2011年10月25日火曜日

膵臓がんに入り込んで増殖を抑える新薬

微小カプセルで抗がん剤届ける 膵臓がんの新たな治療に

高分子でできた微小なカプセルに抗がん剤を閉じ込め、ヒトの膵臓がん組織を移植したマウスに注射、狙い通りにがん細胞に送り込んで増殖を抑えることに東京大の片岡一則教授(臨床医工学)らのチームが成功、23日付の英科学誌ネイチャーナノテクノロジー(電子版)に発表した。
患者を対象にした臨床試験は海外で09年から開始。治療が困難とされてきた膵臓がんに対する効果的な薬になると期待される。
片岡教授らは、ダハプラチンという薬が入った小さなカプセルを作製。マウスに投与すると、カプセルはがん細胞に集まり、数日間にわたって薬を放出した。観察した16日間でがんの増殖は見られなかったという。


2011年10月24日 共同通信

 

東京大学、薬物送達による膵臓がん治療-直径50ナノメートル以下で有効

東京大学の片岡一則教授らはヒト膵臓(すいぞう)がん細胞などを使い、薬物送達システム(DDS)が膵臓がん治療に有効であることを確認した。副作用が少ないがん治療法の実用化が期待される。抗がん剤を内包したナノ粒子の大きさに着目し、直径50ナノメートル(ナノは10億分の1)以下のナノ粒子が、がん組織に集まり、がんの増殖を抑えた。
従来DDSに利用されているナノ粒子は100ナノメートル程度で膵臓がんには効かなかった。難治性がんに対する治療法の開発が期待できる。成果は英科学誌ネイチャー・ナノテクノロジー電子版に24日掲載される。
膵臓がんの組織は物質が漏れにくい血管を持ち、コラーゲンなどで構成される間質という組織で覆われている。ナノ粒子を小さくすることで、「がん組織の血管から抜けやすくなり、間質への透過性も上がる」(片岡教授)ため、膵臓がん組織へナノ粒子が集まりやすくなったとみている。


2011年10月24日 日刊工業新聞