2011年12月31日土曜日

がん患部で抗がん剤生成する新薬

新しいがん治療法、米国で臨床試験へ

 信大医学部(松本市)内に研究所を置くベンチャー企業「アネロファーマ・サイエンス」(東京)は来春にも、ビフィズス菌を利用したがん治療法の臨床試験を米国で始める。がん組織は酸素の少ない「嫌気的環境」にあるため、嫌気的環境を好むビフィズス菌を薬の「運び屋」として利用。併せてがん組織の内部で抗がん剤を生成する仕組みにすることで正常な組織への影響を抑え、副作用が少ないがん治療法の確立を目指す。
 同社が実用化に取り組んでいる治療法は、抗がん剤になる前段階の物質「5―FC」と、5―FCを抗がん剤「5―FU」に変える酵素を作る遺伝子を組み込んだビフィズス菌「APS001F」を患者に投与。ビフィズス菌が集まるがん組織の内部で抗がん剤に転換し、ピンポイントでがん組織を攻撃する。
 臨床試験は米国中南部にあるがん専門病院で実施。まず第1段階の試験で、がんの種類を絞らずに、胃がんや大腸がんなどさまざまな固形がんを対象に行う。2年ほど実施した後、続く第2段階の試験で、第1段階で特に効果が高かったがんの種類に絞って投与。両試験で計40~60人の患者に実施する予定だ。
 同社はこれまで動物実験で有効性や安全性を確認。臨床試験については米国立衛生研究所や米食品医薬品局と打ち合わせを重ね、それを基に1月中に米食品医薬品局に実施を申請する。順調に進めば、春ころに1人目の患者に投与できる見込みだ。
 同社取締役で信大大学院医学系研究科の谷口俊一郎教授=分子腫瘍学=は「がんの種類によって、ビフィズス菌が集まりやすいものと、集まりにくいものがあるかもしれないので、臨床試験を通して見極めたい」と説明。「がん組織という局所だけで大量に5―FUを作ることができるため、副作用を減らすだけでなく、従来は5―FUが効かなかった種類のがんにも効果があるかもしれない」と期待する。
 臨床試験が順調に進めば、5―FUだけでなく別のさまざまな薬を運ぶ手法としても注目されそうだ。
 同社の三嶋徹也社長は「今までにないまったく新しいコンセプトの治療法を是非、世に出したい」と話している。

2011年12月31日 信濃毎日新聞

がん内部で抗がん剤を生成する新薬


新しいがん治療法、米国で臨床試験へ

信大医学部(松本市)内に研究所を置くベンチャー企業「アネロファーマ・サイエンス」(東京)は来春にも、ビフィズス菌を利用したがん治療法の臨床試験を米国で始める。がん組織は酸素の少ない「嫌気的環境」にあるため、嫌気的環境を好むビフィズス菌を薬の「運び屋」として利用。併せてがん組織の内部で抗がん剤を生成する仕組みにすることで正常な組織への影響を抑え、副作用が少ないがん治療法の確立を目指す。

同社が実用化に取り組んでいる治療法は、抗がん剤になる前段階の物質「5―FC」と、5―FCを抗がん剤「5―FU」に変える酵素を作る遺伝子を組み込 んだビフィズス菌「APS001F」を患者に投与。ビフィズス菌が集まるがん組織の内部で抗がん剤に転換し、ピンポイントでがん組織を攻撃する。

臨床試験は米国中南部にあるがん専門病院で実施。まず第1段階の試験で、がんの種類を絞らずに、胃がんや大腸がんなどさまざまな固形がんを対象に行う。 2年ほど実施した後、続く第2段階の試験で、第1段階で特に効果が高かったがんの種類に絞って投与。両試験で計40~60人の患者に実施する予定だ。

同社はこれまで動物実験で有効性や安全性を確認。臨床試験については米国立衛生研究所や米食品医薬品局と打ち合わせを重ね、それを基に1月中に米食品医薬品局に実施を申請する。順調に進めば、春ころに1人目の患者に投与できる見込みだ。

同社取締役で信大大学院医学系研究科の谷口俊一郎教授=分子腫瘍学=は「がんの種類によって、ビフィズス菌が集まりやすいものと、集まりにくいものがあるかもしれないので、臨床試験を通して見極めたい」と説明。「がん組織という局所だけで大量に5―FUを作ることができるため、副作用を減らすだけでなく、従来は5―FUが効かなかった種類のがんにも効果があるかもしれない」と期待する。

臨床試験が順調に進めば、5―FUだけでなく別のさまざまな薬を運ぶ手法としても注目されそうだ。

同社の三嶋徹也社長は「今までにないまったく新しいコンセプトの治療法を是非、世に出したい」と話している。
2011年12月31日 信濃毎日新聞

2011年12月27日火曜日

がん抑制に効果ある菌

アクネ菌に皮膚がん抑制効果 三重大院講師ら確認

ニキビの原因となるアクネ菌が、皮膚がんの一種で転移の早い「悪性黒色腫」の抑制に役立つことを、三重大大学院医学系研究科の山中恵一講師らのグループがマウスを使った実験で明らかにした。米科学誌「プロスワン」電子版に22日、掲載された。

グループは、白血球内の免疫細胞の中に、アクネ菌と腫瘍に反応する細胞がある点に着目。悪性黒色腫を移植したマウスの患部に菌を直接注射したところ、周辺組織の免疫機能が活性化し、アクネ菌とともに腫瘍のがん細胞も排除し始めた。

  アクネ菌を1カ月間で2回注射したマウスは、注射していないマウスに比べて腫瘍の成長が半分にとどまり、がん細胞も大幅に減っていた。山中講師は「今後はアクネ菌のうち、どの成分が効果的なのかを解析し、新薬の開発につなげたい」と説明している。

2011年12月22日 中日新聞

皮膚がん抑制効果の菌


アクネ菌に皮膚がん抑制効果 三重大院講師ら確認

ニキビの原因となるアクネ菌が、皮膚がんの一種で転移の早い「悪性黒色腫」の抑制に役立つことを、三重大大学院医学系研究科の山中恵一講師らのグループがマウスを使った実験で明らかにした。米科学誌「プロスワン」電子版に22日、掲載された。
グループは、白血球内の免疫細胞の中に、アクネ菌と腫瘍に反応する細胞がある点に着目。悪性黒色腫を移植したマウスの患部に菌を直接注射したところ、周辺組織の免疫機能が活性化し、アクネ菌とともに腫瘍のがん細胞も排除し始めた。
アクネ菌を1カ月間で2回注射したマウスは、注射していないマウスに比べて腫瘍の成長が半分にとどまり、がん細胞も大幅に減っていた。山中講師は「今後はアクネ菌のうち、どの成分が効果的なのかを解析し、新薬の開発につなげたい」と説明している。

2011年12月22日 中日新聞

未承認薬でのがん治療が可能に

未承認薬、条件つき容認へ 重病患者を対象、厚労省方針

 厚生労働省は、ほかに治療法がない重い病気の患者に対し、国内では承認されていない薬を一定の条件で使えるように制度化する方針を固めた。26日夜、薬事行政の見直しを検討している厚労省の審議会で大筋了承された。同様の制度は欧米にあり、がん患者らが要望していた。

 日本は欧米に比べて薬の承認時期が遅れるため、欧米で受けられる最新の治療を受けられないことがある。医師や患者が海外の薬を個人輸入して使っている例もあるが、偽造薬を買わされる危険性や、副作用が起きたときに対応ができるのか、などの問題がある。

 創設する制度では、欧米で承認済みで、国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする。医療機関が厚労省に必要な届け出をすれば、複数の病気を抱えているなど治験に参加できない患者に、この薬を使えるようにする。患者にとっては治療の選択肢が広がることになる。

2011年12月27日 朝日新聞

がん未承認薬の届出制度


未承認薬、条件つき容認へ 重病患者を対象、厚労省方針

厚生労働省は、ほかに治療法がない重い病気の患者に対し、国内では承認されていない薬を一定の条件で使えるように制度化する方針を固めた。26日夜、薬事行政の見直しを検討している厚労省の審議会で大筋了承された。同様の制度は欧米にあり、がん患者らが要望していた。
 日本は欧米に比べて薬の承認時期が遅れるため、欧米で受けられる最新の治療を受けられないことがある。医師や患者が海外の薬を個人輸入して使っている例もあるが、偽造薬を買わされる危険性や、副作用が起きたときに対応ができるのか、などの問題がある。
 創設する制度では、欧米で承認済みで、国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする。医療機関が厚労省に必要な届け出をすれ ば、複数の病気を抱えているなど治験に参加できない患者に、この薬を使えるようにする。患者にとっては治療の選択肢が広がることになる。
2011年12月27日 朝日新聞

2011年12月22日木曜日

がんの成長を抑える新物質発見


がんの増殖を抑える新しい分子を東京大学などの研究チームが発見した。がん細胞の増殖を抑える新しいタイプの抗がん剤の開発が期待される。

発見された物質は、「プロスタグランジンD2(PGD2)」。実はPGD2は脳で作られて眠りを誘うことでは既知の物質だった。しかし、今回の発見は、PGD2が がんの成長を抑えることをマウス実験で確認したのだ。

がん細胞が増殖するために、新造血管(新生血管)と呼ばれる栄養を送る血管を作ったり、ウイルスや細菌などから体を守る免疫細胞が異常になる。PGD2は、これらのがん増殖の環境を抑制していると推察されている。

肥満と大腸がんと乳がんと子宮がん

今をときめく善玉タンパク質、「アディポネクチン」。
このアディポネクチンは、がん細胞の増殖抑制と関連性が明らかになっています。

アディポネクチンはがん細胞の過剰な増殖を抑制する働きがあるのですが、内臓脂肪が過剰に蓄積すると、アディポネクチンの分泌は減少してしまうのです。これによって、がん細胞の増殖を抑えられなくなり、がんが進行するのです。 これが、内臓脂肪の蓄積がもたらすがんリスクの仕組です。

近年、先進国を中心に激増している大腸がんの患者には、アディポネクチン値の低下が顕著であり同時に内臓脂肪の蓄積も多く見られます。。

さらに、内臓脂肪そのものが原因で発病するがんも報告されています。 乳がん子宮体がんなどが、内臓脂肪の蓄積が原因で発病するのです。

乳がん、子宮体がんは、女性ホルモンであるエストロゲンが増えることで発病することは既知ですが、このエストロゲンは卵巣だけでなく脂肪細胞でも作られからです。肥満状態で内臓脂肪が蓄積されていると、エストロゲンが増えてしまうことから、乳がん子宮体がんのリスクが高ってしまうのです。

加えて、内臓脂肪は肝臓がんのリスクも引き起こします。内臓脂肪は中性脂肪を放出することで脂肪肝を形成してしまい、やがて、肝硬変から肝臓がんへ移項してしまうのです。

痛風も内臓脂肪蓄積が原因の尿酸の代謝異常から発生するのです。

内臓脂肪は一朝一夕には溜まらず、また一朝一夕には除去できません。 全ては日々の生活習慣に依存しているのです。 「食事は腹八分目」「野菜を食べ」「運動する」などの基本的な生活習慣をコツコツ積み上げるしかありません。

明日からではなく、今日から少しずつ。

豊胸シリコンで がん発病

フランス厚生省は21日、豊胸手術や乳房再建手術で埋め込まれたシリコン製のインプラントががんの原因になる恐れがあるとして、インプラント摘出手術の費用を助成すると発表した。

問題になっているのは、ポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)という企業が豊胸手術に使っていたインプラント。英国の美容整形外科学会によれば、PIPは医療用に適していないマットレス用のシリコンを豊胸手術に使っていたとされる。

フランス厚生省によると、同国内でPIPのインプラント埋め込み手術を受けた女性は約3万人に上り、問題が発覚した昨年以降、これまでに523人が摘出手術を受けた。インプラントの破裂も1000件以上報告されているという。

同国は14日に医療関係者などで構成する委員会を設置してこの問題を協議。PIPのインプラント埋め込みを受けた女性に摘出を義務付けるかどうかについ て、厚生当局が23日に方針を発表する。乳房再建手術を受けた患者には、新しいインプラントを埋め込むための費用も還付する。

この問題では英国の当局も20日に注意を呼びかけ、「フランスで胸部インプラント埋め込み手術を受けた女性が未分化大細胞リンパ腫と呼ばれる免疫細胞系のがんで死亡したとの報告がある」と指摘していた。

ただし英国ではインプラント摘出までは勧告せず、PIPを含むあらゆる胸部インプラントが健康に及ぼす影響について監視を続けるとしている。

2011年12月21日 CNN

2011年12月21日水曜日

唾液がん検査は十分に有効

がん検査は簡単便利になるほど受信する人数の増加が見込めるために、がんの早期発見に寄与できるという理屈だ。がんの最良の治療法が、早期発見早期治療であるkとは誰もが知っているのに、早期発見のためのがん検診を面倒がるという矛盾。
実用化前のためにがん検診ではなく「スクリーニング」、つまりがん発病が疑われる患者をふるいに掛ける程度の精度のようだが、唾液だけでがんの簡易検査ができることは間接的に多くの患者を救うことになる。


末期がんになる前に全てのがん患者を発見できれば、末期がんは無くなってしまうのかもしれない。


2011年12月21日 ZAKZAK

唾液から“がん”が発見できる時代へ!
 人の唾液を調べて、健康・医療に役立てる研究が進んでいる。最近では、前立腺がんの腫瘍マーカー(血液検査)であるPSA(前立腺特異抗原)検査が唾液でも行えることが報告された。唾液でどこまでわかるのか。唾液検査の現状について専門家に聞いた。
 ■血液と唾液の関係
 PSAは唾液中にも含まれ、前立腺がん手術後の再発・転移を調べるのにも有効だとの研究結果をまとめたのは、神奈川歯科大学の槻木恵一教授(唾液腺健康医学)らのグループだ。
 研究によると、前立腺がん患者31人を調べ、再発や転移が見つかった11人はPSAの血中濃度が高い上に、血中濃度が上がるにつれ唾液中の濃度も上がっていた。再発・転移のない20人は血中濃度が低く、唾液中にもほとんど含まれていなかったという。
 現在、唾液用の検査キットを開発中で、今年度中にはさらに大規模研究がスタートする運びだ。
 ■偽陰性なく十分有効
 PSAは前立腺から分泌される物質で、がん以外でも前立腺に病気があると血中濃度が高くなる。
 では、なぜ唾液中にもPSAが現れるのか。
 槻木教授は「唾液は血液から作られていて、血液成分を反映するからです」と話し、唾液検査の精度をこう説明する。
 「欠点をいえば、口腔内の細菌や病変に影響を受ける場合があり、さらに唾液は血液より濃度の幅が大きい。ただし、PSA唾液検査では、偽陽性の可能性はあっても偽陰性はなく、スクリーニングに十分有効です」
 とくに大きな利点は「痛くない、簡単、誰でも採取できる」ところだ。
 ■唾液に有望な将来性
 槻木教授は「最も大切な成果は、すでに広く使われている腫瘍マーカーが、唾液検査に応用できることが分かったこと。早く実用化に取りかかれるのです」と話す。
 これまでも唾液でがんを発見する研究はあったが、新しいマーカーを見つけることに重点が置かれているため、実用化にはまだ時間がかかる。たとえば、慶応大では唾液から、すい臓がん、乳がん、口腔がんを見つけるための新しいマーカーの開発が進められている。
 唾液腺と全身の関係や唾液中の無数の成分には解明されていないことが多く、今後も唾液腺関連研究の進展次第では、まだ多くの検査や病気予防への応用の将来性が秘められているという。
 槻木教授は、現在取り組む有望な研究テーマの概要をこう話す。
 「唾液には多数の抗菌物質が含まれ、この量の違いが、唾液の質の差となり健康のバロメーターになる。また、舌下部からある唾液成分が血液に再吸収されているが、その成分の働きが全身の健康に大きく関与していることに注目しています」
 今後の唾液研究に大いに期待したいところだ。
■唾液からわかる主な検査項目
○虫歯のなりやすさ
○歯周病の状態
○HIVウイルスの有無
○ストレスの測定
○喫煙習慣
○大麻や覚醒剤の使用の有無
△乳がん・前立腺がんのスクリーニング
△生体の活性度(免疫力)
△疲労度(ウイルスの量)
△妊娠しているかどうか
△性病関連の検査
△環境汚染の程度(環境ホルモンの量)
※○は検査が確立・実用化されている。
 △は研究中で今後の実用化が可能

最も簡単ながん検査が実用化へ


唾液から“がん”が発見できる時代へ!

人の唾液を調べて、健康・医療に役立てる研究が進んでいる。最近では、前立腺がんの腫瘍マーカー(血液検査)であるPSA(前立腺特異抗原)検査が唾液でも行えることが報告された。唾液でどこまでわかるのか。唾液検査の現状について専門家に聞いた。

 ■血液と唾液の関係

PSAは唾液中にも含まれ、前立腺がん手術後の再発・転移を調べるのにも有効だとの研究結果をまとめたのは、神奈川歯科大学の槻木恵一教授(唾液腺健康医学)らのグループだ。

 研究によると、前立腺がん患者31人を調べ、再発や転移が見つかった11人はPSAの血中濃度が高い上に、血中濃度が上がるにつれ唾液中の濃度も上がっていた。再発・転移のない20人は血中濃度が低く、唾液中にもほとんど含まれていなかったという。

 現在、唾液用の検査キットを開発中で、今年度中にはさらに大規模研究がスタートする運びだ。

 ■偽陰性なく十分有効

PSAは前立腺から分泌される物質で、がん以外でも前立腺に病気があると血中濃度が高くなる。

 では、なぜ唾液中にもPSAが現れるのか。

 槻木教授は「唾液は血液から作られていて、血液成分を反映するからです」と話し、唾液検査の精度をこう説明する。

 「欠点をいえば、口腔内の細菌や病変に影響を受ける場合があり、さらに唾液は血液より濃度の幅が大きい。ただし、PSA唾液検査では、偽陽性の可能性はあっても偽陰性はなく、スクリーニングに十分有効です」

 とくに大きな利点は「痛くない、簡単、誰でも採取できる」ところだ。

 ■唾液に有望な将来性

槻木教授は「最も大切な成果は、すでに広く使われている腫瘍マーカーが、唾液検査に応用できることが分かったこと。早く実用化に取りかかれるのです」と話す。

 これまでも唾液でがんを発見する研究はあったが、新しいマーカーを見つけることに重点が置かれているため、実用化にはまだ時間がかかる。たとえば、慶応大では唾液から、すい臓がん乳がん口腔がんを見つけるための新しいマーカーの開発が進められている。

 唾液腺と全身の関係や唾液中の無数の成分には解明されていないことが多く、今後も唾液腺関連研究の進展次第では、まだ多くの検査や病気予防への応用の将来性が秘められているという。

 槻木教授は、現在取り組む有望な研究テーマの概要をこう話す。

 「唾液には多数の抗菌物質が含まれ、この量の違いが、唾液の質の差となり健康のバロメーターになる。また、舌下部からある唾液成分が血液に再吸収されているが、その成分の働きが全身の健康に大きく関与していることに注目しています」
 今後の唾液研究に大いに期待したいところだ。

■唾液からわかる主な検査項目
○虫歯のなりやすさ
○歯周病の状態
○HIVウイルスの有無
○ストレスの測定
○喫煙習慣
○大麻や覚醒剤の使用の有無
△乳がん・前立腺がんのスクリーニング
△生体の活性度(免疫力)
△疲労度(ウイルスの量)
△妊娠しているかどうか
△性病関連の検査
△環境汚染の程度(環境ホルモンの量)

※○は検査が確立・実用化されている。
 △は研究中で今後の実用化が可能

2011年12月21日 ZAKZAK

2011年12月19日月曜日

京都と神戸だけの最新肺がん治療

がんを狙い打つ放射線治療
肺がん治療に用いられる放射線治療の問題は、副作用と効果のバランスが悪いことだ。放射線が目標となるがん細胞だけに照射されてがん細胞だけが死滅させられるのが理想だが、実際にはがん細胞だけでなく、周囲の正常な細胞にも放射線が当たってしまう。そのために吐き気、嘔吐、虚脱感、抜け毛などの副作用が引き起こされていた。さらに肺がんへの放射線治療を困難にしているのは、呼吸によって肺が動き、放射線治療の対象となる肺がん患部も動いてしまうことだった。そのため、肺がんへの放射線治療は正常細胞をも痛めてしまう治療例が後を絶たなかったのだ。
要するに正常細胞には放射線を当てず、狙ったがん細胞だけに放射線を当てれば良いだが、これが従来のがん治療機器では不可能だったのである。
しかし、近年の最新のがん放射線治療機器に機能された自動追尾装置ならば、がんの病巣を呼吸に合わせて追尾しながら、がん細胞だけにピンポイントで放射線を照射できる手法が確立された。
従来ならば、呼吸に伴って肺がん患部が揺れ動くために、放射線を照射する対象の病巣部を正確にリアルタイムで捉えることが不可能だったが、最新鋭の機器ならば正常な臓器や組織への放射線量を少なくすることができ、副作用の軽減が期待できるのだ。がん患部への照射と、エックス線で透視した画像処理を並行することで、がん病巣の位置を常に把握できる。治療中から照射ヘッドの向きを変えることで、動くがん病巣への放射線照射をリアルタイムで追尾可能になった。
従来の放射線治療法と比べると、がん病巣への同じ放射線量を照射しつつ、正常な肺への放射線量は2割減となった。治療時間は1回30分程度で、公的医療保険が適用されることが特筆される。
現在のところ世界中でも、京都大病院と神戸市の先端医療センター病院だけが、この最新機器でのがん治療を実施している。

