2011年5月16日月曜日

がん細胞分裂のしくみを解明

東北大学、細胞分裂装置が形成される新たなしくみを解明

細胞分裂装置が形成される新たなしくみを解明

線虫胚の分子イメージング解析から発見

   細胞が分裂する際には「紡錘体」とよばれる細胞内装置のはたらきによって遺伝情報の担い手である染色体が娘細胞に均等に分配されます。今回、東北大学大学 院生命科学研究科 杉本亜砂子教授と理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 戸谷美夏研究員らは線虫胚をモデル系とした分子イメージング解析か ら、オーロラA (Aurora A)というタンパク質が紡錘体の主要な構成成分である微小管を安定化することが紡錘体形成に重要であることを見いだしま した。この発見は癌治療法の開発にもつながると期待されます。本研究成果は、2011年5月15日付けで英科学専門誌「ネイチャー・セル・バイオロジー  (Nature Cell Biology)」誌の電子版に掲載されます。

これまでタンパク質リン酸化酵素は酵素活性を持つ時にのみ働いていると考えられてきましたが、今回の研究から酵素が不活化されている場合でも別の役割を 果たし得ることが示されました。このような例はこれまでほとんど知られていませんでしたが、今回の研究をきっかけとして酵素タンパク質の多面的な機能とい う新たな観点からの研究が進展すると考えられます。
また、オーロラAは多くの癌細胞で過剰に発現されていることが知られており、本研究の成果は癌治療薬の開発にも貢献することが期待されます。

2011年5月16日 プレスリリース抜粋