2013年11月20日水曜日

すい臓がん,肝臓がん,肺がん,乳がんに有効な食品

米国のロバートHルリーがんセンターが、発見したすい臓がんに効く食品は、「ナマコ」。

ナマコは英語で"Sea cucumber"つまり「海のきゅうり」と呼ばれるが、日本では中華料理の食材として知られている。

中国では何百年も前からナマコを漢方薬として利用してきたが、その効果は関節炎や炎症性疾患、頻尿、強壮(ED)だった。

米国での実験では、 膵臓(すいぞう)がんのがん細胞に、ナマコのエキスを掛けたところ、がん細胞の増殖が止まっただけでなく、 5分以内にがん細胞が全て死滅したのだ。

また、乳がんの細胞に対しては、ナマコが免疫システム中の細胞を活性化して、乳がん細胞を攻撃することが確認された。

これらの実験によって、ナマコのガン治療への効果が判ったのだ。

これらの抗がん効果は、ナマコに含まれている「フロンドシドA」という成分が有効であると判った。ナマコのフロンドシドAは、 95%の乳がん細胞、90%の黒色腫細胞、90%の肝臓がん細胞、 88%の肺がん細胞を死滅されることが実験で確認されており、副作用も無い。

現在では、ナマコの抽出液はサプリメントとして、液体や粉末化されて抗がん剤治療に利用されている。

2013年10月8日火曜日

がん転移を完全に抑制する物質を新発見

がんの転移を防ぐ物質が発見され、既にマウス実験ではガン転移をほぼ完全に抑える薬効が確認された。

がんは原発臓器から血液に乗って他の臓器に転移してしまう。乳がん,大腸がんが、肺や骨に転移してしまうのが、典型的なガン転移だ。

しかし、がん研究会がん化学療法センターが がんの転移を防ぐ化合物を開発した。

がん細胞が身を隠して別の臓器に移る仕組みを突き止め、発見した化合物の作用によって、ほぼ完全に抑え込む実験にマウスで成功したのだ。今後は新薬を人間の体内でも働くよう改良し、5年後を目処として、がん患者への臨床試験(治験)を開始する予定。

がん治療の画期的な新薬発見となる可能性が高く期待が高まっている。

2013年10月7日月曜日

新しいがん治療法の臨床試験を開始

小児がんに対する新しい治療法の治験が始まる。

ペプチド療法は、免疫力を利用した新しいがん治療法で、手術、放射線、抗がん剤に続く、第4のがん治療法への期待が高まっている。

今回の治験は、小児がんへのペプチド療法の効果を検証するため、3種類のたんぱく質断片(ペプチド)を混ぜて薬剤として小児がん患者へ投与し、約1年かけて重い副作用がでないかどうかを確認する。副作用が少なく、治療効果が確認できれば、延命効果を確認する治験の第2段階に移る予定だ。

子供を対象にした免疫療法の臨床試験(治験)は、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で実施される。

2013年10月2日水曜日

未来のがん治療装置の新型機開発

効果が高く、副作用の少ないがん治療装置の導入機数が増え、 治療費が安くなる可能性が高まっている。

陽子線を使ったがん治療装置は、がん患部に集中させやすく、肺がん肝臓がんなどのがん治療に効果が高い。新型の陽子線がん治療装置は、照射するビーム線量を3倍以上にすることで、照射時間を最も短い場合で従来の4分の1の約30秒にできようになった。

さらに新型機は従来装置に比べて小型化できたことで、従来の約70%の大きさとなり、旧来は40~50億円と言われた導入費用が大幅に低減されると見られる。

新型の陽子線がん治療装置を開発したのは三菱電機。 2013年度中に厚生労働省に製造販売の承認申請を提出し、早期に販売が開始される見込みだ。

一方、日立製作所でも陽子線がん治療装置を開発中で、高機能の新型機は2014年秋には、北海道大学病院で治療が始められる予定。

未来のがん治療装置と見られていた陽子線がん治療だが、多くの医療機関に導入されていくことで、費用も安くなり、多くのがん患者が安く治療に利用できるようになる日も近いだろう。

2013年9月26日木曜日

膵臓がん を血液一滴で発見

わずか1滴の血液から膵臓がん を見つける新しい診断法が開発された。 2016年までの実用化が予定されている。

同様の診断法はすい臓がんだけでなく、大腸がんでも確立されており、血液1滴で複数のがんが早期診断できる見通しだ。

開発したのは神戸大と島津製作所。治療の困難な膵臓がんでも、早期ならば治療できる可能性が高い。しかし、自覚症状に乏しいため、早期発見が難しいジレンマがあった。

研究チームでは、「キシリトール」など4種類の物質を膵臓がんの指標として評価することで、がん患者と健康な人に区別する明確な診断が可能となった。

従来の技術であるタンパク質を評価する手法では、 早期がんの4~5割程度しか発見できなかったが、新しい手法として4種類の物質を総合評価すると8割程度に発見に改善された。

検査に要するのは、「指先の血液1滴」で、検査費用の目安は現行の血液検査費用と同等の1500円を見込んでいる。

血液1滴の安価な検査で、主要ながんを一気に検査、早期発見できる検査法の確立は近い。そうなるとすい臓がんだけでなく、多くの癌の生存率は飛躍的に向上するだろう。

2013年9月19日木曜日

スーパーコンピュータが 抗癌剤新薬発見

日本が世界に誇るスーパーコンピューターの『京』が、新しい抗がん剤の候補物質を発見した。

2012年9月に本格稼働したスーパーコンピューターの『京』は、タンパク質解析の計算を実施し、新しい抗がん剤の候補物質を10種類以上発見したのだ。

今後の抗がん剤新薬開発に期待が高まっている。

2013年9月13日金曜日

前立腺がん治療に有効な食品

カレーには、ウコンという香辛料が多く含まれており、ウコンにはポリフェノールの一種である『クルクミン』という成分が多い。肝機能の改善に有効な栄養素として知られている。クルクミンの持つ胆汁分泌促進作用が肝機能を高めてくれるからだ。

クルクミンは、がん治療にも有効で、 前立腺がんのPSA(前立腺特異抗原)が減少し、 がん発症を抑制する働きや、がん転移を抑制する効果も研究報告されている。

その他にも、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、アルツハイマーなど、加齢に伴う疾患も予防する働きがクルクミンには確認されているのだ。

二日酔い程度ならカレーライスでクルクミンを摂取するのも良いが、 がんの予防や治療にクルクミンを集中摂取するならクルクミン入のウコンドリンクやサプリメントの利用も検討に値するだろう。

