2011年9月26日月曜日

がん患者の血液など収集して新治療診断技術開発

がん患者の血液など収集、抗がん剤開発に活用 国立がんセンター

 国立がん研究センターは、がん患者から血液やがん組織を研究用に提供してもらって保管するバイオバンク事業を本格的に始めたと発表した。10年間で約8万人分の試料を集める計画。詳細な遺伝子解析を通じて、抗がん剤の開発やがん発症のメカニズムの解明などの研究につなげる。

 同センター中央病院(東京・中央)と東病院(千葉県柏市)を新たに受診する患者全員が対象。遺伝子の解析や研究の目的などを説明する専任の説明員10人を新たに配置した。同意してくれた患者から血液と手術時などにとれたがん組織の一部などを提供してもらう。同意の有無で診療内容が左右されることはない。

 5月から試行し、9月までの約4カ月間で対象患者の95%にあたる3200人余りが提供に同意した。年間に約8000人分の試料を集める予定。嘉山孝正 理事長は「先進的な治療・診断技術の開発に遺伝子解析は不可欠。研究の意義などを理解してもらい、研究用のインフラ(基盤)としていきたい」と話す。  

2011年9月24日  日本経済新聞