2011年12月31日土曜日

がん患部で抗がん剤生成する新薬

新しいがん治療法、米国で臨床試験へ

 信大医学部(松本市)内に研究所を置くベンチャー企業「アネロファーマ・サイエンス」(東京)は来春にも、ビフィズス菌を利用したがん治療法の臨床試験を米国で始める。がん組織は酸素の少ない「嫌気的環境」にあるため、嫌気的環境を好むビフィズス菌を薬の「運び屋」として利用。併せてがん組織の内部で抗がん剤を生成する仕組みにすることで正常な組織への影響を抑え、副作用が少ないがん治療法の確立を目指す。
 同社が実用化に取り組んでいる治療法は、抗がん剤になる前段階の物質「5―FC」と、5―FCを抗がん剤「5―FU」に変える酵素を作る遺伝子を組み込んだビフィズス菌「APS001F」を患者に投与。ビフィズス菌が集まるがん組織の内部で抗がん剤に転換し、ピンポイントでがん組織を攻撃する。
 臨床試験は米国中南部にあるがん専門病院で実施。まず第1段階の試験で、がんの種類を絞らずに、胃がんや大腸がんなどさまざまな固形がんを対象に行う。2年ほど実施した後、続く第2段階の試験で、第1段階で特に効果が高かったがんの種類に絞って投与。両試験で計40~60人の患者に実施する予定だ。
 同社はこれまで動物実験で有効性や安全性を確認。臨床試験については米国立衛生研究所や米食品医薬品局と打ち合わせを重ね、それを基に1月中に米食品医薬品局に実施を申請する。順調に進めば、春ころに1人目の患者に投与できる見込みだ。
 同社取締役で信大大学院医学系研究科の谷口俊一郎教授=分子腫瘍学=は「がんの種類によって、ビフィズス菌が集まりやすいものと、集まりにくいものがあるかもしれないので、臨床試験を通して見極めたい」と説明。「がん組織という局所だけで大量に5―FUを作ることができるため、副作用を減らすだけでなく、従来は5―FUが効かなかった種類のがんにも効果があるかもしれない」と期待する。
 臨床試験が順調に進めば、5―FUだけでなく別のさまざまな薬を運ぶ手法としても注目されそうだ。
 同社の三嶋徹也社長は「今までにないまったく新しいコンセプトの治療法を是非、世に出したい」と話している。

2011年12月31日 信濃毎日新聞

がん内部で抗がん剤を生成する新薬


新しいがん治療法、米国で臨床試験へ

信大医学部(松本市)内に研究所を置くベンチャー企業「アネロファーマ・サイエンス」(東京)は来春にも、ビフィズス菌を利用したがん治療法の臨床試験を米国で始める。がん組織は酸素の少ない「嫌気的環境」にあるため、嫌気的環境を好むビフィズス菌を薬の「運び屋」として利用。併せてがん組織の内部で抗がん剤を生成する仕組みにすることで正常な組織への影響を抑え、副作用が少ないがん治療法の確立を目指す。

同社が実用化に取り組んでいる治療法は、抗がん剤になる前段階の物質「5―FC」と、5―FCを抗がん剤「5―FU」に変える酵素を作る遺伝子を組み込 んだビフィズス菌「APS001F」を患者に投与。ビフィズス菌が集まるがん組織の内部で抗がん剤に転換し、ピンポイントでがん組織を攻撃する。

臨床試験は米国中南部にあるがん専門病院で実施。まず第1段階の試験で、がんの種類を絞らずに、胃がんや大腸がんなどさまざまな固形がんを対象に行う。 2年ほど実施した後、続く第2段階の試験で、第1段階で特に効果が高かったがんの種類に絞って投与。両試験で計40~60人の患者に実施する予定だ。

同社はこれまで動物実験で有効性や安全性を確認。臨床試験については米国立衛生研究所や米食品医薬品局と打ち合わせを重ね、それを基に1月中に米食品医薬品局に実施を申請する。順調に進めば、春ころに1人目の患者に投与できる見込みだ。

同社取締役で信大大学院医学系研究科の谷口俊一郎教授=分子腫瘍学=は「がんの種類によって、ビフィズス菌が集まりやすいものと、集まりにくいものがあるかもしれないので、臨床試験を通して見極めたい」と説明。「がん組織という局所だけで大量に5―FUを作ることができるため、副作用を減らすだけでなく、従来は5―FUが効かなかった種類のがんにも効果があるかもしれない」と期待する。

臨床試験が順調に進めば、5―FUだけでなく別のさまざまな薬を運ぶ手法としても注目されそうだ。

同社の三嶋徹也社長は「今までにないまったく新しいコンセプトの治療法を是非、世に出したい」と話している。
2011年12月31日 信濃毎日新聞

2011年12月27日火曜日

がん抑制に効果ある菌

アクネ菌に皮膚がん抑制効果 三重大院講師ら確認

ニキビの原因となるアクネ菌が、皮膚がんの一種で転移の早い「悪性黒色腫」の抑制に役立つことを、三重大大学院医学系研究科の山中恵一講師らのグループがマウスを使った実験で明らかにした。米科学誌「プロスワン」電子版に22日、掲載された。

グループは、白血球内の免疫細胞の中に、アクネ菌と腫瘍に反応する細胞がある点に着目。悪性黒色腫を移植したマウスの患部に菌を直接注射したところ、周辺組織の免疫機能が活性化し、アクネ菌とともに腫瘍のがん細胞も排除し始めた。

  アクネ菌を1カ月間で2回注射したマウスは、注射していないマウスに比べて腫瘍の成長が半分にとどまり、がん細胞も大幅に減っていた。山中講師は「今後はアクネ菌のうち、どの成分が効果的なのかを解析し、新薬の開発につなげたい」と説明している。

2011年12月22日 中日新聞

皮膚がん抑制効果の菌


アクネ菌に皮膚がん抑制効果 三重大院講師ら確認

ニキビの原因となるアクネ菌が、皮膚がんの一種で転移の早い「悪性黒色腫」の抑制に役立つことを、三重大大学院医学系研究科の山中恵一講師らのグループがマウスを使った実験で明らかにした。米科学誌「プロスワン」電子版に22日、掲載された。
グループは、白血球内の免疫細胞の中に、アクネ菌と腫瘍に反応する細胞がある点に着目。悪性黒色腫を移植したマウスの患部に菌を直接注射したところ、周辺組織の免疫機能が活性化し、アクネ菌とともに腫瘍のがん細胞も排除し始めた。
アクネ菌を1カ月間で2回注射したマウスは、注射していないマウスに比べて腫瘍の成長が半分にとどまり、がん細胞も大幅に減っていた。山中講師は「今後はアクネ菌のうち、どの成分が効果的なのかを解析し、新薬の開発につなげたい」と説明している。

2011年12月22日 中日新聞

未承認薬でのがん治療が可能に

未承認薬、条件つき容認へ 重病患者を対象、厚労省方針

 厚生労働省は、ほかに治療法がない重い病気の患者に対し、国内では承認されていない薬を一定の条件で使えるように制度化する方針を固めた。26日夜、薬事行政の見直しを検討している厚労省の審議会で大筋了承された。同様の制度は欧米にあり、がん患者らが要望していた。

 日本は欧米に比べて薬の承認時期が遅れるため、欧米で受けられる最新の治療を受けられないことがある。医師や患者が海外の薬を個人輸入して使っている例もあるが、偽造薬を買わされる危険性や、副作用が起きたときに対応ができるのか、などの問題がある。

 創設する制度では、欧米で承認済みで、国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする。医療機関が厚労省に必要な届け出をすれば、複数の病気を抱えているなど治験に参加できない患者に、この薬を使えるようにする。患者にとっては治療の選択肢が広がることになる。

2011年12月27日 朝日新聞

がん未承認薬の届出制度


未承認薬、条件つき容認へ 重病患者を対象、厚労省方針

厚生労働省は、ほかに治療法がない重い病気の患者に対し、国内では承認されていない薬を一定の条件で使えるように制度化する方針を固めた。26日夜、薬事行政の見直しを検討している厚労省の審議会で大筋了承された。同様の制度は欧米にあり、がん患者らが要望していた。
 日本は欧米に比べて薬の承認時期が遅れるため、欧米で受けられる最新の治療を受けられないことがある。医師や患者が海外の薬を個人輸入して使っている例もあるが、偽造薬を買わされる危険性や、副作用が起きたときに対応ができるのか、などの問題がある。
 創設する制度では、欧米で承認済みで、国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする。医療機関が厚労省に必要な届け出をすれ ば、複数の病気を抱えているなど治験に参加できない患者に、この薬を使えるようにする。患者にとっては治療の選択肢が広がることになる。
2011年12月27日 朝日新聞

2011年12月22日木曜日

がんの成長を抑える新物質発見


がんの増殖を抑える新しい分子を東京大学などの研究チームが発見した。がん細胞の増殖を抑える新しいタイプの抗がん剤の開発が期待される。

発見された物質は、「プロスタグランジンD2(PGD2)」。実はPGD2は脳で作られて眠りを誘うことでは既知の物質だった。しかし、今回の発見は、PGD2が がんの成長を抑えることをマウス実験で確認したのだ。

がん細胞が増殖するために、新造血管(新生血管)と呼ばれる栄養を送る血管を作ったり、ウイルスや細菌などから体を守る免疫細胞が異常になる。PGD2は、これらのがん増殖の環境を抑制していると推察されている。

肥満と大腸がんと乳がんと子宮がん

今をときめく善玉タンパク質、「アディポネクチン」。
このアディポネクチンは、がん細胞の増殖抑制と関連性が明らかになっています。

アディポネクチンはがん細胞の過剰な増殖を抑制する働きがあるのですが、内臓脂肪が過剰に蓄積すると、アディポネクチンの分泌は減少してしまうのです。これによって、がん細胞の増殖を抑えられなくなり、がんが進行するのです。 これが、内臓脂肪の蓄積がもたらすがんリスクの仕組です。

