ、いまだに手術が困難ながんはある。その代表グループに入るのが、肝臓がん胆道がん(胆管、胆嚢、乳頭部がん)、膵臓がん。臓器の中や周りに太い血管などがあり、高度な治療技術が求められる。しかも、画像診断では撮影しにくい臓器のため、特に胆道がんや膵臓がんは、進行した状態で見つかることが多い。

大きくなったがんを手術でいかに取るか。その手技には、安全でかつ 有効にするための創意工夫が常に求められる。そんな肝・胆・膵のがんに対して、さまざまな独自の術式を考案し実績を上げているのが、千葉大学医学部附属病 院肝胆膵外科だ。なかでも胆道がんの手術では世界トップレベルの実力を誇る。

「肝胆膵の分野は、進行がんで見つかることが多く、外科的な術式に 加えて術前術後の手技にも高度な技術が不可欠です。そのため、世界的にもまだ外科的な治療が行われていない患者さんが多い。しかし、確実に腫瘍を摘出して 臓器の機能を損なわなければ、外科的な治療の役割は大きい。それに貢献するために、私たちは、常に技術レベルの向上を考えています」

こう話す同科の宮崎勝教授(60)は、病院長を兼務しながらも、年間約200件の手術に携わるエキスパートだ。

宮崎教授が外科医を目指した若い頃には、肝臓がんや胆道がん、膵臓がんは、 治療が非常に難しく、手術を受けられない患者は今よりも多かったという。手術をしなければ予後は悪い。しかし、手術を受けてもその治療によって患者は命を 落とすこともあった。その状況を変えるために、宮崎教授は外科的治療の向上にあらゆる努力を惜しまなかった。その結果、現在、世界トップレベルの技術に結 びついている。

「早期発見のための診断方法が確立されれば、患者さんにとっては大きなメリットがあります。しかし、今はまだありません。現状で外科的な治療によってどこまで貢献できるのか。それに取り組んでいると、自然に新しい手技が生まれてきます」(宮崎教授)

難易度の高い手術は、患者の命に関わるリスクも高い。本来であれば、教科書に載っている標準的な治療でお茶を濁した方が、医師にとっては楽な話だ。しか し、宮崎教授は、そのリスクを抱えながらも、患者を助けるために努力を惜しまない。平日のみならず、毎週末にも病棟を訪れて、患者の状態を把握するのも習 慣としている。

そんな姿勢は、若い医師へも浸透していた。

「患者さんに、医師の取り組む姿勢を評価されることが、若い人たちのやる気につながっています。一般の方々にも、若い医師へのエールをもっと送っていた だきたい。私たちは日々進歩し、1年後には、さらに技術レベルの向上を実感できるでしょう。そのために、これからも取り組んでいきたいと思っています」と 宮崎教授。

一歩でも前へ。技術レベル向上の取り組みに終わりはない。(安達純子)

<データ>肝胆膵外科2010年実績
☆新規患者総数約320人
☆肝がん手術数79件
☆胆道がん手術数71件
☆膵がん手術数56件
☆肝胆膵外科病床数約50床
〔住所〕〒260-8677千葉市中央区亥鼻1の8の1 
(電)043・222・7171 

がん患者の孤独と不安

がん患者を孤独にしない

サイコオンコロジー(精神腫瘍学)は、がんと精神・心理との相互の影響を扱う学問です。僕が今住む米国では、医師だけでなく看護師や臨床心理士などさまざまな医療従事者がこの学問について学び、日常の診療や患者さんとの関係づくりに取り入れています。
先日、悪性腫瘍と闘う患者さんの心理的なサポートをお手伝いする機会がありました。ボランティアの一人として日本の折り紙を紹介するという活動です。
僕が産婦人科医ということもあってか、参加した方は子宮がん、卵巣がん、乳がんなど全員が婦人科系疾患の患者さんでした。直前になって体調を崩され参加で きない方もいらっしゃいましたが、参加した方は元気で陽気な人ばかりでした。とはいえ、元気に見えても、どこかに不安を抱えているのかもしれません。
僕を含めた4人の日本人スタッフが、日本の七夕にちなんだ飾りや折り紙を紹介しました。日本人にとっては何てことのない折り紙ですが、1枚の紙からかぶとや鶴の形ができると、みんなとても喜んでくれます。なんだか自分たちがすごい人になったような気分です。
折り方を教えると、みなさん真剣になって折り始めます。「たかが折り紙」と思うかもしれませんが、何かに集中することで患者さんは心を落ち着かせ、それが病気に対しても良い影響を与えるようです。
僕ら自身もとても充実した時間を過ごすことができました。また参加したいという方が多く、日本人としてうれしかったです。
「同じような病気と闘う人と一緒にいることで自分は一人ではないと感じることができる」。こう話してくれた方がいました。
米国では本当にこういう活動が盛んです。参加するまで、「何が楽しいんだろう?」と思っていたのですが、社会として誰かを一人きりにさせない取り組みはと ても重要だと感じました。同時に、日本に戻ったとき、当直をこなしながらこうした活動ができるかしらと思ったのでした。
2011年9月4日 産経新聞

