乳がん臨床医が選んだ名医10人
選ばれた理由が興味深い。「臨床経験が豊富」「幅広い知織が豊富」が最大の理由で論文や学会の地位ではないそうだ。
- 中村 清吾 (昭和大学)
- 渡辺 亨 (浜松オンコロジーセンター)
- 戸井 雅和(京都大学)
- 岩田 広治 (愛知腺がんセンター中央病院)
- 大内 憲明 (東北大学)
- 野口 眞三郎 (大阪大学)
- 霞富 士雄 (順天堂大学)
- 大野 真司 (九州がんセンター)
- 岩瀬 弘敬 (熊本大学 )
- 西村 令喜(熊本市民病院 )
選ばれた理由が興味深い。「臨床経験が豊富」「幅広い知織が豊富」が最大の理由で論文や学会の地位ではないそうだ。
肝細胞がんの再発予防 肝細胞がんは、早期に発見されれば、肝切除や経皮的ラジオ波凝固療法により完全に治療ができます。しかし、治療後の再発が多いことが最も大きな問題となっています。
現在、確実に再発を抑える方法は、まだ確立されていません。しかし、再発を抑えるために、さまざまな方法が行われています。
C型肝炎の場合は、インターフェロン治療に再発を抑える効果があることがわかっています。ウイルスが消失しない場合でも、ALT値が低下する場合や、AFPという腫瘍マーカーが低下する場合は、再発抑制効果が期待できます。
B型肝炎の場合は、核酸アナログと呼ばれる抗ウイルス薬が有効です。この薬は、再発を抑える効果に加え、肝機能を良くする効果もあります。
ウイルスに関連のないものとしては、ソラフェニブがあります。この薬は、現在進行肝細胞がんに対して使われている、分子標的薬と呼ばれる新しい抗がん剤です。再発予防にも有効と考えられ、現在臨床試験が行われています。
また、非環式レチノイドというビタミンAの仲間の薬に再発抑制効果があることが報告され、これも臨床試験が行われています。
その他、研究段階のものとして、がんワクチンがあります。これは、がん細胞に特異的なたんぱく質の一部を患者さんに接種し、がん細胞を攻撃するリンパ球を誘導する方法です。将来的には、がんワクチンが有効な肝細胞がん治療の一つとなることが期待されています。
最近、肥満に伴ってインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)と、がんが再発しやすいことがわかってきました。このような場合には、食事、運動療法により体重を減らすことや、インスリン抵抗性を改善する薬剤を使用することにより、再発を抑える効果が期待できます。分枝鎖アミノ酸製剤にも、インスリン抵抗性を改善する効果があることが報告されています。
慢性肝疾患がある場合は、鉄が過剰に肝臓に蓄積しており、瀉血(しゃけつ、血を抜くこと)や鉄制限食で肝臓から鉄を取り除くことにより、再発を抑えられる可能性があります。
肝細胞がんの再発予防に対して、現在以上のようなことが行われています。肝細胞がんを治療した後には、再発を抑えるための治療をできる限り行うことが大切です。
2011年11月28日 岐阜新聞
がん細胞を光らせる試薬開発
CTなどでは判別が難しい大きさ数ミリのがんを光らせて、ごく短時間で検出できる試薬を、東京大学などの研究グループが開発しました。肉眼で確認できないがんを見つけ、取り残しを防ぐ技術につながると期待されています。
東京大学の浦野泰照教授とアメリカ国立衛生研究所の小林久隆主任研究員らのグループは、がん細胞の表面に多く現れる「GGT」という酵素に注目し、この酵素に触れると化学変化を起こして緑色に光る試薬を開発しました。
そして、ヒトの卵巣がんを移植したマウスの腹部に試薬を吹きつけたところ、1分ほどで、点在していた1ミリ以下のがんが光りだし、肉眼ではっきりと確認できたということです。今のところ、がん細胞を検出できる確率は卵巣がんで3分の2ほどですが、研究グループでは、さらに細胞の性質を調べて確実な検査法にしたいとしています。
今回利用したGGT酵素は、肺がんや肝臓がん、それに乳がんや脳腫瘍などにも現れるということで、実用化できれば、手術の際に肉眼で確認できないがんを見つけ、取り残しを防ぐ技術につながると期待されています。浦野教授は「手術中にスプレーして小さいがんをその場で見ることができれば、見落としの問題を克服できる。実用化に向け研究を進めたい」と話しています。
さまざまな分野での活用が期待されている炭素で出来た新しい素材「カーボンナノチューブ」は、一方で発がん性が指摘されていますが、構造によってがんの起きやすさに大きな差があることが、名古屋大学などのグループが行った実験で分かりました。