近年、先進国を中心に激増している大腸がんの患者には、アディポネクチン値の低下が顕著であり同時に内臓脂肪の蓄積も多く見られます。。

さらに、内臓脂肪そのものが原因で発病するがんも報告されています。 乳がん子宮体がんなどが、内臓脂肪の蓄積が原因で発病するのです。

乳がん、子宮体がんは、女性ホルモンであるエストロゲンが増えることで発病することは既知ですが、このエストロゲンは卵巣だけでなく脂肪細胞でも作られからです。肥満状態で内臓脂肪が蓄積されていると、エストロゲンが増えてしまうことから、乳がん子宮体がんのリスクが高ってしまうのです。

加えて、内臓脂肪は肝臓がんのリスクも引き起こします。内臓脂肪は中性脂肪を放出することで脂肪肝を形成してしまい、やがて、肝硬変から肝臓がんへ移項してしまうのです。

痛風も内臓脂肪蓄積が原因の尿酸の代謝異常から発生するのです。

内臓脂肪は一朝一夕には溜まらず、また一朝一夕には除去できません。 全ては日々の生活習慣に依存しているのです。 「食事は腹八分目」「野菜を食べ」「運動する」などの基本的な生活習慣をコツコツ積み上げるしかありません。

明日からではなく、今日から少しずつ。

豊胸シリコンで がん発病

フランス厚生省は21日、豊胸手術や乳房再建手術で埋め込まれたシリコン製のインプラントががんの原因になる恐れがあるとして、インプラント摘出手術の費用を助成すると発表した。

問題になっているのは、ポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)という企業が豊胸手術に使っていたインプラント。英国の美容整形外科学会によれば、PIPは医療用に適していないマットレス用のシリコンを豊胸手術に使っていたとされる。

フランス厚生省によると、同国内でPIPのインプラント埋め込み手術を受けた女性は約3万人に上り、問題が発覚した昨年以降、これまでに523人が摘出手術を受けた。インプラントの破裂も1000件以上報告されているという。

同国は14日に医療関係者などで構成する委員会を設置してこの問題を協議。PIPのインプラント埋め込みを受けた女性に摘出を義務付けるかどうかについ て、厚生当局が23日に方針を発表する。乳房再建手術を受けた患者には、新しいインプラントを埋め込むための費用も還付する。

この問題では英国の当局も20日に注意を呼びかけ、「フランスで胸部インプラント埋め込み手術を受けた女性が未分化大細胞リンパ腫と呼ばれる免疫細胞系のがんで死亡したとの報告がある」と指摘していた。

ただし英国ではインプラント摘出までは勧告せず、PIPを含むあらゆる胸部インプラントが健康に及ぼす影響について監視を続けるとしている。

2011年12月21日 CNN

2011年12月21日水曜日

唾液がん検査は十分に有効

がん検査は簡単便利になるほど受信する人数の増加が見込めるために、がんの早期発見に寄与できるという理屈だ。がんの最良の治療法が、早期発見早期治療であるkとは誰もが知っているのに、早期発見のためのがん検診を面倒がるという矛盾。
実用化前のためにがん検診ではなく「スクリーニング」、つまりがん発病が疑われる患者をふるいに掛ける程度の精度のようだが、唾液だけでがんの簡易検査ができることは間接的に多くの患者を救うことになる。


末期がんになる前に全てのがん患者を発見できれば、末期がんは無くなってしまうのかもしれない。


2011年12月21日 ZAKZAK

唾液から“がん”が発見できる時代へ!
 人の唾液を調べて、健康・医療に役立てる研究が進んでいる。最近では、前立腺がんの腫瘍マーカー(血液検査)であるPSA(前立腺特異抗原)検査が唾液でも行えることが報告された。唾液でどこまでわかるのか。唾液検査の現状について専門家に聞いた。
 ■血液と唾液の関係
 PSAは唾液中にも含まれ、前立腺がん手術後の再発・転移を調べるのにも有効だとの研究結果をまとめたのは、神奈川歯科大学の槻木恵一教授(唾液腺健康医学)らのグループだ。
 研究によると、前立腺がん患者31人を調べ、再発や転移が見つかった11人はPSAの血中濃度が高い上に、血中濃度が上がるにつれ唾液中の濃度も上がっていた。再発・転移のない20人は血中濃度が低く、唾液中にもほとんど含まれていなかったという。
 現在、唾液用の検査キットを開発中で、今年度中にはさらに大規模研究がスタートする運びだ。
 ■偽陰性なく十分有効
 PSAは前立腺から分泌される物質で、がん以外でも前立腺に病気があると血中濃度が高くなる。
 では、なぜ唾液中にもPSAが現れるのか。
 槻木教授は「唾液は血液から作られていて、血液成分を反映するからです」と話し、唾液検査の精度をこう説明する。
 「欠点をいえば、口腔内の細菌や病変に影響を受ける場合があり、さらに唾液は血液より濃度の幅が大きい。ただし、PSA唾液検査では、偽陽性の可能性はあっても偽陰性はなく、スクリーニングに十分有効です」
 とくに大きな利点は「痛くない、簡単、誰でも採取できる」ところだ。
 ■唾液に有望な将来性
 槻木教授は「最も大切な成果は、すでに広く使われている腫瘍マーカーが、唾液検査に応用できることが分かったこと。早く実用化に取りかかれるのです」と話す。
 これまでも唾液でがんを発見する研究はあったが、新しいマーカーを見つけることに重点が置かれているため、実用化にはまだ時間がかかる。たとえば、慶応大では唾液から、すい臓がん、乳がん、口腔がんを見つけるための新しいマーカーの開発が進められている。
 唾液腺と全身の関係や唾液中の無数の成分には解明されていないことが多く、今後も唾液腺関連研究の進展次第では、まだ多くの検査や病気予防への応用の将来性が秘められているという。
 槻木教授は、現在取り組む有望な研究テーマの概要をこう話す。
 「唾液には多数の抗菌物質が含まれ、この量の違いが、唾液の質の差となり健康のバロメーターになる。また、舌下部からある唾液成分が血液に再吸収されているが、その成分の働きが全身の健康に大きく関与していることに注目しています」
 今後の唾液研究に大いに期待したいところだ。
■唾液からわかる主な検査項目
○虫歯のなりやすさ
○歯周病の状態
○HIVウイルスの有無
○ストレスの測定
○喫煙習慣
○大麻や覚醒剤の使用の有無
△乳がん・前立腺がんのスクリーニング
△生体の活性度(免疫力)
△疲労度(ウイルスの量)
△妊娠しているかどうか
△性病関連の検査
△環境汚染の程度(環境ホルモンの量)
※○は検査が確立・実用化されている。
 △は研究中で今後の実用化が可能

最も簡単ながん検査が実用化へ


唾液から“がん”が発見できる時代へ!

人の唾液を調べて、健康・医療に役立てる研究が進んでいる。最近では、前立腺がんの腫瘍マーカー(血液検査)であるPSA(前立腺特異抗原)検査が唾液でも行えることが報告された。唾液でどこまでわかるのか。唾液検査の現状について専門家に聞いた。

 ■血液と唾液の関係

PSAは唾液中にも含まれ、前立腺がん手術後の再発・転移を調べるのにも有効だとの研究結果をまとめたのは、神奈川歯科大学の槻木恵一教授(唾液腺健康医学)らのグループだ。

 研究によると、前立腺がん患者31人を調べ、再発や転移が見つかった11人はPSAの血中濃度が高い上に、血中濃度が上がるにつれ唾液中の濃度も上がっていた。再発・転移のない20人は血中濃度が低く、唾液中にもほとんど含まれていなかったという。

 現在、唾液用の検査キットを開発中で、今年度中にはさらに大規模研究がスタートする運びだ。

 ■偽陰性なく十分有効

PSAは前立腺から分泌される物質で、がん以外でも前立腺に病気があると血中濃度が高くなる。

 では、なぜ唾液中にもPSAが現れるのか。

 槻木教授は「唾液は血液から作られていて、血液成分を反映するからです」と話し、唾液検査の精度をこう説明する。

 「欠点をいえば、口腔内の細菌や病変に影響を受ける場合があり、さらに唾液は血液より濃度の幅が大きい。ただし、PSA唾液検査では、偽陽性の可能性はあっても偽陰性はなく、スクリーニングに十分有効です」

 とくに大きな利点は「痛くない、簡単、誰でも採取できる」ところだ。

 ■唾液に有望な将来性

槻木教授は「最も大切な成果は、すでに広く使われている腫瘍マーカーが、唾液検査に応用できることが分かったこと。早く実用化に取りかかれるのです」と話す。

 これまでも唾液でがんを発見する研究はあったが、新しいマーカーを見つけることに重点が置かれているため、実用化にはまだ時間がかかる。たとえば、慶応大では唾液から、すい臓がん乳がん口腔がんを見つけるための新しいマーカーの開発が進められている。

 唾液腺と全身の関係や唾液中の無数の成分には解明されていないことが多く、今後も唾液腺関連研究の進展次第では、まだ多くの検査や病気予防への応用の将来性が秘められているという。

 槻木教授は、現在取り組む有望な研究テーマの概要をこう話す。

 「唾液には多数の抗菌物質が含まれ、この量の違いが、唾液の質の差となり健康のバロメーターになる。また、舌下部からある唾液成分が血液に再吸収されているが、その成分の働きが全身の健康に大きく関与していることに注目しています」
 今後の唾液研究に大いに期待したいところだ。

■唾液からわかる主な検査項目
○虫歯のなりやすさ
○歯周病の状態
○HIVウイルスの有無
○ストレスの測定
○喫煙習慣
○大麻や覚醒剤の使用の有無
△乳がん・前立腺がんのスクリーニング
△生体の活性度(免疫力)
△疲労度(ウイルスの量)
△妊娠しているかどうか
△性病関連の検査
△環境汚染の程度(環境ホルモンの量)