子宮筋腫と子宮肉腫を容易に見分ける新手法

PET使い子宮筋腫・肉腫を判別

近年に女性の晩婚化や少子化が原因で増えているとされる子宮筋腫は、子宮肉腫や子宮がんへの変異が心配されることが多い。

従来、子宮筋腫と子宮肉腫を見分ける診断は難しいものだった。しかし、陽電子放射断層撮影(PET)を利用することで、患者の負担は最小でも9割以上の高い精度でがん診断することができるようになった。

この「PET診断法」は、福井大産科婦人科の吉田好雄准教授と福井大高エネルギー医学研究センターの岡沢秀彦教授が開発した手法で、米国核医学学会「がん・腫瘍(しゅよう)診断部門」では「最高賞」を獲得している。

2011年12月16日金曜日

乳がんに新薬抗がん剤

 

抗がん剤「ハラヴェン」がカナダで承認

乳がん、それも再発・転移乳がんに対する新薬が、カナダ保健省から承認を取得した。
乳がん新薬の名称は、抗がん剤「ハラヴェン」。

「ハラヴェン」は、2010年3月に日本、米国、欧州で同時申請を行い、世界で初めて2010年11月に米国で抗がん剤としての承認を取得した。2011年12月時点では、今回のカナダを含め、シンガポール、欧州、日本、スイスなど世界35カ国で承認されている抗がん剤である。

がん患者が痛みに耐えていた時代

がん患者が痛みに耐えていたのは前時代の治療状態だ。
現代のがん治療は、QOL(生の質)を最優先に、痛みを和らげることに主眼を置く。がんの疼痛緩和に対して、積極的に医療用麻薬=モルヒネを利用することも非常に有効なのである。
がん患者の痛みの緩和ケアには麻薬だけでなく、「ハンドマッサージ」も有効であり病棟での実施も拡がり、各地で講習会も盛んになりつつある。
がんの痛みのケアのためには、オイルを塗ったがん患者の手の甲や指先を「相手を思いやりながらゆっくりと」もみほぐすことが大事なのだ。
がん患者や家族がマッサージを憶えることで、がん患者の闘病に寄与できるのである。

2011年12月15日木曜日

婦人科がんの血液がん解析サービス

採血だけで複数のがんを早期発見

わずか5mlの採血だけで複数のがんが検診できて、受診者は疑いのあるがんに絞って次のステップの精密検査を受けられる。 血液中に含まれる約20種類のアミノ酸の濃度を測定解析し、そのバランスの変化から、がんの可能性を調べる検査方法だ。が実用化された。 導入する医療機関が増えており、胃がんなど5種類のがんで解析サービスから、人間ドックや健康診断での利用も広がる。

◎ 費用は18,900円

検査は、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がんが対象。 「アミノインデックスがんリスクスクリーニング(AICS)」と呼ばれる味の素が独自開発した技術を臨床応用したもの。 従来のがん検診ならば、胃がんのバリウム検査や肺がんの胸部エックス線検査、大腸がんの便潜血検査などが必要だった。がんの種類毎に違う検査が必要だった ため、受診者の負担が大きかった。しかしAICSは、1回の少量の採血だけで、これらのがんのリスクを同時に精度高く調べられるのだ。

◎ 婦人科がんにも対応

 AICSの大きな特徴は、早期がんに対する感度精度の高さだ。いわゆる腫瘍マーカーでの検査では、がんが進行しないと感知されないが、アミノ酸のバランスはがんの早期に崩れて検出される。

既に、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの、いわゆる婦人科の検診にも適用できることが判明していることから、早々に解析サービス追加される見込み。

今後は、早期発見が難しかった膵臓がんへの応用が期待されている。

脂肪肝から肝がんへの高リスク

高リスクで肝癌に進展する「非アルコール性脂肪肝炎」とは
肝硬変や肝がんは、B型やC型肝炎ウイルス感染、アルコールの過剰摂取が原因といわれている。近年肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を高頻度に合併した脂肪肝で、炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝硬変、肝がんでの死亡が増加している。健康診断で脂肪肝と診断され、年々肝臓の数値が悪化している場合は専門医による早期の受診が不可欠だ。
健康診断で脂肪肝を指摘されても、症状もないため放置することが多い。しかし、肝硬変や肝がんのリスクが高い脂肪肝もある。
従来、肝硬変や肝がんの原因は、B型、C型肝炎ウイルスの感染や過剰なアルコール摂取が主だった。ところが近年、ウイルスに感染しておらず、アルコール摂取もない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の中で、炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からの肝硬変・肝がんが増加している。NASHの多くは肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を合併しており、ウイルス性やアルコール性肝炎よりも予後が悪い場合がある。
大阪府済生会吹田病院の岡上武院長に話を聞いた。
「NAFLDは現在約1000万人いるといわれ、予後が比較的良好な単純性脂肪肝と、予後が悪いNASHに分かれます。NAFLDのうち20~30%がNASHと推計され、NASHは10年以内に10~30%が肝硬変や肝がんに進展します」
2011年12月15日 週刊ポスト

がんに集まるホウ素入り薬剤

がん治療装置 小型に

 放射線の一種である中性子を使い、がん細胞をねらい撃って破壊する 治療法を普及させるための研究に、筑波大を中心としたチームが取り組んでいる。東海村の先端科学研究施設J―PARCの技術を応用。こうした治療は現在、 原子炉のある施設でしかできないが、チームが4年後の実用化をめざす小型装置が完成すれば、病院での治療も可能になる。

 治療法は「BNCT(中性子捕捉療法)」と呼ばれる。がん細胞に集まる性質をもつホウ素入り薬剤を体内に入れた後、患部に弱い中性子ビームを照射。中性子とホウ素が核反応を起こして出るアルファ線が、がん細胞だけを壊す仕組みだ=図。周りの正常な細胞に影響をほとんど与えず、副作用も極めて少ない。30分間、1回の照射で完了する。

 BNCTの臨床研究にかかわる筑波大脳神経外科の松村明教授は「臓器の中に複数のがんができる多発がんや、再発したがんなど、これまでの放射線治療が苦手としてきたがんの治療に高い効果が期待できる」と話す。

2011年12月15日 朝日新聞

2011年12月14日水曜日

腫瘍が80%縮小の新薬、すい臓がんワクチン

免疫系を「訓練」、画期的な乳がんワクチンを開発 米研究
乳がん、大腸がん、卵巣がん、すい臓がんの治療に有効と見られる画期的な仕組みのワクチンを開発し、マウスの実験で腫瘍を大幅に縮小できたとする論文が、12日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。
 ワクチンを開発したのは、米ジョージア大学(University of Georgia)がんセンターのヘルトヤン・ブーンズ(Geert-Jan Boons)教授と米メイヨークリニック(Mayo Clinic)のサンドラ・ジェンドラー(Sandra Gendler)教授のチーム。細胞表面にMUC1たんぱく質が付着している腫瘍を見つけ出して殺すよう、免疫系を訓練するというもので、こうした仕組みを持つワクチンは世界初だという。
 MUC1は乳がん、すい臓がん、卵巣がん、多発性骨髄腫など、悪性で致死率も高いタイプのがんの70%以上で見られる糖たんぱく質。タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、ハーセプチンなどの抗ホルモン剤が効かないいわゆるトリプルネガティブ乳がん患者の90%で過剰発現することでも知られる。
 マウスにこのワクチンを投与してみたところ、免疫系の3つの構成要素すべてが活性化され、腫瘍が平均で80%も縮小した。
マウスでの実験結果が人間には当てはまらないというケースは多いが、研究チームは、極めて強い免疫反応を示し独特の仕組みを持つこのワクチンに大きな期待を寄せており、ワクチンの安全性を確認するフェーズ1の臨床試験を2013年中にも開始したい考えだ。
 なお、このワクチンは化学療法との併用が可能で、特定のがんに対する予防効果もあるという。
2011年12月13日 AFP

画期的なすい臓がんワクチン、新薬

免疫系を「訓練」、画期的な乳がんワクチンを開発 米研究

乳がん大腸がん卵巣がんすい臓がんの治療に有効と見られる画期的な仕組みのワクチンを開発し、マウスの実験で腫瘍を大幅に縮小できたとする論文が、12日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。

 ワクチンを開発したのは、米ジョージア大学(University of Georgia)がんセンターのヘルトヤン・ブーンズ(Geert-Jan Boons)教授と米メイヨークリニック(Mayo Clinic)のサンドラ・ジェンドラー(Sandra Gendler)教授のチーム。細胞表面にMUC1たんぱく質が付着している腫瘍を見つけ出して殺すよう、免疫系を訓練するというもので、こうした仕組みを持つワクチンは世界初だという。

 MUC1は乳がん、すい臓がん、卵巣がん、多発性骨髄腫など、悪性で致死率も高いタイプのがんの70%以上で見られる糖たんぱく質。タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、ハーセプチンなどの抗ホルモン剤が効かないいわゆるトリプルネガティブ乳がん患者の90%で過剰発現することでも知られる。

 マウスにこのワクチンを投与してみたところ、免疫系の3つの構成要素すべてが活性化され、腫瘍が平均で80%も縮小した。

 マウスでの実験結果が人間には当てはまらないというケースは多いが、研究チームは、極めて強い免疫反応を示し独特の仕組みを持つこのワクチンに大きな期待を寄せており、ワクチンの安全性を確認するフェーズ1の臨床試験を2013年中にも開始したい考えだ。

 なお、このワクチンは化学療法との併用が可能で、特定のがんに対する予防効果もあるという。

2011年12月13日 AFP

大腸がんを早期発見できる新型内視鏡

大腸がんの早期発見をサポートする下部消化管用拡大内視鏡
135倍まで病変を拡大観察可能、大腸がんの早期発見をサポート
下部消化管用拡大内視鏡 「EC-590ZP」大腸への挿入性向上、ひいては患者負担軽減が期待できる!
 富士フイルム株式会社(社長:古森 重隆)は、大腸の検査・治療に使用される下部消化管用拡大内視鏡の新ラインアップとして、挿入部が11.8mmの細径で倍率135倍まで病変を拡大観察可能な「EC-590ZP」を、12月15日より富士フイルムメディカル株式会社(社長:平井 治郎)を通じて発売いたします。「EC-590ZP」は、大腸への挿入性向上による大腸検査時の患者負担軽減を目指すとともに、独自の画像センサー・光学技術による高画質画像で病変の早期発見をサポートする新製品です。
 大腸は全長が長く、急峻な屈曲部を持つ臓器であることから、大腸内視鏡には、挿入性の良さや観察性能の高さに加え、患者の苦痛を抑える工夫が必要とされています。患者の苦痛を抑えるためには、スコープの細さ、軟らかさが求められている一方、医師の操作の力加減をスコープに伝えるために、ある程度の硬さも必要とされています。
 今回発売する「EC-590ZP」は、こうした医療現場のニーズに対応し、スコープ表面にコーティングする樹脂の量を、先端部分から手元側の操作部に向け連続して変化させる構造を採用。スコープの先端部分には柔軟性を持たせ、手元側の操作部に向かってスコープを硬くしています。これにより、患者の苦痛軽減に繋がるスコープ先端部分の軟らかさと、力加減を伝えるために必要なスコープの硬さという点で、適切なバランスを追求しています。大腸への挿入性のさらなる向上と、患者の苦痛軽減の両立を追求することで、効率的かつ安全な検査の実現を目指します。
 「EC-590ZP」は、挿入部に11.8mmの細径を採用しました。また、独自のスコープ設計技術を駆使し、光学ズーム機能により倍率135倍まで病変を拡大観察可能です。さらに、血管観察の阻害要因となる長波長光をカットする光学部材を搭載し、粘膜と微細血管の色のコントラストをより向上させました。分光画像処理機能「FICE(*3)」 と併用でき、病変の早期発見・診断をサポートします。この他、独自の画像センサー「スーパーCCDハニカム(TM)」を搭載し、高い解像度を実現。微細な血管走行等、微妙な色の違いの描写力向上が期待できます。
 富士フイルムは、これまで高画質で定評のある「EC-590WM3」をはじめとする下部消化管用スコープを発売し、ご好評をいただいております。また、鼻からの挿入に適したしなやかさを持つ「経鼻内視鏡」や、小腸の観察・処置を容易にした「ダブルバルーン内視鏡」など、独自の技術で挿入性向上、患者の苦痛軽減を目指しています。今後も、医療現場のニーズにこたえる内視鏡関連製品のラインアップを拡充し、医療の質や効率の向上、人々の健康増進に貢献していきます。
2011年12月14日 プレスリリース

2011年12月13日火曜日

8分間で判明する吐息の肺がん検査

肺がんを最先端技術で診断・治療
聖マリアンナ医科大学病院
 コンピューター画像診断や気管支鏡などの進歩により、ごく小さな段階で見つかるようになっている肺がんだが、国内では年間およそ7万人が命を落としている。さまざまな診断技術が開発されているにも関わらず、多くの人が受けているレントゲン撮影や、痰の中にがん細胞がないかを調べる喀痰(かくたん)検査だけでは、見逃されている早期がんがあるからだ。
 現在、世界的には、人の吐く息で肺がんを調べる方法について研究が進められている。呼気には揮発性有機化合物が含まれ、それを分析すると、肺がんの有無だけでなく、がんの種類や呼吸のできにくくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの診断も可能になるという。しかも、機械によっては検査結果が出るまでたった8分。簡便で短時間の検査が可能なため、将来的に健康診断などに導入されることで、より多くの早期肺がんや初期のCOPDを見つけることへの期待が高い。
 そんな世界最新の呼気分析の研究を今年1月からスタートしたのが聖マリアンナ医科大学病院呼吸器・感染症内科。最先端の気管支鏡を用いた診断と治療(呼吸器インターベンション)のメッカで、国内トップクラスの実力を誇る。
 「早期の肺がんであれば、ダイオードレーザーによるPDT(光線力学的治療)で治療を行うことが可能です。また、手術や放射線、抗がん剤など治療法はいろいろあります。簡単に早期の肺がんを発見できる方法さえあれば、もっと多くの人を救うことができるのです。そのために検査方法の研究も進めています」とは、同科の宮澤輝臣教授(62)。長年、「呼吸困難を克服する」ことをテーマに研究に取り組んできた。気道を広げるための気管支ステントでは、「MIYAZAWAステント」を開発するなど、常に最先端技術の先駆者であり続けている。
 そんな宮澤教授は、かつてドイツ留学した際に知り合い、今も親交のあるローランドクリニック(エッセン)のフライターク教授から呼気検査の「イオン移動度分析機」の情報を得て共同研究を始めた。
 「人がこの装置に息を吹きかけるだけで、肺がんが8分後にほぼわかる(特異度100%)」とフライターク教授は言う。
 「呼気でがんの有無がわかるがん探知犬は、1989年以来、最近まで多数論文発表されています。しかし、探知犬を育てるのには時間がかかり、犬にも負担になります。呼気分析機なら、その検査法や精度が明確になれば、幅広く普及させることができるでしょう」(宮澤教授)
 呼気分析機の研究が進むと、治療後に肺がんが本当に消えたか再発したかどうかの判定も可能。さらには、呼吸器感染症を引き起こす細菌の有無とその種類までも調べることができるようになるそうだ。ドイツではすでにこの機械で成果を上げ、日本では宮澤教授チームの研究が第一歩となる。「将来的に呼気分析が先進医療に認められることを目指しています」と宮澤教授。そのためにまい進中だ。 
<データ>2010年実績
☆新規患者数935人(内訳/肺がん687人/肺炎83人/COPDおよび気管支喘息63人/気胸・縦隔気腫56人/びまん性肺疾患46人)
☆呼吸器インターベンション50件
☆気管支鏡検査659件
☆病院病床数1208床(呼吸器内科病床数約50床)
〔住所〕〒216-8511神奈川県川崎市宮前区菅生2の16の1 
(電)044・977・8111
2011年12月11日 ZAKZAK

肺がんが8分後に判明する検査装置

肺がんを最先端技術で診断・治療

聖マリアンナ医科大学病院

コンピューター画像診断や気管支鏡などの進歩により、ごく小さな段階で見つかるようになっている肺がんだが、国内では年間およそ7万人が命を落としている。さまざまな診断技術が開発されているにも関わらず、多くの人が受けているレントゲン撮影や、痰の中にがん細胞がないかを調べる喀痰(かくたん)検査だけでは、見逃されている早期がんがあるからだ。

現在、世界的には、人の吐く息で肺がんを調べる方法について研究が進められている。呼気には揮発性有機化合物が含まれ、それを分析すると、肺がんの有無だけでなく、がんの種類や呼吸のできにくくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの診断も可能になるという。しかも、機械によっては検査結果が出るまでたった8分。簡便で短時間の検査が可能なため、将来的に健康診断などに導入されることで、より多くの早期肺がんや初期のCOPDを見つけることへの期待が高い。

そんな世界最新の呼気分析の研究を今年1月からスタートしたのが聖マリアンナ医科大学病院呼吸器・感染症内科。最先端の気管支鏡を用いた診断と治療(呼吸器インターベンション)のメッカで、国内トップクラスの実力を誇る。

「早期の肺がんであれば、ダイオードレーザーによるPDT(光線力学的治療)で治療を行うことが可能です。また、手術や放射線、抗がん剤など治療法はいろいろあります。簡単に早期の肺がんを 発見できる方法さえあれば、もっと多くの人を救うことができるのです。そのために検査方法の研究も進めています」とは、同科の宮澤輝臣教授(62)。長 年、「呼吸困難を克服する」ことをテーマに研究に取り組んできた。気道を広げるための気管支ステントでは、「MIYAZAWAステント」を開発するなど、 常に最先端技術の先駆者であり続けている。

そんな宮澤教授は、かつてドイツ留学した際に知り合い、今も親交のあるローランドクリニック(エッセン)のフライターク教授から呼気検査の「イオン移動度分析機」の情報を得て共同研究を始めた。

「人がこの装置に息を吹きかけるだけで、肺がんが8分後にほぼわかる(特異度100%)」とフライターク教授は言う。

「呼気でがんの有無がわかるがん探知犬は、1989年以来、最近まで多数論文発表されています。しかし、探知犬を育てるのには時間がかかり、犬にも負担になります。呼気分析機なら、その検査法や精度が明確になれば、幅広く普及させることができるでしょう」(宮澤教授)

呼気分析機の研究が進むと、治療後に肺がんが本当に消えたか再発したかどうかの判定も可能。さらには、呼吸器感染症を引き起こす細菌の有無とその種類ま でも調べることができるようになるそうだ。ドイツではすでにこの機械で成果を上げ、日本では宮澤教授チームの研究が第一歩となる。「将来的に呼気分析が先 進医療に認められることを目指しています」と宮澤教授。そのためにまい進中だ。 

<データ>2010年実績
☆新規患者数935人(内訳/肺がん687人/肺炎83人/COPDおよび気管支喘息63人/気胸・縦隔気腫56人/びまん性肺疾患46人)
☆呼吸器インターベンション50件
☆気管支鏡検査659件
☆病院病床数1208床(呼吸器内科病床数約50床)
〔住所〕〒216-8511神奈川県川崎市宮前区菅生2の16の1 
(電)044・977・8111

2011年12月11日 ZAKZAK

食道がんの原因と治療法


食道がんの原因としては、主に喫煙や飲酒などの食生活やストレスなどと関係があり、発症は50~60代がピーク。思い当たる同世代のサラリーマンは注意が必要だ。 「ストレスが免疫力を低下させることで、がんを悪化させる要因になることも。

50~60代に多く、60代過ぎが発症のピーク。
長い飲酒や喫煙習慣がリスク要因になっており、食道を刺激するのも発症のリスクを高める。極端に熱いものや冷たいものを食べ過ぎるのは避けたほうがいい。

 食道がんが疑われる兆候には、

(1)食べ物が詰まる
(2)発熱や痰を伴わない空咳
(3)みぞおちがしくしく痛む
(4)胸の圧迫感
(5)食道の違和感
(6)恒常的な胸焼け
(7)風邪をひいていないのに声が枯れる

といったものが挙げられる。

食道がんの最大の問題は手術の難しさ。
心臓や肺などの器官に近い部位であるため、胸と脇を大きく切開しなければならない。外科手術の中でも高い技術を要求される手術。食道がんは再発リスクが高く、進行も早い。末期がんの場合には、1年以内に亡くなるケースも少なくは無い。

  しかし、早期発見ならば胃カメラ(内視鏡)で食道内部から切除することが可能で、抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療法も確立されている。

検診で発見されるケースが圧倒的に多いので、年に一度は胃カメラ検診を受けることで早期発見、治癒に繋がることが多い。

がん患者のうつ病の注意点


がん患者の5%にうつ病が合併,ニーズ高まる精神腫瘍学の役割

がんという重大なライフイベントが与える精神的衝撃は甚大であり,うつ病などの精神症状を呈するがん患者は少なくないという。日本のあるデータによると,がん患者の約5%がうつ病と診断され,適応障害を含めると約20%が精神的問題を抱えているとされる。

そのような背景から,がん患者やその家族に対する精神医学的アプローチを専門とする精神腫瘍科のニーズが高まっている。国立がん研究センターでは1992年に精神科(2008年に精神腫瘍科に名称変更)を設置,がん患者とその家族への精神医療や緩和ケアに取り組んでいる。
精神疾患に罹患したがん患者への薬物治療には注意が必要であり、効果的な精神療法も並行する必要がある。

がん患者のうつ病

がん患者の5%にうつ病が合併,ニーズ高まる精神腫瘍学の役割

がんという重大なライフイベントが与える精神的衝撃は甚大であり,うつ病などの精神症状を呈するがん患者は少なくないという。日本のあるデータによると,がん患者の約5%がうつ病と診断され,適応障害を含めると約20%が精神的問題を抱えているとされる。
そのような背景から,がん患者やその家族に対する精神医学的アプローチを専門とする精神腫瘍科のニーズが高まっている。国立がん研究センターでは1992年に精神科(2008年に精神腫瘍科に名称変更)を設置,がん患者とその家族への精神医療や緩和ケアに取り組んでいる。