2013年8月7日水曜日

がんに有効な食べ物

クルミやアーモンドなどのナッツ類が、 がんのリスク減少に有効との研究結果が発表された。

スペインでの調査によると、 7,000人以上(年齢55~90歳)の心血管疾患のリスクが高い被験者を対象に、約5年間の追跡調査が行われた。その結果、週に3回 28g程度のナッツ類を食べた人は食べなかった人と比較してがんや心血管疾患やがんなどによる死亡リスクが39%減少することが確認された。特にクルミは、がんの予防について関連性が高く、クルミを中心に食べたグループでがんのリスク減少が顕著だった。

がんに対するクルミの予防効果については、既にマウス実験で実証済みだ。クルミはナッツ類の中でもオメガ3脂肪酸を特に多く含む食材で、植物由来のアルファリノレン酸(ALA)の健康効果が脚光を浴びつつある。

クルミのがん予防効果の研究論文は、「BMC Medicine」へ発表された。

2013年8月6日火曜日

陽子線がん治療の副作用を無くす新治療法

最新のがん治療法として注目を集めている陽子線治療法は、従来のエックス線での放射線治療と違って、体を突き抜けず がん患部に集中するため正常組織を傷つけにくいのが特徴。

しかし、口腔がん治療に対しては、陽子線が空気中では止められないために、口の中の空洞部を通って舌に口内炎などの副作用が発生することが問題だった。

新しい陽子線照射法では、口腔がん治療へ陽子線を照射する際に、歯型を取る際に使用されるビニールシリコン製緩衝材を利用する。

これによって、陽子線が遮蔽されて正常組織が有効に防護でき、副作用無しに口腔がん治療が可能なことが証明されたのだ。

新しい陽子線照射法は福井県立病院陽子線がん治療センターが開発し、米国医学物理学の専門誌「メディカルフィジックス」へ論文が発表された。

2013年8月5日月曜日

新しいがん治療法は「プラズマ・ガス療法」

プラズマと呼ばれる電気を帯びたガスを使った新しいがん治療法の開発が開始される。

がん患部へ アルゴンガスのプラズマを吹き付けると、正常細胞の成長は促進されるが、がん細胞が死滅することが判っており、既に卵巣がんに対する効果は実証されている。今後は、胃がん皮膚がんなどへの効果が検証される予定。

プラズマガスによる新がん治療法の研究は、国内の約30の研究機関が参加した5カ年プロジェクトが推進中で、名古屋大学が中心で、まとめている。

プラズマガスによる新がん治療法は、まだ、がん細胞が死滅するメカニズムや、適用が可能ながん種別を調べる必要があり、また、臨床に際しては、ガスが正常細胞に与える悪影響の検証も不可欠。

新がん治療法「プラズマガス療法」は、10年以内の臨床試験成功を目標として、開発が進行中だ。

2013年8月2日金曜日

抗がん剤治療の頭髪脱毛を予防

がんの四大治療法である「抗がん剤治療」では、副作用で脱毛してしまう症例が多い。

抗がん剤治療を受けると、それを気にする患者さんが多くいます。特に女性のがん患者の頭髪が抜けることは、精神的なダメージを伴って闘病意欲を削ぐことになり、治療にも悪影響を及ぼす危険がある。

しかし、抗がん剤による副作用の予防や低減する対策は かなり進歩しており、治療前後の適切な対応で防ぐことが可能なのだ。

抗がん剤の副作用による、頭髪の脱毛や、手足の爪が変形/変色する「爪障害」、さらには、手足が腫れたり痛んだりする「手足症候群」に対しては、副作用を避けたい部位への抗がん剤の侵入を抑制できるのだ。

具体的には、抗がん剤の点滴15分前から、点滴中、点滴終了後15分までを、冷すことで血管を収縮させ、抗がん剤の侵入を最小化するのだ。

頭髪の脱毛予防には、 マイナス28度に冷却した「フローズンキャップ」という帽子、手足の副作用予防には「フローズングローブ」「フローズンソックス」が開発済なのだ。これらを利用することで、 抗がん剤の副作用としての頭髪脱毛、爪や手足の痛みは、かなり軽減できる効果が検証されている。

また、精神的なダメージの軽減策として、事前に頭髪を短めにカットしておくことも有効とされる。頭髪が短いと、脱毛した場合の精神的なショックも低減されるからだ。

「冷す」抗がん剤副作用対策は、脱毛が頻発する「タキサン系」の抗がん剤に特に有効であり、パクリタキセル(タキソール),ドセタキセル(タキソテール)等による、 乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌、子宮体癌、前立腺癌の治療の際には、医師への対策依頼を欠かさないようにするべきだ。

2013年7月25日木曜日

すい臓がんの最新治療法

膵臓がんで死亡するがん患者は年間約2万9千人とされる。すい臓がんは、早期発見が難しいことが最大の特徴で、幸運にも手術でがんを取り除けた場合でも術後に膵臓の周囲にがんが転移・再発することが多いために、治療成績が悪いのだ。

最新のすい臓がんの治療方針は、術前化学放射線療法となっている。

術前化学放射線療法とは、文字通り手術の前に抗がん剤や放射線治療を実施することで、手術後の転移再発のリスクを最小化しようとする治療法だ。 検査では視認できない、散らばっている可能性の高い細胞を手術前に抗がん剤で叩き、さらにすい臓がんが再発する可能性の高い場所にも手術前に放射線治療を施してしまうのだ。これによって、すい臓がんを手術除去した後の再発転移リスクを減らすことができるとされている。

2013年7月22日月曜日

新がん治療法の事前検査を自動化

がん患者の免疫反応を検査する新システムが、来年度2014年初めの実用化を目指 して開発されている。 がん患者の免疫反応検査は、第4のがん治療法として脚光を浴びている「がんワクチン治療」が患者のがんに対して有効かを判定するために必要な事前検査。 「がんワクチン治療」は、 がん患者の体内の免疫力を最大限に活用することでがん細胞を攻撃する新しい 治療法。従来の抗がん剤と較べて、副作用が少ないだけでなく、 現行の抗がん剤で効果が無いがん患者の治療にも有効性が期待されている。 がんワクチン治療では、治療に先立って治療の有効性を事前検査されるが、 現在は手作業で実施されている免疫力の事前検査を自動化することで、 検査精度とスピードが向上できるという。 がんワクチンの新検査機器は、パナソニックと、オンコセラピー・サイエンス が共同開発する。

