2011年8月10日水曜日

日本に8カ所だけの がん治療施設

 新しいがん治療で注目を集めているのに粒子線治療がある。これまでの放射線治療では困難だった、患部だけを狙い撃ちできるという特長がある

 これだと手術のために入院することなく、患者の負担も少なくて済む。現在、日本に8カ所の治療施設があり、粒子線に必要なレーザー光線が得られれば、全国に展開できるという

 このレーザー光線は「新しい光」と言われ、製作技術で日本は世界のトップレベルをキープしている。がん治療など医療分野だけでなく、最近では金属の表面100万分の1ミリメートル(ナノスケール)を観測するためのレーザー技術の応用も目を見張るものがある

 先日、兵庫県の理化学研究所で開発、公開された世界最短波長のX線レーザー発振装置「SACLA(サクラ)」もその産物だ。全長約700メートルの細長い構造で出口から強いレーザー光線が発射される

 「21世紀の科学技術、想像できないような新産業を支える基盤にしたい」と石川哲也同研究所センター長。原子レベルの超高速運動の観察やたんぱく質、細胞の解析もできる。スーパーコンピューター「京」との連携も発表された

 原子関連技術は今日、原子力発電によるエネルギー供給という面だけがクローズアップされ議論されているが、実は生活環境の細部にまで入り込み生かされている。総合的な技術としての原子力の姿を冷静に見詰め、管理していく必要がある。

2011年8月10日 世界日報