精神疾患に罹患したがん患者への薬物治療には注意が必要であり、効果的な精神療法も並行する必要がある。

子宮体がん摘出手術の歌手

“歌う尼さん”やなせななさんが子宮体がんの経験講演 
 シンガー・ソングライターと住職を兼ねる“歌う尼さん”やなせなな(本名・梁瀬奈々)さん(36)=奈良県高取町=がこのほど、松浦市内で講演。子宮体がんの経験を通して「人の痛みに気付き、分かち合う心が大切」と語り掛けた。
 やなせさんは28歳でデビュー。その後、がんが見つかり、30歳の時に摘出手術を受けた。現在は実家の浄土真宗教恩寺の住職を務める一方、各地で講演やコンサートを開いている。
 「心から心へと 伝えられる あいのうた」と題して、オリジナル曲を温かく力強い歌声で届け、曲に込めた思いやエピソードを紹介。出産できない体となった手術後のつらさを「子どもを見たときに不意に涙がこぼれてきた」と回顧。同じがん体験の境遇の人に多く出会い「病気をして初めて、苦しみや悲しみをそれぞれ背負って生きていることに気付いた」と述べた。
 東日本大震災の発生後は被災地を何度も訪問。現地の僧侶が書いた詞にメロディーを付けた鎮魂歌も披露した。
 人権週間(4~10日)に合わせ、市と市教委が開催。約250人が聞き入り、目頭を押さえる姿も見られた。
2011年12月11日 長崎新聞

がん患者をデータベース化

がん患者、データベース化 市区町村や年齢・部位別に

 東京都は都内の病院からがん患者の情報を収集し、2015年をめどにデータベースを作る。まず約5万件のデータをまとめ、がんにかかった人の割合を市区 町村別、年齢別、部位別に集計する。都内でがんによる死亡者は年間3万人以上にのぼる。きめ細かく実態を把握・公表することで、市区町村に検診の拡充など がん対策にいかしてもらう。

 国の指針に基づく事業で、すでに多くの県で実施している。都内では病院が多いこともあり、都は手掛けていなかった。 都立駒込病院(文京区)に登録室を設け、7月から順次、医療機関に情報提供してもらう。来年1月以降、病院にかかった都内在住の患者が対象で、がんの部位、発見の経緯(検診、人間ドックなど)、放射線治療の有無など25項目を登録する。個人情報保護法の適用外で患者の同意は不要という。すでに約150病院に協力を呼び掛けた。

 同じ人が複数の病院で受診しているケースもあるため、重複の確認作業などに時間がかかり、12年の結果が出るのに3年程度かかるという。当初はがんによる年間死亡者の1.5倍の約5万件、最終的には同2倍の6万件の収集を目指す。

 この情報をもとに、市区町村別にがんにかかった人の割合を体の部位や年齢別などに分けて集計する。これを市区町村のがん対策にいかしてもらう。荒川区は一定年齢以上の区民が胃、肺、大腸、乳がん子宮頸(けい)がん定期検診を無料で受けられるようにしているなど、市町村で検診の内容が異なる。データが整備されれば、例えば、肺がんの人の割合が高い地域では、肺がんの検診を拡充するなどの政策も可能になる。

 血液のがんの一種である成人T細胞白血病(ATL)の割合が高い長崎県では国に先立ち、妊娠後の検査を自己負担なしで受けられるようにしてきた。大阪府では病院ごとに部位別の治療人数と5年後の生存率を公表し、病院選びの参考にしてもらっている。

 またがん患者の割合を公表することで、がん検診の受診率を高める狙いもある。現在、都内のがん検診の受診率は35%前後で50%に高める目標。

2011年12月13日 日本経済新聞

2011年12月12日月曜日

すい臓がんの新薬候補食品

ゴボウの種で膵臓がん縮小 富山大、臨床試験開始

伝統医薬学に特化した国内唯一の研究所、富山大和漢医薬学総合研究所(富山市)の門田重利教授(天然物化学)らが、ゴボウの種に含まれる成分が膵臓がんの縮小に効果があることを発見した。既に臨床試験が始まり、治療法が少ない膵臓がんの治療薬として実用化が期待されている。

国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)、クラシエ製薬漢方研究所(富山県高岡市)との共同研究。効果が確認されたのはゴボウの種に含まれる「アルクチゲニン」。ゴボウの種は解熱や鎮痛作用があり、漢方生薬として使われている。

2011年12月8日 共同通信

膵臓がん新薬の候補食品


ゴボウの種で膵臓がん縮小 富山大、臨床試験開始

伝統医薬学に特化した国内唯一の研究所、富山大和漢医薬学総合研究所(富山市)の門田重利教授(天然物化学)らが、ゴボウの種に含まれる成分が膵臓がんの縮小に効果があることを発見した。既に臨床試験が始まり、治療法が少ない膵臓がんの治療薬として実用化が期待されている。
国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)、クラシエ製薬漢方研究所(富山県高岡市)との共同研究。効果が確認されたのはゴボウの種に含まれる「アルクチゲニン」。ゴボウの種は解熱や鎮痛作用があり、漢方生薬として使われている。
2011年12月8日 共同通信

膵臓がんになるリスク90%高

ライフスタイルの「処方箋」で簡単に癌予防!

 ご飯を食べるときには、一口30回噛むこと。調査によりますと、ご飯を食べるのが速い人は、胃がんにかかるリスクが高いということです。良く噛むことにより、消化器系への食べ物の負担を減らし、胃や腸が癌にかかるリスクを減少させることができます。そして、アメリカの研究によりますと、唾液には強力な殺菌作用があり、肝臓癌を引き起こすアフラトキシンの毒性を30秒以内で消せるということです。

 ですから、一回噛むのを1秒とすると、一口30回噛めば、癌の予防が出来るのです。

 一日7時間の睡眠を確保すること。アメリカ癌研究会の調査によりますと、毎日の睡眠時間が7時間に満たない女性は、乳がんにかかるリスクが47%高くなるということです。これは、睡眠時間が不足すると、何らかの理由でメラトニンの生成が妨害され、その結果、女性の体内で乳がん促進物質として知られるホルモンのエストロゲンが過剰に分泌されるため、乳がんにかかるリスクが高くなるというものです。

 上海市中国医学不眠症医療協力センターの施明副主任は、夜の10時半前から寝る準備を始め、11時前には寝るようにし、朝の6時から7時の間に起きることを薦めています。

 このほか、ドイツの睡眠の専門家は、昼食後の午後1時頃が日中で一番眠気を感じることが多く、この時間に少し居眠りができれば、体内の免疫細胞の活性を促し、がん予防に効果があると述べています。

 糖分を控えめにすること。癌細胞がもっとも好む食べ物は糖分です。癌細胞が血流に乗って流れるとき、血糖の57%が癌細胞に吸収されて、その栄養成分となります。

 アメリカの医学誌によりますと、毎日二杯の甘い飲料を飲むと、すい臓がんになるリスクは飲まない人より90%高くなるということです。

 天津医学大学付属癌病院すい臓がん科の郝続輝主任は、「できるだけ糖分のある食べ物は食べないようにしてください。そして、一日の糖分の摂取量は一人当たり50グラム以内にすべきです」と述べています。

 お肉を食べるときはワインを飲むこと。赤ワインの原料にもなっている葡萄の皮には、抗癌性物質のレスベラトロルが含まれ、消化器系の癌の予防に効果があります。

 また、豚肉や牛肉、羊肉などの赤味の肉は一週間に500グラムが適量で、食べ過ぎると結腸癌のリスクが高まります。

 しかし、お肉を食べるときに、ワインを飲めば、そのワインの中に含まれているポリフェノールは、胃の中の肉が有害物質に分解されるのを防ぐ役割があり、癌の予防に効果があるということです。普段の日常生活に注意すれば、私たちは癌から遠く離れることができます。これからは一緒に注意しましょう。

2011年12月11日 CRI

癌細胞がもっとも好む食べ物

ライフスタイルの「処方箋」で簡単に癌予防

 ご飯を食べるときには、一口30回噛むこと。調査によりますと、ご飯を食べるのが速い人は、胃がんにかかるリスクが高いということです。 良く噛むことにより、消化器系への食べ物の負担を減らし、胃や腸が癌にかかるリスクを減少させることができます。そして、アメリカの研究によりますと、唾 液には強力な殺菌作用があり、肝臓癌を引き起こすアフラトキシンの毒性を30秒以内で消せるということです。
 ですから、一回噛むのを1秒とすると、一口30回噛めば、癌の予防が出来るのです。
 一日7時間の睡眠を確保すること。アメリカ癌研究会の調査によりますと、毎日の睡眠時間が7時間に満たない女性は、乳がんにかかるリスク が47%高くなるということです。これは、睡眠時間が不足すると、何らかの理由でメラトニンの生成が妨害され、その結果、女性の体内で乳がん促進物質とし て知られるホルモンのエストロゲンが過剰に分泌されるため、乳がんにかかるリスクが高くなるというものです。
 上海市中国医学不眠症医療協力センターの施明副主任は、夜の10時半前から寝る準備を始め、11時前には寝るようにし、朝の6時から7時の間に起きることを薦めています。
 このほか、ドイツの睡眠の専門家は、昼食後の午後1時頃が日中で一番眠気を感じることが多く、この時間に少し居眠りができれば、体内の免疫細胞の活性を促し、がん予防に効果があると述べています。
 糖分を控えめにすること。癌細胞がもっとも好む食べ物は糖分です。癌細胞が血流に乗って流れるとき、血糖の57%が癌細胞に吸収されて、その栄養成分となります。
 アメリカの医学誌によりますと、毎日二杯の甘い飲料を飲むと、すい臓がんになるリスクは飲まない人より90%高くなるということです。
 天津医学大学付属癌病院すい臓がん科の郝続輝主任は、「できるだけ糖分のある食べ物は食べないようにしてください。そして、一日の糖分の摂取量は一人当たり50グラム以内にすべきです」と述べています。
 お肉を食べるときはワインを飲むこと。赤ワインの原料にもなっている葡萄の皮には、抗癌性物質のレスベラトロルが含まれ、消化器系の癌の予防に効果があります。
 また、豚肉や牛肉、羊肉などの赤味の肉は一週間に500グラムが適量で、食べ過ぎると結腸癌のリスクが高まります。
 しかし、お肉を食べるときに、ワインを飲めば、そのワインの中に含まれているポリフェノールは、胃の中の肉が有害物質に分解されるのを防ぐ役割があり、癌の予防に効果があるということです。普段の日常生活に注意すれば、私たちは癌から遠く離れることができます。これからは一緒に注意しま しょう。
2011年12月11日 CRI

がん治療の質が高い推薦病院


がん診療「協力病院」に13カ所 県指定 特定部位で質高い治療

がん医療体制の強化のため、県は特定の部位のがんの質の高い治療を受けることができる「がん診療連携協力病院」の制度を新設し、県内十三病院を指 定した。千葉、東葛南部など九つに分けられた医療地区(二次医療圏)の中で、これまで厚生労働省指定の「がん診療連携拠点病院」がなかった山武長生夷隅地 区でも、一病院が指定された。
 がん診療体制をめぐっては、専門的な医療の提供などで地域の中核となる医療機関が拠点病院として、厚生労働省から指定されている。県内には十四カ所が指定されている。
 協力病院は、肺や胃、大腸などの各部位のがんのうち一つ以上で、拠点病院と同じような診療機能を持つ医療機関として位置付ける。拠点病院に準じた 機関とし、地域のかかりつけ医との連携を強化し、がん診療体制を強化するのが狙い。院内のがん患者や家族らからのがん診療に対する相談に応じ、診療機能や 実績などの情報を県民に開示する。
 専門医の配置や手術数、化学療法の提供体制などに関し、拠点病院の専門医らで組織する選定委員会が審査し、県知事が一日付で指定した。指定期間は 四年間。県健康づくり支援課は「県内の二次医療圏のすべてで、拠点、協力病院のいずれかがある体制ができた。各医療圏ごとにより身近な病院で、がん診療が 受けられるようになる」と指定の効果を説明している。
2011年12月10日 東京新聞

2011年12月10日土曜日

転移性乳がんを抑制する新投薬法


2つの薬が転移性乳がん進行を抑制=研究

8日発表された2つの研究は、転移性乳がんの標準的な治療に薬を追加することで、腫瘍の成長を大幅に遅らせることができるとしている。研究では、腫瘍の成長につながる要因をターゲットにした薬が、転移性乳がんを抑えるための標準的な治療に加えられた。
乳がん患者のHebert氏は「アフィニトール」の投薬を受けたところ、腫瘍が21%縮小した

 大ヒット薬の「ハーセプチン」と化学療法に「ペルツズマブ」(モノクローナル抗体)を加えた研究では、腫瘍の成長が6.1カ月抑えられた。研究は、ペル ツズマブを開発したロシュ・ホールディングと子会社ジェネンテックが資金を提供。HER-2陽性の転移性乳がんと診断され、それまで乳がん治療を受けたことのなかった患者808人を対象に行われた。
 別の研究では、女性ホルモンのエストロゲンの生産を阻止する薬「エキセメスタン」にノバルティスの「アフィニトール」(転移性腎細胞がん治療薬)を追加したところ、腫瘍の成長が4.2カ月抑えられた。
2011年12月8日  WSJ

肺がん後は脳卒中に注意!

肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症率が高い―台湾研究

喫煙率の低下により近年は全体的に患者数が減少しているものの、依然としてがんによる死亡の最多を占めている肺がん。喫煙と深い関係にあり、近年は女性患者の増加が懸念されている。こうした中、肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症リスクが高いと、台湾・中国医薬大学のPei- Chun Chen氏らが、米医学誌「Stroke」(2011; 42:3034-3039)に発表した。

15万人を追跡調査

脳卒中は肺がん患者の脳血管合併症とされているが、がんのない人と比べ脳卒中のリスクが高いかどうかは明らかではない。Chen氏らは、国民健康保険のデータから抽出した1999~07年の新規肺がん患者5万2,089人と、がんのない対照者10万4,178人との間で、08年までの脳卒中の発症を比較した。

その結果、肺がん群の脳卒中発症率は対照群と比べて1.5倍高かった(1,000人当たり年間25.9人、同17.4人)。対照群と比較した肺がん患者の脳卒中全体のリスクは1.47倍、脳出血に限定すると1.78倍、脳梗塞では1.43倍だった。なお、脳卒中リスクは、男性では追跡1年後、女性では追跡2年後に低下したという。

2011年12月9日

肺がん後に発症する病気


肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症率が高い―台湾研究

喫煙率の低下により近年は全体的に患者数が減少しているものの、依然としてがんによる死亡の最多を占めている肺がん。喫煙と深い関係にあり、近年は女性患者の増加が懸念されている。こうした中、肺がん診断後1~2年は脳卒中の発症リスクが高いと、台湾・中国医薬大学のPei- Chun Chen氏らが、米医学誌「Stroke」(2011; 42:3034-3039)に発表した。
15万人を追跡調査
脳卒中は肺がん患者の脳血管合併症とされているが、がんのない人と比べ脳卒中のリスクが高いかどうかは明らかではない。Chen氏らは、国民健康保険のデータから抽出した1999~07年の新規肺がん患者5万2,089人と、がんのない対照者10万4,178人との間で、08年までの脳卒中の発症を比較した。
 その結果、肺がん群の脳卒中発症率は対照群と比べて1.5倍高かった(1,000人当たり年間25.9人、同17.4人)。対照群と比較した肺がん患者の脳卒中全体のリスクは1.47倍、脳出血に限定すると1.78倍、脳梗塞では1.43倍だった。なお、脳卒中リスクは、男性では追跡1年後、女性では追跡2年後に低下したという。

2011年12月9日

2011年12月8日木曜日

35%のすい臓がんが消失、縮小


樹状細胞で膵臓がん治療

35%で縮小や安定 ノーベル賞で注目

受賞者の死亡が発表後に判明し話題となった今年のノーベル医学生理学賞。話題の主のラルフ・スタインマン米ロックフェラー大教授は、免疫で重要な働きをす る「樹状細胞」を発見した功績が評価された。しかも自身が膵臓がんを患い、樹状細胞を使った治療で4年半の闘病生活を送っていた。樹状細胞による膵臓がん治療は日本でも行われており、最近、治療成績をまとめた論文が発表された。患者の約35%でがんが消失または縮小、安定し、「有効な治療となりうる」としている。

▽司令官と兵隊
樹状細胞はリンパ節などに存在する免疫細胞の一種で、木の枝のような突起にちなんでこの名が付けられた。がんや病原体を取り込み、その特徴を目印として、兵隊であるリンパ球に示す司令官の役割を担う。
 がん免疫療法の専門医療機関であるセレンクリニック東京 (東京都港区)では、まず、樹状細胞に育つ細胞を成分採血で患者から取り出す。培養する過程で、がんの目印であるがん抗原を取り込ませ、患者に戻すことでリンパ球にがんを攻撃させる「樹状細胞ワクチン療法」を実施している。  細胞の採取に2~3時間、培養に約2週間かかる。作製した樹状細胞ワクチンを2週間に1度の割で5~7回、3~4カ月にわたって注射する。
同クリニックは、抗がん剤や放射線治療などの標準的な治療で効果がなかった進行した膵臓がんの患者49人を対象に、以前からの抗がん剤治療に加えて樹状細胞ワクチン療法を実施、7月に治療成績を米国の膵臓学会誌に発表した。

975日生存
それによると、4週間以上にわたって、がんが消失した状態が続いた患者が2人、がんの大きさが30%以上縮小した患者が5人、がんが大きくならず安定した患者が10人で、計35%でがんが制御できたと判断された。
 ワクチン投与を始めてからの平均生存期間は少なくとも360日で、1年以上生存している患者も10人に上った。最も進行度の高いステージ4bと呼ばれる状態で治療を始め、975日延命した63歳男性の例もあった。
 同クリニックの高橋秀徳院長は「進行した膵臓がんは、通常の治療では診断から1年以上延命できればいい方だとされている。ノーベル賞の受賞は、樹状細胞ワクチン療法への世界的な期待の表れではないか」と話す。
 今回の治療で新たに分かったこともある。樹状細胞ワクチン療法に、活性化リンパ球療法を併用すると、併用しない場合に比べて平均生存期間が229日から396日に大幅に延びたのだ。

17機関で実施
活性化リンパ球療法は、患者の血液を採取し、リンパ球を増やしてから患者に戻す方法。がん細胞に対する直接的な攻撃力を高めることを狙った治療法としてかつて注目を集めたが、その後の国内外の検証で有効性が示されなかったという。
併用療法について高橋院長は「優秀な司令官が入ることで、増やした兵隊がより効果的に働くようになったのかもしれない。効果はさらなる検証が必要だ」と話す。
 米国では食品医薬品局(FDA)が2010年4月に前立腺がんに対する樹状細胞ワクチン療法を承認したが、日本では未承認。バイオベンチャー「テラ 」(東京都千代田区)は、世界で最も優先度が高いと米国などの専門家が評価したがん抗原「WT1」を使った樹状細胞ワクチン療法の開発を進め、セレンクリ ニック東京や大学病院を含む全国17の医療機関で実施している。治療費約170万~230万円は自己負担となる。

2011年12月6日 47News

すい臓がんを早期発見の微妙な症状

【これで私は助かった!】腹痛から“膵臓がん”見つかり命拾い

 見つかったときには手遅れだった-。がんの中でもこのケースが非常に多いのが「膵臓(すいぞう)がん」だ。早期発見の難しさはトップクラス。生還が最も難しい病気なのだが…。

 ■浜岡祥司さん(54歳=仮名)のケース

 膵臓がんが助かりにくいということは知っていました。だから自分が膵臓がんだと分かったときは観念しました。はっきり言って諦めていましたよ。

 きっかけは腹痛。それも「なんとなく痛い」という不快感に近いもの。胃薬を飲んでも効かず、酒の飲み過ぎだと思っていたんです。以前は会社でも一、二を争う大酒飲みでしたから。

 それでも1カ月も症状が続くと不安になってきて、そこでようやく病院を受診。症状を話すと胃カメラと超音波検査を受けることになりました。

 胃カメラでは異常はなかったものの、超音波の画像で膵管の微妙な広がりが写っていた。精密検査に進んで、CTとMRI検査の結果は「ステージ2の膵臓がん」。膵頭部に直径1センチほどのがんがあったのです。こんな僅かな病変からがんが見つかるとは驚きました。

 すぐに入院して、膵頭部と十二指腸を切除する手術が行われ、トータル1カ月ほどで退院。その後もがんが取り切れていない場合を想定して1年間の抗がん剤治療を受けました。

 抗がん剤の副作用は多少出たものの、副作用を止める薬を一緒に服用していたので、想像していたよりは軽く済みました。

 抗がん剤治療が終わってからも、定期的に検査は受けていますが、5年半が過ぎた今も転移や再発はナシ。医師の指示に従って、お酒はやめました。膵臓がんになって助かっただけでも命拾いなのに、それをみすみす捨てるようなことはできませんからね。

 ■専門医はこう見る

 膵臓がんが助かりにくいがんなのは事実です。よく「膵臓がんは背中が痛くなる」と言いますが、これはがんが脊椎の神経に浸潤して起きる症状。「黄疸(おうだん)」も同様で、膵がんに伴う自覚症状の多くは、がんがかなり進行していることを示唆します。

 早期で手がかりとなる症状というと、浜岡さんのような「上腹部の痛み」が挙げられますが、これも必ず出るわけではありません。つまり、自覚症状をアテにしていたのでは、なかなか完治は期待できないがんなのです。