2013年7月12日金曜日

第4のがん治療法がんワクチンに専門研究施設

抗がん剤,手術,放射線に続く第4のがん治療法として期待の高いがんワクチン治 療の世界初の専門研究施設「がんワクチンセンター」が開所した。

がんワクチンセンターは、久留米大病院によって、福岡県久留米市に開所され、 1日20人ほどのがん患者へワクチン療法を施していく予定。 その後、治療人数を1日40~50人に増やすことで臨床試験を加速し、 3~5年内の早期の医薬品承認を目指す。

がんワクチン療法とは、 がん細胞表面にあるタンパク質の突起(ペプチド)を標的に、 リンパ球ががん細胞を攻撃することを応用した新しいがん治療法。 ワクチンで人工的にペプチドの突起を増やすとリンパ球が増えるため、 がん細胞が大量攻撃される。

がんワクチンセンターでは、 がん治療効果を高めるために患者個々に合ったワクチンを開発し、 臨床試験を続けてきた。 2010年に「高度医療」の承認を受け、一部で健康保険が適用されている。

2013年7月11日木曜日

大腸がんの転移・再発リスクを高精度判定

簡単な血液検査で、大腸がんやがん化する大腸ポリープを高確率で特定する新しい検査方法が開発された。また、大腸がんの再発、転移リスクを判定する新検査方法も開発が進んでいる。

新大腸がん検査は、採取した少量の血液を遠心分離し、上澄みを検査する簡単な方法。これで大腸がんもしくは大腸ポリープの早期発見が可能となり、患者の生存率向上が期待される。

この新しい大腸がん検査は、三重大大学が米国の病院との共同研究。

また、大阪大学では、大腸がんの再発や転移のリスクを高精度に判定する手法を開発した。

病原体の侵入などを防ぐ「リンパ節」に含まれている微量のがん細胞を調べることで、大腸がんの再発や転移のリスクが判定できるのだ。

大腸がん患者300人を対象とした調査では、リンパ節にがん細胞の量が多いと、転移や再発の確率が高まることが証明された。この検査では、リンパ節転移の大小に依存することなく、より正確に再発リスクの高い患者を判別できることも判った。結果として大腸がんの転移再発を早い段階で抗がん剤など潰す早期治療が可能になる。

2013年7月5日金曜日

新大腸がん検査は血液0.5mlで約3時間

血液だけで大腸がんを92%という高い確率で診断できる検査方法が開発された。

わずか0.5ミリリットルの血液で、約3時間で大腸がんの判定が可能。

従来の検便、「便潜血検査」では、便に混じった血液を調べたり、他の腫瘍マーカーで検査されてきたが、 大腸がんを発見できる確率も精度も非常に低いことが問題だった。

新大腸がん検査は、 大腸がんで多く発生する「miR―21」と呼ばれるマイクロRNAに着目した検査法だ。miR-21は、がん細胞が分泌する微細なマイクロRNA(リボ核酸)だが、ポリープ患者で約2倍、大腸がんの発症者では健常者の約5倍に増えることが発見されたのだ。

大腸がん検査では、ポリープ患者でも82%、大腸がん患者なら92%の高い確率で判定できるため、がんの前段階であるポリープも高い確率で判定でき、発病前に治療することも可能になるという。

今後は、約2年間程で実用化が見込まれるため、 大腸がんの初期治療、発症前治療が大幅いに進展しそうだ。

大腸がん高精度新検査法は、三重大学と米医療機関が共同開発し、米国立がん研究所の機関誌に発表された。

2013年7月3日水曜日

子宮頚がん新薬は効果が300倍

子宮頚がん治療の効果が既存抗がん剤の135倍という新薬の開発が進んでいる。

子宮頚がんや神経芽腫細胞のがん細胞が増殖する仕組みは、徐々に明らかにされつつあり、LSD1(ヒストン脱メチル化酵素)という酵素が大きな原因と分かっている。 子宮頸がん新薬は、このLSD1を標的としてがん細胞の増殖を抑制する。

このLSD1を標的とした抗がん治療は、抗うつ薬として臨床で使われているトラニルシプロミンという薬が有効であることは既知だった。 子宮頸がん新薬は、トラニルシプロミンをLSD1だけに輸送して結合させるドラッグデリバリ型分子(DDM)の「NCD33」を作製したのだ。

このNCD33によるがん治療では、既存薬のトラニルシプロミンに比べて、非常に高い抗がん治療効果が確認された。

子宮頚がん新薬のNCD33は、実験ではLSD1だけを阻害できることが示された。そして、培養したがん細胞に対して、 子宮頚がん細胞の増殖をトラニルシプロミンより135倍以上強く抑え、かつ、神経芽腫細胞に関しては、300倍も強くがん細胞の増殖を抑えたのだ。

今後は、早急に動物実験で安全性と効果を確かめ、人体への臨床試験を模索する予定。

子宮頚がん新薬のNCD33は、京都府立医科大が開発し、その開発研究の成果がドイツ科学誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。

2013年7月1日月曜日

すい臓がん をリアルタイム自動追尾治療

がん放射線治療の際に呼吸で動いてしまう臓器のがんを動くがんの位置をリアルタイムで正確に捉えつつ、放射線をピンポイントで照射できる世界初の治療機器が開発された。

副作用を減らせる最新放射線治療機器は、ベッド型でがんの動きを捉えて追尾できるカメラと「ジンバル」という放射線照射機能を備えたもので、三菱重工業と京都大学の共同開発。

呼吸で動く体内の臓器の中のがんの位置をリアルタイムで捉え、放射線を正確に照射できるため、 がん周辺の正常組織への影響=副作用を減らすことができる。

既に、肺がん胃がんの治療に対しては、同じタイプの治療装置が開発済だったが、新型治療装置はさらに精度が上がったことで、治療が難しいとされる膵臓がんの治療も可能となった。

周辺組織への放射線量を軽減できる副作用が最小化できたことで、 がんを叩く放射線量がアップできる。また、治療時間が短縮できることから、がん患者の負担も大幅に軽減された。

2013年6月26日水曜日

すい臓がん新薬の治験が8月開始

すい臓がん新薬の最終治験が8月から台湾で開始される。

最終の第3相臨床試験が実施される抗がん剤新薬は、「ナノプラチン」。新薬ナノプラチンは肺がんなど多くのがんで使われている抗がん剤「シスプラチン」を、マイクロカプセルに封入することで、副作用を低減しつつ、効果を増大させた。