※○は検査が確立・実用化されている。
 △は研究中で今後の実用化が可能

2011年12月21日 ZAKZAK

2011年12月19日月曜日

京都と神戸だけの最新肺がん治療

がんを狙い打つ放射線治療
肺がん治療に用いられる放射線治療の問題は、副作用と効果のバランスが悪いことだ。放射線が目標となるがん細胞だけに照射されてがん細胞だけが死滅させられるのが理想だが、実際にはがん細胞だけでなく、周囲の正常な細胞にも放射線が当たってしまう。そのために吐き気、嘔吐、虚脱感、抜け毛などの副作用が引き起こされていた。さらに肺がんへの放射線治療を困難にしているのは、呼吸によって肺が動き、放射線治療の対象となる肺がん患部も動いてしまうことだった。そのため、肺がんへの放射線治療は正常細胞をも痛めてしまう治療例が後を絶たなかったのだ。
要するに正常細胞には放射線を当てず、狙ったがん細胞だけに放射線を当てれば良いだが、これが従来のがん治療機器では不可能だったのである。
しかし、近年の最新のがん放射線治療機器に機能された自動追尾装置ならば、がんの病巣を呼吸に合わせて追尾しながら、がん細胞だけにピンポイントで放射線を照射できる手法が確立された。
従来ならば、呼吸に伴って肺がん患部が揺れ動くために、放射線を照射する対象の病巣部を正確にリアルタイムで捉えることが不可能だったが、最新鋭の機器ならば正常な臓器や組織への放射線量を少なくすることができ、副作用の軽減が期待できるのだ。がん患部への照射と、エックス線で透視した画像処理を並行することで、がん病巣の位置を常に把握できる。治療中から照射ヘッドの向きを変えることで、動くがん病巣への放射線照射をリアルタイムで追尾可能になった。
従来の放射線治療法と比べると、がん病巣への同じ放射線量を照射しつつ、正常な肺への放射線量は2割減となった。治療時間は1回30分程度で、公的医療保険が適用されることが特筆される。
現在のところ世界中でも、京都大病院と神戸市の先端医療センター病院だけが、この最新機器でのがん治療を実施している。

子宮筋腫と子宮肉腫を容易に見分ける新手法

PET使い子宮筋腫・肉腫を判別

近年に女性の晩婚化や少子化が原因で増えているとされる子宮筋腫は、子宮肉腫や子宮がんへの変異が心配されることが多い。

従来、子宮筋腫と子宮肉腫を見分ける診断は難しいものだった。しかし、陽電子放射断層撮影(PET)を利用することで、患者の負担は最小でも9割以上の高い精度でがん診断することができるようになった。

この「PET診断法」は、福井大産科婦人科の吉田好雄准教授と福井大高エネルギー医学研究センターの岡沢秀彦教授が開発した手法で、米国核医学学会「がん・腫瘍(しゅよう)診断部門」では「最高賞」を獲得している。

2011年12月16日金曜日

乳がんに新薬抗がん剤

 

抗がん剤「ハラヴェン」がカナダで承認

乳がん、それも再発・転移乳がんに対する新薬が、カナダ保健省から承認を取得した。
乳がん新薬の名称は、抗がん剤「ハラヴェン」。

「ハラヴェン」は、2010年3月に日本、米国、欧州で同時申請を行い、世界で初めて2010年11月に米国で抗がん剤としての承認を取得した。2011年12月時点では、今回のカナダを含め、シンガポール、欧州、日本、スイスなど世界35カ国で承認されている抗がん剤である。

がん患者が痛みに耐えていた時代

がん患者が痛みに耐えていたのは前時代の治療状態だ。
現代のがん治療は、QOL(生の質)を最優先に、痛みを和らげることに主眼を置く。がんの疼痛緩和に対して、積極的に医療用麻薬=モルヒネを利用することも非常に有効なのである。
がん患者の痛みの緩和ケアには麻薬だけでなく、「ハンドマッサージ」も有効であり病棟での実施も拡がり、各地で講習会も盛んになりつつある。
がんの痛みのケアのためには、オイルを塗ったがん患者の手の甲や指先を「相手を思いやりながらゆっくりと」もみほぐすことが大事なのだ。
がん患者や家族がマッサージを憶えることで、がん患者の闘病に寄与できるのである。

2011年12月15日木曜日

婦人科がんの血液がん解析サービス

採血だけで複数のがんを早期発見

わずか5mlの採血だけで複数のがんが検診できて、受診者は疑いのあるがんに絞って次のステップの精密検査を受けられる。 血液中に含まれる約20種類のアミノ酸の濃度を測定解析し、そのバランスの変化から、がんの可能性を調べる検査方法だ。が実用化された。 導入する医療機関が増えており、胃がんなど5種類のがんで解析サービスから、人間ドックや健康診断での利用も広がる。

◎ 費用は18,900円

検査は、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がんが対象。 「アミノインデックスがんリスクスクリーニング(AICS)」と呼ばれる味の素が独自開発した技術を臨床応用したもの。 従来のがん検診ならば、胃がんのバリウム検査や肺がんの胸部エックス線検査、大腸がんの便潜血検査などが必要だった。がんの種類毎に違う検査が必要だった ため、受診者の負担が大きかった。しかしAICSは、1回の少量の採血だけで、これらのがんのリスクを同時に精度高く調べられるのだ。

◎ 婦人科がんにも対応

 AICSの大きな特徴は、早期がんに対する感度精度の高さだ。いわゆる腫瘍マーカーでの検査では、がんが進行しないと感知されないが、アミノ酸のバランスはがんの早期に崩れて検出される。

既に、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの、いわゆる婦人科の検診にも適用できることが判明していることから、早々に解析サービス追加される見込み。

今後は、早期発見が難しかった膵臓がんへの応用が期待されている。

脂肪肝から肝がんへの高リスク

高リスクで肝癌に進展する「非アルコール性脂肪肝炎」とは
肝硬変や肝がんは、B型やC型肝炎ウイルス感染、アルコールの過剰摂取が原因といわれている。近年肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を高頻度に合併した脂肪肝で、炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝硬変、肝がんでの死亡が増加している。健康診断で脂肪肝と診断され、年々肝臓の数値が悪化している場合は専門医による早期の受診が不可欠だ。
健康診断で脂肪肝を指摘されても、症状もないため放置することが多い。しかし、肝硬変や肝がんのリスクが高い脂肪肝もある。
従来、肝硬変や肝がんの原因は、B型、C型肝炎ウイルスの感染や過剰なアルコール摂取が主だった。ところが近年、ウイルスに感染しておらず、アルコール摂取もない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の中で、炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からの肝硬変・肝がんが増加している。NASHの多くは肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を合併しており、ウイルス性やアルコール性肝炎よりも予後が悪い場合がある。
大阪府済生会吹田病院の岡上武院長に話を聞いた。
「NAFLDは現在約1000万人いるといわれ、予後が比較的良好な単純性脂肪肝と、予後が悪いNASHに分かれます。NAFLDのうち20~30%がNASHと推計され、NASHは10年以内に10~30%が肝硬変や肝がんに進展します」
2011年12月15日 週刊ポスト

がんに集まるホウ素入り薬剤

がん治療装置 小型に

 放射線の一種である中性子を使い、がん細胞をねらい撃って破壊する 治療法を普及させるための研究に、筑波大を中心としたチームが取り組んでいる。東海村の先端科学研究施設J―PARCの技術を応用。こうした治療は現在、 原子炉のある施設でしかできないが、チームが4年後の実用化をめざす小型装置が完成すれば、病院での治療も可能になる。

 治療法は「BNCT(中性子捕捉療法)」と呼ばれる。がん細胞に集まる性質をもつホウ素入り薬剤を体内に入れた後、患部に弱い中性子ビームを照射。中性子とホウ素が核反応を起こして出るアルファ線が、がん細胞だけを壊す仕組みだ=図。周りの正常な細胞に影響をほとんど与えず、副作用も極めて少ない。30分間、1回の照射で完了する。

 BNCTの臨床研究にかかわる筑波大脳神経外科の松村明教授は「臓器の中に複数のがんができる多発がんや、再発したがんなど、これまでの放射線治療が苦手としてきたがんの治療に高い効果が期待できる」と話す。

2011年12月15日 朝日新聞

2011年12月14日水曜日

腫瘍が80%縮小の新薬、すい臓がんワクチン

免疫系を「訓練」、画期的な乳がんワクチンを開発 米研究
乳がん、大腸がん、卵巣がん、すい臓がんの治療に有効と見られる画期的な仕組みのワクチンを開発し、マウスの実験で腫瘍を大幅に縮小できたとする論文が、12日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。
 ワクチンを開発したのは、米ジョージア大学(University of Georgia)がんセンターのヘルトヤン・ブーンズ(Geert-Jan Boons)教授と米メイヨークリニック(Mayo Clinic)のサンドラ・ジェンドラー(Sandra Gendler)教授のチーム。細胞表面にMUC1たんぱく質が付着している腫瘍を見つけ出して殺すよう、免疫系を訓練するというもので、こうした仕組みを持つワクチンは世界初だという。
 MUC1は乳がん、すい臓がん、卵巣がん、多発性骨髄腫など、悪性で致死率も高いタイプのがんの70%以上で見られる糖たんぱく質。タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、ハーセプチンなどの抗ホルモン剤が効かないいわゆるトリプルネガティブ乳がん患者の90%で過剰発現することでも知られる。
 マウスにこのワクチンを投与してみたところ、免疫系の3つの構成要素すべてが活性化され、腫瘍が平均で80%も縮小した。
マウスでの実験結果が人間には当てはまらないというケースは多いが、研究チームは、極めて強い免疫反応を示し独特の仕組みを持つこのワクチンに大きな期待を寄せており、ワクチンの安全性を確認するフェーズ1の臨床試験を2013年中にも開始したい考えだ。
 なお、このワクチンは化学療法との併用が可能で、特定のがんに対する予防効果もあるという。
2011年12月13日 AFP

