2011年6月20日月曜日

抗がん作用フコイダン500円

厄介者、海藻アカモクを食品化 越廼漁協、町おこし救世主に

福井県福井市の越廼漁協が、栄養価が高く抗がん作用があるといわれている、海藻「アカモク」の商品化に成功した。同漁協では「後継者不足や過疎化に悩む同地区にとっては明るい材料。町おこしに一役買ってほしい」と大きな期待を寄せている。

アカモクは、沿岸の岩場に繁殖する褐藻類の1年藻で全国に分布している。ワカメの4倍以上のカリウムとマグネシウムを有し、抗がん作用があるとされるフコイダンも含まれている。東北地方では「ギバサ」などの名称で食卓に並ぶ。

これまで越廼地区では、漁船のスクリューに絡みつき除去に手間がかかることから「ジャマモク」と疎まれてきた。同漁協の庭本仁実さん(60)は「水揚げするとすぐに茶褐色に変色し、とても食べようとは思わなかった」と話す。

そんな“邪魔者”が同地区の救世主として見直されたのは2年前。東北大で海藻の研究をする佐々木久雄講師が生態調査に訪れた際、付近に高品質なアカモクが大量に繁殖していることに目を付け、商品化を目指し開発に乗り出した。

昨年、同市から「ものづくり支援補助金」を受け、同漁協婦人部が中心となり本格的に始動。半年間試行錯誤を重ねた結果、水揚げしたアカモクをすぐに熱湯でゆで、冷水ですすいだ後、冷凍保存する加工法で商品化に成功した。開発に当たった副部長の上野志津子さん(73)は「緑色とみずみずしさを保つのが一番苦労した。日本一おいしいアカモクを使った、いろんな調理方法を考案していきたい」と意欲を見せていた。

4月から「こしのぎばちゃん」の商品名で1パック200グラム、500円で販売を始めた。庭本さんは「東日本大震災の影響で東北地方の収穫量が減ったせいか、県外からの問い合わせが来ている。少人数で生産しているため増産はできないが、いずれは機械化して大量生産していければ」と話している。

問い合わせは、越廼漁協=☎0776(89)2316。

2011年6月18日 福井新聞