マイクロカプセルは外側が親水性ポリマー、内側が疎水性ポリマーという2層構造に設計されており、 抗がん剤が徐々に放出されてがん組織に蓄積されるため、 抗がん作用を増大しつつ、副作用も減らす効果があるとされる。

実施される臨床試験は、転移性または進行性のすい臓がんが対象で、既にすい臓がんに用いられている抗がん剤「ゲムシタビン」との併用効果を検証される。総数300件余りの症例へ投与される予定。

2013年6月25日火曜日

すい臓がん新治療法が進行止める

難治癌である膵臓(すいぞう)がんの治療に効果の高い新治療法が開発された。マウス実験では、全てのマウスのすい臓がん進行が停止でき、転移が抑制されたという。

抗がん剤は血管の隙間から漏れ出してしまい、ターゲットのがん患部まで十分な薬量が届かないことが問題だった。さらに、がん患部以外で漏れ出た抗がん剤が、正常な細胞を傷付けることで副作用が出るのだった。

すい臓がんの新しい治療法は、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS:Drug Delivery System)という手法を利用した。 がん治療の標的となるがん細胞だけに抗がん剤を届けるためのDDSは、複数の抗がん剤分子をまとめて球体を形成させた。球体となった抗がん剤は、途中の血管からは漏れないが、がん細胞の血管の壁は隙間が広いため、壁を通り抜けて標的のがん細胞に辿り着き、攻撃できるのだ。

新治療法の検証のために膵臓がんを自然発生させたマウス30匹に対して、有効性が検証された。
A) DDSによる治療グループ
B) 通常の抗がん剤治療グループ
C) 治療をしないグループ

B,Cのグループは、それぞれ肝臓に8匹ずつ、消化管に7匹ずつがん転移が発生し、 56日間で半数が死亡した。しかし、AのDDS治療を施したグループでは、全てのマウスの膵臓がんの進行が止まり、全てが70日間生存した。転移は56日目時点で2匹のみ肝臓に転移しただけだった。

がん細胞に直接抗がん剤を届ける新治療の効果は高く、 がんの進行や転移を抑制し、生存率が高められる期待が高まっている。

東京大学が発表した研究成果は、24日付の米科学アカデミー紀要電子版に掲載。

2013年6月24日月曜日

大腸がんの早期発見できる高精度新がんマーカー

大腸がんは男性で3位、女性では1位の死亡原因となっている。 大腸がんの発症例が増えているのに加え、 大腸がんが早期発見の難しいがんだからだ。

健康診断で簡単に受けられる大腸がん検診の腫瘍マーカー検査は、正しく発見できる確率は約3割と非常に低いという問題があった。 CTや内視鏡を使えば正確な診断が可能なのは当然だが、簡単な検査ではなく健康診断で気軽に受けられる検査ではない。

このような大腸がんの早期発見対策として、 新しいバイオマーカーが開発され、検査精度は約8割にまで向上したのだ。

新しいバイオマーカーによる検査は、血液が「数滴」で行える。 がん検査にかかる時間も短く、コストも安い。それでも、大腸がんの有無を8割以上という高い確率で検出することに成功している。さらに従来の腫瘍マーカーでは診断が難しかったステージ0や1の早期の大腸がんでも、高い精度で診断できるという結果は特筆されるべきだろう。

開発した神戸大学では、製薬メーカーと共同で、医療現場で手軽に利用できる大腸がん検査キットも開発中で、近い将来に血液型検査キットのような簡便な器具で、大腸がんが高い精度で診断されるようになるだろう。

がんマーカーが着目した血液中の代謝物を変えることで、 腎臓がん肺がん、など他のがんの検診も簡単で高精度化できる可能性が高まっている。さらに糖尿病などへの適用拡大も期待が大きい。

数滴の血液だけで簡単に精度よくがんが検出できるこの新しい診断方法が普及すれば、早期発見早期治療でより多くの人の命が救われるだろう。

2013年6月20日木曜日

「除鉄」でがん細胞を弱らせる新治療法

がん細胞の性質として、鉄分が減るとがん増殖の速度が抑制されることが解った。 がん細胞にとっては鉄分不足は窮状であり、これを打開するべく血管を新たに引き込もうとする性質があることが解明されたのだ。

このがん細胞の性質を利用、つまりは鉄分をコントロールする=「除鉄」することで、 がん細胞を追い込まれた状態に誘導し、同時に血管新生阻害薬でがん細胞を駆逐治療するのが新治療法の概要だ。

抗がん剤は次々に新薬が開発されるが、がんを根治させる確率は実は極めて低いのが実情。新治療法はがん細胞の防御機構を逆手に利用することで、抗がん剤が効力を発揮できなかった種類の「がん」に対しても高い治療効果が期待できる。具体的には、現行で存在する血管新生阻害作用を有する抗がん剤に除鉄機能を付加することで抗がん効果が高まる可能性がある。

「除鉄」には鉄キレート療法が有効で、1日1回経口で服用するだけの簡便な治療法が承認されている。つまりは、今ある抗がん剤でも十分に応用が可能な新がん治療法の成果に期待が高まっている。

「除鉄」でのがん治療研究は岡山大学が国際バイオ展「BIO tech 2013」へ発表した。

2013年6月19日水曜日

食道がん,子宮頸がん,皮膚がんの新治療法

がん細胞にシートを貼り付けることでがんを治療する新治療法に効果が確認された。

新しいがん治療法は、がん細胞に新開発の特殊なシートを貼り付けることで、手術後でも、体外からシートに磁場をかけ、シートの発熱とシートから出る抗がん剤のダブルの治療効果が得られる。

がん細胞は熱に弱いため、がん患部を45度程度に温める「温熱療法」が効果があることは広く知られている。

新開発のがん治療シートは、磁気を帯びた粒子と、抗がん剤を混ぜた材料で作られている。シートは磁場をかけると発熱して45度程度になり、さらに熱に反応したシートから抗がん剤が放出される仕組みなのだ。

実験では、皮膚がんの培養細胞にシートを適用したところ、1日に5分間磁場をかけて発熱させるだけで、2日後にがん細胞は19%に減った。 抗がん剤だけだと26%、発熱だけだと69%にしか減少しないことに比べて、有意に効果が確認されたのだ。

