2011年6月10日金曜日

最先端がん治療も自己負担無し

陽子線がん治療が特約対象に 民間保険で負担軽減

福井県立病院陽子線がん治療センターは8日、厚生労働省が認める先進医療に同センターの陽子線治療が適用されたと発表した。民間保険会社が扱う医療保険の先進医療特約の対象となる。加入者は高額な治療費の自己負担分が軽減されるため、同センターは利用者の増加に期待している。

同センターは3月7日に治療開始。適用要件となる10症例の治療実績を重ね、厚生労働省に1日提出した届け出が8日までに受理された。

陽子線治療費は照射20回以下が240万円、21~25回250万円、26回以上260万円。同センターによると、各保険会社の先進医療特約の給付上限額は一般的にこれらを上回るため、ほとんどの加入者は陽子線治療に対する自己負担が不要になるという。

また、陽子線治療に付随する検査、投薬、注射、入院料などは今回、公的医療保険の対象となった。これらの費用のうち7割が各健康保険制度から給付を受けられる。

利用者にとって陽子線がん治療は、治療費が高額な点がネックとなっていた。同センターは7日までに県内外の35人を受け入れ、本年度末までの患者目標数は110人。今回の適用を受け「大幅な負担軽減が図られた点を広くアピールし、受け入れ増加につなげたい」としている。

県は、県民に限り1治療当たり治療費25万円を減免、嶺南在住者の通院交通費1回当たり3千円を助成するなどの優遇制度も設けている。今後は照射治療に対する公的医療保険の適用を国に働き掛けていく方針。

2011年6月9日 福井新聞