全がんリスク上昇のサプリメント

真逆のエビデンス情報

「ビタミンサプリの継続摂取、女性で循環器系疾患リスク減」と報じた国立ガン研究センターの論文発表は、日経夕刊紙(8・ 25)で「ビタミン剤長期摂取の女性、癌リスク上昇」と報じた。ちなみに時事通信社は「ビタミン摂取、癌リスク低減=女性のみ、生活習慣も重要」と報じ た。詳細は健康産業新聞「話題追跡」に掲載されているが、要点を紹介する。

コホート研究は1990年から94年に全国9地域の40~69歳の男女、循環器系疾患を発症しなかった6万人を06年まで追跡調査するという大掛かりな もの。追跡期間中4501人が何らかの癌、1858人に循環器系疾患の発症が確認されたというもの。調査対象は5年間に亘り①サプリを摂らなかった、②開 始時は摂っていたが5年後は摂らなかった、③開始時は摂らず、5年後は摂った、④ずっと摂っていた、の4グループで行われた。
その結果②で17%、③で24%、全がんリスクが上昇したとしている。一方、循環器疾患では④でリスクが40%減少し、特に脳梗塞で有意に発症リ スクが減少したと。また、公表された図によれば④の女性では全がんで8%循環器系で40%のリスク低減があり、時事通信はこれをもとに、「ビタミン剤の摂 取を続けた女性ではガンや循環器系疾患の発症リスクが低減する」と報じた。一方日経では、①に比べ、②では発症リスクが17%高かったというデーターに基 づき「ビタミン剤長期摂取の女性、がんリスク上昇」と報じた。ただ、概要版を見ると②のグループは、他のグループに比べ肥満者や喫煙者、高血圧や糖尿病治 療の割合が高く、身体且つ同僚が少ないなど、不健康な特徴を持つと指摘している。
調査から見えてくるのは、サプリメントの摂取が循環器系疾患には効果的であり、食生活など健康に注意することで、とりわけいい結果をもた らすと読めるのではないか。ちなみに④は肥満者が少なく健診受診率が高く、果物や食事からの葉酸や・ビタミン摂取が多いなどの特徴を持つとしている。
医療はセフティーネット、健康はモチベーションであるとの指摘どおり、サプリメントの利用者が健康への関心を高めることで、更に健康になるという構図が見えてこないか。


2011年9月5日 健康産業新聞

2011年9月5日月曜日

肺がんリスク遺伝子変異を特定

 肺癌(がん)リスクを高める遺伝子変異を同定

喫煙者の肺癌(がん)リスクを高める2つの遺伝子変異が、カナダの新しい研究で同定された。この変異体を有する喫煙者では、喫煙量が多く、たばこへの依存度がより高い傾向がみられたという。

カナダ、中毒・メンタルヘルスAddiction and Mental Healthセンター(トロント)のRachel Tyndale氏らは、肺癌を有する現・元喫煙者417人、癌のない現・元喫煙者443人について検討した。その結果、ニコチン代謝遺伝子 (CYP2A6)およびニコチン遺伝子クラスター(CHRNA5-A3-B3)の変異が認められた喫煙者は、肺癌を有する可能性、ニコチンへの依存度がそ れぞれ高く、ヘビースモーカーである可能性も高かった。両方の変異体を有する人における肺癌リスク増大は、1日20本以下の軽度喫煙者で最も顕著であっ た。

Tyndale氏は「ヘビースモーカーでは他の健康障害も同様、肺癌の全リスクが増大するが、今回の研究では特に、癌リスクに対するこれら2遺伝子の影響 を検討した。これら2つの遺伝子の遺伝的リスクは、より軽度の喫煙者においてより大きな役割を果たしていた。ニコチン代謝遺伝子は1日の喫煙量に、ニコチ ン遺伝子クラスターは肺癌リスクにより大きな影響を及ぼす。両方の高リスク遺伝子変異の複合効果により、肺癌発症オッズは2倍以上になった」と述べてい る。

同氏らは、多くの喫煙者が以前に比べて喫煙量を減らす傾向にあるため、今回の知見は重要であるとしている。研究結果は、米国立癌研究所(NCI)誌「Journal of the National Cancer Institute」9月号に掲載された。

2011年8月18日 HealthDay News

2011年9月3日土曜日

世界初の前立腺がん臨床試験

前立腺がんに「間欠的ホルモン療法」 東京厚生年金病院

高齢になればリスクが高まる前立腺がんは、「PSA」という腫瘍マーカーの血液検査によって、早期の段階で見つかることが増えた。また、その治療も、手 術、放射線療法、化学療法、さらにはホルモン療法もあり選択肢が多い。病態や個人の意向で治療を選びやすいのだが、ホルモン療法では、長く治療を続けるこ とで薬が効きにくくなる欠点があった。

それを「再燃」という。これを克服するために、現在、世界的に注目されているのが「間欠的ホルモン療法」。ホルモン療法を一定期間実施した後、PSAの 値が正常に戻ったところで投与を止める。そして、数カ月後に再びPSAが上昇したならば、またホルモン療法を再開するという治療だ。休止期間があるゆえ に、再燃は起こりにくく、副作用も少ないだけでなく、コストも安い。