がん治療シートを新開発したのは、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)。

当面の治療対象は、食道がんや子宮頸がんでがん細胞が表面を覆う症例=扁平上皮がんへの効果的な適用が期待されている。

2013年6月18日火曜日

脳腫瘍治療薬が新薬承認

悪性脳腫瘍の治療に用いる抗がん剤「アバスチン」が、新薬として厚生労働省に承認された。

抗がん剤新薬アバスチンは原発性脳腫瘍の中で最も発現頻度が高く悪性度の高い「膠芽腫」を発病したがん患者の治療に有効とされる新薬だ。

アバスチンはスイスの製薬会社ロシュが開発製造している抗がん剤。既に脳腫瘍の治療薬として世界各国で承認されていた。

2013年5月21日火曜日

再燃前立腺がんを根治するウイルス治療法

がん細胞だけで増殖するように遺伝子操作した特殊なウイルスでがんを治療する新治療法が、臨床試験の実施に辿り着いた。

人間の細胞に感染するヘルペスウイルスの一種に対して遺伝子を操作することで、 がん細胞でだけ増殖する治療用のウイルスが開発されたのだ。

がんウィルスを開発した東京大学附属病院では、このがんウイルスを使った臨床試験を前立腺がん治療に対して、今月5月末から開始する。前立腺がんの治療に対して、ホルモン療法が効かなくなったがん患者に対して、がんウイルスを前立腺に2回から4回注射する新治療法を試すのだ。

その後の6か月間で、副作用とがん縮小を検証し、がんウイルス治療の治療効果と安全性を評価する。

がんウィルスによる治療は、既に4年前から悪性脳腫瘍のがん患者を対象に実施され、大きな副作用もなく成果が上がっているという。

近い将来にがんウイルス治療で、多くのがんが根治される治療法となることが期待される。

2013年5月15日水曜日

肺がん,乳がん,大腸がんの治療費実額を安くする方法

高額な医療費がかかるがん治療。しかし、実際に払う治療費は、国の保険が適用されるため、想像しているよりも少額で済むことが多い。

日本人のがん患者数の上位を占める「胃がん」「肺がん」「大腸がん」「乳がん」「肝臓がん」のがん別に、一般的な治療をした場合の自己負担額を検証した。

なお、検証の前提となる保険は自己負担3割で、かつ「高額療養費制度」を利用している。

【乳がんの治療費】

最も治療費の自己負担実額が大きいのは乳がん。乳がんの平均入院日数は11.8日だが、再発予防治療として、ホルモン療法が5~10年間継続されるために、長期間の治療費が負担を大きくするのだ。乳がんと診断されても、5年後生存率は87.7 %と高い。

乳がんの手術は、可能な限り切除範囲を小さくする“温存手術”が主流だが、切除範囲が大きい場合でも再建手術が非常に進歩している。しかし、人工乳房の再建に要する治療費は、 100%自己負担であり50万~100万円程度が必要となる。

手術後、再発予防のために放射線照射、抗がん剤治療を実施。抗がん剤治療終了後、ホルモン療法と検査を5年間にわたって続ける。入院は手術時だけで、後の治療はすべて外来で行う。

乳がんで温存手術・術後再発予防抗がん剤・放射線療法を行った場合、 5年間の治療費合計は92万円となる。

【肺がんの治療費】

肺がんは進行が早いのが特徴。平均入院日数21.7日で、肺がんと診断された後の5年後生存率は29%と低い。肺がんは、発見時には既に手術が不可能なほどにがんが進行している患者が多く、放射線治療や抗がん剤治療が中心となる。

肺がんに小細胞肺がんで放射線化学療法を実施した場合、2年間で計45万円となる。

肺がんへの放射線化学療法は、まず20日間の入院期間中に、放射線治療と抗がん剤治療を実施。その後の3か月で抗がん剤や、転移しやすい脳への予防的放射線照射を行う。 1年目は治療と検査、2年目は検査が必要となる。

【胃がんの治療費】

胃がんの平均入院日数は、22.6日。胃がんと診断された後の5年後生存率は64.3%と高い。早期胃がんの場合、5年後生存率は9割を超える。

早期で見つかった胃がんは、大掛かりで負担の重い開腹手術ではなく、内視鏡で粘膜を切り取るだけの日帰り手術も可能となり拡がっている。胃がんの内視鏡手術は、お腹に4か所程度の小さな穴をあけ、細い腹腔鏡の先端のメスでがん患部を切り取る術式。手術費用は120万円と高いが、高額療養費制度の適用で実際の患者負担額は9万円程度で済む。

入院は10日、術後の検査費用(毎年3万円)などを含めると2年間での治療費の自己負担額は合計14万円程度となる。

【肝臓がんの治療費】

肝臓がんの治療費は、経皮的エタノール注入療法の場合に2年間で合計21万円。 3年目以降は毎年6万円の検査費用が自己負担となる。

【大腸がんの治療費】

大腸がんの結腸がんの治療費は、切除手術・術後再発予防抗がん剤療法を行った場合で2年間で自己負担の合計が42万円となる。

がんの種類によらず高額化が進む治療費に対して、自己負担の額が抑えられているのは、「高額療養費制度」の恩恵だ。「高額療養費制度」は、数十万円から数百万円に及ぶ高額の治療費用に対しても、患者の自己負担額が2~8万円前後(収入に拠る)に軽減される国の制度。

高額療養費給付の適用を受ける場合でも、患者が治療費の3割を一度支払わねばならない問題があるが、「貸付制度」や還付額を算入した支払額に減額する「委任払制度」がある。貸付額が異なっていたり、医療機関の承認が必要な場合があるので、治療費が高い場合には、早々に病院の医療相談室や保険者へ相談することが肝要だ。

がんは、治る病気となりつつあるからこそ、治療費負担を抑制し、回復後の長い生活へ備えることが重要なのだ。

2013年4月1日月曜日

末期がん、転移ガンにも有効ながんワクチン

がん患者自身の免疫力を高めた「がんワクチン」が。注射したがん患部以外の転移したガン細胞も攻撃する効果があることが発表された。

がん治療遺伝子「REIC(レイク)」を発見した岡山大学が、 2011年から実施している実際のがん患者への臨床試験において、直接投与した部位のがん細胞が消滅しただけでなく、他の転移がんの細胞も大幅に減少したのだ。

全身にがんが転移して外科手術では除去できないがん患者や、通常の抗がん剤が効かない進行がんの末期のがん患者などが、新薬の治療対象として期待が高まっている。

新治療法の臨床研究は2011年1月から、 前立腺がんの男性20人を対象として実施されている。 REICの濃度が高いほどがん細胞を死滅させる効果作用が強く、副作用も少ないと安全性も確認できている。

