2011年9月13日火曜日

血液がんの原因遺伝子を発見

東大、血液がんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見

世界で初めて「骨髄異形成症候群」(血液がんの一種)の原因遺伝子を発見

 東京大学医学部附属病院キャンサーボードの小川 誠司特任准教授を中心とする国際共同研究チームは、世界で初めて、難治性の血液がんである骨髄異形成症候群(MDS)の原因遺伝子を発見しました。

 骨髄異形成症候群(MDS)は、白血病などと並ぶ血液がんのひとつです。我が国でも推定で数万人の患者がおり、年間5000人以上が新たに発症していますが、骨髄移植以外には、根本的な治療がないのが現状です。高齢者の場合は骨髄移植のできる例が一部に限られるため、身体への負担の少ない治療法開発が求められています。

 同研究チームは、今回、大量並列ゲノムシーケンス技術を用い、29例のMDS症例のゲノムを詳細に解読することによって「RNA スプライシング」に関 わる遺伝子群が45~85%という高い頻度で変異を生じていることをつきとめました。今後、異常な「RNA スプライシング」の因子を阻害する薬剤などの 新たな治療法の開発が期待されます。今回の発見は、「RNAスプライシング」の異常が、がんの発症に関わることを示す研究としても世界で初めてのものです。

 本研究結果は、大規模シーケンスによるがんゲノムの徹底的な解読による研究が、がんの病態解明の上で有効であることを証明する成果となりました。

2011年9月12日 プレスリリース