2011年11月2日水曜日

糖尿病を克服する新治療法開発

糖尿病克服に道、ソウル大研究陣が新治療法
ソウル大朴聖会教授の研究チーム
急速な高齢化に伴い韓国でも糖尿病患者の数が増え、現在は300万人を上回っている。患者数増加の勢いは「糖尿津波」と呼ばれるほどで、成人10人のうち1人が糖尿病を患っている計算になる。

 血糖を調節するのは膵臓(すいぞう)から分泌されるインシュリンだが、糖尿病患者にはこの膵臓の機能が失われたケースが多い。その場合、生涯にわたり高価なインシュリン注射を投与し続けるか、人間と同じインシュリンを分泌するブタの膵臓細胞を体内に移植するしか方法はない。しかし、ブタの膵臓細胞移植では体内で起こる拒否反応への対策がまだ十分ではなく、世界の医学界で大きな課題とされてきた。ところが今回、この大きな壁を韓国の研究陣が克服した。

 ソウル大学医学部病理学教室の朴聖会(パク・ソンフェ)教授が率いる研究チームは先月31日「糖尿病にかかったサルにブタのランゲルハンス島(膵臓の中にあってインシュリンを分泌する細胞)を移植し、新しく開発した免疫調節抗体(MD-3)を並行して投与したところ、拒否反応を起こすことなくサルの血糖値が自然に調整され、6カ月以上にわたり健康な状態で生存し続けている」と発表した。

 通常は臓器移植から3カ月過ぎて初めて、移植が成功したかどうか判断できる。研究チームは膵臓移植から4カ月後に免疫抑制剤などあらゆる薬剤の投与を中断したが、サルの血糖は移植前の高い状態(400‐500ミリグラム/デシリットル)から低下し、正常値(80‐90)のレベルを維持しているという。一般的に臓器移植を受けた患者は生涯にわたり免疫抑制剤の投与を受け続けなければならないが、今回の研究が実用化されれば、その必要はなくなる。研究チームによると、動物と霊長類間の移植は異種間の障壁が非常に大きいが、免疫抑制剤の投与中断後も拒否反応が見られないケースは、今回の研究が世界で初めてだという。この研究結果は先週、米国マイアミ州で開催された「2011年世界異種移植学会」で発表され「画期的な研究成果」として大きな注目を集めた。

 これまで臓器移植患者は、免疫抑制剤の服用によって外部からのウイルスの侵入や細菌に対する抵抗力が急激に弱まり、肺炎などの感染病にかかりやすいという問題を抱えていた。しかし今回、大きな壁とされてきた「異種間免疫拒否反応」を克服することで、肝臓、腎臓、骨髄など人間同士の移植可能な範囲が拡大する可能性があるとして注目されている。

2011年11月2日 朝鮮日報