画期的なすい臓がんワクチン、新薬

免疫系を「訓練」、画期的な乳がんワクチンを開発 米研究

乳がん大腸がん卵巣がんすい臓がんの治療に有効と見られる画期的な仕組みのワクチンを開発し、マウスの実験で腫瘍を大幅に縮小できたとする論文が、12日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。

 ワクチンを開発したのは、米ジョージア大学(University of Georgia)がんセンターのヘルトヤン・ブーンズ(Geert-Jan Boons)教授と米メイヨークリニック(Mayo Clinic)のサンドラ・ジェンドラー(Sandra Gendler)教授のチーム。細胞表面にMUC1たんぱく質が付着している腫瘍を見つけ出して殺すよう、免疫系を訓練するというもので、こうした仕組みを持つワクチンは世界初だという。

 MUC1は乳がん、すい臓がん、卵巣がん、多発性骨髄腫など、悪性で致死率も高いタイプのがんの70%以上で見られる糖たんぱく質。タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、ハーセプチンなどの抗ホルモン剤が効かないいわゆるトリプルネガティブ乳がん患者の90%で過剰発現することでも知られる。

 マウスにこのワクチンを投与してみたところ、免疫系の3つの構成要素すべてが活性化され、腫瘍が平均で80%も縮小した。

 マウスでの実験結果が人間には当てはまらないというケースは多いが、研究チームは、極めて強い免疫反応を示し独特の仕組みを持つこのワクチンに大きな期待を寄せており、ワクチンの安全性を確認するフェーズ1の臨床試験を2013年中にも開始したい考えだ。

 なお、このワクチンは化学療法との併用が可能で、特定のがんに対する予防効果もあるという。

2011年12月13日 AFP

大腸がんを早期発見できる新型内視鏡

大腸がんの早期発見をサポートする下部消化管用拡大内視鏡
135倍まで病変を拡大観察可能、大腸がんの早期発見をサポート
下部消化管用拡大内視鏡 「EC-590ZP」大腸への挿入性向上、ひいては患者負担軽減が期待できる!
 富士フイルム株式会社(社長:古森 重隆)は、大腸の検査・治療に使用される下部消化管用拡大内視鏡の新ラインアップとして、挿入部が11.8mmの細径で倍率135倍まで病変を拡大観察可能な「EC-590ZP」を、12月15日より富士フイルムメディカル株式会社(社長:平井 治郎)を通じて発売いたします。「EC-590ZP」は、大腸への挿入性向上による大腸検査時の患者負担軽減を目指すとともに、独自の画像センサー・光学技術による高画質画像で病変の早期発見をサポートする新製品です。
 大腸は全長が長く、急峻な屈曲部を持つ臓器であることから、大腸内視鏡には、挿入性の良さや観察性能の高さに加え、患者の苦痛を抑える工夫が必要とされています。患者の苦痛を抑えるためには、スコープの細さ、軟らかさが求められている一方、医師の操作の力加減をスコープに伝えるために、ある程度の硬さも必要とされています。
 今回発売する「EC-590ZP」は、こうした医療現場のニーズに対応し、スコープ表面にコーティングする樹脂の量を、先端部分から手元側の操作部に向け連続して変化させる構造を採用。スコープの先端部分には柔軟性を持たせ、手元側の操作部に向かってスコープを硬くしています。これにより、患者の苦痛軽減に繋がるスコープ先端部分の軟らかさと、力加減を伝えるために必要なスコープの硬さという点で、適切なバランスを追求しています。大腸への挿入性のさらなる向上と、患者の苦痛軽減の両立を追求することで、効率的かつ安全な検査の実現を目指します。
 「EC-590ZP」は、挿入部に11.8mmの細径を採用しました。また、独自のスコープ設計技術を駆使し、光学ズーム機能により倍率135倍まで病変を拡大観察可能です。さらに、血管観察の阻害要因となる長波長光をカットする光学部材を搭載し、粘膜と微細血管の色のコントラストをより向上させました。分光画像処理機能「FICE(*3)」 と併用でき、病変の早期発見・診断をサポートします。この他、独自の画像センサー「スーパーCCDハニカム(TM)」を搭載し、高い解像度を実現。微細な血管走行等、微妙な色の違いの描写力向上が期待できます。
 富士フイルムは、これまで高画質で定評のある「EC-590WM3」をはじめとする下部消化管用スコープを発売し、ご好評をいただいております。また、鼻からの挿入に適したしなやかさを持つ「経鼻内視鏡」や、小腸の観察・処置を容易にした「ダブルバルーン内視鏡」など、独自の技術で挿入性向上、患者の苦痛軽減を目指しています。今後も、医療現場のニーズにこたえる内視鏡関連製品のラインアップを拡充し、医療の質や効率の向上、人々の健康増進に貢献していきます。
2011年12月14日 プレスリリース

2011年12月13日火曜日

8分間で判明する吐息の肺がん検査

肺がんを最先端技術で診断・治療
聖マリアンナ医科大学病院
 コンピューター画像診断や気管支鏡などの進歩により、ごく小さな段階で見つかるようになっている肺がんだが、国内では年間およそ7万人が命を落としている。さまざまな診断技術が開発されているにも関わらず、多くの人が受けているレントゲン撮影や、痰の中にがん細胞がないかを調べる喀痰(かくたん)検査だけでは、見逃されている早期がんがあるからだ。
 現在、世界的には、人の吐く息で肺がんを調べる方法について研究が進められている。呼気には揮発性有機化合物が含まれ、それを分析すると、肺がんの有無だけでなく、がんの種類や呼吸のできにくくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの診断も可能になるという。しかも、機械によっては検査結果が出るまでたった8分。簡便で短時間の検査が可能なため、将来的に健康診断などに導入されることで、より多くの早期肺がんや初期のCOPDを見つけることへの期待が高い。
 そんな世界最新の呼気分析の研究を今年1月からスタートしたのが聖マリアンナ医科大学病院呼吸器・感染症内科。最先端の気管支鏡を用いた診断と治療(呼吸器インターベンション)のメッカで、国内トップクラスの実力を誇る。
 「早期の肺がんであれば、ダイオードレーザーによるPDT(光線力学的治療)で治療を行うことが可能です。また、手術や放射線、抗がん剤など治療法はいろいろあります。簡単に早期の肺がんを発見できる方法さえあれば、もっと多くの人を救うことができるのです。そのために検査方法の研究も進めています」とは、同科の宮澤輝臣教授(62)。長年、「呼吸困難を克服する」ことをテーマに研究に取り組んできた。気道を広げるための気管支ステントでは、「MIYAZAWAステント」を開発するなど、常に最先端技術の先駆者であり続けている。
 そんな宮澤教授は、かつてドイツ留学した際に知り合い、今も親交のあるローランドクリニック(エッセン)のフライターク教授から呼気検査の「イオン移動度分析機」の情報を得て共同研究を始めた。
 「人がこの装置に息を吹きかけるだけで、肺がんが8分後にほぼわかる(特異度100%)」とフライターク教授は言う。
 「呼気でがんの有無がわかるがん探知犬は、1989年以来、最近まで多数論文発表されています。しかし、探知犬を育てるのには時間がかかり、犬にも負担になります。呼気分析機なら、その検査法や精度が明確になれば、幅広く普及させることができるでしょう」(宮澤教授)
 呼気分析機の研究が進むと、治療後に肺がんが本当に消えたか再発したかどうかの判定も可能。さらには、呼吸器感染症を引き起こす細菌の有無とその種類までも調べることができるようになるそうだ。ドイツではすでにこの機械で成果を上げ、日本では宮澤教授チームの研究が第一歩となる。「将来的に呼気分析が先進医療に認められることを目指しています」と宮澤教授。そのためにまい進中だ。 
<データ>2010年実績
☆新規患者数935人(内訳/肺がん687人/肺炎83人/COPDおよび気管支喘息63人/気胸・縦隔気腫56人/びまん性肺疾患46人)
☆呼吸器インターベンション50件
☆気管支鏡検査659件
☆病院病床数1208床(呼吸器内科病床数約50床)
〔住所〕〒216-8511神奈川県川崎市宮前区菅生2の16の1 
(電)044・977・8111
2011年12月11日 ZAKZAK

肺がんが8分後に判明する検査装置

肺がんを最先端技術で診断・治療

聖マリアンナ医科大学病院

コンピューター画像診断や気管支鏡などの進歩により、ごく小さな段階で見つかるようになっている肺がんだが、国内では年間およそ7万人が命を落としている。さまざまな診断技術が開発されているにも関わらず、多くの人が受けているレントゲン撮影や、痰の中にがん細胞がないかを調べる喀痰(かくたん)検査だけでは、見逃されている早期がんがあるからだ。

現在、世界的には、人の吐く息で肺がんを調べる方法について研究が進められている。呼気には揮発性有機化合物が含まれ、それを分析すると、肺がんの有無だけでなく、がんの種類や呼吸のできにくくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの診断も可能になるという。しかも、機械によっては検査結果が出るまでたった8分。簡便で短時間の検査が可能なため、将来的に健康診断などに導入されることで、より多くの早期肺がんや初期のCOPDを見つけることへの期待が高い。

そんな世界最新の呼気分析の研究を今年1月からスタートしたのが聖マリアンナ医科大学病院呼吸器・感染症内科。最先端の気管支鏡を用いた診断と治療(呼吸器インターベンション)のメッカで、国内トップクラスの実力を誇る。