 浜岡さんは「幸運」が重なったケースといえます。超音波画像の微妙な病変に気付いたのは医師や検査技師の技術が高かったから。この時点でがんが、一般的に「助かる見込みがある」とされる1センチ以下だったこともラッキーでした。

 オマケに膵臓がんの手術は食道がんと並んで難易度の高い手術。執刀する外科医には高い技術が求められます。その意味では、病院選びも重要なテーマとなります。

 こうした難関をクリアして初めて克服できる可能性が出てくる-というのが膵がんなのです。

 ただし、ハイリスクな人はいます。喫煙者、飲酒量の多い人、糖尿病の人-。特に中高年になって初めて糖尿病を指摘された人は要注意。これらに当てはまる人は、日頃から微妙な症状に注意して、年に一度の健診やドックを欠かさないことが重要です。

2011年12月7日 47News

がん適切治療とは


がん適切治療へ NPO設立

がんの治療法の研究や医療スタッフの講習を行うNPO法人が、愛知県内の多くの病院の医療スタッフが参加して設立されました。がん患者がどの病院にかかっても適切な治療を受けられるようにするためで、大学の医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。
設立されたのは、NPO法人「愛知キャンサーネットワーク」です。愛知県がんセンター中央病院などがん治療を行う愛知県内の25の病院から、医師、看護師、薬剤師などさまざまな職種のおよそ120人が参加しています。NPOでは、最新の情報を集めて抗がん剤治療のマニュアルを作ったり、定期的に勉強会を開いたりして、各職種のスタッフのレベルアップを図ります。

がんの治療を巡っては、地域の病院に医師を派遣する大学の医局 ごとに治療方針や優先的に使う薬が異なることや関わるスタッフのレベルに差があることによって、治療に格差が生じると指摘されています。NPOはこうした 格差の解消を目指していて、医局や職種など従来の枠組みにとらわれない全国的にも珍しい取り組みとして注目されています。
設立の中心になった愛知県がんセンター中央病院の室圭医師は「どの病院でも、どの地域でも、同じようにレベルの高い診療が受けられる医療を実現したい」と話していま す。
2011年12月7日 NHK

2011年12月7日水曜日

前立腺がんの腫瘍マーカー

前立腺は男性特有のもので、ここで精液の主成分が作られています。この前立腺にがんが発生して前立腺がんとなります。

 若年での発症は家族性以外はまれで、加齢とともに増加し50歳以上で発症する場合が多くなります。

 欧米人での発症率が高く、食生活上の違いが背景にあるとされていますが、人種的には米国黒人男性で最も高い発症というデータがあります。続いて白人、アジア人となります。

 しかし、近年日本でも食生活の欧米化に伴い急増しています。困ったことに他のがん同様に早期症状に目立ったものはありません。比較的早期で症状があったとしても、そのほとんどは併発する前立腺肥大症に伴う症状ということになります。

 前立腺肥大症のテーマでも以前に触れましたが、主な症状は次の通りです。進行がんとなり転移する場合にはリンパ節と骨の症状が多くなります。
  1. 尿が出にくい
  2. 尿の回数が多い
  3. 排尿後にまだ膀胱に尿が残っている感じがする
  4. 夜間頻尿
  5. 排尿したいと思ったらトイレに行くまで我慢できない
  6. 下腹部不快感
以上のような前立腺肥大症の諸症状から泌尿器科受診して、がんが発見されるケースがほとんどです。

 診断には画像診断、直腸診によりがんが疑われる場合に前立腺生検が行われて最終的診断となります。その他採血でPSA、前立腺特異抗原と呼ばれる腫瘍マーカーが早期発見に役立ちます。

 これは前立腺肥大症でも上昇することもありますが、4~10np/mlという数字ではグレーゾーンと呼ばれ、定期的な受診により経過観察が必要になります。

 10np/ml以上ではその50~80%にがんが発見されています。早期発見のためにまずは健診を!

2011年12月6日火曜日

がん増殖速度を半分に


がん細胞:増殖を半減させる酵素特定 東大チーム

がん細胞の増殖速度を半分に抑える酵素を、東京大先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授と大沢毅・特任助教(システム生物医学)らのチームが特 定した。この酵素は、ほとんどのがん細胞にあり、応用範囲の広い新薬になる可能性がある。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
 がん細胞は、正常細胞に比べて、低酸素や低栄養状態になりやすく、新しい血管を作って、栄養を確保している。
 チームは、人やマウスのがん細胞の栄養状態をさらに悪化させて、細胞内の成分を調べた。その結果、「ヒストン脱メチル化酵素」と呼ばれる酵素が生じていることを突きとめた。
 その上で、子宮(頸、けい)がんや皮膚がんなどさまざまながん細胞にこの酵素を注入し、マウスの皮下に移植した。すると、この酵素が血管の伸びを鈍らせたため、酵素を加えた細胞は、酵素なしのがん細胞に比べ、増殖の速さが半分から5分の1に抑えられた。
 大沢さんは「がん細胞の中で、この酵素の働きを高める技術を開発したい」と話す。

 2011年12月6日 毎日新聞

2011年12月5日月曜日

膵臓がんの新薬開発が最終段階

膵がん新薬開発へ指針 ペプチドワクチン療法、治験最終段階

 第4の治療方法として期待が高まる「がんペプチドワクチン療法」 で、世界に先駆け日本で実施している臨床試験(治験)が最終段階を迎えている。これに合わせる形で薬剤としての開発指針(ガイダンス)がまとまり、概要が 30日、明らかになった。12月1日から和歌山市で開かれる日本バイオセラピィ学会(会長・山上裕機和歌山県立医科大学教授)で発表される。

 この治験は膵(すい)がんに 対するもの。進行が早く、90%以上が5年以内に亡くなり、人口動態調査によると、平成22年の死者は約2万8000人。同治験は2年前に始まり、和歌山 県立医科大をはじめ全国27施設で153人を対象に実施されている。治験(第2・3相)の結果が来年3月に明らかになる予定で、承認されれば、がんペプチドワクチン療法として世界初となる可能性が高い。

 今回発表されるガイダンスは、こうした治験の進(しん)捗(ちょく)状況を踏まえ、がんペプチドワクチン療法のみを対象とした点が特徴。「同ワクチンの新薬が一刻も早く患者に届くようにまずガイダンスを整備することになった」(策定委員)という。

 ガイダンスの「臨床試験」の章で、従来の抗がん剤などの治療の後に同ワクチン療法を開始しても「患者さんの免疫が弱体化した後では効果が得にくい」とされ「早期に投与すれば、免疫反応が十分に強化され、がんとたたかうまでの十分な時間を確保できる」との特質が明記された。

 ガイダンスは数カ月後に学会の方針として正式に策定され、その後、厚生労働省が策定する指針に大きな影響を与えるとみられる。

 武藤徹一郎・がん研有明病院メディカルディレクターの話 「これまでの他の治療法の指針は、短期的にがんが小さくなったかどうかを基準にしていた。ワクチン療法は新たな視点の基準でないときちんと評価できない面があり、今回の指針でその点が明確になると期待している」

 がんペプチドワクチン療法 外科手術、抗がん剤、放射線治療などと違い、ワクチン注射により免疫力を高めることで間接的にがん細胞を攻撃する方法で「がんの第4の治療法」と呼ばれる。がん細胞のタンパク質と同様の断片(ペプチド)を人工的に作り注射すると、それに反応しようと免疫細胞が活性化してがん細胞を攻撃させる仕組み。特別な免疫力を利用するため副作用がほとんどないのが大きな特徴。

2011年11月30日 日本経済新聞

2011年12月2日金曜日

肝臓がん、乳がん、脳腫瘍の新治療機器

超音波治療装置の適用範囲、がんの疼痛緩和やがん治療に拡大へ
 米GE Healthcare社は、主に子宮筋腫の治療に使われている同社のMRガイド下集束超音波治療装置「ExAblate」シリーズの治療対象を、がんの疼痛緩和や治療などへ広げていく。
既に、がんの骨転移患者の疼痛緩和への適用認可を米国FDAに申請済みであり、2012年にも承認される見通し。今後は、乳がん肝臓がん、脳腫瘍などの悪性腫瘍の治療や、パーキンソン病の治療などへ適用範囲を広げることを目指し、「承認に必要となるデータを集積していく」(同社)考えである。
2011年12月01日 日経BP

2011年12月1日木曜日

末期大腸がんの治療指針

末期の大腸がん、治療法増える

 病気が進行して思うような医療が受けられなかった末期の大腸がんの治療に、光明が見え始めた。がん細胞だけを攻撃する新薬が登場し、患者の平均的な余命が延びてきた。患者の病状や希望に合わせた最適な治療もできるようになり、治療の選択肢が広がっている。

 「手術できない大腸がんの患者にとって、生活の仕方の希望に合わせて治療法を選べる時代に入ってきた」。防衛医科大学校病院でがんの化学療法治療を手がける市川度・腫瘍化学療法部副部長はこう話す。

 がん細胞をたたく抗がん剤は、どんな薬でも副作用をまったくなくすのは難しい。教員を務める中年男性は、黒板に字を書くため指にしびれがでるのが嫌だっ たので、比較的副作用の弱い5―FUという薬とベバシズマブというがんを狙い撃ちする分子標的薬の組み合わせを選んだ。臨床試験の結果などからわかってい る生存期間はほかの治療法より少し短いが、仕事を続けながら治療する道を選んだという。投薬開始から1年以上たったが、元気で体調に大きな変化もないとい う。

 一方、母親の代わりに高校生を育てる60歳代の女性は少しでも長生きできる治療を希望。効果・副作用ともやや強めの「フォルフィリ療法」とセツキシマブ という薬の組み合わせを選んだ。「フォルフィリ療法」は、5―FUとイリノテカンなど3つの薬を併用する方法。セツキシマブは分子標的薬のひとつだ。発疹 や倦怠(けんたい)感などの副作用に悩まされているが、転移したがんは小さくなり経過に満足しているという。

 「単に生存期間の長さだけでなく副作用や効き方などをよく説明し、患者の過ごし方の希望を踏まえて選択した」と市川副部長は話す。

 このように選択肢が広がった背景には、手術できない大腸がんの治療法の急速な進歩がある。10年弱前まで生存期間はせいぜい約1年だったが、5―FUと オキサリプラチンやイリノテカンといった抗がん剤を組み合わせる「フォルフォックス療法」や「フォルフィリ療法」の普及により延びた。

 さらに2007年以降、がん周囲の血管やがん細胞だけを攻撃する分子標的薬3つが相次いで使えるようになり、組み合わせによって平均的な生存期間は2年 近くになった。10年に発表された最新の臨床試験ではセツキシマブと「フォルフィリ療法」を組み合わせれば23カ月を超えるという結果も出ている。現在、 日本の大腸がんの治療指針でも、5通りほどの治療法が提示されている。

 ただし、問題も表面化している。大阪大学の佐藤太郎准教授は「治療法が増えた分、どれが患者自身にとって良いのか判断しにくくなっている」と指摘する。

 手術できない大腸がん患者といっても、状態は同じではない。肝臓や肺に転移したがん組織が大きくて痛みなどの症状も出ている場合と、転移したがんは小さ くて症状もない場合では、治療法は違うはずだ。だが実際はかなり多くの患者がフォルフォックス療法とベバシズマブを最初に受けている。しびれなどは出やす いものの、下痢や脱毛、倦怠感などが比較的少なく、医師側も使い慣れており安心して薦めやすいからだ。

遺伝子検査も効果

 転移がんが大きい人に、強めのフォルフィリ療法とセツキシマブの組み合わせなどを使えば、がんを手術できるまで小さくできる可能性もある。実際、肝臓に 転移したがんを小さくしてから手術を実施する患者も出てきている。「逆にがんの進行の遅い高齢者などは、できるだけ副作用が少なくゆるやかに効いていく抗 がん剤の組み合わせが楽なのではないか」(佐藤准教授)

 セツキシマブなどを使って治療効果が上がる可能性があるのは、がん細胞の中で増えろという信号を送るたんぱく質が変化していない6割の患者に限られる。事前の遺伝子検査で効きにくい薬の投与を避け、無意味な副作用に苦しむリスクを減らすこともできるようになった。

 日本では毎年10万人を超える人が新たに大腸がんと診断されており、胃がんに次いで多い。治療法が増えたことで、患者が自分の生き方を見据えて治療法を選ぶきっかけになるかもしれない。

2011年9月30日 日本経済新聞

2011年11月30日水曜日

乳がんの名医 2011

乳がん臨床医が選んだ名医10人

選ばれた理由が興味深い。「臨床経験が豊富」「幅広い知織が豊富」が最大の理由で論文や学会の地位ではないそうだ。

  • 中村 清吾 (昭和大学)
  • 渡辺 亨 (浜松オンコロジーセンター)
  • 戸井 雅和(京都大学)
  • 岩田 広治 (愛知腺がんセンター中央病院)
  • 大内 憲明 (東北大学)
  • 野口 眞三郎 (大阪大学)
  • 霞富 士雄 (順天堂大学)
  • 大野 真司 (九州がんセンター)
  • 岩瀬 弘敬 (熊本大学 )
  • 西村 令喜(熊本市民病院 )

    乳がん治療の名医 2011


    乳がん臨床医が選んだ名医10人

    選ばれた理由が興味深い。 「臨床経験が豊富」「幅広い知織が豊富」が最大の理由で論文や学会の地位ではないそうだ。
    • 中村 清吾 (昭和大学)
    • 渡辺 亨 (浜松オンコロジーセンター)
    • 戸井 雅和(京都大学)
    • 岩田 広治 (愛知腺がんセンター中央病院)
    • 大内 憲明 (東北大学)
    • 野口 眞三郎 (大阪大学)
    • 霞富 士雄 (順天堂大学)
    • 大野 真司 (九州がんセンター)
    • 岩瀬 弘敬 (熊本大学 )
    • 西村 令喜(熊本市民病院 )  

      飲んではいけない抗がん剤

      下記の抗がん剤に製造管理の不備が原因での自主回収などの騒ぎが起きている。

      「重篤な健康被害」の恐れは無いが、「一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある」。

      つまりは、飲んではいけない抗がん剤。

      • 抗がん剤のベルケイド
      • 再発卵巣がん向け抗がん剤のドキシル(ヤンセンファーマ)
      • 造血幹細胞移植前治療薬のブスルフェクス(協和発酵キリン)
      • 骨髄異形成症候群治療薬のビターザ(日本新薬)、 

      がん抑制分子の発見

      東大など、がん成長抑制分子発見-新たな治療薬に道

      東京大学の尾崎博教授や大阪バイオサイエンス研究所などの研究チームはマウスを使い、固形のがん組 織の成長を抑える新しい分子を発見した。炎症や免疫に関わる「肥満細胞」が生み出す物質プロスタグランジンD2(PGD2)が、がん組織に必要な血管の生 成や免疫細胞の異常などを抑えることを明らかにした。新しい抗がん剤の開発が期待できる。成果は米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
      がん組織は生体が持つ免疫機構の攻撃をかわすだけでなく、免疫機構を変化させ、自らの組織の成長に利用している。 
      がん組織内にある肥満細胞を調べると、PGD2を合成する酵素「H―PGDS」を多く持つことがわかった。そこで肥満細胞にのみH―PGDSを持たないマウスを作り、マウスに腫瘍を移植すると、体内で腫瘍が急速に成長した。

      2011年11月30日 日刊工業新聞

      がん治療ローンが無利子


      がん先進医療、鳥取県がローン制度 国内初 利子相当額、県が助成

      鳥取県は、県民が健康保険の対象とならない高額ながんの先進医療を受ける際に、利子相当額が助成されるローンを、指定する金融機関で組むことがで きる全国初の制度を創設した。指定機関として山陰合同銀行と鳥取銀行が12月1日に県と協定を締結。合銀は2日から、鳥銀は来年6月ごろから運用を開始 し、ローンの申し込みに応じる。
       がんの先進医療を受けるための借金に対する利子補給制度は、すでに数県で創設されているが、いずれも自県にある高度医療施設を利用する場合に限られている。これに対して鳥取県の制度は、厚生労働省が認めるがんの先進医療であれば国内どこの医療機関で受けても対象となる。
       事実上無利子となるこの制度による借り入れ額は上限300万円で、最大6%までの利子相当額を最大7年まで助成。専用のローン自体を指定金融機関が商品化するのも全国初で、すでに「鳥取県がん先進医療費ローン」を商品化した合銀は、金利を年5・8%と決めた。
        ローンを組むためには、まず病院に治療実施計画書を作成してもらい、「先進医療分」の医療費を算出。これを県が審査して同制度の対象と承認されれば、指定 金融機関に専用ローンの利用を申し込むことができる。金融機関側の審査を通ればローンが組まれ、利用者は1年間に支払った利子分の補給を翌年初めに申請す るシステムとなっている。
      2011.11.30 産経新聞

      2011年11月29日火曜日

      肉食のがんリスクは1.5倍


      肉食女子、がんリスク1.5倍 8万人を10年調査

      肉類を食べる量が多いと、結腸がんになるリスクが約1.5倍高いこ とが、国立がん研究センターの研究班の調査でわかった。大阪や岩手、茨城、秋田、新潟、長野、高知、長崎、沖縄など9府県の45~74歳の男女約8万人を 10年以上追跡した。欧米より肉を食べる量が少ない日本では、これまで結腸がんと肉食の因果関係が不明だった。
       研究班は、調査追跡期間中に結腸・直腸がんになった男性714人、女性431人について肉類を食べる量で5グループにわけ、がんの発生率を比べた。
       すると、男性は、ハムやソーセージも含めた肉類全体の摂取量が1日約130グラムのグループは、20グラムのグループの約1.4倍、結腸がんのリスクが高かった。女性は、牛肉や豚肉を1日約90グラム食べるグループは、約10グラムのグループの約1.5倍、結腸がんリスクが高かった。

      2011年11月29日 朝日新聞

      2011年11月28日月曜日

      肝臓がんの再発予防法

      多様な方法で抑制抗 ウイルス薬など有効

      肝細胞がんの再発予防  肝細胞がんは、早期に発見されれば、肝切除や経皮的ラジオ波凝固療法により完全に治療ができます。しかし、治療後の再発が多いことが最も大きな問題となっています。

      現在、確実に再発を抑える方法は、まだ確立されていません。しかし、再発を抑えるために、さまざまな方法が行われています。

      C型肝炎の場合は、インターフェロン治療に再発を抑える効果があることがわかっています。ウイルスが消失しない場合でも、ALT値が低下する場合や、AFPという腫瘍マーカーが低下する場合は、再発抑制効果が期待できます。

      B型肝炎の場合は、核酸アナログと呼ばれる抗ウイルス薬が有効です。この薬は、再発を抑える効果に加え、肝機能を良くする効果もあります。

      ウイルスに関連のないものとしては、ソラフェニブがあります。この薬は、現在進行肝細胞がんに対して使われている、分子標的薬と呼ばれる新しい抗がん剤です。再発予防にも有効と考えられ、現在臨床試験が行われています。

      また、非環式レチノイドというビタミンAの仲間の薬に再発抑制効果があることが報告され、これも臨床試験が行われています。

      その他、研究段階のものとして、がんワクチンがあります。これは、がん細胞に特異的なたんぱく質の一部を患者さんに接種し、がん細胞を攻撃するリンパ球を誘導する方法です。将来的には、がんワクチンが有効な肝細胞がん治療の一つとなることが期待されています。

      最近、肥満に伴ってインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)と、がんが再発しやすいことがわかってきました。このような場合には、食事、運動療法により体重を減らすことや、インスリン抵抗性を改善する薬剤を使用することにより、再発を抑える効果が期待できます。分枝鎖アミノ酸製剤にも、インスリン抵抗性を改善する効果があることが報告されています。

      慢性肝疾患がある場合は、鉄が過剰に肝臓に蓄積しており、瀉血(しゃけつ、血を抜くこと)や鉄制限食で肝臓から鉄を取り除くことにより、再発を抑えられる可能性があります。

      肝細胞がんの再発予防に対して、現在以上のようなことが行われています。肝細胞がんを治療した後には、再発を抑えるための治療をできる限り行うことが大切です。

      2011年11月28日 岐阜新聞

      肝臓がんの再発予防法


      多様な方法で抑制抗 ウイルス薬など有効

      肝細胞がんの再発予防  肝細胞がんは、早期に発見されれば、肝切除や経皮的ラジオ波凝固療法により完全に治療ができます。しかし、治療後の再発が多いことが最も大きな問題となっています。
       現在、確実に再発を抑える方法は、まだ確立されていません。しかし、再発を抑えるために、さまざまな方法が行われています。
       C型肝炎の場合は、インターフェロン治療に再発を抑える効果があることがわかっています。ウイルスが消失しない場合でも、ALT値が低下する場合や、AFPという腫瘍マーカーが低下する場合は、再発抑制効果が期待できます。
       B型肝炎の場合は、核酸アナログと呼ばれる抗ウイルス薬が有効です。この薬は、再発を抑える効果に加え、肝機能を良くする効果もあります。
       ウイルスに関連のないものとしては、ソラフェニブがあります。この薬は、現在進行肝細胞がんに対して使われている、分子標的薬と呼ばれる新しい抗がん剤です。再発予防にも有効と考えられ、現在臨床試験が行われています。
       また、非環式レチノイドというビタミンAの仲間の薬に再発抑制効果があることが報告され、これも臨床試験が行われています。
       その他、研究段階のものとして、がんワクチンがあります。これは、がん細胞に特異的なたんぱく質の一部を患者さんに接種し、がん細胞を攻撃するリンパ球を誘導する方法です。将来的には、がんワクチンが有効な肝細胞がん治療の一つとなることが期待されています。
       最近、肥満に伴ってインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)と、がんが再発しやすいことがわかってきました。このような場合には、食事、 運動療法により体重を減らすことや、インスリン抵抗性を改善する薬剤を使用することにより、再発を抑える効果が期待できます。分枝鎖アミノ酸製剤にも、イ ンスリン抵抗性を改善する効果があることが報告されています。
       慢性肝疾患がある場合は、鉄が過剰に肝臓に蓄積しており、瀉血(しゃけつ、血を抜くこと)や鉄制限食で肝臓から鉄を取り除くことにより、再発を抑えられる可能性があります。
       肝細胞がんの再発予防に対して、現在以上のようなことが行われています。肝細胞がんを治療した後には、再発を抑えるための治療をできる限り行うことが大切です。

      2011年11月28日 岐阜新聞

      「がんの匂い」に反応


      胸部X線検査より、喀痰検査より、診断感度が高い?

