2011年7月25日月曜日

がん新薬の有効性を集中で調べる病院

新薬治験の拠点15に集約 「ドラッグラグ」解消めざす

欧米の薬が国内で使えるようになるまでの時間差「ドラッグ・ラグ」の解消を目指し、厚生労働省は、新薬の有効性や安全性を調べる治験(臨床試験)を実施する病院を集約する。がんやアルツハイマー病など、分野ごとに全国15カ所の拠点病院を指定し、集中的に担ってもらうことで治験の効率化を進め、製品化までの時間を短縮する。

日本の病院は、治験にかかわるスタッフが少なく、大規模な治験を実施する体制が整っていない。多数の病院が協力し、1病院あたり数人の患者を分担して実施することが多く、非効率で時間がかかっている。

このため、製薬企業は日本での治験を避ける傾向がある。日本の研究者が新薬の候補となる物質を探し出しても、製薬会社が海外で治験を始め、日本より先に承認を得た例もある。

承認の審査期間は、米国との差が6カ月程度にまで縮まったが、承認申請までの差は1年半のまま変わっておらず、課題だった。

厚労省は、体制の整った拠点病院に治験を集中させる方針を打ち出した。効率化によって、国内の研究成果は欧米よりも先に治験に入れるようにし、治験期間の短縮も図るという。

拠点病院は3年間で15カ所指定する。製薬企業はどの病院で治験を進めるのがいいか判断しやすくなり、患者も、どこの病院で治験に参加できるかがわかりやすくなる。

厚労省は22日、今年度分の5病院を決めた。
  • 国立がん研究センター東病院(千葉県、がん分野)
  • 東京大学病院(東京都、アルツハイマー病など精神・神経分野)
  • 慶応大学病院(東京都、免疫難病分野)
  • 大阪大学病院(大阪府、脳・心血管分野)
  • 国立循環器病研究センター(大阪府、脳・心血管分野の医療機器)
1病院に年間約6億5千万円ずつの研究費と整備費を支給する。

2011年7月25日 朝日新聞