2011年7月6日水曜日

がんと認知症を予防する一杯

たった1杯のコーヒーと侮ることなかれ「認知症」「がん」を抑える驚異の効能

また、二日酔いの朝、頭がズキズキと痛んだら、まずは1杯のコーヒーを飲んでほしいというのは、新東京病院顧問の清瀬潤先生。
「二日酔いのときに起こる頭痛は、アセトアルデヒトと呼ばれる物質が原因。この物質を外に追い出し、血液の循環をよくすれば、頭痛は解消される。その際に有効なのがカフェインです」

さらに、パーキンソン病は50歳を過ぎて発症する脳神経障害で日本には100万人以上の患者がいると推定されている。北米では1980年代に麻薬製造工場でパーキンソン病が流行し、その原因が麻薬副産物ではないかとの説が有力になった。
そして、2000年前後に、相次いで米国医学誌と神経学会誌に「コーヒーを飲む人は、飲まない人に比べてパーキンソン病の30%のリスクの低下がある」という論文が発表された。パーキンソン病の原因である脳のドーパミン神経細胞の死をカフェインが防ぐ、というもの。
米国のカイザーパーマネント病院では、この臨床実験を重ねながら研究を続行中である。同病院の話では、パーキンソン病におけるカフェインの働きは、抗炎症薬やガン治療薬にもなる可能性があるとしているので、臨床実験の結果が待たれる。
さらにアルコールやその他の肝臓に毒となるものを飲んでも、カフェインを同時に摂れば、肝炎にならないという事実もあるそうだ。

2009年に一躍注目を浴びたのは、アルツハイマーをはじめとした認知症の予防にカフェインの効果がある、と米医学誌に発表された研究だった。埼玉医科大 学の森隆准教授とアルツ米フロリダアルツハイマー研究センターとの共同の成果だが、内容はアルツハイマー病を発症したモデルマウスを使ってのカフェインと の関係を調べたものだ。
実験はまだマウスの段階で、人間にどこまで効果があるかは未知数の部分があるが「コーヒーは漢方薬とよく似ている」というのは、女子栄養大学の石川俊次客員教授である。
「コーヒーにはカフェインだけではなく、ほかにも体にいいとされる複数の物質が含まれている。それらの総合的な作用が、がんや糖尿病、アルツハイマー病抑制効果となって表れるのではないだろうか」

コーヒーにはカフェイン以外に、クロロゲン酸も含まれ、それは色や苦みの元になっている。老化を防ぐ抗酸化作用があり、動脈硬化にも効果があるとされている。  以前、コーヒーには発がん性があるといわれたことがあったが、もはやその心配はない。むしろ大腸がんに対するリスクは“退化”しているとのデータもある。  現在もコーヒー成分の研究は続けられていて、まだ定説とはいかないものの、「良質のコーヒーは健康にとって有効」と認められるのも、そう遠い話ではなさそうだ。  もともとコーヒーは薬として飲まれるようになった歴史を考えれば、酒ならぬ「コーヒーは百薬の長」というのも至極当然といっていいだろう。

2011年7月4日 週刊実話