      肺がんを嗅ぎ分ける「がん探知犬」登場
      がん特有の匂い物質と呼気検査

       この8月、欧州呼吸器学会誌に、吐いた息から肺がんを嗅ぎ分ける「がん探知犬」の研究結果が報告された。

       それによると、肺がんに特有の匂いを嗅ぎ分けるように訓練された犬は、肺がん患者の呼気サンプル100例中71例を「陽性」とし、健康な人の呼気、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の呼気400例に対しては93%に「陰性」の判断を下した。一般診療で胸部X線による肺がんの検出感度は80%、喀痰検査は40%前後であり、堂々、それ以上の結果が示されたというワケだ。

       臭覚に優れた犬が「がんの匂い」に反応することは以前から知られて いる。最初の報告は1989年に医学雑誌「Lancet」に掲載された論文。コリーとドーベルマンの混合種の雌犬が飼い主のホクロに異常な関心を示したた め、不審に思った飼い主が受診したところ、悪性黒色腫が発見された例が紹介されている。

       これが世界中で大反響を呼び、同様の報告が相次いだ。なかには通常の尿検査で「陰性」だった患者が探知犬の「陽性」判定を受けて、精査したところ腎がんが 発見されたという例もある。日本では2005年から続けられている千葉県南房総市の「セントシュガー がん探知犬育成センター」の研究が嚆矢。今年初め、 医学誌「Gut」に報告された九州大学医学部第二外科のグループとの共同実験では、ラブラドールレトリバーの「マリーン」(9歳、雌犬)が9割以上の確率 で大腸がん患者の呼気サンプルを嗅ぎ分けた。

       ただし、臭覚の個体差や特殊訓練に費やす時間とコストからして検診施設に「がん探 知犬」が配属される、なんてことはありえない。そのあたりは研究者も現実的で、実際は探知犬で存在が証明されたがん種特有の匂い物質「揮発性有機化合物」 の特定に力を入れている。これがかなえば、すでに一般的に使われている匂い感知器の「電子鼻」を医療用に改良し「匂いの“腫瘍マーカー”による究極の低侵 襲検査が実現する」(臨床医)だろう。

       日本人の嗜好からするとがん探知機能搭載の犬型ロボットを開発しそうだが、ともあれ、がん検診に「呼気検査」項目が追加される日は近いかもしれない。

      2011年11月28日 週刊ダイヤモンド

      2011年11月24日木曜日

      がん手術中のがん取り残しを発見

      2011年11月24日  NHK

      がん細胞を光らせる試薬開発

      CTなどでは判別が難しい大きさ数ミリのがんを光らせて、ごく短時間で検出できる試薬を、東京大学などの研究グループが開発しました。肉眼で確認できないがんを見つけ、取り残しを防ぐ技術につながると期待されています。
      東京大学の浦野泰照教授とアメリカ国立衛生研究所の小林久隆主任研究員らのグループは、がん細胞の表面に多く現れる「GGT」という酵素に注目し、この酵素に触れると化学変化を起こして緑色に光る試薬を開発しました。
      そして、ヒトの卵巣がんを移植したマウスの腹部に試薬を吹きつけたところ、1分ほどで、点在していた1ミリ以下のがんが光りだし、肉眼ではっきりと確認できたということです。今のところ、がん細胞を検出できる確率は卵巣がんで3分の2ほどですが、研究グループでは、さらに細胞の性質を調べて確実な検査法にしたいとしています。

      今回利用したGGT酵素は、肺がん肝臓がん、それに乳がんや脳腫瘍などにも現れるということで、実用化できれば、手術の際に肉眼で確認できないがんを見つけ、取り残しを防ぐ技術につながると期待されています。浦野教授は「手術中にスプレーして小さいがんをその場で見ることができれば、見落としの問題を克服できる。実用化に向け研究を進めたい」と話しています。

      2011年11月22日火曜日

      副作用が無く、効果大の抗がん剤新薬

      副作用ほとんどない抗がん薬、浜松医科大が開発
      浜松医科大(浜松市)は22日、副作用を軽減させる抗がん剤開発を進め、動物実験で効果が得られたと発表した。今後、臨床試験に入り、実用化を目指す。
       研究グループの杉原一広准教授によると、悪性腫瘍(がん)は1~2ミリ以上になると、栄養を取り込むため「新生血管」を生じさせる性質がある。グ ループは、アミノ酸がつながってできる「ペプチド」の一種が、新生血管に集まりやすい特性を発見。新生血管だけに薬が運ばれるよう、ペプチドと組み合わせ た抗がん剤を開発した。
       同大が、米サンフォードバーナム医学研究所と行った共同研究で、この抗がん剤をがん細胞を持つマウスに投与したところ、従来の約40分の1の量 で、19日目にがん細胞がほぼなくなり、副作用は全く認められなかったという。成果は、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表される。
      2011年11月22日 読売新聞

      抗がん剤に副作用が無い!?

      副作用ほとんどない抗がん薬、浜松医科大が開発

      浜松医科大(浜松市)は22日、副作用を軽減させる抗がん剤開発を進め、動物実験で効果が得られたと発表した。今後、臨床試験に入り、実用化を目指す。
       研究グループの杉原一広准教授によると、悪性腫瘍(がん)は1~2ミリ以上になると、栄養を取り込むため「新生血管」を生じさせる性質がある。グ ループは、アミノ酸がつながってできる「ペプチド」の一種が、新生血管に集まりやすい特性を発見。新生血管だけに薬が運ばれるよう、ペプチドと組み合わせ た抗がん剤を開発した。
       同大が、米サンフォードバーナム医学研究所と行った共同研究で、この抗がん剤をがん細胞を持つマウスに投与したところ、従来の約40分の1の量 で、19日目にがん細胞がほぼなくなり、副作用は全く認められなかったという。成果は、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表される。

      2011年11月22日 読売新聞

      2011年11月15日火曜日

      新素材には発がん性が指摘

      構造により発がん性に大きな差

      さまざまな分野での活用が期待されている炭素で出来た新しい素材「カーボンナノチューブ」は、一方で発がん性が指摘されていますが、構造によってがんの起きやすさに大きな差があることが、名古屋大学などのグループが行った実験で分かりました。

      実験を行ったのは、名古屋大学の豊國伸哉教授らのグループです。カーボンナノチューブは高い強度があり、電気をよく通すことから、携帯電話の電池などに使われ、今後、さらに広い分野での活用が期待されていますが、微粒子の状態で大量に体に取り込まれると、がんの一種「中皮腫」を引き起こすおそれがあると指摘されています。

      グループでは、太さや硬さを変えた3種類のカーボンナノチューブを水に混ぜてネズミの腹部に大量に注射しました。その結果、太さが直径50ナノメートルで硬く曲がりにくいカーボンナノチューブは、細胞に刺さり、すべてのネズミが中皮腫を発症したのに対し、直径が15ナノメートルと極めて細く曲がりやすいものでは、発症したネズミはいませんでした。

      また、硬くて曲がりにくくても、直径を150ナノメートルと太くしたものでは、発症率は17%にとどまりました。豊國教授はヒトへの影響はさらに研究が必要だとしていますが、「太さや硬さといった構造で発がん性の度合いが異なることが分かったので、研究を進めれば、より安全なカーボンナノチューブの開発に役立つ」と話しています。

      2011年11月15日 NHK

      発がん性が指摘される新素材


      構造により発がん性に大きな差

      さまざまな分野での活用が期待されている炭素で出来た新しい素材「カーボンナノチューブ」は、一方で発がん性が指摘されていますが、構造によってがんの起きやすさに大きな差があることが、名古屋大学などのグループが行った実験で分かりました。
      実験を行ったのは、名古屋大学の豊國伸哉教授らのグループです。カーボンナノチューブは高い強度があり、電気をよく通すことから、携帯電話の電池などに使われ、今後、さらに広い分野での活用が期待されていますが、微粒子の状態で大量に体に取り込まれると、がんの一種「中皮腫」を引き起こすおそれがあると指摘されています。

      グループでは、太さや硬さを変えた3種類のカーボンナノチューブを水に混ぜてネズミの腹部に大量に注射しました。その結果、太さが直径50ナノメートルで 硬く曲がりにくいカーボンナノチューブは、細胞に刺さり、すべてのネズミが中皮腫を発症したのに対し、直径が15ナノメートルと極めて細く曲がりやすいも のでは、発症したネズミはいませんでした。
      また、硬くて曲がりにくくても、直径を150ナノメートルと太くしたものでは、発症率は17%にとどまりました。豊國教授はヒトへの影響はさらに研究が必要だとしていますが、「太さや硬さといった構造で発がん性の度合いが異なることが分かったので、研究を進めれば、より安全なカーボンナノチューブの開発に役立つ」と話しています。
      2011年11月15日 NHK

      2011年11月14日月曜日

      睡眠時間が長いと がんリスク低下

      7時間以上の睡眠で卵巣がんリスク低下- 国立がん研究センター
      国立がん研究センターはこのほど、「7時間以上の睡眠は、卵巣がんのリスクを下げる可能性がある」との研究結果をまとめた。
       国内に住む40-69歳の女性約4万5700人を対象に、1990-94年から2008年まで追跡調査した多目的コホート研究のデータを分析。出産回数やBMI、喫煙や運動習慣などと、卵巣がんの発症リスクとの関連を調べた。平均約16年間の期間中、86人が上皮性卵巣がんを発症した。
       分析結果によると、日常の睡眠時間が7時間以上のグループは、6時間未満のグループに比べ、卵巣がんの発症リスクが0.4倍と低かった。また、多くの先行研究で知られている出産歴との関連では、出産回数が1回増えるごとに、リスクは0.75倍に減少する傾向が見られたという。
       同センターの研究班は、「睡眠時間との関連はこれまで報告されておらず、今後の検証が必要」とした上で、「普段の睡眠時間が長いことが、卵巣がんのリスクを下げる可能性がある要因として示された」と指摘している。

      卵巣がんリスクを0.4倍に低下する習慣

      7時間以上の睡眠で卵巣がんリスク低下- 国立がん研究センター

      国立がん研究センターはこのほど、「7時間以上の睡眠は、卵巣がんのリスクを下げる可能性がある」との研究結果をまとめた。

       国内に住む40-69歳の女性約4万5700人を対象に、1990-94年から2008年まで追跡調査した多目的コホート研究のデータを分析。出産回数 やBMI、喫煙や運動習慣などと、卵巣がんの発症リスクとの関連を調べた。平均約16年間の期間中、86人が上皮性卵巣がんを発症した。

        分析結果によると、日常の睡眠時間が7時間以上のグループは、6時間未満のグループに比べ、卵巣がんの発症リスクが0.4倍と低かった。また、多くの先行 研究で知られている出産歴との関連では、出産回数が1回増えるごとに、リスクは0.75倍に減少する傾向が見られたという。

       同センターの研究班は、「睡眠時間との関連はこれまで報告されておらず、今後の検証が必要」とした上で、「普段の睡眠時間が長いことが、卵巣がんのリスクを下げる可能性がある要因として示された」と指摘している。

      2011年11月2日水曜日

      糖尿病を克服する新治療法開発

      糖尿病克服に道、ソウル大研究陣が新治療法
      ソウル大朴聖会教授の研究チーム
      急速な高齢化に伴い韓国でも糖尿病患者の数が増え、現在は300万人を上回っている。患者数増加の勢いは「糖尿津波」と呼ばれるほどで、成人10人のうち1人が糖尿病を患っている計算になる。

       血糖を調節するのは膵臓(すいぞう)から分泌されるインシュリンだが、糖尿病患者にはこの膵臓の機能が失われたケースが多い。その場合、生涯にわたり高価なインシュリン注射を投与し続けるか、人間と同じインシュリンを分泌するブタの膵臓細胞を体内に移植するしか方法はない。しかし、ブタの膵臓細胞移植では体内で起こる拒否反応への対策がまだ十分ではなく、世界の医学界で大きな課題とされてきた。ところが今回、この大きな壁を韓国の研究陣が克服した。

       ソウル大学医学部病理学教室の朴聖会(パク・ソンフェ)教授が率いる研究チームは先月31日「糖尿病にかかったサルにブタのランゲルハンス島(膵臓の中にあってインシュリンを分泌する細胞)を移植し、新しく開発した免疫調節抗体(MD-3)を並行して投与したところ、拒否反応を起こすことなくサルの血糖値が自然に調整され、6カ月以上にわたり健康な状態で生存し続けている」と発表した。

       通常は臓器移植から3カ月過ぎて初めて、移植が成功したかどうか判断できる。研究チームは膵臓移植から4カ月後に免疫抑制剤などあらゆる薬剤の投与を中断したが、サルの血糖は移植前の高い状態(400‐500ミリグラム/デシリットル)から低下し、正常値(80‐90)のレベルを維持しているという。一般的に臓器移植を受けた患者は生涯にわたり免疫抑制剤の投与を受け続けなければならないが、今回の研究が実用化されれば、その必要はなくなる。研究チームによると、動物と霊長類間の移植は異種間の障壁が非常に大きいが、免疫抑制剤の投与中断後も拒否反応が見られないケースは、今回の研究が世界で初めてだという。この研究結果は先週、米国マイアミ州で開催された「2011年世界異種移植学会」で発表され「画期的な研究成果」として大きな注目を集めた。

       これまで臓器移植患者は、免疫抑制剤の服用によって外部からのウイルスの侵入や細菌に対する抵抗力が急激に弱まり、肺炎などの感染病にかかりやすいという問題を抱えていた。しかし今回、大きな壁とされてきた「異種間免疫拒否反応」を克服することで、肝臓、腎臓、骨髄など人間同士の移植可能な範囲が拡大する可能性があるとして注目されている。

      2011年11月2日 朝鮮日報

      抗がん剤による味覚障害

      薬が招く味覚障害
      抗がん剤では高頻度
      超高齢化で増加傾向
      「味が分からない」「口の中が苦い」などの症状が現れる味覚障害。その原因の一つに薬の副作用がある。中でも抗がん剤は高い頻度で異常を引き起こすとされるが、ほかにも多種多様な薬剤が引き金になり得る。年を取ると老化で味覚が鈍くなるのに加え、生活習慣病などで薬の服用も増える。超高齢化が進む日本で、薬剤性の味覚障害は増加傾向にあるという。
      ▽80%近い薬も
      「吐き気や骨髄抑制といった抗がん剤によるほかの副作用に比べると、味覚の変化は不明な点が多く、十分な対処がされていない」。四国がんセンター 薬剤科の田頭尚士さんはこう指摘する。
      発生状況を明らかにし、患者への的確な情報提供につなげようと、田頭さんらは昨年6~7月、外来でがん化学療法を受けた患者381人を対象に、抗がん剤投与後の味覚の変化についてアンケートを実施した。
      その結果、「味覚変化があった」と答えた人は全体の47%。薬剤ごとの発生頻度を調べると、最も高かったのは「エピルビシン」で78・9%。次いで「シクロホスファミド」75・0%、「ドセタキセル」73・2%。また、乳がん治療で用いられるエピルビシンとシクロホスファミドの併用では実に84・6%が味覚の変化を訴えた。 田頭さんは「極めて多くの患者さんが味覚の異常を感じていることが分かった」と話す。
      ▽240種類
      そもそも味覚障害とはどういうものか。
      日本大医学部 の池田稔教授(耳鼻咽喉科)によると、症状で最も多いのは味が分からなくなる味覚低下。次が、何も食べていないのに口の中が苦くなる自発性異常味覚。頻度は低いが、本来の味と違う感じ方をする錯味症や、何を食べてもまずく感じる悪味症もある。
      舌の表面や、軟口蓋と呼ばれる口の奥の部分には、味細胞が集まってできた「味蕾」という組織がある。この味蕾が味を受け止め、味覚神経を通じて情報を脳に伝える。こうした一連の経路のどこかに異常が生じると、味覚がおかしくなる。
      原因はいろいろだが、同大が以前、味覚外来の受診者2278人を調べた結果によると、最も多かったのが薬剤性で、全体の約22%を占めた。
      抗がん剤だけでなく、味覚障害を引き起こす可能性がある薬剤は多い。分かっているだけで約240種あり、降圧剤や利尿剤、抗生物質、高脂血症薬、抗不安薬など薬効もさまざまだ。
      ▽亜鉛と結合
      「体内で亜鉛が不足すると味細胞のターンオーバー(生まれ変わり)が遅くなり、強いダメージを受けることが動物実験などで判明している。薬には、亜鉛と結合して体外に排出する作用を持つものがあり、味覚障害を引き起こすと考えられている」と池田さん。
      ただ、薬剤性のすべてが亜鉛との関連で説明できるわけではない。薬剤による味細胞の直接的破壊や神経伝達の阻害、特定遺伝子の働きの抑制などが原因となっているケースもあるらしい。
      味覚障害は食欲不振を招き、栄養状態を悪化させる。QOL(生活の質)を低下させるだけでなく、治療の妨げになることもある。薬剤性が疑われたら、原因とみられる薬の減量や中止、ほかの薬への変更を行い、亜鉛製剤などを内服するが、抗がん剤のように簡単に減量や中止をできない薬もある。前向きに治療を受けるために、少しでもおいしく食べられるような献立や調理の工夫も必要だ。
      2011年11月1日 共同通信

      2011年10月27日木曜日

      肺がん治療に奇跡の新薬

      日本発の基礎研究が結実
      肺がん治療に奇跡は起こるか
      ALK阻害剤─分子標的薬

       いまや、がん治療の主役に躍り出た分子標的薬。力を発揮するには「標的」の絞り込みが鍵を握る。がん特有の遺伝子変異が生み出す分子であること、その働きを封じることでがん細胞に致命的なダメージを与え、正常細胞には影響が少ないことが条件だ。最も成功した例は一部の血液がんに特有の遺伝子変異によるBcr‐Ablタンパクで、これを標的とするイマチニブは慢性骨髄性白血病の治療成績を一変させた。

       一方、より複雑に発症因子が絡む固形がん(一般的な臓器がんなど)では、それ一つですべてを決定づける遺伝子変異と標的があるとは考えられず、分子標的薬の限界を噛み締める日々が続いた。しかし2006年、自治医科大学ゲノム機能研究部の間野博行教授(当時)らのグループが世界で初めて、一つの「標的」で固形がん消滅が期待できる変異と分子を発見したのだ(07年、「ネイチャー」誌発表)。

       その標的はEML4‐ALK。一部の肺がんに存在する遺伝子変異が生み出すタンパクで非常に強力ながん化能を持つ。実際、人為的にEML4‐ ALKを作るように操作されたマウスは、わずか生後数週間で肺がんを発症する。つまり、肺がんの本質的な発症原因であることが証明されたのだ。ヒトのEML4‐ALK陽性肺がんは肺腺がんの約5%に認められ、若年者、女性、非喫煙者に多い。

      がぜん製薬企業の反応は素早かった。論文発表の翌08年、ファイザーが他の標的を狙って開発していた化合物の対象を急きょALK陽性肺がんに切り替え、臨床試験を開始。その結果、82例中1例が完全奏功(病変が100%縮小)、46例が部分奏功(50%以上縮小)、奏功率57%という劇的な効果が確認された。今年5月にはこれまでの試験結果を基に日米同時の承認申請を行っている。また現在、初めからEML4‐ALKを標的に開発された、いわば第二世代のALK阻害剤5種類が臨床試験に入っている。

       肺がんは切除不能進行がんで発見されることが多く、治療を薬に頼らざるをえない。日本の基礎研究が、一部とはいえ肺がんの特効薬として結実する日が待たれる。

      2011年10月24日 週刊ダイヤモンド   井手ゆきえ [医学ライター],-

      2011年10月25日火曜日

      膵臓がんに入り込んで増殖を抑える新薬

      微小カプセルで抗がん剤届ける 膵臓がんの新たな治療に

      高分子でできた微小なカプセルに抗がん剤を閉じ込め、ヒトの膵臓がん組織を移植したマウスに注射、狙い通りにがん細胞に送り込んで増殖を抑えることに東京大の片岡一則教授(臨床医工学)らのチームが成功、23日付の英科学誌ネイチャーナノテクノロジー(電子版)に発表した。
      患者を対象にした臨床試験は海外で09年から開始。治療が困難とされてきた膵臓がんに対する効果的な薬になると期待される。
      片岡教授らは、ダハプラチンという薬が入った小さなカプセルを作製。マウスに投与すると、カプセルはがん細胞に集まり、数日間にわたって薬を放出した。観察した16日間でがんの増殖は見られなかったという。


      2011年10月24日 共同通信

       