最も顕著な回復例としては、リンパ節5カ所余に転移し、抗がん剤が効かない、いわゆる末期がん状態の男性(60代)の治療回復例。 REICをがん患部へ2回注射したところ、腹部にあった最大の腫瘍(直径最大5センチ)のがん細胞は消失しただけでなく、他の臓器に転移していたがん細胞も大幅に減った回復が確認された。

REICを注射したがん患部だけでなく、他所のがんも攻撃する『究極の遺伝子治療』が実現に近づいている。

2013年3月4日月曜日

進行性・再発性の結腸がん・直腸がんに新薬

結腸・直腸がん治療の抗がん剤新薬が、新たに日本で承認申請された。

新薬は抗がん剤「TAS-102」(トリフルリジンとチピラシル塩酸塩の配合剤)。適応は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」とされ、臨床試験では約3ヶ月の余命延長の効果があるとされた。

がん剤新薬「TAS-102」は経口薬で、大鵬薬品が開発中。

2013年2月28日木曜日

新薬 ワクシニアがんウイルス

天然痘治療などのワクチン遺伝子を組み換えて開発されたがんウイルスによる新しいがん治療法が開発されている。

遺伝子組み換えられたワクシニアがんウイルスは、患者の免疫細胞が、がん細胞を集中的に攻撃するよう組み換えられている。さらにワクシニアがんウイルスは、患者のがん細胞内で増殖することで がん細胞を死滅させるのだ。

既に臨床試験が開始されており、 がん細胞の増殖が抑制され、がんへの血液の供給が減少する効果が確認されている。 がん細胞を破壊し、がんに対する免疫応答を誘導するように遺伝子操作されたワクシニアウイルスが、 肝細胞がん患者の生存期間を延長したのだ。進行性の肝細胞がん患者30人に新薬を4週間投与した結果、低用量が投与された14人の肝細胞がん患者は平均6.7か月、高用量が投与された16人の肝細胞がん患者は平均14.1か月の生存期間が延長した。臨床試験では、1人の患者に嘔吐があった以外は、重い副作用は無かった。

がん溶解性ウイルスは、肝細胞がんだけでなく がん治療の有望な新治療法として注目されている。

ワクシニアがんウイルスの研究は、英医学誌「Nature Medicine」に発表された。

2013年2月20日水曜日

膵臓がんの新しいがん治療法を臨床試験

新しいがん治療法として期待が高まっている 「がんペプチドワクチン治療」 の臨床試験が開始される。

治験対象は、治療が困難とされる食道がん膵臓がん患者で、各40人に対して、 新治療法の臨床試験が実施される。

新薬のペプチドワクチンは、 がん患者自身の免疫力を活用する新治療法。 がん細胞を攻撃する免疫細胞のリンパ球が、 がん細胞の表面に発現する特有のペプチドというアミノ酸化合物をがん細胞攻撃の目印にする性質を利用している。ペプチドを体外で人工的に合成して投与し、リンパ球を増殖させてがんを治療する。 現在のがんの3大療法とされる外科手術、抗がん剤化学療法、放射線療法による治療が困難ながん患者に対する、第4の治療法として期待が高まっている。

今回の新薬の臨床試験が最も特徴的なのは、全国で初めて、その費用が寄付で賄われることだ。

治験に要する費用を、 がん患者団体 「市民のためのがんペプチドワクチンの会」として、全国から寄付金を募集するのだ。 寄付金の目標は、3年間で3000万円。

ペプチドワクチンによるがん治療は、製薬会社主導での効果検証も進んでいるが、白血球の抗原が多い患者だけを対象としている。今回の治験では、日本人では少ない部類に入る特殊な抗原タイプのがん患者も治験の対象とすることも注目されている。

食道がん、すい臓がんに対するがんのペプチドワクチンは、既に安全性確認の段階を終了し、一日も早い新薬の完成が待たれている状況なのだ。

2013年2月18日月曜日

電場で がん細胞を死滅させる新治療法

全く新しいがん治療法である「腫瘍治療電場(TTF)」がイスラエル工科大学で発明された。

TTFとは、低強度の「電場(電界)」を利用した新しいがん治療法である。電気が流れている周囲には必ず電場が生じている。この電荷(個々の物体や粒子などがもつ電気)を持つものを引き寄せて作用する。

TTFによるがん治療では、電場発生装置に接続されたトランスデューサーを体外に装着し、人工的に作り出された電場によって体内のがん細胞の分裂を防ぎ死滅させる。

がん細胞が人体の中で最も強い電荷を持つ物質であることを利用した治療法なのだ。 TTFによるがん治療の臨床試験では、 抗がん剤による化学療法に頻発する痛み、感染症、吐き気、下痢、便秘、疲労etcの副作用も無いとされる。

既に20種類以上のがん細胞を対象にTTFによるがん治療が実験され、それら全てのがん治療に効果が発揮された。既に膠芽腫と肺がんに関しては、臨床試験が実施され、成功を収めたのだ。特筆すべきは、がん細胞以外の正常な細胞には影響無く治療ができた事実だろう。

現在では、化学療法や放射線治療とTTFを組み合わせることで、大きな相乗効果があることが分かった。米国ハーバード大学では、 TTFによるがん治療の効果を最大限に高めるための既存治療法との最適な組み合わせに関する研究が進められている。

現在のがん治療は「外科手術」「放射線療法」「抗がん剤療法」の3つの治療法が中心とされているが、近い将来には「TTF」治療が加わる可能性は高いだろう。全く新しい技術原理を利用した新しいがん治療法「TTF」が、 がんを克服する強力な治療法として登場する日へ期待は膨らむ。

2013年2月15日金曜日

すい臓がんの余命を延ばす抗がん剤

すい臓がんは、消化器がんのなかで最も予後の悪いがんの一種だ。

膵臓(すい臓)は胃の裏側に位置し、十二指腸接しており横に細長い臓器である。そのため、早期発見が困難なだけでなく、 2 cm以下の小さながんであっても、非常に早い時期に周辺臓器への浸潤、近くのリンパ節転移、肝臓などへの遠隔転移が発生してしまうのだ。 すい臓がんは、最も悪性度の高いがん だと言える。

すい臓がんの切除手術後の抗がん剤治療に際して、従来の標準治療薬とされる抗がん剤塩酸ゲムシタビン単剤よりも、 抗がん剤TS-1(ティーエスワン)単剤の方が、生存期間を大幅に延長させることが証明された。