実験を行ったのは、名古屋大学の豊國伸哉教授らのグループです。カーボンナノチューブは高い強度があり、電気をよく通すことから、携帯電話の電池などに使われ、今後、さらに広い分野での活用が期待されていますが、微粒子の状態で大量に体に取り込まれると、がんの一種「中皮腫」を引き起こすおそれがあると指摘されています。
グループでは、太さや硬さを変えた3種類のカーボンナノチューブを水に混ぜてネズミの腹部に大量に注射しました。その結果、太さが直径50ナノメートルで硬く曲がりにくいカーボンナノチューブは、細胞に刺さり、すべてのネズミが中皮腫を発症したのに対し、直径が15ナノメートルと極めて細く曲がりやすいものでは、発症したネズミはいませんでした。
また、硬くて曲がりにくくても、直径を150ナノメートルと太くしたものでは、発症率は17%にとどまりました。豊國教授はヒトへの影響はさらに研究が必要だとしていますが、「太さや硬さといった構造で発がん性の度合いが異なることが分かったので、研究を進めれば、より安全なカーボンナノチューブの開発に役立つ」と話しています。
2011年11月15日 NHK
7時間以上の睡眠で卵巣がんリスク低下- 国立がん研究センター
国立がん研究センターはこのほど、「7時間以上の睡眠は、卵巣がんのリスクを下げる可能性がある」との研究結果をまとめた。
国内に住む40-69歳の女性約4万5700人を対象に、1990-94年から2008年まで追跡調査した多目的コホート研究のデータを分析。出産回数やBMI、喫煙や運動習慣などと、卵巣がんの発症リスクとの関連を調べた。平均約16年間の期間中、86人が上皮性卵巣がんを発症した。
分析結果によると、日常の睡眠時間が7時間以上のグループは、6時間未満のグループに比べ、卵巣がんの発症リスクが0.4倍と低かった。また、多くの先行研究で知られている出産歴との関連では、出産回数が1回増えるごとに、リスクは0.75倍に減少する傾向が見られたという。
同センターの研究班は、「睡眠時間との関連はこれまで報告されておらず、今後の検証が必要」とした上で、「普段の睡眠時間が長いことが、卵巣がんのリスクを下げる可能性がある要因として示された」と指摘している。
血糖を調節するのは膵臓(すいぞう)から分泌されるインシュリンだが、糖尿病患者にはこの膵臓の機能が失われたケースが多い。その場合、生涯にわたり高価なインシュリン注射を投与し続けるか、人間と同じインシュリンを分泌するブタの膵臓細胞を体内に移植するしか方法はない。しかし、ブタの膵臓細胞移植では体内で起こる拒否反応への対策がまだ十分ではなく、世界の医学界で大きな課題とされてきた。ところが今回、この大きな壁を韓国の研究陣が克服した。
ソウル大学医学部病理学教室の朴聖会(パク・ソンフェ)教授が率いる研究チームは先月31日「糖尿病にかかったサルにブタのランゲルハンス島(膵臓の中にあってインシュリンを分泌する細胞)を移植し、新しく開発した免疫調節抗体(MD-3)を並行して投与したところ、拒否反応を起こすことなくサルの血糖値が自然に調整され、6カ月以上にわたり健康な状態で生存し続けている」と発表した。
通常は臓器移植から3カ月過ぎて初めて、移植が成功したかどうか判断できる。研究チームは膵臓移植から4カ月後に免疫抑制剤などあらゆる薬剤の投与を中断したが、サルの血糖は移植前の高い状態(400‐500ミリグラム/デシリットル)から低下し、正常値(80‐90)のレベルを維持しているという。一般的に臓器移植を受けた患者は生涯にわたり免疫抑制剤の投与を受け続けなければならないが、今回の研究が実用化されれば、その必要はなくなる。研究チームによると、動物と霊長類間の移植は異種間の障壁が非常に大きいが、免疫抑制剤の投与中断後も拒否反応が見られないケースは、今回の研究が世界で初めてだという。この研究結果は先週、米国マイアミ州で開催された「2011年世界異種移植学会」で発表され「画期的な研究成果」として大きな注目を集めた。
これまで臓器移植患者は、免疫抑制剤の服用によって外部からのウイルスの侵入や細菌に対する抵抗力が急激に弱まり、肺炎などの感染病にかかりやすいという問題を抱えていた。しかし今回、大きな壁とされてきた「異種間免疫拒否反応」を克服することで、肝臓、腎臓、骨髄など人間同士の移植可能な範囲が拡大する可能性があるとして注目されている。
2011年11月2日 朝鮮日報