      東京大学、薬物送達による膵臓がん治療-直径50ナノメートル以下で有効

      東京大学の片岡一則教授らはヒト膵臓(すいぞう)がん細胞などを使い、薬物送達システム(DDS)が膵臓がん治療に有効であることを確認した。副作用が少ないがん治療法の実用化が期待される。抗がん剤を内包したナノ粒子の大きさに着目し、直径50ナノメートル(ナノは10億分の1)以下のナノ粒子が、がん組織に集まり、がんの増殖を抑えた。
      従来DDSに利用されているナノ粒子は100ナノメートル程度で膵臓がんには効かなかった。難治性がんに対する治療法の開発が期待できる。成果は英科学誌ネイチャー・ナノテクノロジー電子版に24日掲載される。
      膵臓がんの組織は物質が漏れにくい血管を持ち、コラーゲンなどで構成される間質という組織で覆われている。ナノ粒子を小さくすることで、「がん組織の血管から抜けやすくなり、間質への透過性も上がる」(片岡教授)ため、膵臓がん組織へナノ粒子が集まりやすくなったとみている。


      2011年10月24日 日刊工業新聞

      糖尿病を完全に克服する根治療法へ

      細胞シートで糖尿病根治 東京女子医大など治療法
      膵臓の細胞培養し皮下移植


      東京女子医科大学の大橋一夫特任准教授と福島県立医科大学の後藤満一主任教授らは、膵臓(すいぞう)の細胞(膵島細胞)をシート状に培養して移植する新しい糖尿病の治療法を開発した。マウスの実験で長期間、血糖値を正常に保つことを確認した。膵島細胞をじかに移植する治療法よりも効果が高いという。将来、iPS細胞(新型万能細胞)と組み合わせれば、糖尿病を完全に克服する根治療法の実現につながるとみている。


      ラットの膵島細胞を採取し、特殊な培養皿の上で直径2センチメートル、厚さ15マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのシート状に培養した。糖尿病のモデルマウスの背中の皮膚の下に2枚のシートを重ねて移植し、約4カ月間、血糖値の変化をみた。


      11匹すべてで移植後約3日目から血糖値が正常になり、エサを与えた後も糖尿病でよくみられるような異常な急上昇はなくなった。
      移植したシートを調べると、膵島と同じように、β細胞が円の中心部分に集まり、外側をα細胞が取り巻いていた。β細胞は血糖値を下げるインスリンを、α 細胞は血糖値を上げるグルカゴンを出す。両細胞が規則正しく存在することで血糖値が高い時は下げ、下がると自然に正常値に戻し低血糖になりすぎるのを防いでいるとみられる。


      膵島移植のように、膵島細胞を直接マウスの肝臓の血管に入れた場合、血糖値は少し下がるものの、正常値まではなかなか下がらなかった。「シート化することで一定量の細胞が塊となり、効果を高めた。臨床への応用が十分期待できる」(後藤主任教授)という。


      東京女子医大はカナダのアルバータ大とも共同研究を進めており、ヒトの膵島細胞のシート培養に成功した。今後、動物に移植して安全性と有効性を確認した上で、臨床応用を目指す。
      また、患者から採取した膵島細胞を一定量まで増やすのは難しいため、iPS細胞から膵島細胞を作製し、シート化していくことも検討する。


      2011年10月24日 日本経済新聞

      東京女子医科大学

      2011年10月20日木曜日

      肉腫治療に新薬期待  東大が世界初ゲノム創薬 で新薬治験

      肉腫治療へゲノム創薬 世界初 東大が研究、仏で治験

      これまで治療薬がなかったがんの一種、肉腫に対する新しい抗体薬を東大医科学研究所の中村祐輔教授の研究室が作り出し、承認に向けてフランスでヒトへの臨床試験(治験)を開始することが16日、分かった。この薬はゲノム(全遺伝情報)解析から標的を見つけたのがきっかけ。中村教授によると、全ゲノム情報を出発点に創薬(抗体薬)が実現すれば、肉腫治療薬の分野で世界初の成果になる。


      今回の抗体薬は腕や足などにできる「滑膜肉腫」と呼ばれる肉腫に対するもの。ゲノム研究の第一人者である中村教授が平成14年、ゲノム情報を応用する形で研究に着手。研究室でマウス実験などを繰り返した結果、肉腫治療に応用できる抗体を突き止めた。
      仏保健当局から正式承認が下り、臨床試験が仏リヨンの病院、レオンベラールセンターで12月にも始まる。仏以外の欧州連合(EU)各国にも試験を拡大する計画もある。


      滑膜肉腫を含めた肉腫は主に10代から20代に発症する命にかかわる難病だが、治療薬の開発はほとんど進んでいない。このため、治療に道筋を示した論文内容を知った欧米の患者から問い合わせが相次ぎ、患者家族が研究室を訪れたこともある。
      一方で、日本の対応は冷ややかだ。研究室では日本で臨床試験を行うため、科学技術振興機構の創薬イノベーションプログラムの補助金申請に応募したが、「開発計画の妥当性・実用化の可能性」がないとの理由で却下された。
      日本での対応とは対照的に仏の専門医からは、「非常に大きな研究成果だ。ぜひうちで臨床試験をやらせてほしい」と申し出があったという。仏からは補助金も得られることになった。
      臨床試験の準備を進めてきた創薬ベンチャーのオンコセラピー・サイエンス(川崎市)の角田卓也社長は「肉腫の治療薬は市場が小さく大手が参入しなかった。臨床試験が成功すれば、世界の患者に治療の道が開ける」と創薬実現に期待を込める。
      ただ、中村教授は内閣官房医療イノベーション推進室長を兼ね、本来なら日本発の医薬品開発を推す立場にもある。
      中村教授は「私の研究だけでなく、角膜再生医療も日本発のシーズ(技術・情報の種)なのに臨床試験は欧州となった。その理由は創薬や先端的医療は霞が関行政の谷間にあるからだ」と、日本での体制づくりが急務と指摘している。


      【用語解説】ゲノム創薬
      ヒトゲノム(全遺伝情報)を解析し、疾患や体質の原因となる遺伝子を突き止め、その情報を元に新しい医薬品やより効果的で副作用の少ない薬の研究、開発をする手法。ヒトゲノムのDNAの塩基配列が2003(平成15)年に日米英などの国際チームによって解明されたことで、創薬の動きが加速した。病気の原因に直接作用するため、薬の効果が高まることや、患者の遺伝子情報に基づいた個別の創薬も可能になることが期待されている。

      2011年10月17日  産経新聞

      2011年10月18日火曜日

      大腸がんの原因たんぱく質を解明

      理研・東大、たんぱく質の立体構造分析 大腸がんの原因解明に道

       理化学研究所と東京大学の研究チームは、大腸がんの発症に関わるたんぱく質の立体構造を解明した。たんぱく質に変異があると別のたんぱく質と結合できなくなり、細胞のがん化を抑えられなくなることが分かった。発症の原因解明につながる成果で、米専門紙に掲載された。

       大腸がんを抑制する遺伝子の1つに「APC」というたんぱく質の遺伝子が知られ、大腸がん患者の多くでAPC遺伝子に変異が見つかる。これまで、たんぱく質「Sam68」とAPCが結合したたんぱく質複合体が、細胞のがん化につながる情報伝達を制御していることがわかっていた。

      2011年10月17日 日経産業新聞

      2011年10月14日金曜日

      がんリスク17%上昇の栄養素

      ビタミンEサプリでリスク17%アップ

       健康・医療情報サイト「Health Day」は11日、ビタミンEのとりすぎは前立腺がんのリスクを高める、という研究結果を報じた。

       米国の泌尿器科専門家や研究者が発表したものfr、ビタミンEのサプリメントの摂取により、前立腺がんを発症するリスクが最大17% 増大するという。

       研究は、米国医師会雑誌10月12日号に掲載された。

       とりすぎは百害あって一利なし

       実験では、3万5,000人を4つのグループに分け、それぞれにビタミンEのみ、セレンのみ、ビタミンEとセレン、偽薬を無作為に与えた。

       5年半にわたる追跡調査の結果、ビタミンEの影響は実験開始から3年目に明らかになった。

       ビタミンEは脂溶性のため、体内に蓄積されやすい。また、必要量は1日あたり22.4IU(国際単位)とされているが、サプリメントで摂取する人の多くは大量に摂取するため、過剰になりやすい。

       前立腺の専門家は「ビタミンEのサプリメントは摂取しても利益はなく、有害の可能性がある」と語っている。

       一方、有用栄養物審査会のダフィー・マッケイ氏は、この実験でセレンとビタミンEを一緒にとった人は前立腺がんのリスクがほとんど変化しなかったことに 注目。「実験結果は栄養素が複合的に働くことを照明している。有害性について、単独の成分だけを対象に分析を行うのは無意味」と批判した。

      2011年10月13日 IBTimes

      死亡率が高いすい臓がんを予防する方法

      唾液ですい臓がんを早期発見
       すい臓がんは死亡率の高いがんとして知られる。5年生存率は10~20%程度とされ、アップル社の前CEO、スティーブ・ジョブズ氏もつい先日この病気で亡くなっている。
       死亡率が高い最大の原因は、早期発見の難しさにある。米国で発見されたすい臓がんのうち、手術が有効な初期に発見されたものはわずか15%といわれる。それ以上に進行したものについては化学療法が行われるが、治療効果は高くない。
       そんなすい臓がんを早期に発見できる検査法を、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校の膵臓病センターの準教授ジェームズJ.ファレル博士らが発見した。米国の健康医療情報サイト「HealthDay」が12日に伝えた。
       研究結果はガット誌オンライン版最新号に掲載されている。
       唾液中の細菌で判定
       研究者が注目したのは、すい臓がん患者の口内に生息する細菌だった。人の口内には、およそ300~400種の細菌が生息している。
      健康な人とすい臓がん患者の口内細菌を調べたところ、がん患者に特有の細菌が31種、健康な人のみに生息していた細菌が25種見つかったという。
       こういった細菌構成の違いは、すい臓がんになりやすい慢性すい炎の患者でも見られた。
       口内衛生ですい臓がん予防も?
       研究者はさらに、この細菌構成の違いは、「すい臓がんがもたらした結果」なのか、それとも「こういった細菌がすい臓がんを発症させている」のか、研究が必要と語っている。
       口内環境が心臓病や肺疾患に結びつくことはすでによく知られている。すい臓がんにもその可能性がある、と考えれば新しい研究分野が開ける。
       将来的には、口内衛生を保つことですい臓がんを予防できる時代が来るかもしれない。

      大腸がんに良いと実証された食べ物

      大腸がん予防にタコ効果 医薬品開発に期待 広島

       ■加藤・広大大学院教授、三原で発表

       タコを食べると腸内の善玉菌が増え、大腸がんや大腸炎の予防につながる可能性がある-と、広島大大学院生物圏科学研究科の加藤範久教授(59)=分子栄養学=が、三原市で研究成果を発表した。「タコのまち」をキャッチフレーズに観光振興を目指す三原商工会議所が、タコと健康との関係についての調査を同大に依頼していた。

       加藤教授らの研究グループは、三原湾で採取したタコを乾燥させ粉末にして餌(えさ)に加え、ラット7匹に3週間、与え続ける実験を行った。この結果、腸 内の善玉菌「ラクトバチルス」(乳酸菌の一種)が約3倍に増加した半面、悪玉菌「クロストリディウム」は約3割減少し、腸内細菌のバランスが改善されたこ とを確認したという。

       ラクトバチルスは大腸がんや大腸炎、アレルギーなどの疾病予防に効果があることが報告されている。改善した成分については、現在研究中という。このほか、タコに多く含まれるアミノ酸の「タウリン」が腸内の炎症を抑制し、大腸炎を予防するメカニズムを解明。動脈硬化の予防など血管系の病気の改善にも効果があるとされている。

       こうした研究成果から加藤教授は「タコが健康に良いとの有用性が実証できた」と結論づけた。そのうえで「有効成分が特定できれば、製薬分野などへの広がりも可能」としている。

       市では「これまでのイメージを覆す研究。新たな利用価値が生まれる」と期待している。

      2011年10月12日 産経新聞

      がん転移は完全に抑制

      がん転移の兆し察知 慶応大など研究続々

       日本人の死亡原因の1位を占めるがんで、転移を抑える研究が相次いでいる。がんは手術などで切除しても、骨やリンパ節など体のあちこちで再発してしまうと治療が難しい。1カ所にとどまるなら、克服できるがんもある。5日まで名古屋市で開いた日本癌(がん)学会では、がんの治療効果を高めるため、転移の兆しをいち早く探しだし、先手を打って防ぐ試みが発表された。

       国立がん研究センターは、がん細胞から微小な分子が血管に流れ込んでいることに着目した。ヒトの乳がん細胞をマウスの乳腺に移植し、がん細胞の酵素の働きを抑えてみた。がん細胞が「マイクロRNA(リボ核酸)」と呼ぶ分子を出さなくなると、転移しやすい肺やリンパ節に3週間たってもがんができなかった。「転移は完全に抑制できた」(小坂展慶研究員)

       マイクロRNAが血液を通じて離れた場所にある細胞の遺伝子に入り込むと、そこにがんができやすくなるとみている。がんを呼び寄せる仕組みがあるようだ。

       慶応大学の工藤千恵講師は、がん細胞の遺伝子「HERV―H」が転移に関わっていることを突き止めた。この遺伝子が働くとたんぱく質などががん細胞から 出てくる。免疫細胞を弱め、がん細胞がほかの臓器に移るきっかけになるという。たんぱく質を壊すと転移を抑えられることがマウスの実験で分かった。

      がん転移対策の研究例 研究対象主な成果

      ▼転移を防ぐ 東京大学医科学研究所、順天堂大など 血液凝固たんぱく質が血液がんの転移を制御する酵素に作用する現象を発見。白血病マウスで治療実験に成功 国立がん研究センター がん細胞から出る微小分子を抑える 慶応大 がん細胞が作るたんぱく質などの働きを抑え、免疫力を正常化 ▼転移を予測 東京医科歯科大 大腸がん患者で特定遺伝子「PDGFC」が過剰に働くと転移確率が高まることを発見。診断に応用へ ▼転移を可視化 三重大 特殊な顕微鏡で転移を診断

       工藤講師は、ほとんどのがんでみられるリンパ節への転移を防ぐ治療薬を開発したいという。

       一方、転移しても小さいがんなら治療しやすい。三重大学チームは、組織の奥深くを観察できる特殊な装置「二光子レーザー顕微鏡」を使い、内臓を切らずに転移を調べる技術を開発した。

       血液中の血小板や白血球が緑色に光る遺伝子改変マウスの脾臓(ひぞう)に、赤い蛍光を放つようにしたヒトのがん細胞を注射した。がん細胞の一部が血管を通って肝臓に移動し、1~2カ月後には転移がんが育つ様子などが観察できた。抗がん剤の投与でがんが縮む様子も見えた。

       東京医科歯科大学のチームは特定の遺伝子を目印に再発や転移のリスクを測るのが目標だ。血液検査で遺伝子を調べ、予防的に抗がん剤を投与できる可能性がある。

      2011年10月12日 日本経済新聞

      2011年10月12日水曜日

      大腸がんの進行が早い性別と年齢

      大腸がん、男性の方が進行が早い オーストリア研究

      大腸がんの男性患者は同年代の女性患者よりもがんが進行している傾向があるとする研究結果が、前月27日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)に発表された。

       大腸がんは死者数ががんの中で4番目に多く、世界では毎年61万人が亡くなっている。現在、50歳以上の男女は大腸内視鏡検査を受けることが奨励されている。

       研究では、オーストリアで2007~2010年に全国規模で実施された大腸内視鏡検査プログラムの参加者、4万4350人のデータを分析した。

       プログラムでは、ポリープや良性腫瘍(しゅよう)などの腺腫と特に進行した腺腫、および大腸がんの有無を検査した。

       その結果、すべての年代において、病変の進行度は男性が女性をはるかに上回った。例えば、進行腺腫の割合は50~54歳男性が5%だったのに対し、同年代の女性ではわずか2.9%だった。55~59歳男性の大腸がんの割合(1.3%)は、10歳年上の65~69歳女性の割合(1.2%)とほぼ同じだった。

       全体的に見て、大腸がんの割合は男性が1.5%と、女性の0.7%の約2倍だった。

       論文は、大腸内視鏡検査の指針を性別と年齢について調整する必要があるかもしれないと述べている。

      2011年10月11日  AFP

      2011年10月5日水曜日

      乳がん治療費用を安くする方法

      抗がん剤でこそ安価な薬剤が求められる

       野村証券は「産業アウトルック(10月号)」でジェネリック薬の使用は、降圧薬、糖尿病治療薬などの慢性疾患治療薬より、抗がん剤で進む可能性が高いと解説。

       乳がん治療の1stライン治療薬であるpaclitaxel(一般名)では、ブランド薬とジェネリック薬でほぼ同数の患者に投与されている。  paclitaxel は注射時にゴム手袋の着用が必要であり、取り扱いが難しい薬剤。それでも、ジェネリック薬が多用されている背景には、安価なことがある。
       一治療期間(1クール)の薬剤費用は、ブランド薬で42万円ジェネリック薬で31万円となっている。がん治療では、その他にも多種の薬剤を用いるため、さらに費用がかかる。抗がん剤では、治療効果の高い薬剤も必要であるが、安価な薬剤も必要とされる。

       ジェネリック薬専業メーカーが、抗がん剤のジェネリック薬を単発で提供するより、ブランド薬メーカーが新薬の抗がん剤と併用のジェネリック薬を提供する展開が予想されるので、この観点からは日本化薬が勝ち組と紹介。

      2011年10月4日 日本証券新聞

      第4のがん治療の治療効果を検証

      第4のがん治療、ノーベル賞を追い風に 石川県内関係者、普及へ期待

       3日発表されたノーベル医学生理学賞で「樹状細胞」の発見が授与理由の一つに挙がったことで、同細胞を使ったがんの 最先端医療に携わる石川県内の医療関係者から「普及に向けた大きな一歩」と期待する声が上がっている。金沢先進医学センターでは、金大と連携して患者の治 療効果や検査データの解析研究が進行中。技術面や患者の費用負担など多くの課題があるが、治療機会が増えるよう着実に研究を進める構えだ。

       樹状細胞を使ったがん治療は、手術、放射線、化学療法に続く「第4の治療法」と呼ばれる免疫細胞療法に分類される。がん細胞の目印の情報を持つ「司令官」役の樹状細胞を増やし、がん細胞への攻撃を強化する。

       金大附属病院敷地内にある金沢先進医学センターでは、昨年9月から樹状細胞療法を含む免疫細胞療法を開始し、これまで160人を超える患者を治療してきた。

       「国内ではまだ評価が定まっていない免疫細胞療法が一般化するための大きな一歩になる」。樹状細胞発見者のノーベル賞受賞について、同センターの和田道彦個別化医療センター長は、先端医療に対する理解が深まるきっかけになると指摘する。

       現在、免疫細胞療法は公的保険が適用されておらず、患者は費用を全額負担する必要があるなど、ハードルは高い。同センターはこれまでに、50人以上に樹状細胞を使ったがん治療を行っており、同時に治療効果の検証も進める。

       金大でも、01年以来、樹状細胞療法の臨床試験が30例程度行われてきた。07年には樹状細胞療法を応用すれば肝臓がんの再発を抑える力が高まることを金子周一教授らの研究チームが突き止めている。

       今春、附属病院内に整備された「トランスレーショナルリサーチセンター」でも樹状細胞療法の研究が進められる計画で、副センター長の水腰英四郎講師は、「今後の臨床応用への期待も込められていると思う。研究の励みとしたい」と話した。

      2011年10月5日 北國新聞

      粒子線を使ったがん先端治療施設の新規開業

      粒子線治療施設の開業支援 兵庫県が三セク設立 

       兵庫県は4日、国内外で粒子線を使ったがん先端治療施設の新規開業を支援するため、装置メーカーと共同で治療技術や情報を提供する第3セクター「株式会社ひょうご粒子線メディカルサポート(仮称)」を11月に設立する、と発表した。世界最高水準とされる県立粒子線医療センター(たつの市)で蓄積した技術を生かし、同治療の普及促進を図る。

       県によると、国内で粒子線治療ができるのは同センターのほか、開設予定の施設も含めて計15カ所。治療装置の低価格化で導入拡大が見込まれるが、専門の医師や放射線技師らの不足で、治療開始まで数年を要しているという。

       このため県は、粒子線治療装置の大手メーカー三菱電機(東京都)など5社と新会社を設立。三菱電機が装置を販売する新規施設に、新会社から専門スタッフ を派遣し、治療技術や機器の調整などのコンサルタント業務を請け負う。また、同センターで技師らの研修も行い、スムーズな開業を支援する。

       新会社は同センター内に置き、資本金は計900万円(県720万円、三菱電機135万円など)。10月下旬に取締役会を開き、社長を選ぶ。

       同センターは2001年4月に開業し、03年から先進医療をスタートさせた。陽子線、炭素線両方を利用できる医療機関としては世界初の施設で、03~09年度の患者数は全国の約4割に当たる約3千人。

       三菱電機は、電力システム製作所(神戸市兵庫区)が治療装置を生産。同センターを含む国内8カ所で受注実績がある。

      【粒子線治療】 放射線治療の一種。エックス線など従来の治療とは違い、陽子線や炭素線というミクロの粒子ビームを照射、がん細胞を破壊する。手術が困難 な頭頸部や体内深部の病巣をピンポイントで狙うことができ、痛みや副作用が少ない。当初は整備に約100億円を要した陽子線の装置は現在、30億円程度。 ただ、照射費用は健康保険適用外で、患者負担は約300万円という。

      2011年10月5日  神戸新聞

      水溶性マグネシウムが大腸がん発症を抑制

      水溶性マグネシウムが発症抑制 炎症性大腸がん

       大腸に炎症を起こさせ、がんを発症しやすくしたマウスに水溶性マグネシウムを与えると、大腸がんの発症が抑制されたと岐阜大大学院の久野寿也准教授と東海細胞研究所(岐阜市)の田中卓二所長の研究チームが突き止め、名古屋市での日本癌学会学術総会で4日、発表した。

