2011年4月7日木曜日

食道がんをイチゴで予防

2011年4月7日 ウォールストリートジャーナル
イチゴに食道がん予防効果の可能性―米研究者

米オハイオ州立大学を中心とした研究チームが6日明らかにした暫定的な調査結果によると、イチゴによって食道がんが予防できるかもしれないという。フリーズドライしたイチゴを6カ月間摂取した約30人において、形成異常、つまり前がん状態の病巣の進行が鈍化した。

チームリーダーである同大学腫瘍学部のトン・チェン准教授が米国がん研究会議(AACR)の年次会合で発表した。 

同准教授によると、食道がんは胃腸系で3番目に多くみられるがんで、世界で6番目に多い死因だという。米国がん学会(ACS)によると、米国では年間約1万6000人が新たに食道がんと診断されている。

チームの研究対象は食道がんの中で最も多いタイプの食道扁平(へんぺい)上皮がん。同チームは食物やその他の物質ががんを予防する可能性があるかどうかについて調べている。これまでにネズミを対象にした実験で、フリーズドライのイチゴが腫瘍の増殖を大幅に抑えることができたことが分かっている。

研究チームはヒトを対象にした小規模な臨床試験を計画し、カリフォルニア州イチゴ委員会に協力を打診したところ、同委員会は試験への資金拠出とフリーズドライしたイチゴの提供に同意した。同委員会はイチゴ業界が出資する州の機関。 

チェン准教授の研究チームは中国で、食道に軽~中程度の形成異常がある38人を対象とした試験を実施し、うち36人が完了した。試験の前後には食道の生体組織検査を行った。被験者の平均年齢は約55歳だった。 

被験者はフリーズドライのイチゴ30グラムをコップ1杯の水で溶かしたものを1日2回(日量60グラム)、6カ月間摂取するよう指示された。チェン准教 授によると、フリーズドライのイチゴは生のイチゴよりも約10倍濃いが、生のイチゴを毎日食べることによっても効果があるとみているいう。

試験の結果、前がん病変の組織学的グレード(悪性度)の低下、つまり病変の増殖鈍化が見られたのは36人中で29人だった。チェン准教授は結果を裏付けるためには、規模の大きいランダム化されたプラセボ(偽薬)対照試験を行う必要があると指摘した。 

同准教授は、イチゴのどの成分に抗がん効果があるかは分からないと述べた。ただしイチゴにはさまざまなビタミン、ミネラル、それに植物化学物質として知られるその他の物質が含まれていると指摘した。こうした植物化学物質は他のベリー類の一部にも含まれている。