「早期の肺がんであれば、ダイオードレーザーによるPDT(光線力学的治療)で治療を行うことが可能です。また、手術や放射線、抗がん剤など治療法はいろいろあります。簡単に早期の肺がんを 発見できる方法さえあれば、もっと多くの人を救うことができるのです。そのために検査方法の研究も進めています」とは、同科の宮澤輝臣教授(62)。長 年、「呼吸困難を克服する」ことをテーマに研究に取り組んできた。気道を広げるための気管支ステントでは、「MIYAZAWAステント」を開発するなど、 常に最先端技術の先駆者であり続けている。

そんな宮澤教授は、かつてドイツ留学した際に知り合い、今も親交のあるローランドクリニック(エッセン)のフライターク教授から呼気検査の「イオン移動度分析機」の情報を得て共同研究を始めた。

「人がこの装置に息を吹きかけるだけで、肺がんが8分後にほぼわかる(特異度100%)」とフライターク教授は言う。

「呼気でがんの有無がわかるがん探知犬は、1989年以来、最近まで多数論文発表されています。しかし、探知犬を育てるのには時間がかかり、犬にも負担になります。呼気分析機なら、その検査法や精度が明確になれば、幅広く普及させることができるでしょう」(宮澤教授)

呼気分析機の研究が進むと、治療後に肺がんが本当に消えたか再発したかどうかの判定も可能。さらには、呼吸器感染症を引き起こす細菌の有無とその種類ま でも調べることができるようになるそうだ。ドイツではすでにこの機械で成果を上げ、日本では宮澤教授チームの研究が第一歩となる。「将来的に呼気分析が先 進医療に認められることを目指しています」と宮澤教授。そのためにまい進中だ。 

<データ>2010年実績
☆新規患者数935人(内訳/肺がん687人/肺炎83人/COPDおよび気管支喘息63人/気胸・縦隔気腫56人/びまん性肺疾患46人)
☆呼吸器インターベンション50件
☆気管支鏡検査659件
☆病院病床数1208床(呼吸器内科病床数約50床)
〔住所〕〒216-8511神奈川県川崎市宮前区菅生2の16の1 
(電)044・977・8111

2011年12月11日 ZAKZAK

食道がんの原因と治療法


食道がんの原因としては、主に喫煙や飲酒などの食生活やストレスなどと関係があり、発症は50~60代がピーク。思い当たる同世代のサラリーマンは注意が必要だ。 「ストレスが免疫力を低下させることで、がんを悪化させる要因になることも。

50~60代に多く、60代過ぎが発症のピーク。
長い飲酒や喫煙習慣がリスク要因になっており、食道を刺激するのも発症のリスクを高める。極端に熱いものや冷たいものを食べ過ぎるのは避けたほうがいい。

 食道がんが疑われる兆候には、

(1)食べ物が詰まる
(2)発熱や痰を伴わない空咳
(3)みぞおちがしくしく痛む
(4)胸の圧迫感
(5)食道の違和感
(6)恒常的な胸焼け
(7)風邪をひいていないのに声が枯れる

といったものが挙げられる。

食道がんの最大の問題は手術の難しさ。
心臓や肺などの器官に近い部位であるため、胸と脇を大きく切開しなければならない。外科手術の中でも高い技術を要求される手術。食道がんは再発リスクが高く、進行も早い。末期がんの場合には、1年以内に亡くなるケースも少なくは無い。

  しかし、早期発見ならば胃カメラ(内視鏡)で食道内部から切除することが可能で、抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療法も確立されている。

検診で発見されるケースが圧倒的に多いので、年に一度は胃カメラ検診を受けることで早期発見、治癒に繋がることが多い。

がん患者のうつ病の注意点


がん患者の5%にうつ病が合併,ニーズ高まる精神腫瘍学の役割

がんという重大なライフイベントが与える精神的衝撃は甚大であり,うつ病などの精神症状を呈するがん患者は少なくないという。日本のあるデータによると,がん患者の約5%がうつ病と診断され,適応障害を含めると約20%が精神的問題を抱えているとされる。

そのような背景から,がん患者やその家族に対する精神医学的アプローチを専門とする精神腫瘍科のニーズが高まっている。国立がん研究センターでは1992年に精神科(2008年に精神腫瘍科に名称変更)を設置,がん患者とその家族への精神医療や緩和ケアに取り組んでいる。
精神疾患に罹患したがん患者への薬物治療には注意が必要であり、効果的な精神療法も並行する必要がある。

がん患者のうつ病

がん患者の5%にうつ病が合併,ニーズ高まる精神腫瘍学の役割

がんという重大なライフイベントが与える精神的衝撃は甚大であり,うつ病などの精神症状を呈するがん患者は少なくないという。日本のあるデータによると,がん患者の約5%がうつ病と診断され,適応障害を含めると約20%が精神的問題を抱えているとされる。
そのような背景から,がん患者やその家族に対する精神医学的アプローチを専門とする精神腫瘍科のニーズが高まっている。国立がん研究センターでは1992年に精神科(2008年に精神腫瘍科に名称変更)を設置,がん患者とその家族への精神医療や緩和ケアに取り組んでいる。

精神疾患に罹患したがん患者への薬物治療には注意が必要であり、効果的な精神療法も並行する必要がある。

子宮体がん摘出手術の歌手

“歌う尼さん”やなせななさんが子宮体がんの経験講演 
 シンガー・ソングライターと住職を兼ねる“歌う尼さん”やなせなな(本名・梁瀬奈々)さん(36)=奈良県高取町=がこのほど、松浦市内で講演。子宮体がんの経験を通して「人の痛みに気付き、分かち合う心が大切」と語り掛けた。
 やなせさんは28歳でデビュー。その後、がんが見つかり、30歳の時に摘出手術を受けた。現在は実家の浄土真宗教恩寺の住職を務める一方、各地で講演やコンサートを開いている。
 「心から心へと 伝えられる あいのうた」と題して、オリジナル曲を温かく力強い歌声で届け、曲に込めた思いやエピソードを紹介。出産できない体となった手術後のつらさを「子どもを見たときに不意に涙がこぼれてきた」と回顧。同じがん体験の境遇の人に多く出会い「病気をして初めて、苦しみや悲しみをそれぞれ背負って生きていることに気付いた」と述べた。
 東日本大震災の発生後は被災地を何度も訪問。現地の僧侶が書いた詞にメロディーを付けた鎮魂歌も披露した。
 人権週間(4~10日)に合わせ、市と市教委が開催。約250人が聞き入り、目頭を押さえる姿も見られた。
2011年12月11日 長崎新聞

がん患者をデータベース化

がん患者、データベース化 市区町村や年齢・部位別に

 東京都は都内の病院からがん患者の情報を収集し、2015年をめどにデータベースを作る。まず約5万件のデータをまとめ、がんにかかった人の割合を市区 町村別、年齢別、部位別に集計する。都内でがんによる死亡者は年間3万人以上にのぼる。きめ細かく実態を把握・公表することで、市区町村に検診の拡充など がん対策にいかしてもらう。

 国の指針に基づく事業で、すでに多くの県で実施している。都内では病院が多いこともあり、都は手掛けていなかった。 都立駒込病院(文京区)に登録室を設け、7月から順次、医療機関に情報提供してもらう。来年1月以降、病院にかかった都内在住の患者が対象で、がんの部位、発見の経緯(検診、人間ドックなど)、放射線治療の有無など25項目を登録する。個人情報保護法の適用外で患者の同意は不要という。すでに約150病院に協力を呼び掛けた。

 同じ人が複数の病院で受診しているケースもあるため、重複の確認作業などに時間がかかり、12年の結果が出るのに3年程度かかるという。当初はがんによる年間死亡者の1.5倍の約5万件、最終的には同2倍の6万件の収集を目指す。

 この情報をもとに、市区町村別にがんにかかった人の割合を体の部位や年齢別などに分けて集計する。これを市区町村のがん対策にいかしてもらう。荒川区は一定年齢以上の区民が胃、肺、大腸、乳がん子宮頸(けい)がん定期検診を無料で受けられるようにしているなど、市町村で検診の内容が異なる。データが整備されれば、例えば、肺がんの人の割合が高い地域では、肺がんの検診を拡充するなどの政策も可能になる。

 血液のがんの一種である成人T細胞白血病(ATL)の割合が高い長崎県では国に先立ち、妊娠後の検査を自己負担なしで受けられるようにしてきた。大阪府では病院ごとに部位別の治療人数と5年後の生存率を公表し、病院選びの参考にしてもらっている。

 またがん患者の割合を公表することで、がん検診の受診率を高める狙いもある。現在、都内のがん検診の受診率は35%前後で50%に高める目標。

2011年12月13日 日本経済新聞

2011年12月12日月曜日

すい臓がんの新薬候補食品

ゴボウの種で膵臓がん縮小 富山大、臨床試験開始

伝統医薬学に特化した国内唯一の研究所、富山大和漢医薬学総合研究所(富山市)の門田重利教授(天然物化学)らが、ゴボウの種に含まれる成分が膵臓がんの縮小に効果があることを発見した。既に臨床試験が始まり、治療法が少ない膵臓がんの治療薬として実用化が期待されている。

国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)、クラシエ製薬漢方研究所(富山県高岡市)との共同研究。効果が確認されたのはゴボウの種に含まれる「アルクチゲニン」。ゴボウの種は解熱や鎮痛作用があり、漢方生薬として使われている。

2011年12月8日 共同通信

膵臓がん新薬の候補食品


ゴボウの種で膵臓がん縮小 富山大、臨床試験開始

伝統医薬学に特化した国内唯一の研究所、富山大和漢医薬学総合研究所(富山市)の門田重利教授(天然物化学)らが、ゴボウの種に含まれる成分が膵臓がんの縮小に効果があることを発見した。既に臨床試験が始まり、治療法が少ない膵臓がんの治療薬として実用化が期待されている。
国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)、クラシエ製薬漢方研究所(富山県高岡市)との共同研究。効果が確認されたのはゴボウの種に含まれる「アルクチゲニン」。ゴボウの種は解熱や鎮痛作用があり、漢方生薬として使われている。
2011年12月8日 共同通信

膵臓がんになるリスク90%高

ライフスタイルの「処方箋」で簡単に癌予防!