       久野准教授らは「潰瘍性大腸炎などに由来する大腸がんの抑制に有効で、人でも検証したい」という。

       大腸に炎症を起こす薬と発がん物質を与えたマウスに、有機物と合成して水に溶けやすくしたマグネシウムを一定期間投与。マグネシウムを与えたマウスは与えなかったマウスに比べ、がん細胞の増殖を最大4分の1に抑えられたという。

      2011年10月4日共同通信

      2011年10月4日火曜日

      リンパ腫・白血病に新しいタイプの分子療法

      東大、悪性度の高いリンパ腫・白血病でも生体内増殖を抑制できる薬剤を開発

      東京大学(東大)は、組織内浸潤を促進するタンパク分解酵素「マトリックスメタロプロテイナーゼ」(MMP)の活性を抑制し、悪性度の高いリンパ腫・白血 病の生体内増殖を抑制できる、血液線維素溶解系因子「プラスミン」の阻害剤の開発に成功したと発表した。東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター幹細 胞制御領域の服部浩一特任准教授らの研究グループによる成果で、9月20日付の「Leukemia(電子版)」に発表された。

      悪性リンパ腫・白血病は血液系細胞の悪性化によって生じるがんの一種で、近年日本でも増加してきている。数多くの新薬が開発されてはいるものの、組織型によって未だに致命率の高い予後不良の難治疾患であることが特徴だ。

      研究グループは、生体内の血液凝固能を制御する線維素溶解系(線溶系)の因子プラスミンが、がん細胞の転移、MMPの活性化を制御することに注目。神戸学 院大学と順天堂大学との共同研究により、プラスミンの阻害剤を悪性度の高いT細胞型リンパ腫および白血病を発症させたマウスに投与してみたところ、がんの 増殖を抑制することに成功した。

      プラスミンは、生体血液中において、血液凝固系の亢進による血栓形成を制御する役割を担う機構である「線維素溶解系」の中で、中心的役割を担う生体因子の 1つ。前駆体である「プラスミノーゲン」から、組織型あるいはウロキナーゼ型「プラスミノーゲンアクチベータ」の作用により活性化されて生成し、血栓形成 の核となる「フィブリン」を分解するほか、近年はがん細胞の生体内での転移、組織内浸潤といった動態を制御するMMPの活性化を制御することが明らかとなってきた。

      そしてMMPは、共通のアミノ酸配列を有し、細胞外マトリックスを基質とする亜鉛などの金属を活性中心に有する金属要求性タンパク分解酵素で、その多く は、「潜在型酵素プロ酵素」として産生され、プラスミンやMMP相互間で活性型MMPへと変換される。生体組織中にがん細胞が浸潤、転移する際は不可欠な 因子と考えられており、これまで多くの阻害剤が報告されているが、欧米の臨床治験、動物実験でその深刻な副作用が明らかとなって以来、MMPを標的とした 分子両方の研究開発自体にも支障を来しているという状況だ。

      前述したように、従来の抗がん剤は細胞殺傷作用などの副作用が あるが、今回の薬剤はそれらが存在しないことが大きな特徴。動物実験の結果からは、現在のところは有意な副作用も認められていない。こうした結果から、線 溶系因子を新しい標的とした今回の薬剤は、リンパ腫・白血病に対する従来にない新しいタイプの分子療法の可能性を示したものと考えられている。

      また今回の研究は、がん増殖過程における、線溶系を起点とした造血系細胞の動員と血管新生の促進機構を提示したことで、がん病態の新たな一面を明らかにした形だ。

      2011年10月4日 マイコミジャーナル

      がん抑制遺伝子を発見

      福島県立医大、がん抑制新遺伝子発見 放射線障害と関連

       福島県立医大は3日、がんを抑える新しい遺伝子「NIRF(ナーフ)」を発見したと発表した。細胞内のがん抑制機能の中心的なタンパク質を合成する遺伝子で、他のがん遺伝子やがん抑制遺伝子と相互に作用して働きに影響を与える。他遺伝子と幅広く相互作用するタンパク質を合成する遺伝子が確認されたのは世界初。

       同大看護学部生命科学部門の森努准教授(47)によると、NIRFはサイクリンD1などがんの発症を促すがん遺伝子に作用し、がん化を抑える。pRBなどのがん抑制遺伝子にも働き掛け、機能を促進する可能性もある。  がんは細胞分裂を止めることによってがん細胞の増殖を抑え、発症を防ぐことができる。NIRFは細胞分裂を停止する機能の中心因子に位置付けられ、個別の遺伝子の働きを調整する。
       研究の結果、実際に特定の肺がんでNIRF遺伝子の染色体がわずかに失われていたことが判明し、NIRFの異常が肺がんの原因になっていることが裏付けられた。

       森准教授は「これまで個別のがん遺伝子やがん抑制遺伝子は発見されていたが、これらの遺伝子の階層構造の頂点に位置し、幅広く相互作用する物質が見つかったのは初めて。放射線障害と関連する遺伝子で、福島第1原発事故の健康被害を最小限に食い止めるためにはNIRFの機能解析が欠かせない」と話している。
       研究成果は1日付の米国の科学誌「セルサイクル」に掲載された。

      2011年10月04日 河北新報

      2011年10月3日月曜日

      微量血液から初期がんを発見

      がん診断、微量血液で 国立がんセンター

       国立がん研究センター研究所と東レの研究チームは、血液中の「マイクロ(微小)RNA(リボ核酸)」を手掛かりに、がんかどうかを診断する手法の開発にメドをつけた。新たに開発した試薬とDNA(デオキシリボ核酸)チップを使う。今後、がんの種類ごとにどのマイクロRNAが目印(マーカー)になるかを調べ、早期の実用化を目指す。3日から名古屋市で始まる日本癌学会のセミナーで発表する。

       現在、血液中の特定のたんぱく質を目印にがんを診断する検査はあるが、がんの初期段階にきちんと判断するのは難しい。血液検査で分かるとされる前立腺がんの場合も、実際には前立腺肥大と区別できないケースが多い。

       たんぱく質を作る遺伝子の働きを制御するマイクロRNAを目印に使えるようになれば、微量の血液からがんが診断できるようになり、患者の負担も軽くなる。

       研究チームの新手法では、血液の上澄み(血清)が300マイクロ(マイクロは100万分の1)リットルあれば、従来の約4倍にあたる300~700種類のマイクロRNAを調べることができるようになった。

       実際に健康な人と乳がん患者の血清を測ったところ、がん患者に特有の2種類のマイクロRNAを検出できた。胃がん肺がんなどでも調べると、別の種類のマイクロRNAが出ていることも分かった。

      2011年10月2日 日本経済新聞

      2011年9月30日金曜日

      不要な手術を減らす子宮がん新診断法

      子宮がん診断に新手法 福井大、薬剤使い画像判別可能に
       子宮にできた腫瘍(しゅよう)が良性の筋腫か悪性の肉腫かを見分ける手法を、福井大学が確立した。これまでは手術で取り出した組織を調べなければ見分け がつかなかったが、同大がつくった新しい検査用薬剤で画像による診断が可能となる。早い段階で肉腫を発見し、不要な手術を減らすことも期待できる。
       同大高エネルギー医学研究センターの岡沢秀彦教授と医学部医学科産科婦人科学領域の吉田好雄准教授らが開発した。同大によると、良性の子宮筋腫はホルモン療法などで治療可能だが、肉腫は進行が早く、子宮外に転移すると生存率も低く悪性度が高い。
       子宮筋腫の患者は国内で200万~300万人とされるが、うち1~3%が悪性の子宮肉腫だといわれている。しかし、両者はこれまで判別しにくく、手術をして組織を調べなければ、診断が遅れ、手遅れになるケースがあった。
       通常、腫瘍を診断するPET(陽電子放射断層撮影)検査は、ブドウ糖に似た放射性の検査薬(FDG)を体内に注入し、検査薬ががん細胞に集まるのを画像 化する。がん細胞が正常な細胞よりブドウ糖を取り込む性質を利用した手法だ。しかし、この検査薬だと肉腫だけでなく筋腫にも集まってしまい、見分けがつか なかった。
       そこで同大は、筋腫は女性ホルモンを取り込むのに、肉腫は取り込む働きが正常ではないことに着目。女性ホルモンに放射性物質を化合させた薬剤(FES)を新しく作って体内に注入し、PET検査をしてみた。
       患者に了解を得て、FDG、FESの双方を使ってPET画像を比較したところ、24人中22人が手術をする前に筋腫か肉腫かを正しく診断できたという。岡沢教授と吉田准教授は、この研究を米国核医学会議で発表し、「腫瘍診断基準部門」で最高賞を受賞した。
       吉田准教授は「この手法が一般的になれば、手術をする人を減らすこともできる。今後は検査の精度を上げるにはどうしたらいいか、子宮肉腫以外のガン検査に応用できないか、研究を進めたい」と話している。
      2011年9月29日 朝日新聞

      免疫機能が活性化される核酸由来の化合物


      細菌の核酸物質で免疫向上 抗がん剤開発に期待

      細菌の細胞内で生成される核酸由来の化合物「c―di―GMP」を投与して、哺乳類の体内にあるタンパク質に刺激を与えると、免疫機能が活性化されることを愛知工業大と北海道大などの研究チームが突き止め、28日までに英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。
       この物質が大腸がん細胞の増殖を抑える効果も確認。マウスの実験では目立った副作用もないという。 c―di―GMPには、さまざまなウイルスの感染を軽減する作用があることは知られていたが、詳しいメカニズムは解明されていなかった。チームの早川芳宏 愛知工業大教授は「抗がん剤やエイズの予防・治療薬の開発につながる可能性がある」と期待。
      2011年9月28日 共同通信

      2011年9月29日木曜日

      「効かない」治療を受けている乳がん患者


      乳がん再発すると 3分の1はタイプが変化

      乳がん患者の3人に1人は、最初に診断された時と再発後では、がんのタイプが変化していることがわかった。がん組織を調べる検査は通常、診断時にしか行 われず、再発後に「効かない」治療を受けている患者が相当数いる可能性が出てきた。同様の変化は、他のがんでも起きる可能性があるという。
       スウェーデンのカロリンスカ研究所が26日、欧州集学的がん学会で発表した。
       乳がんには、女性ホルモン陽性でホルモン療法が効くタイプと、女性ホルモン陰性で抗がん剤のハーセプチンが効くタイプ、いずれも効かないタイプがある。

      大腸がん予防に有効な栄養素


      大腸がん、予防に「葉酸」が効果 愛知がんセンター

      ホウレンソウ、春菊、小松菜、レバーなどに含まれる「葉酸」を多くとって飲酒しない人ほど、大腸がんになりにくい――。そんな調査結果を、愛知県がんセンター研究所の研究チームがまとめた。
       葉酸は、緑色野菜や肝臓に含まれるビタミンBの一種。欧米人対象の研究で大腸がん予防効果が知られていた。日本人に同じ効果があるか、同研究所の疫学・予防部が検証した。
       がんセンターを受診した4974人に、書き込み式で質問した。内訳は大腸がん患者が829人、がんではない人が4145人だった。ふだんの食事を詳しく 尋ね、回答から個人の1日あたり葉酸摂取量を推定。摂取量が少ない人から多い人までをほぼ同じ人数で4グループに分け、各グループのがん患者の割合などを 分析した。
       この結果、摂取が最も少なかったグループにおける大腸がんのなりやすさ(リスク)を指数で1とした場合、摂取が最も多いグループの大腸がんリスクは0.72になった。

      「切らずに治すがん治療」の最前線


      切らずに治す、がん治療の最前線に迫る...『ガイアの夜明け』

      江口洋介の案内で、現在の日本を切り取る経済ドキュメンタリー『ガイアの夜明け』(テレビ東京系列)。9月27日放送では切らずに治す、がん治療の最前線に迫る。

       日本人の2人に1人がかかる「がん」。今、がんを「切らずに治す治療」が脚光を浴びている。体外からビームを照射してがんを狙い撃ちする「粒子線治療」 は、身体への負担が少なく、ここ数年で急激に普及している。今年、その粒子線治療の巨大な施設が国内で立ちあがった。一方「神の手を持つ男」と呼ばれる胃 がん手術の名医が、手術ロボット「ダヴィンチ」の導入に踏み切った。一体なぜなのか...?!「切らずに治すがん治療」の最前線を追う。

      ■『ガイアの夜明け』
      2011年9月27日(火)22:00~22:54(テレビ東京系列・一部地域を除く)

      乳がん細胞を殺すウイルス発見


      乳ガンのガン細胞をやっつけてくれるウィルスが発見されました。

      ペンシルベニア州立大学の科学者が人類にとって有益なウィルスを発見したそうですよ。なんとガン細胞を殺してくれるんです。 そのウィルスは、アデノ随伴ウィルス タイプ2!(adeno-associated virus type 2) 実験では3つのステージの乳ガンのガン細胞を殺すことに成功したそうです。
      これはスゴイ重要なことです。なぜならステージが異なると、それぞれちがった治療法が必要とされるからです。実験について詳しく知りたい方はこちらからどうぞ。
      実際にどのようにウィルスがガンをやっつけているかはまだ分かっていません。
      そこの仕組みが分かれば、新薬の開発その他の治療に有効だと考えられています。ウィルスそのものを治療に使うこともできるようになるかもしれません。
      他の研究では、子宮頸ガンのガン細胞にも作用するという結果がでています。この実験結果が実際に薬などとして使用されるにはまだまだ色々な過程を経なければいけません。動物実験の後、3つのフェーズの厳正な臨床実験を行う必要があります。
      女性が一番かかりやすく死亡率も高い乳ガンが治療できたら素晴らしいことですよね。これから様々な実験などが必要という事ですが、それらに成功して早く臨床で使う事ができるようになるといいですね。

      直径1ミリメートルの腹腔鏡がん手術

      ニチオン、患者負担少ない腹腔鏡手術 国立がん研と開発

      医療器具製造のニチオン(千葉県船橋市、本田宏志社長)は国立がん研究センターと組み、開腹せずに内視鏡で行う腹腔(ふくくう)鏡手術で患者の体への負 担の少ない手法と器具を開発した。特殊なクリップの付いた糸を使うのが特徴。内視鏡と手術用のはさみの穴以外は、直径1ミリメートル程度の穴で済むとい う。来年中の実用化と器具の販売を目指す。

      通常、腹腔鏡手術では手術をする部分が見やすいように、鉗子(かんし)で内臓を持ち上げたり、押さえたりする。鉗子用の穴を開けるため、内視鏡、手術用のはさみのためのものを含めて、直径3~5ミリメートル程度の穴を4~5個開けることが多いといわれる。

      ニチオンとがん研究センターは鉗子の代わりに特殊なクリップの付いた糸を使い内臓を引っ張る手法を考案した。まず内視鏡やはさみの穴を使い、クリップで内臓をつまむ。次に、体外から直径1ミリ程度のはりを刺してクリップの糸をかけて引っ張る。

      この手法では直径5ミリメートル程度の穴は内視鏡用とはさみ用の2つで、残りは同1ミリメートルで済む。直径1ミリ程度の穴だと自然にふさがるため、術後に縫う必要はないとされ、「今までの腹腔鏡手術より患者への負担が少なくなる」(ニチオン)。

      クリップは血管用クリップなど既存品を改良し、長さ5~10センチの3種類を用意した。内臓を引っ張るため、つかむ力を弱めたほか、鉗子が引っかけやすいように溝を付けた。

      今後は動物実験を繰り返し、年内の臨床実験を目指す。操作用の鉗子2本とクリップ数本のセットで60万~70万円程度の販売を検討している。

      ニチオンは手術器具の製造のほか、手術器具の洗浄装置の輸入、販売などを行っている。2011年5月期の売上高は約12億円。

      2011/9/28

      2011年9月28日水曜日

      前立腺がんの異常増殖酵素を解明


      前立腺がん 特定酵素が異常増殖に関与 研究グループ解明

      東北薬科大分子生体膜研究所の宮城妙子教授と宮城県がんセンターの研究グループは、前立腺がんの細胞が特定の酵素で異常増殖することを突き止めた。この酵素の合成や働きを抑えることで、近年増加傾向にある前立腺がんの新しい診断・治療法を開発できる可能性があるという。
       前立腺がんの治療法には、男性ホルモンの一種「アンドロゲン」の働きを抑制することで、がんの進行を阻止・制御するホルモン療法がある。だが次第に効果が低下し、がんが増加することがあり、治療上の問題点となっていた。
       宮城教授らは「シアリターゼ」と呼ばれる酵素に注目。細胞の表層膜にあり、細胞の増殖や分化、細胞内の情報伝達を制御する働きがある。
       マウスを使った実験で、シアリターゼが前立腺がんの組織で異常に増殖することを発見。その変化がアンドロゲンの働きを活発化させ、がんの悪性度と相関関係があることも分かった。
       シアリターゼを抑制すると、マウスに移植した前立腺がん細胞が縮小することも判明。ホルモン療法が効かなくなった患者でも、シアリターゼの働きを低下させることで治療が期待できる。
       宮城教授は「シアリターゼは、前立腺がんの診断・治療に役立つ。将来的には、この酵素をピンポイントでたたく分子標的薬の開発を目指している」と話している。
       研究成果は6月に米国国際誌「細胞死と分化」オンライン速報版に掲載され、アジアの研究者の仕事を評価するウェブサイトで9月のベスト論文の一つに選ばれた。

      2011年09月28日 河北新報

      2011年9月26日月曜日

      1分間の乳がん光検査で1ミリまで検出

      乳がんを光で検査 キヤノンや京大、1ミリまで検出 体の負担小さく

       キヤノンや京都大学の椎名毅教授、戸井雅和教授、鍛利幸・特定准教授らは光で乳がんを検査する新技術を開発し、約1ミリの小さながんをとらえるのに成功した。エックス線や核種を使わず被曝(ひばく)の心配がない。マンモグラフィーよりも乳房を押さえる力が弱く検査を受ける人の負担が小さい。2015年ごろの実用化を目指す。

       新技術は波長数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの光を乳房に照射。血液などの生体組織が光を吸収して発生する熱で一瞬膨張すると、超音波が出る。これを外部に設置したセンサーで検出して調べる仕組み。乳房を押さえつける力はエックス線を使うマンモグラフィーの約5分の1で済む。

       約40人の乳がん患者を検査し、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像と照らし合わせて約1ミリの小さながんまで検出できた。計測時間は約1分。来春にはさらに縮めた改良型で臨床試験を始める考えだ。

       光は波長により吸収される分子が変わる。がん組織周辺は低酸素状態といった特徴があり、がんを見極められる。今後、新技術と既存の超音波検査を併用できる装置にして実用化を目指す。京大の「先端医療機器開発・臨床研究センター」で取り組む。キヤノンが建設に約5億円を寄付した。

      2011年9月25日 日本経済新聞

      がん患者の血液など収集して新治療診断技術開発

      がん患者の血液など収集、抗がん剤開発に活用 国立がんセンター

       国立がん研究センターは、がん患者から血液やがん組織を研究用に提供してもらって保管するバイオバンク事業を本格的に始めたと発表した。10年間で約8万人分の試料を集める計画。詳細な遺伝子解析を通じて、抗がん剤の開発やがん発症のメカニズムの解明などの研究につなげる。

       同センター中央病院(東京・中央)と東病院(千葉県柏市)を新たに受診する患者全員が対象。遺伝子の解析や研究の目的などを説明する専任の説明員10人を新たに配置した。同意してくれた患者から血液と手術時などにとれたがん組織の一部などを提供してもらう。同意の有無で診療内容が左右されることはない。

       5月から試行し、9月までの約4カ月間で対象患者の95%にあたる3200人余りが提供に同意した。年間に約8000人分の試料を集める予定。嘉山孝正 理事長は「先進的な治療・診断技術の開発に遺伝子解析は不可欠。研究の意義などを理解してもらい、研究用のインフラ(基盤)としていきたい」と話す。  

      2011年9月24日  日本経済新聞

      がん病巣をリアルタイムで放射線追尾

      がん、放射線で狙い撃ち 京都大成功、病巣を追尾

       京都大病院放射線治療科の平岡真寛教授は20日、病巣を追尾しながら、がんにピンポイントで放射線を照射する手法の開発に世界で初めて成功し、肺がん治療を始めたと発表した。従来は、呼吸に伴って体が動くため病巣をリアルタイムで正確にとらえることが難しかった。

       平岡教授は「副作用を軽減し、病巣により強く照射できるようになった」と話している。

       同教授によると、2000年から三菱重工業(東京)などと装置を開発。照射ヘッドの向きを変えることで、動く病巣をリアルタイムで狙えるようにした。

      2011年9月20日 共同通信

      LEDでがんの抗体検出

      LED光でがんの抗体検出に成功

       発光ダイオード(LED)の光でがんを診断する技術が開発された。

       韓国科学技術院(KAIST)は20日、イ・ゴンジェ新素材工学科教授の研究陣が、窒化ガリウム発光ダイオード(GaN‐LED)を用いてがんの抗体を 検出することに成功したと発表した。抗体は抗原と結合し、各種免疫反応を引き起こす。研究陣は、がんの抗原‐抗体反応によってLED光への感度に差が出る 点を活用し、前立腺がんの抗体を検出したという。また研究陣は、よく曲がるプラスチックの基盤にLEDを取り付け、脳に付着させたり血管・脊椎(せきつい)などを包むことができるようにした。

       イ教授は「LEDで発生するさまざまな波長の強い光を利用すれば、神経細胞を刺激でき、病気の治療にも応用できるだろう」と語った。今回の研究結果は、学術誌『ナノ・エナジー』9月号電子版に掲載された。