すい臓がんの切除手術を受けたステージ2, 3のがん患者385例に対する治験の結果だ。

すい臓がん効果的な抗がん剤 TS-1は、体表面積に合わせて規定された投与量を1日2回、 28日間連続して経口摂取する。その後14日間休薬する42日を1クールとし、4クール(6ヶ月間)で実施した結果だ。

すい臓がん治療に用いることのできる抗がん剤は限られているため、切除後の補助化学療法としてのTS-1の有効性は朗報と言えるだろう。

2013年2月6日水曜日

乳がん、皮膚がんに強力な新薬

乳がん、皮膚がんの特効薬新薬が、短期間に開発される可能性が高まっている。

治療が難しいタイプの乳がん皮膚がんの一種である悪性黒色腫に関して、患者の強力な発がん原因になっている変異遺伝子が発見特定された。

難治性の乳がん、皮膚がんの線維肉腫の細胞株に関して、発がん能力を持つ遺伝子を網羅的に調べることで、遺伝子「RAC1」と「RAC2」に突然変異のある事実を発見したのだ。

これらの2つの遺伝子は、細胞の骨格たんぱく質を制御する役割を担っているのだが、変異したことで、常に活性化してしまい がん細胞を異常に増殖させ続けていたのだ。この2遺伝子の変異があるがん患者は、悪性黒色腫では5%、難治性の乳がんでは3%が保有していると推定されている。全体のがん患者に占める割合は小さいが、この変異遺伝子が原因でがん細胞が増殖しいるがん治療に対しては、治療薬が極めて高い劇的な治療効果を得ることができるのだ。

この発見によって乳がん、皮膚がんの特効薬が短期間に開発される可能性が高まっている。まず、対象のがん患者の変異遺伝子の有無を検出する方法を開発し、その変異遺伝子の働きを抑える薬剤を見つけることで、非常に効果の高いがん治療薬が開発できるのだ。

この発見をした東京大,自治医科大,がん研究所の研究チームは、 肺がんに関して同様の肺がん遺伝子を発見し、その4年後には肺がんの新治療薬を開発した実績があるため、 乳がん、皮膚がんにも劇的な効果のある新薬への期待が非常に高まっている。 

2013年1月31日木曜日

転移性すい臓がんの新薬

転移性すい臓がんの新薬として抗がん剤「アブラキサン」の臨床試験(治験)で良好な治療結果が得られた。

すい臓がん新薬「アブラキサン」の第3相試験では、既存の抗がん剤であるゲムシタビンとアブラキサンを併用したすい臓がん治療を実施した。 新薬治療の結果、既存抗がん剤のゲムシタビン単独での治療と比較して、余命の延長効果が示されたのだ。

新薬によるすい臓がん治療では、全生存期間が改善し、1年生存率が59%増、2年生存率は2倍へと大幅に改善した。さらに、無増悪生存期間や全奏功率などの指標においても、 新薬の併用療法は優れた成績を示した。

最も重要なことは、新薬による治療でも、深刻な副作用が出現しなかったことだ。

すい臓がん治療薬「アブラキサン」は、スイスのセルジーンが開発中の新薬で、 抗がん剤パクリタキセルをヒトアルブミンと結合させた懸濁注射剤である。

2013年1月29日火曜日

胃がん患者が激減する理由

日本の胃がん患者が激減される可能性が出てきた。

多くの胃がんの原因だと判明しているピロリ菌の除菌治療やピロリ菌検査が 2013年には保険診療として認可される見込みが出てきたのだ。

がん患者のほとんどにピロリ菌が関与しており、胃潰瘍や、胃がんの危険性の最大の原因であることが解っていた。しかし、これまでは「予防的な治療は保険診療にならない」という原則から、保険診療の対象は非常に限定されたものだった。現在は、消化性潰瘍の治療歴のある患者、早期胃がんの内視鏡治療を受けた患者等にしか保険診療が認められていなかった。

しかし、ピロリ菌40代で約3割、60代で約7割の人が感染している胃がん要因であり、除菌治療が胃がん患者と胃がん死亡削減の決め手と、保険適用化の要望が高まっていたのだ。

保険適用化によってピロリ菌除菌が広まれば、消化性潰瘍の患者数も、胃がんの患者数も、確実に減少するだろう。日本で現在年間5万人が亡くなる胃がん患者の激減は歓迎すべき施策だ。

胃がんはピロリ菌が最大の要因のため除菌でリスクを最小化できるが、他方、日本人に胃がんの多い原因である「塩分過多の食生活」には留意が必要だ。規則正しく多様性のある食事を基本に、減塩を心がけることは、胃がんだけでなく生活習慣病全般の予防に寄与するからだ。

2013年1月28日月曜日

効果的ながん新治療法に緑茶カテキン

乳がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、骨髄腫に効果的な新治療法が注目されている。

緑茶に含まれるカテキンの一種と男性機能不全治療薬(ED治療薬)を併用投与することで、正常細胞を損傷せずにがん細胞だけを殺す新治療法だ。

従来の抗がん剤では効果の無い場合でも、このがん新治療法ならば高い抗がん効果が発揮されるという。

既に2004年には、緑茶カテキンの一種である「エピガロカテキンガレート(EGCG)」が、 がん細胞の細胞膜表面にあるたんぱく質と結合することによって、 がん細胞を特定して殺す仕組みを解明していた。

その後の研究で、緑茶カテキン(EGCG)の抗がん作用を阻害する酵素に着目し、この阻害酵素の働きを抑える化合物を含むED治療薬を併用投与することで、 抗がん作用を飛躍的に高めることが発見されたのだ。

人間の乳がん細胞を移植したマウス実験では、 2日に1回、緑茶カテキン(EGCG)とED治療薬を投与すると、 16日間でがん細胞を死滅することができた。このがん新治療法は、高い抗がん効果を発揮することが実証されたわけだ。

新がん治療法は、九州大の研究チームが突き止め、 2013年内の臨床実験の開始を計画している。

研究成果は米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに掲載された。

2013年1月23日水曜日

タバコと膀胱がん

タバコの喫煙が膀胱がんでの生存率をも低くするとの因果関係が最も明確に示された。

米国のマイアミ大学と南カリフォルニア大学の共同研究チームが、民族背景の異なる212人の膀胱がん患者の喫煙状況とがんの進行を調査した結果、非喫煙者やたまにしかタバコを吸わない人よりもヘビースモーカーのがんがより進行し、 がんによる死亡リスクが高いことが発見されたのだ。 膀胱がん患者が喫煙者の場合には、がん細胞が特に攻撃的になり、 がん患者を死亡させるのだ。