 ご飯を食べるときには、一口30回噛むこと。調査によりますと、ご飯を食べるのが速い人は、胃がんにかかるリスクが高いということです。良く噛むことにより、消化器系への食べ物の負担を減らし、胃や腸が癌にかかるリスクを減少させることができます。そして、アメリカの研究によりますと、唾液には強力な殺菌作用があり、肝臓癌を引き起こすアフラトキシンの毒性を30秒以内で消せるということです。

 ですから、一回噛むのを1秒とすると、一口30回噛めば、癌の予防が出来るのです。

 一日7時間の睡眠を確保すること。アメリカ癌研究会の調査によりますと、毎日の睡眠時間が7時間に満たない女性は、乳がんにかかるリスクが47%高くなるということです。これは、睡眠時間が不足すると、何らかの理由でメラトニンの生成が妨害され、その結果、女性の体内で乳がん促進物質として知られるホルモンのエストロゲンが過剰に分泌されるため、乳がんにかかるリスクが高くなるというものです。

 上海市中国医学不眠症医療協力センターの施明副主任は、夜の10時半前から寝る準備を始め、11時前には寝るようにし、朝の6時から7時の間に起きることを薦めています。

 このほか、ドイツの睡眠の専門家は、昼食後の午後1時頃が日中で一番眠気を感じることが多く、この時間に少し居眠りができれば、体内の免疫細胞の活性を促し、がん予防に効果があると述べています。

 糖分を控えめにすること。癌細胞がもっとも好む食べ物は糖分です。癌細胞が血流に乗って流れるとき、血糖の57%が癌細胞に吸収されて、その栄養成分となります。

 アメリカの医学誌によりますと、毎日二杯の甘い飲料を飲むと、すい臓がんになるリスクは飲まない人より90%高くなるということです。

 天津医学大学付属癌病院すい臓がん科の郝続輝主任は、「できるだけ糖分のある食べ物は食べないようにしてください。そして、一日の糖分の摂取量は一人当たり50グラム以内にすべきです」と述べています。

 お肉を食べるときはワインを飲むこと。赤ワインの原料にもなっている葡萄の皮には、抗癌性物質のレスベラトロルが含まれ、消化器系の癌の予防に効果があります。

 また、豚肉や牛肉、羊肉などの赤味の肉は一週間に500グラムが適量で、食べ過ぎると結腸癌のリスクが高まります。

 しかし、お肉を食べるときに、ワインを飲めば、そのワインの中に含まれているポリフェノールは、胃の中の肉が有害物質に分解されるのを防ぐ役割があり、癌の予防に効果があるということです。普段の日常生活に注意すれば、私たちは癌から遠く離れることができます。これからは一緒に注意しましょう。

2011年12月11日 CRI

癌細胞がもっとも好む食べ物

ライフスタイルの「処方箋」で簡単に癌予防

 ご飯を食べるときには、一口30回噛むこと。調査によりますと、ご飯を食べるのが速い人は、胃がんにかかるリスクが高いということです。 良く噛むことにより、消化器系への食べ物の負担を減らし、胃や腸が癌にかかるリスクを減少させることができます。そして、アメリカの研究によりますと、唾 液には強力な殺菌作用があり、肝臓癌を引き起こすアフラトキシンの毒性を30秒以内で消せるということです。
 ですから、一回噛むのを1秒とすると、一口30回噛めば、癌の予防が出来るのです。
 一日7時間の睡眠を確保すること。アメリカ癌研究会の調査によりますと、毎日の睡眠時間が7時間に満たない女性は、乳がんにかかるリスク が47%高くなるということです。これは、睡眠時間が不足すると、何らかの理由でメラトニンの生成が妨害され、その結果、女性の体内で乳がん促進物質とし て知られるホルモンのエストロゲンが過剰に分泌されるため、乳がんにかかるリスクが高くなるというものです。
 上海市中国医学不眠症医療協力センターの施明副主任は、夜の10時半前から寝る準備を始め、11時前には寝るようにし、朝の6時から7時の間に起きることを薦めています。
 このほか、ドイツの睡眠の専門家は、昼食後の午後1時頃が日中で一番眠気を感じることが多く、この時間に少し居眠りができれば、体内の免疫細胞の活性を促し、がん予防に効果があると述べています。
 糖分を控えめにすること。癌細胞がもっとも好む食べ物は糖分です。癌細胞が血流に乗って流れるとき、血糖の57%が癌細胞に吸収されて、その栄養成分となります。
 アメリカの医学誌によりますと、毎日二杯の甘い飲料を飲むと、すい臓がんになるリスクは飲まない人より90%高くなるということです。
 天津医学大学付属癌病院すい臓がん科の郝続輝主任は、「できるだけ糖分のある食べ物は食べないようにしてください。そして、一日の糖分の摂取量は一人当たり50グラム以内にすべきです」と述べています。
 お肉を食べるときはワインを飲むこと。赤ワインの原料にもなっている葡萄の皮には、抗癌性物質のレスベラトロルが含まれ、消化器系の癌の予防に効果があります。
 また、豚肉や牛肉、羊肉などの赤味の肉は一週間に500グラムが適量で、食べ過ぎると結腸癌のリスクが高まります。
 しかし、お肉を食べるときに、ワインを飲めば、そのワインの中に含まれているポリフェノールは、胃の中の肉が有害物質に分解されるのを防ぐ役割があり、癌の予防に効果があるということです。普段の日常生活に注意すれば、私たちは癌から遠く離れることができます。これからは一緒に注意しま しょう。
2011年12月11日 CRI

がん治療の質が高い推薦病院


がん診療「協力病院」に13カ所 県指定 特定部位で質高い治療

がん医療体制の強化のため、県は特定の部位のがんの質の高い治療を受けることができる「がん診療連携協力病院」の制度を新設し、県内十三病院を指 定した。千葉、東葛南部など九つに分けられた医療地区(二次医療圏)の中で、これまで厚生労働省指定の「がん診療連携拠点病院」がなかった山武長生夷隅地 区でも、一病院が指定された。
 がん診療体制をめぐっては、専門的な医療の提供などで地域の中核となる医療機関が拠点病院として、厚生労働省から指定されている。県内には十四カ所が指定されている。
 協力病院は、肺や胃、大腸などの各部位のがんのうち一つ以上で、拠点病院と同じような診療機能を持つ医療機関として位置付ける。拠点病院に準じた 機関とし、地域のかかりつけ医との連携を強化し、がん診療体制を強化するのが狙い。院内のがん患者や家族らからのがん診療に対する相談に応じ、診療機能や 実績などの情報を県民に開示する。
 専門医の配置や手術数、化学療法の提供体制などに関し、拠点病院の専門医らで組織する選定委員会が審査し、県知事が一日付で指定した。指定期間は 四年間。県健康づくり支援課は「県内の二次医療圏のすべてで、拠点、協力病院のいずれかがある体制ができた。各医療圏ごとにより身近な病院で、がん診療が 受けられるようになる」と指定の効果を説明している。
2011年12月10日 東京新聞

2011年12月10日土曜日

転移性乳がんを抑制する新投薬法


2つの薬が転移性乳がん進行を抑制=研究

8日発表された2つの研究は、転移性乳がんの標準的な治療に薬を追加することで、腫瘍の成長を大幅に遅らせることができるとしている。研究では、腫瘍の成長につながる要因をターゲットにした薬が、転移性乳がんを抑えるための標準的な治療に加えられた。
乳がん患者のHebert氏は「アフィニトール」の投薬を受けたところ、腫瘍が21%縮小した

 大ヒット薬の「ハーセプチン」と化学療法に「ペルツズマブ」(モノクローナル抗体)を加えた研究では、腫瘍の成長が6.1カ月抑えられた。研究は、ペル ツズマブを開発したロシュ・ホールディングと子会社ジェネンテックが資金を提供。HER-2陽性の転移性乳がんと診断され、それまで乳がん治療を受けたことのなかった患者808人を対象に行われた。
 別の研究では、女性ホルモンのエストロゲンの生産を阻止する薬「エキセメスタン」にノバルティスの「アフィニトール」(転移性腎細胞がん治療薬)を追加したところ、腫瘍の成長が4.2カ月抑えられた。
2011年12月8日  WSJ

肺がん後は脳卒中に注意!

肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症率が高い―台湾研究

喫煙率の低下により近年は全体的に患者数が減少しているものの、依然としてがんによる死亡の最多を占めている肺がん。喫煙と深い関係にあり、近年は女性患者の増加が懸念されている。こうした中、肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症リスクが高いと、台湾・中国医薬大学のPei- Chun Chen氏らが、米医学誌「Stroke」(2011; 42:3034-3039)に発表した。

15万人を追跡調査

脳卒中は肺がん患者の脳血管合併症とされているが、がんのない人と比べ脳卒中のリスクが高いかどうかは明らかではない。Chen氏らは、国民健康保険のデータから抽出した1999~07年の新規肺がん患者5万2,089人と、がんのない対照者10万4,178人との間で、08年までの脳卒中の発症を比較した。

その結果、肺がん群の脳卒中発症率は対照群と比べて1.5倍高かった(1,000人当たり年間25.9人、同17.4人)。対照群と比較した肺がん患者の脳卒中全体のリスクは1.47倍、脳出血に限定すると1.78倍、脳梗塞では1.43倍だった。なお、脳卒中リスクは、男性では追跡1年後、女性では追跡2年後に低下したという。

2011年12月9日

肺がん後に発症する病気


肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症率が高い―台湾研究

喫煙率の低下により近年は全体的に患者数が減少しているものの、依然としてがんによる死亡の最多を占めている肺がん。喫煙と深い関係にあり、近年は女性患者の増加が懸念されている。こうした中、肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症リスクが高いと、台湾・中国医薬大学のPei- Chun Chen氏らが、米医学誌「Stroke」(2011; 42:3034-3039)に発表した。
15万人を追跡調査
脳卒中は肺がん患者の脳血管合併症とされているが、がんのない人と比べ脳卒中のリスクが高いかどうかは明らかではない。Chen氏らは、国民健康保険のデータから抽出した1999~07年の新規肺がん患者5万2,089人と、がんのない対照者10万4,178人との間で、08年までの脳卒中の発症を比較した。
 その結果、肺がん群の脳卒中発症率は対照群と比べて1.5倍高かった(1,000人当たり年間25.9人、同17.4人)。対照群と比較した肺がん患者の脳卒中全体のリスクは1.47倍、脳出血に限定すると1.78倍、脳梗塞では1.43倍だった。なお、脳卒中リスクは、男性では追跡1年後、女性では追跡2年後に低下したという。

2011年12月9日

2011年12月8日木曜日

35%のすい臓がんが消失、縮小


樹状細胞で膵臓がん治療

35%で縮小や安定 ノーベル賞で注目

受賞者の死亡が発表後に判明し話題となった今年のノーベル医学生理学賞。話題の主のラルフ・スタインマン米ロックフェラー大教授は、免疫で重要な働きをす る「樹状細胞」を発見した功績が評価された。しかも自身が膵臓がんを患い、樹状細胞を使った治療で4年半の闘病生活を送っていた。樹状細胞による膵臓がん治療は日本でも行われており、最近、治療成績をまとめた論文が発表された。患者の約35%でがんが消失または縮小、安定し、「有効な治療となりうる」としている。

▽司令官と兵隊
樹状細胞はリンパ節などに存在する免疫細胞の一種で、木の枝のような突起にちなんでこの名が付けられた。がんや病原体を取り込み、その特徴を目印として、兵隊であるリンパ球に示す司令官の役割を担う。
 がん免疫療法の専門医療機関であるセレンクリニック東京 (東京都港区)では、まず、樹状細胞に育つ細胞を成分採血で患者から取り出す。培養する過程で、がんの目印であるがん抗原を取り込ませ、患者に戻すことでリンパ球にがんを攻撃させる「樹状細胞ワクチン療法」を実施している。  細胞の採取に2~3時間、培養に約2週間かかる。作製した樹状細胞ワクチンを2週間に1度の割で5~7回、3~4カ月にわたって注射する。
同クリニックは、抗がん剤や放射線治療などの標準的な治療で効果がなかった進行した膵臓がんの患者49人を対象に、以前からの抗がん剤治療に加えて樹状細胞ワクチン療法を実施、7月に治療成績を米国の膵臓学会誌に発表した。

975日生存
それによると、4週間以上にわたって、がんが消失した状態が続いた患者が2人、がんの大きさが30%以上縮小した患者が5人、がんが大きくならず安定した患者が10人で、計35%でがんが制御できたと判断された。
 ワクチン投与を始めてからの平均生存期間は少なくとも360日で、1年以上生存している患者も10人に上った。最も進行度の高いステージ4bと呼ばれる状態で治療を始め、975日延命した63歳男性の例もあった。
 同クリニックの高橋秀徳院長は「進行した膵臓がんは、通常の治療では診断から1年以上延命できればいい方だとされている。ノーベル賞の受賞は、樹状細胞ワクチン療法への世界的な期待の表れではないか」と話す。
 今回の治療で新たに分かったこともある。樹状細胞ワクチン療法に、活性化リンパ球療法を併用すると、併用しない場合に比べて平均生存期間が229日から396日に大幅に延びたのだ。

17機関で実施
活性化リンパ球療法は、患者の血液を採取し、リンパ球を増やしてから患者に戻す方法。がん細胞に対する直接的な攻撃力を高めることを狙った治療法としてかつて注目を集めたが、その後の国内外の検証で有効性が示されなかったという。
併用療法について高橋院長は「優秀な司令官が入ることで、増やした兵隊がより効果的に働くようになったのかもしれない。効果はさらなる検証が必要だ」と話す。
 米国では食品医薬品局(FDA)が2010年4月に前立腺がんに対する樹状細胞ワクチン療法を承認したが、日本では未承認。バイオベンチャー「テラ 」(東京都千代田区)は、世界で最も優先度が高いと米国などの専門家が評価したがん抗原「WT1」を使った樹状細胞ワクチン療法の開発を進め、セレンクリ ニック東京や大学病院を含む全国17の医療機関で実施している。治療費約170万~230万円は自己負担となる。

2011年12月6日 47News

すい臓がんを早期発見の微妙な症状

【これで私は助かった!】腹痛から“膵臓がん”見つかり命拾い

 見つかったときには手遅れだった-。がんの中でもこのケースが非常に多いのが「膵臓(すいぞう)がん」だ。早期発見の難しさはトップクラス。生還が最も難しい病気なのだが…。

 ■浜岡祥司さん(54歳=仮名)のケース

 膵臓がんが助かりにくいということは知っていました。だから自分が膵臓がんだと分かったときは観念しました。はっきり言って諦めていましたよ。

 きっかけは腹痛。それも「なんとなく痛い」という不快感に近いもの。胃薬を飲んでも効かず、酒の飲み過ぎだと思っていたんです。以前は会社でも一、二を争う大酒飲みでしたから。

 それでも1カ月も症状が続くと不安になってきて、そこでようやく病院を受診。症状を話すと胃カメラと超音波検査を受けることになりました。

 胃カメラでは異常はなかったものの、超音波の画像で膵管の微妙な広がりが写っていた。精密検査に進んで、CTとMRI検査の結果は「ステージ2の膵臓がん」。膵頭部に直径1センチほどのがんがあったのです。こんな僅かな病変からがんが見つかるとは驚きました。

 すぐに入院して、膵頭部と十二指腸を切除する手術が行われ、トータル1カ月ほどで退院。その後もがんが取り切れていない場合を想定して1年間の抗がん剤治療を受けました。

 抗がん剤の副作用は多少出たものの、副作用を止める薬を一緒に服用していたので、想像していたよりは軽く済みました。

 抗がん剤治療が終わってからも、定期的に検査は受けていますが、5年半が過ぎた今も転移や再発はナシ。医師の指示に従って、お酒はやめました。膵臓がんになって助かっただけでも命拾いなのに、それをみすみす捨てるようなことはできませんからね。

 ■専門医はこう見る

 膵臓がんが助かりにくいがんなのは事実です。よく「膵臓がんは背中が痛くなる」と言いますが、これはがんが脊椎の神経に浸潤して起きる症状。「黄疸(おうだん)」も同様で、膵がんに伴う自覚症状の多くは、がんがかなり進行していることを示唆します。

 早期で手がかりとなる症状というと、浜岡さんのような「上腹部の痛み」が挙げられますが、これも必ず出るわけではありません。つまり、自覚症状をアテにしていたのでは、なかなか完治は期待できないがんなのです。

 浜岡さんは「幸運」が重なったケースといえます。超音波画像の微妙な病変に気付いたのは医師や検査技師の技術が高かったから。この時点でがんが、一般的に「助かる見込みがある」とされる1センチ以下だったこともラッキーでした。

 オマケに膵臓がんの手術は食道がんと並んで難易度の高い手術。執刀する外科医には高い技術が求められます。その意味では、病院選びも重要なテーマとなります。

 こうした難関をクリアして初めて克服できる可能性が出てくる-というのが膵がんなのです。

 ただし、ハイリスクな人はいます。喫煙者、飲酒量の多い人、糖尿病の人-。特に中高年になって初めて糖尿病を指摘された人は要注意。これらに当てはまる人は、日頃から微妙な症状に注意して、年に一度の健診やドックを欠かさないことが重要です。

2011年12月7日 47News

がん適切治療とは


がん適切治療へ NPO設立

がんの治療法の研究や医療スタッフの講習を行うNPO法人が、愛知県内の多くの病院の医療スタッフが参加して設立されました。がん患者がどの病院にかかっても適切な治療を受けられるようにするためで、大学の医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。
設立されたのは、NPO法人「愛知キャンサーネットワーク」です。愛知県がんセンター中央病院などがん治療を行う愛知県内の25の病院から、医師、看護師、薬剤師などさまざまな職種のおよそ120人が参加しています。NPOでは、最新の情報を集めて抗がん剤治療のマニュアルを作ったり、定期的に勉強会を開いたりして、各職種のスタッフのレベルアップを図ります。

がんの治療を巡っては、地域の病院に医師を派遣する大学の医局 ごとに治療方針や優先的に使う薬が異なることや関わるスタッフのレベルに差があることによって、治療に格差が生じると指摘されています。NPOはこうした 格差の解消を目指していて、医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。
設立の中心になった愛知県がんセンター中央病院の室圭医師は「どの病院でも、どの地域でも、同じようにレベルの高い診療が受けられる医療を実現したい」と話していま す。
2011年12月7日 NHK

2011年12月7日水曜日

前立腺がんの腫瘍マーカー

前立腺は男性特有のもので、ここで精液の主成分が作られています。この前立腺にがんが発生して前立腺がんとなります。

 若年での発症は家族性以外はまれで、加齢とともに増加し50歳以上で発症する場合が多くなります。

 欧米人での発症率が高く、食生活上の違いが背景にあるとされていますが、人種的には米国黒人男性で最も高い発症というデータがあります。続いて白人、アジア人となります。

 しかし、近年日本でも食生活の欧米化に伴い急増しています。困ったことに他のがん同様に早期症状に目立ったものはありません。比較的早期で症状があったとしても、そのほとんどは併発する前立腺肥大症に伴う症状ということになります。

 前立腺肥大症のテーマでも以前に触れましたが、主な症状は次の通りです。進行がんとなり転移する場合にはリンパ節と骨の症状が多くなります。
  1. 尿が出にくい
  2. 尿の回数が多い
  3. 排尿後にまだ膀胱に尿が残っている感じがする
  4. 夜間頻尿
  5. 排尿したいと思ったらトイレに行くまで我慢できない
  6. 下腹部不快感
以上のような前立腺肥大症の諸症状から泌尿器科受診して、がんが発見されるケースがほとんどです。

 診断には画像診断、直腸診によりがんが疑われる場合に前立腺生検が行われて最終的診断となります。その他採血でPSA、前立腺特異抗原と呼ばれる腫瘍マーカーが早期発見に役立ちます。

 これは前立腺肥大症でも上昇することもありますが、4~10np/mlという数字ではグレーゾーンと呼ばれ、定期的な受診により経過観察が必要になります。

 10np/ml以上ではその50~80%にがんが発見されています。早期発見のためにまずは健診を!