そんな「間欠的ホルモン療法」が世界初の臨床試験が行われたのは1990年代初頭。このプロジェクトに参加し、国内の第一人者であるだけでなく、現在も、世界最先端の研究を行っているのが、東京厚生年金病院泌尿器科の赤倉功一郎部長(51)だ。

「手術や放射線療法の技術レベルも進歩していますが、治療後の勃起機能の低下や尿漏れなどの副作用があります。また、手術そのものを希望しない方もいます。そういった場合の選択肢のひとつとして、間欠的ホルモン療法は役立つと思っています」(赤倉部長)

間欠的ホルモン療法も、全ての前立腺がんに有効というわけではない。病態によっては、別の治療を選択した方がいいこともある。この治療が有効か、そうで ないのか。その見極めと治療成績のデータ化により、どんな医師でも治療に応用可能にするため、現在、赤倉部長は東京大学生産技術研究所などとのコラボによ る最先端の研究チームに参加している。

「データがソフト化されるのは、世界初になります。間欠的ホルモン療法が、一般的な治療として普及するための足掛かりになるでしょう」

こう話す赤倉部長は、もうひとつ、「PSA監視療法」にも力を入れている。前立腺がんは、病態によっては進行が遅い。手術などの治療をすることで、その 副作用などで逆に患者のQOL(生活の質)を損ないかねない。どのタイミングで治療を行うか、行わなくても済むか。その見極めのために「PSA」検査を活 用し、前立腺がんの進行状態を把握しながら検査や適切な治療を実施する「PSA監視療法」の研究も、赤倉部長は進めている。

「患者さんの人生を最善な状態にするには、今以上に個別化した診断と治療が必要だと思っています」と赤倉部長。世界トップレベルの診断と治療の発展のために、今も力を注いでいる。 (安達純子)

<データ>2010年実績

☆泌尿器科手術総数約450件
☆前立腺がんの間欠的ホルモン療法約40人(現在進行中)
☆PSA監視療法約40人
☆病院病床数520床
〔住所〕〒162-8543東京都新宿区津久戸町5の1 
(電)03・3269・8111 2011年9月2日 zakzak

スキルス胃がんのマウスモデル

東京医科歯科大学は8月26日、オランダ国立がん研究所との共同研究で、世界で初となる「スキルス胃がんのマウスモデル」を作成したことを発表した。

研究を手がけたのは、同大学大学院医歯学総合研究科・分子腫瘍医学分野の湯浅保仁教授の研究グループら。同研究は、文部科学省科学研究費補助金、日本学術 振興会日中韓フォーサイト事業ならびに高松宮妃癌研究基金の支援のもとで行われ、その成果は国際科学雑誌「Gut」に8月26日付けでオンライン版に発表 された。

胃がんは、世界でも日本でもがんによる死亡原因の2位となっている。特にスキルス胃がんは予後が悪く、早急な対策が必要とされている具合だ。ただし、発症機構は明らかになっておらず、がん抑制遺伝子「E-カドヘリン」と「p53」がカギを握るとされている。

研究グループでは、Atp4b-Creマウス、Cdh1-loxPマウス(Cdh1遺伝子はE-カドヘリンをコード)、Trp53-loxPマウス (Trp53遺伝子はp53をコード)の3種類の遺伝子改変マウスをかけ合わせ、世界初となるE-カドヘリンとp53が胃の細胞壁においてノックアウトさ れる、「DCKO(double conditional knockout)マウス」を作成して実験を行った。

結果、1年以内に100%の頻度でヒトのものとよく似たスキルス胃がんを発症することが確認された。スキルス胃がんの発症にはE-カドヘリンと p53の両方が確実に関与しているといえる結果である。また、DCKOマウスでは浸潤性が強い胃がんが生じるだけでなく、リンパ節転移も高頻度に認められ た。

研究グループは、これらのマウスはスキルス胃がんの発症機構の解明に有用なことに加え、スキルス胃がんに対する新規治療薬や予防法の開発にも使えるとしている。

2011年8月30日 マイコミ

がん細胞検出できる蛍光分子

理研など、がん細胞を検出できる蛍光分子開発

理化学研究所とスウェーデン・カロリンスカ医科大学の研究チームは、がん細胞を検出できる蛍光分子を開発した。生体内で異物の解毒機構を担い、がんの目印となる「グルタチオン転移酵素(GST)」が起こす化学反応を利用し、がん細胞のみを光らせる。

今までGSTを検出するための蛍光分子がなく、医療現場で利用できる実用的な手法が求められていた。GSTの量が多いがん細胞のみを攻撃できる抗がん剤の開発が期待できる。成果は米化学会誌(JACS)電子版に掲載された。

結合した蛍光化合物の働きを抑える「アリールスルホニル保護基」という物質に着目。同保護基に、ローダミンなどの蛍光化合物を結合させた複合体を作っ た。作製した複合体は蛍光を出さない。だが細胞内に豊富に存在する物質「グルタチオン」とGSTを加えると、化学反応が起こり複合体から同保護基が外れ、 蛍光を出す。

2011年08月30日 日刊工業新聞