膀胱がん患者の追跡調査は1987~1996年に実施され、詳細が専門誌「Cancer」に発表された。

2013年1月18日金曜日

乳がんの抗がん剤が半額に

乳がん治療において外科手術や放射線療法と並行して、再発予防に5年間の服用が必要な抗がん剤アナストロゾール。アナストロゾールは、閉経後の乳がんに効果があるとされるホルモン剤だ。

このアナストロゾール錠に、効果効能は変わらずに薬代の安いジェネリック薬(後発薬)が発売された。

例えば1日1回5年間服用した場合(3割負担)、従来のアナストロゾール標準品ならば薬代は約31万円だが、新しいジェネリック薬なら約17万円で足りる。乳がん治療抗がん剤の費用を約半額にできるのだ。

ほぼ半額に安くなったアナストロゾール錠「サワイ」は沢井製薬が販売を開始する。

2013年1月17日木曜日

肺がん へ新薬が販売認可

肺がん治療の新薬が販売認可された。

販売認可された肺がん新薬は、「エルロチニブ」(HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ)だ。

新薬エルロチニブは、いわゆる分子標的薬に分類される抗がん剤で、 EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者にとっては、特効薬となる可能性を秘めている。

肺がんの上皮増殖因子は細胞膜に存在するタンパク質のEGFR遺伝子の一部に結合することで、 がん細胞の増殖や分裂の加速や転移を引き起こす。新薬エルロチニブはEGFR遺伝子変異を抑制することで、がん細胞が活性するのを抑制するのだ。

新薬エルロチニブは、アステラス製薬が米国食品医薬品局(FDA)から販売認可を受けた。

2013年1月16日水曜日

胃がん検診の手法を刷新

胃がんの発病を劇的に減らせる政策がある。

胃がん検診の手法を刷新することで、胃がん死を劇的に減少させることが可能なのだ。

日本人に非常に多い胃がんの原因がピロリ菌であることが明白であるにもかかわらず、従来のバリウムでのエックス線検査による胃検診では、ピロリ菌への対策は皆無だ。

胃がんを撲滅する新しい検診方法とは、ピロリ菌への対策を中心に据える。簡単な血液検査で胃の炎症,萎縮,ピロリ菌感染の指標が把握できるペプシノゲン(PG)法や、ピロリ菌抗体検査を胃がん検診の中心とし、ピロリ菌陽性の場合には除菌治療を実施し、その後を内視鏡での経過観察とすることで、 胃がんの発病患者数が劇的に減少できることは明白なのだ。

胃がんの原因の大部分が、ヘリコバクター・ピロリ(Hp)菌感染であることが判っているのだから、原因に近い検査と治療の実施が最大の効果をもたらすのは容易に想像できる。

団塊世代が還暦を迎えることで、日本の胃がん患者数は増加し、胃がんによる死者も増えてしまう。さらには、胃がん治療の医療費増大が、保険財政をさらに圧迫することで、国すらも傾いてしまう大問題なのだ。

多くのがんが生活習慣病由来であるため予防は困難である一方で、ワクチンや抗生剤投与などで予防が十分に可能な、胃がん子宮がんなどの感染症由来のがんは、一次予防を優先することが医療行政の最大効率化として期待されているのだ。

胃がんでの死亡者数が年間5万人と、過去40年以上も減少していない事実は重く受けとめて欲しいものだ。

2013年1月11日金曜日

大腸がんを再発させる食事とは

大腸がんの手術後の食事で、死亡リスクが80%も高まることが判明した。

米国国立がん研究所が発表した論文では、 ステージ3の大腸がん患者1万人を調査した結果、手術後の炭水化物の摂取量が多い大腸がん患者に、再発リスクや死亡リスクが高いことが確認された。

炭水化物の摂取量が多い大腸がん患者は、炭水化物の摂取量の少ない大腸がん患者と比較して、再発リスクや死亡リスクが80%も高いのだ。術前から肥満状態である大腸がん患者ではさらにリスクが高まる傾向があった。

肉や穀物を中心とした西洋型の食事が大腸がんの大きな発症要因、再発原因であることは、明白だったが、「何」がリスクなのかを特定することは困難だった。「赤身肉が大腸がんの原因だ」「糖質が大腸がんを再発させる」等々の論争が続いている。

今回の研究で少なくとも大腸がんの手術後の再発予防に関しては、炭水化物の摂取制限が有効であることが明確になったことは、福音といえるだろう。 大腸がん手術後の生存率を改善するには、炭水化物の摂取制限をすることが有効なのだ。

2013年1月10日木曜日

乳がん,肺がん に有効な光治療

がん の光治療に高い治療効果が認められ、実用化への期待が高まっている。

がんの光治療とは、がん細胞に近赤外光を当てることによって熱でがんを破壊する治療法。がん細胞特有のたんぱく質に結合し、近赤外光で発熱する化学物質を、事前に注射することで、近赤外光の照射によってがん細胞だけが壊死する新治療法だ。正常な細胞は傷つけず、副作用も無く、患者の負担が軽いがん治療法として期待されている。

既に2011年には、マウス実験で光治療法によってがん細胞が破壊されることは実証されていた。しかし、近赤外光を患部へ直接に照射する必要があるため、体内深部のがん治療には開腹もしくは腹腔鏡による手術が必要であり、さらに複数回の照射が不可欠だったため、患者負担を考慮すると光治療の最大の課題であった。

今回の改良では、薬剤と体の外から光を当てる治療法を組み合わせることで、マウス体内のがん細胞を1回だけの光治療で破壊することに成功した。

解決する改良された光治療は、 がん細胞に集まりやすい加工を施した新しい抗がん剤「ナノ製剤」の併用とした。

子宮がん由来の悪性腫瘍を体の深部に発症したマウスに対して、光治療を施し、続いて抗がん剤を注射した。結果は10匹のマウスのうち6匹は1回の光治療だけでがんが消え、6カ月後も生存していた。他方、薬だけや、1回の光治療だけのマウスは、いずれも2カ月以内に死んでしまったのだ。

分析では、がんへの薬剤の集まり度合が、光治療をしない場合の約20倍に向上したとされている。

がんの光治療法の改善は、米国立衛生研究所が米化学会ナノテクノロジー誌へ発表した。

がんの光治療は、頭頚部がん、肺がん、乳がんにも効果があるとされ、早期の実用化が期待されている。数年内でのがん治療への臨床応用から新がん治療法として実用化を目指す予定だ。