2011年12月6日火曜日

がん増殖速度を半分に


がん細胞:増殖を半減させる酵素特定 東大チーム

がん細胞の増殖速度を半分に抑える酵素を、東京大先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授と大沢毅・特任助教(システム生物医学)らのチームが特 定した。この酵素は、ほとんどのがん細胞にあり、応用範囲の広い新薬になる可能性がある。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
 がん細胞は、正常細胞に比べて、低酸素や低栄養状態になりやすく、新しい血管を作って、栄養を確保している。
 チームは、人やマウスのがん細胞の栄養状態をさらに悪化させて、細胞内の成分を調べた。その結果、「ヒストン脱メチル化酵素」と呼ばれる酵素が生じていることを突きとめた。
 その上で、子宮(頸、けい)がんや皮膚がんなどさまざまながん細胞にこの酵素を注入し、マウスの皮下に移植した。すると、この酵素が血管の伸びを鈍らせたため、酵素を加えた細胞は、酵素なしのがん細胞に比べ、増殖の速さが半分から5分の1に抑えられた。
 大沢さんは「がん細胞の中で、この酵素の働きを高める技術を開発したい」と話す。

 2011年12月6日 毎日新聞

2011年12月5日月曜日

膵臓がんの新薬開発が最終段階

膵がん新薬開発へ指針 ペプチドワクチン療法、治験最終段階

 第4の治療方法として期待が高まる「がんペプチドワクチン療法」 で、世界に先駆け日本で実施している臨床試験(治験)が最終段階を迎えている。これに合わせる形で薬剤としての開発指針(ガイダンス)がまとまり、概要が 30日、明らかになった。12月1日から和歌山市で開かれる日本バイオセラピィ学会(会長・山上裕機和歌山県立医科大学教授)で発表される。

 この治験は膵(すい)がんに 対するもの。進行が早く、90%以上が5年以内に亡くなり、人口動態調査によると、平成22年の死者は約2万8000人。同治験は2年前に始まり、和歌山 県立医科大をはじめ全国27施設で153人を対象に実施されている。治験(第2・3相)の結果が来年3月に明らかになる予定で、承認されれば、がんペプチドワクチン療法として世界初となる可能性が高い。

 今回発表されるガイダンスは、こうした治験の進(しん)捗(ちょく)状況を踏まえ、がんペプチドワクチン療法のみを対象とした点が特徴。「同ワクチンの新薬が一刻も早く患者に届くようにまずガイダンスを整備することになった」(策定委員)という。

 ガイダンスの「臨床試験」の章で、従来の抗がん剤などの治療の後に同ワクチン療法を開始しても「患者さんの免疫が弱体化した後では効果が得にくい」とされ「早期に投与すれば、免疫反応が十分に強化され、がんとたたかうまでの十分な時間を確保できる」との特質が明記された。

 ガイダンスは数カ月後に学会の方針として正式に策定され、その後、厚生労働省が策定する指針に大きな影響を与えるとみられる。

 武藤徹一郎・がん研有明病院メディカルディレクターの話 「これまでの他の治療法の指針は、短期的にがんが小さくなったかどうかを基準にしていた。ワクチン療法は新たな視点の基準でないときちんと評価できない面があり、今回の指針でその点が明確になると期待している」

 がんペプチドワクチン療法 外科手術、抗がん剤、放射線治療などと違い、ワクチン注射により免疫力を高めることで間接的にがん細胞を攻撃する方法で「がんの第4の治療法」と呼ばれる。がん細胞のタンパク質と同様の断片(ペプチド)を人工的に作り注射すると、それに反応しようと免疫細胞が活性化してがん細胞を攻撃させる仕組み。特別な免疫力を利用するため副作用がほとんどないのが大きな特徴。

2011年11月30日 日本経済新聞

2011年12月2日金曜日

肝臓がん、乳がん、脳腫瘍の新治療機器

超音波治療装置の適用範囲、がんの疼痛緩和やがん治療に拡大へ
 米GE Healthcare社は、主に子宮筋腫の治療に使われている同社のMRガイド下集束超音波治療装置「ExAblate」シリーズの治療対象を、がんの疼痛緩和や治療などへ広げていく。
既に、がんの骨転移患者の疼痛緩和への適用認可を米国FDAに申請済みであり、2012年にも承認される見通し。今後は、乳がん肝臓がん、脳腫瘍などの悪性腫瘍の治療や、パーキンソン病の治療などへ適用範囲を広げることを目指し、「承認に必要となるデータを集積していく」(同社)考えである。
2011年12月01日 日経BP

2011年12月1日木曜日

末期大腸がんの治療指針

末期の大腸がん、治療法増える

 病気が進行して思うような医療が受けられなかった末期の大腸がんの治療に、光明が見え始めた。がん細胞だけを攻撃する新薬が登場し、患者の平均的な余命が延びてきた。患者の病状や希望に合わせた最適な治療もできるようになり、治療の選択肢が広がっている。

 「手術できない大腸がんの患者にとって、生活の仕方の希望に合わせて治療法を選べる時代に入ってきた」。防衛医科大学校病院でがんの化学療法治療を手がける市川度・腫瘍化学療法部副部長はこう話す。

 がん細胞をたたく抗がん剤は、どんな薬でも副作用をまったくなくすのは難しい。教員を務める中年男性は、黒板に字を書くため指にしびれがでるのが嫌だっ たので、比較的副作用の弱い5―FUという薬とベバシズマブというがんを狙い撃ちする分子標的薬の組み合わせを選んだ。臨床試験の結果などからわかってい る生存期間はほかの治療法より少し短いが、仕事を続けながら治療する道を選んだという。投薬開始から1年以上たったが、元気で体調に大きな変化もないとい う。

 一方、母親の代わりに高校生を育てる60歳代の女性は少しでも長生きできる治療を希望。効果・副作用ともやや強めの「フォルフィリ療法」とセツキシマブ という薬の組み合わせを選んだ。「フォルフィリ療法」は、5―FUとイリノテカンなど3つの薬を併用する方法。セツキシマブは分子標的薬のひとつだ。発疹 や倦怠(けんたい)感などの副作用に悩まされているが、転移したがんは小さくなり経過に満足しているという。

 「単に生存期間の長さだけでなく副作用や効き方などをよく説明し、患者の過ごし方の希望を踏まえて選択した」と市川副部長は話す。

 このように選択肢が広がった背景には、手術できない大腸がんの治療法の急速な進歩がある。10年弱前まで生存期間はせいぜい約1年だったが、5―FUと オキサリプラチンやイリノテカンといった抗がん剤を組み合わせる「フォルフォックス療法」や「フォルフィリ療法」の普及により延びた。

 さらに2007年以降、がん周囲の血管やがん細胞だけを攻撃する分子標的薬3つが相次いで使えるようになり、組み合わせによって平均的な生存期間は2年 近くになった。10年に発表された最新の臨床試験ではセツキシマブと「フォルフィリ療法」を組み合わせれば23カ月を超えるという結果も出ている。現在、 日本の大腸がんの治療指針でも、5通りほどの治療法が提示されている。

 ただし、問題も表面化している。大阪大学の佐藤太郎准教授は「治療法が増えた分、どれが患者自身にとって良いのか判断しにくくなっている」と指摘する。

 手術できない大腸がん患者といっても、状態は同じではない。肝臓や肺に転移したがん組織が大きくて痛みなどの症状も出ている場合と、転移したがんは小さ くて症状もない場合では、治療法は違うはずだ。だが実際はかなり多くの患者がフォルフォックス療法とベバシズマブを最初に受けている。しびれなどは出やす いものの、下痢や脱毛、倦怠感などが比較的少なく、医師側も使い慣れており安心して薦めやすいからだ。

遺伝子検査も効果

 転移がんが大きい人に、強めのフォルフィリ療法とセツキシマブの組み合わせなどを使えば、がんを手術できるまで小さくできる可能性もある。実際、肝臓に 転移したがんを小さくしてから手術を実施する患者も出てきている。「逆にがんの進行の遅い高齢者などは、できるだけ副作用が少なくゆるやかに効いていく抗 がん剤の組み合わせが楽なのではないか」(佐藤准教授)

 セツキシマブなどを使って治療効果が上がる可能性があるのは、がん細胞の中で増えろという信号を送るたんぱく質が変化していない6割の患者に限られる。事前の遺伝子検査で効きにくい薬の投与を避け、無意味な副作用に苦しむリスクを減らすこともできるようになった。

 日本では毎年10万人を超える人が新たに大腸がんと診断されており、胃がんに次いで多い。治療法が増えたことで、患者が自分の生き方を見据えて治療法を選ぶきっかけになるかもしれない。

2011年9月30日 日本経済新聞