2011年5月23日月曜日

みかんと緑茶でがん予防

日本人にはおなじみの「ミカン」。糖尿病、高血圧、心臓病、痛風、肝機能障害などの生活習慣病の予防や骨密度の低下リスクを下げる効果が疫学調査から明らかになっているほか、細胞レベルではコラーゲンの産生を促進するといった美肌作用も確認されています。また、ミカンの皮を乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」は生薬として漢方薬などに配合され、胃もたれ、消化促進、食欲増進、かぜによるのどの痛みやせきの緩和などに用いられており、その健康効果は古くから知られています。

こうしたミカンパワーを支えている中心的な健康成分が、オレンジ色の色素成分であるβクリプトキサンチン。ほかに苦み成分であるリモノイドやフラボノイドの一種、ヘスペリジンもミカンパワーの元になっています。

一方、緑茶にも、苦み成分のカテキン、うまみ成分のテアニンをはじめ、様々な機能性成分が含まれています。これらの成分は緑茶独特の味わいをつくり出すだけでなく、抗酸化作用や緊張緩和作用などにより、抗ウイルス、ダイエット、ストレス低減など多様な健康効果をもたらしてくれます。

どちらにも、私たちの健康と美容に欠かせない大切な成分がたっぷり詰まっていますが、この二つを一緒にとることでがんの発症リスクがより低下することを明らかにしたのが、東北大学大学院公衆衛生学分野の辻一郎教授らの研究グループが中心になって宮城県で行った疫学調査「大崎国保コホート」(*下記参照)です。

日本の食卓の原風景ともいえるミカンと緑茶。両者は、相性もいいようです。現在では通年で見かけることも多くなったミカン(温州ミカン)。もちろん夏は夏ミカン、オレンジなどでもOK。また柿にもβクリプトキサンチンが含まれます。緑茶とともにこれらの果物を毎日とり続けましょう。

2011年5月23日 日経ヘルス