      2011年9月22日 朝鮮日報

      2011年9月22日木曜日

      がんに集まる新型高分子


      京大・島津、がんに集まる新型高分子 免疫すり抜け患部に

      京都大学の木村俊作教授と島津製作所は、がんの診断と治療の両方に使える高分子を開発した。大きさを20ナノ(ナノは10億分の1)メートル前 後にすると、体の免疫反応をすり抜けてがんの患部に繰り返し集まることをマウスの実験で確認した。通常は免疫反応が起きるため、せっかくがんに届く化合物 を作っても繰り返し使えない。効率的ながんの診断と治療に役立てるため、1年後の臨床応用に向けて準備を始めた。
       開発したのは、がん患部に集まる性質がある「ラクトソーム」と呼ぶ球状の高分子。材料にはポリ乳酸など体内で自然と分解するものを使った。がんの周りには血管が多くあるため、注射で血管に入れた高分子は体内を巡りながらがん周辺に集まってくる。

      2011/9/22 日経産業新聞

      がん治療ソリューション開発の5カ年計画

      腫瘍治療ソリューション開発の5カ年計画=英社〔BW〕

      医療機器大手の英GEヘルスケアは、新しい腫瘍治療ソリューションの開発に10億ドルを費やす5カ年計画を発表した。陽電子放射断層撮影(PET)やコン ピューター断層撮影(CT)、PET用トレーサー生産システム、リアルタイムの代謝イメージングを可能とするC13薬剤、がん研究に活用できる超解像顕微 鏡に加え、タキサン療法の有効・無効を患者ごとに判定するための新しいバイオマーカー、がん標的治療薬の開発技術など、総合的な個別化医療に貢献する技術 開発に力を入れていく。

      2011年9月22日 ビジネスワイヤ

      2011年9月15日木曜日

      肺がん手術の最先端機器

      肺がん 胸腔鏡下手術の発展型「ダ・ヴィンチ手術」とは

      肺がんには大別すると小細胞肺がん約2割)と非小細胞肺がん(約8割)がある。小細胞がんは進行が早く、転移していることが多いので、一般的には化学療法が適用される。一方、非小細胞がんは局所に留まっていることが多いので、早期なら手術が適用される。

       手術の方法には「開胸手術」と「胸腔鏡下手術」がある。開胸による手術は治療後も痛みが長く続き、負担が大きいが、「胸腔鏡下手術」は、体の側面に小さな穴を開け、内視鏡の一種である胸腔鏡を挿入し、がん部分を切除するため体への負担が小さい。

       胸腔鏡下手術を積極的に導入しているのが熊本大学医学部附属病院だ。

      「CT検査では、約5ミリ以上のがんなら約95%は発見できるので、早期発見が増えています。当院では、肺がんのステージがI期と診断された場合は、胸腔鏡下手術を第一選択とします。手術の対象となる患者さんのうち、約2割が開胸手術、約8割が胸腔鏡下手術です」(同院呼吸器外科科長・鈴木実教授)

       胸腔鏡下手術も当然のことながら技術力が問われる。岩手医科大学附属病院の呼吸器外科・谷田達男教授は「肺がん治療では同じスタッフが年間約100症例について胸腔鏡下手術を担当し、テクニック的にも熟達しています」と胸を張る。

       また、胸腔鏡下手術の発展型ともいえるのが「ダ・ヴィンチ手術(ロボット支援手術)」だ。内視鏡とロボットアームを患者の体内に挿入し、3Dモニターを見ながら手術をするシステムで、導入している病院はまだ少ない。金沢大学附属病院ではこの1月からダ・ヴィンチを導入した。

      「ダ・ヴィンチは術者の手にあたるサージカルアームや鉗子の自由度が高くて動きに制約を受けにくい。がんの切除や縫合、結紮が容易にでき、呼吸器の領域でも大きなメリットがあるのです」(同院診療科外科呼吸器科長・小田誠教授)

      2011年9月15日 週刊ポスト2011年9月16・23日号

      上手ながんとの折り合い方

      がんと折り合う 「諦めず自分らしく」

      がんで悩む人に読んでほしい」と語る久保田医師

       県立がんセンター久保田彰・頭頸部(けい・ぶ)外科部長(56)が、上手ながんとの折り合い方を一冊の本にまとめた。医学書でも、医学用語で治療法を細かく記した本でもない。「我慢しないで、諦めないで、自分らしく生きていくための参考にしてほしい」と語る。

       この本は「知っていると楽になる、がんとの付き合い方―がんで悩んでいるあなたへの処方箋(・・せん)」。

       「がんを怖がらないで」「焦らず自分が納得できる治療法を選ぶ」「痛みはがまんしない」――。冒頭には「がんと上手に折り合うための15カ条」が並ぶ。20年以上がんと向かい合ってきた久保田医師が、患者やその家族から教えられてきたことなどをまとめた。

       久保田医師自身、かつては生存率を上げるのが正しい治療法と思い、それを選択してもらうよう患者に説明してきた。後遺症のない手術は少ないが、「生きる」ために後遺症に耐えることは仕方がないと考えていた。

       久保田医師は、がんを再発した男性に、「外来治療では弱い抗がん剤治療になって効果も薄れる」と暗に入院治療の継続を勧めたことがあった。しかし、自宅療養を希望する男性は「妻と自宅でゆっくり過ごしたい」と退院。男性は亡くなったが、妻は「濃密で幸せな時間」に感謝していた。

       「医療の役割は、単に残された時間を引き延ばすのではなく、上手に有意義に過ごしてもらうためにいかにサポートするかだと学びました」と久保田医師。著 書では、夫の献身的な支えで奇跡的に回復した妻、がんになったことでいろいろ学んだと前向きにとらえる若者など、出会った様々な患者と家族が登場する。

       生存率より、生きる質を選ぶ患者がたくさんいる。患者自身が納得できる道を選べるよう、きちんと説明し、寄り添うことが医療の役割――久保田医師はそう考えるようになった。

       この本には、久保田医師のそんな思いが多くの経験とともに込められている。「今、がんに悩んでいる人に読んでもらい、自分自身がどう過ごしたいかを考える手助けになればうれしい」と話す。

       1200円(税別)。問い合わせは出版元のかまくら春秋社(0467・25・2864)へ。

      がんと上手に折り合うための15カ条から抜粋>
      • 納得する治療を選ぶ。答えは一つではない。
      • がんを患った時こそ、人生を豊かに生きるため何が大切か考える。
      • 家族、友人こそ本当の財産。助けてもらおう。
      • がんを加勢する酒やたばこをやめよう。
      • 痛みは有意義な時間を奪う。がまんしないで。
      2011年09月14日 朝日新聞

      2011年9月14日水曜日

      血液がんの原因遺伝子を特定


      東京大学研究チーム、がんの一種の遺伝子解析に成功

      血液がんの原因となっていた遺伝子が解明された。

      今後、治療薬や診断法が開発される見通しだ。血液のがんの一種「骨髄異形成症候群」である。骨髄に造血幹細胞の前腫瘍細胞である異型クローンが生じ、正常の造血が抑制されてしまう症状であり、2002年の統計では国内で3000人程度の発症者が存在する。

      この病気は有機溶剤、化学物質、放射線、抗癌剤などによって遺伝子が変異し発症すると言われていたが、今回は世界で初めて原因遺伝子が特定された模様だ。

      12日、血液のがんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見したと発表したのは小川誠司・東大特任准教授(がん分子遺伝学)らの研究グループ。発表は英科学誌ネイチャー電子版にて行われた。日本、ドイツ、台湾の24~88歳の患者29人を対象にし、共通して変異していた遺伝子を複数発見する事に成功した という。今後、同発見を基にして診断法や治療薬開発が行われる事が大いに期待されている。   

      2011年9月13日 日刊テラフォー

      がん治療で不妊男性の精子を温存


      体外で幹細胞から精子作製 「生殖能力温存に期待」

       マウスの精子の元になる精原幹細胞を、体外で精子にまで成長させることに横浜市立大医学部の小川毅彦准教授(泌尿器病態学)らのチームが成功し、13日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(電子版)に発表した。
       これまで精原幹細胞を培養することはできたが、精子にするためには、いったん精巣に戻す必要があり、完全に体外でつくったのは初めて。この精子を使った子どもも生殖能力があることが確認された。
       小川准教授は「人でも同じことが可能になれば、がん治療で不妊になる恐れがある男性の生殖能力を温存することが期待できる」としている。
      2011年9月14日 共同通信

      直径10ナノメートルの粒子で大腸がん治療


      ナノ粒子を利用した大腸がん治療、韓国チームが開発
      ソウル大学・高麗大学が共同研究

      『ネイチャー・ナノテクノロジー』電子版に掲載

       韓国人男性の大腸がん発生率はアジアで第1位という数字が、世界保健機関(WHO)から発表された。そんな中、直径が髪の毛の1万分の1という微小粒子を扱うナノテクノロジーを利用し、大腸がんの細胞を攻撃する治療法が、韓国の研究陣によって開発された。

       ソウル大学医学部のチョ・ナムヒョク教授、ソン・スンヨン教授のチームと高麗大学工学部のキム・ヨングン教授のチームなどは13日、大腸がんの細胞が作り出すタンパク質を付着させた特殊なナノ粒子で患者の免疫細胞を訓練し、大腸がんを効率的に攻撃させる技術を開発したと発表した。研究チームの論文は今月11日、ナノ技術分野で最高の権威を誇る学術誌『ネイチャー・ナノテクノロジー』電子版に掲載された。

       人間の体には、外部から侵入した細菌やがん細胞を攻撃する「T細胞」と呼ばれる免疫細胞があり、がんとの戦いの第一線に立つ先兵のような役割を果たしている。この兵士たちを訓練する教官に当たるのが「樹枝状細胞(抗原提示細胞)」だ。研究陣は、直径10ナノメートルの粒子に大腸がんの抗原を付着させ、樹枝状細胞にこれを注入、T細胞を訓練させるよう仕向けた。ソン・スンヨン教授は「今後3-4年以内に、実際に大腸がんの患者に対し適用が可能になると期待している」と語った。

      2011年9月14日 朝鮮日報

      2011年9月13日火曜日

      大腸がんが完治する病院の見分け方

      早期発見で100%近く完治する大腸がん 良い病院見分ける方法

       胃がん同様、大腸がんも早期であれば、内視鏡による治療で100%近く完治するので、やはり注目する項目は「内視鏡」の割合だ。「内視鏡」の割合が高い病院は、早期発見のために検診体制を整え、内視鏡の専門医が充実している病院といえるからだ。

       初回治療症例数の7割近くを内視鏡が占める島根県立中央病院の医療局次長・今岡友紀医師はこういう。

      「島根県は自治体やJAも連携して検診体制がしっかりと確立しているので、早期で見つかる患者さんが非常に多いのです。当院の特徴としては、1回目の内視鏡治療でポリープを切除すること。たいていの病院は1回目に検査をし、2回目で切る。うちは1回で切除してしまうので、非常に多くの患者さんを診ることができる。患者さんにとっても、体の負担はもちろん、経済的な負担も軽くなります。2007年に内視鏡を性能の高いものに総入れ替えして効率が上がったことも2008年の件数の多さに表われたと思います」

       福島県の慈山会医学研究所付属坪井病院も、同様にこういう。

      大腸がんの内視鏡の件数が多いのは、そもそも検査の数が多いから。早期がんは自覚症状がないので検査は重要です。当院には内視鏡室が6部屋あり、医師も内視鏡技術に優れています」(同院外科部長・湖山信篤医師)

      2011年9月13日 週刊ポスト2011年9月16・23日号

      「コーヒー」の美肌効果と抗がん作用

      朝のコーヒータイムで皮膚がん予防?

      「コーヒー」には、抗酸化作用による美肌効果があったり、ダイエットに効果があると言われたりする一方で、胃に悪いとか体に悪いとか言われたりしている。毒にも薬にもなる食物の代表格なのではないだろうか?
      そんなコーヒーについて、ラトガース大学での新しい研究によると、朝の一杯のコーヒーが、太陽からの有害なダメージを予防したり、皮膚がんを予防するなど、肌の健康を守るのに役立つという見解が示された。

      コーヒーに含まれるカフェインが、タンパク質リン酸化酵素ATRを抑制し、紫外線で損傷した細胞を死滅させる効果があり、ある種の皮膚がんに対する抵抗性があるという理論は、以前から存在していたが、今回の研究結果はこの理論を裏付けるものとなっている。
      今回のマウスを使った実験では、カフェイン入りコーヒーを適度に飲んだり、直接皮膚にコーヒーを塗布すると、皮膚がんを引き起こす原因となる紫外線のダメージから肌を守るのに役立つということがわかったそうだ。

      というもの、コーヒーには抗酸化物質が含まれており、皮膚がんリスク を軽減させるのに関係していると言われている。以前行われたマウスを使った研究では、カフェイン入りの水を飲んだマウスに、皮膚細胞のDNAを破壊する UVBを放射させたところ、傷ついた細胞の大部分を取り除くことができ、皮膚がんリスクを軽減する効果があるとされていた。

      「コーヒーを飲むことは、非黒色腫皮膚癌のリスクの減少と関係性があることは知られているが、今話題のカフェインが日光によって引き起こされる皮膚癌を阻害できるのかどうかの研究を進める必要がある」と語るのは、スーザン・リーマン・カルマン癌研究所のディレクターであるアラン・コニー氏だ。

      アメリカの国立がん研究所によると、日光によって引き起こされる皮膚がんがアメリカで最も一般的なとされ、毎年100万人以上発症しているそうだ。アメリカ人の食生活における最大の抗酸化物質供給源であるコーヒー飲料の摂取量が増えると、皮膚がん以外にも、前立腺がん子宮がんなどの癌のリスクを減少させると言われているが、現在のところ、その理由については詳しくは解明されてはいない。

      コニー氏によると、「コーヒを飲んだり肌に直接塗布すると、タンパク質リン酸化酵素ATRが抑制されるそうだ。すると、直接肌にダメージを与える紫外線を吸収するので、紫外線を浴びても皮膚がんリスクが大幅に抑制され、がん予防の最大の武器になるかもしれない」との見解を示している。

      2011年9月13日 daizu

      がん診療の中核を担う がん・感染症医療センター


      がん・エイズ診療中核に 都立駒込病院リニューアル

       老朽化と都立病院再編のため全面改修を進めている都立駒込病院(文京区本駒込三)が十七日、リニューアルオープンの記念式典を開く。「がん・感染症医療センター」と位置付けて施設を拡充、がんやエイズ診療の中核を担う。外来患者の受付は今月下旬に始まる。
       病床数は従来の八百一床のままだが、空いていた都医学総合研究所の建物を利用し、延べ床面積を約五万七千平方メートルから約八万平方メートルに拡大。民間資金などを活用するPFI方式で改修し、工事費や二〇二五年度までの維持管理費に計千八百六十二億円を投じる。
       全面改修により手術室を九室から十五室、内視鏡室を七室から十室に増やし、手術や検査待ちの日数を短縮する。入院せずに抗がん剤などの化学療法を受けられる「通院治療センター」も二十六床から五十床に増床。患者の苦痛を和らげる二十二床の緩和ケア病棟を新設する。
      このほか、
      ▽入院病棟の個室を百二十床から約百五十床に増床
      ▽相部屋を一室六床から四床に改善
      ▽高精度の放射線治療装置を導入
      -などで医療環境を充実させる。都病院経営本部は「東京でのがんと感染症の拠点病院として、高度で先進的な医療を提供したい」と話している。

      2011年9月12日 東京新聞

      血液がんの原因遺伝子を発見

      東大、血液がんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見

      世界で初めて「骨髄異形成症候群」(血液がんの一種)の原因遺伝子を発見

       東京大学医学部附属病院キャンサーボードの小川 誠司特任准教授を中心とする国際共同研究チームは、世界で初めて、難治性の血液がんである骨髄異形成症候群(MDS)の原因遺伝子を発見しました。

       骨髄異形成症候群(MDS)は、白血病などと並ぶ血液がんのひとつです。我が国でも推定で数万人の患者がおり、年間5000人以上が新たに発症していますが、骨髄移植以外には、根本的な治療がないのが現状です。高齢者の場合は骨髄移植のできる例が一部に限られるため、身体への負担の少ない治療法開発が求められています。

       同研究チームは、今回、大量並列ゲノムシーケンス技術を用い、29例のMDS症例のゲノムを詳細に解読することによって「RNA スプライシング」に関 わる遺伝子群が45~85%という高い頻度で変異を生じていることをつきとめました。今後、異常な「RNA スプライシング」の因子を阻害する薬剤などの 新たな治療法の開発が期待されます。今回の発見は、「RNAスプライシング」の異常が、がんの発症に関わることを示す研究としても世界で初めてのものです。

       本研究結果は、大規模シーケンスによるがんゲノムの徹底的な解読による研究が、がんの病態解明の上で有効であることを証明する成果となりました。

      2011年9月12日 プレスリリース

      新頸がんワクチン


      新たな頸がんワクチン発売

       製薬企業のMSD は8月下旬、子宮頸がんや性感染症の尖圭コンジローマ(性器イボ)を引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチン「ガーダシル」を発売した。

       国内では既に、2009年に発売されたグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」が子宮頸がん予防ワクチンとして使われており、新たな選択肢が加わった。
       HPVは100種類以上あるが、子宮頸がん発症原因の約65%、特に20~30代の若年層では80~90%を16型と18型が占めている。ガーダシルはサーバリックスと同様、これら2タイプの感染を防ぐのに加え、尖圭コンジローマの原因となる6型と11型の感染予防効果も持つ。

      2011年9月13日 47news

      月額30万円の抗がん剤「ネキサバール」


      「保険適用外のため薬代が高く治療に踏み出せない」―。秋野公造 参院議員(医学博士)は8日、甲状腺がんの症例4種の中でも特殊な「進行甲状腺髄様がん」を患う岡田泰一さん(58)と福岡市内で面会し、新薬の承認、保険 適用への要望を受けるとともに激励した。これには、高橋雅成県議も同席した。

      16年前に甲状腺がん手術を受けた岡田さんは今年8月、第六胸椎両肺の呼吸器官と食道の間に腫瘍が見つかり、進行甲状腺髄様がんと判明。既にリンパ節をはじめ、肺の3カ所や腰骨、腸骨にも転移しており、薬による治療が望ましいと医師から告げられたという。

      しかし、治療に有効とされる抗がん剤「ネキサバール」は、保険適用外の未承認薬。「服用すれば月額30万円の薬代で生活が破綻する。肺や肝臓がんなどには保険適用なのに……」と、岡田さんは窮状を吐露した。

      こうした切実な訴えに真剣に耳を傾けた秋野氏は「保険適用に向けて、国が一日も早く承認できるよう訴えていきます」と約束し、岡田さんと固い握手を交わしていた。
      2011年9月10日

      口腔がんの早期治療

      口腔がん早期治療で歯科開業医と連携

      ★日本大学歯学部付属歯科病院

      話をするだけでなく、食べ物を噛んで飲み込む上でも重要な口。顔の表情にも影響を与える器官であり、この口の中にできるがんを「口腔がん」という。口という大切な器官だけに、早期発見であっても、治療は腫瘍部分を切除するというだけでは済まないケースもある。

        がんを取り除くためには、周辺の歯や歯茎、顎、頬なども取り除くことがあるからだ。以前のように食べ物を噛んで飲み込み、スムーズに話し、見た目を変わら なくするなど、「再建」技術も不可欠。そんな口腔がんの診断・治療、そして、再建まで、チーム医療で定評を持つのが日本大学歯学部付属歯科病院口腔外科 だ。歯科インプラント科や、顎顔面補綴(ほてつ)科、摂食機能療法科などとタッグを組み、口腔がんに挑んでいる。

       「人間は、歯や顎の骨 が少しずれただけでも、食べ物を噛めなくなる、あるいは、話しづらくなることがあります。繊細な器官ゆえに、私たちは、がんを取り除くだけでなく、インプ ラント、頬や顎の再建など、専門医の集団によるトータル的な治療を実践しています」とは、副院長を兼務する大木秀郎教授(58)。長年、口腔がんや顎変形 症などの手術をこなすエキスパートである。

       がんは進行した状態で見つかるほど、当然のことながら、治療は難しくなる。口腔がんも同じ だ。しかも、口腔がんは、顎の骨などに悪影響を与えやすい放射線治療は適用しにくい。化学療法も今のところ確かな決め手に欠く現状にある。治療の柱は手術 となり、早期であっても発生する場所によっては高度な技術が求められる。その治療を大木教授は、各分野の専門医とタッグを組んで行っているのだ。

        「最近では、かかりつけの歯科で早期の口腔がんが見つかる患者さんが増えました。開業医の先生が、口腔がんかどうか迷うケースでも、病院ではさまざまな検 査でがんを確定することが可能です。そのため、現在、開業医の先生方との『病診連携』のネットワークを強化しようとしています」(大木教授)

       開業医が迷ったときには、メールで相談できるシステムを構築中という。専門領域の歯科医師や医師が中心となり、メールの相談をクリニックから受けたときに、複数の専門の歯科医師や医師がアドバイスを行う仕組みだ。

       「がんかそうでないのかを見極めることで、患者さんだけでなく、開業医の先生方もスムーズに治療が行われるようになればと思っています」と大木教授。院内のチーム医療を外部にも拡大し、口腔がんの早期発見・早期治療に貢献するため、今も力を注いでいる。(安達純子)

      <データ>2010年実績

      ☆手術総数354件
      ☆外来手術数115件
      ☆入院患者数411人
      ☆病床数24床
      〔住所〕〒101-8310東京都千代田区神田駿河台1の8の13 
      (電)03・3219・8080

       2011年9月12日 zakzak

      パンダ茶に抗がん作用

      パンダのふんに抗がん作用? 四川大教員が報告

       四川大学の教員・安〓石さんは先ごろ、パンダのふんを肥料として栽培したお茶には抗がん作用があるという報告書を発表。四川省から正式に著作権が発行された。現在、「パンダ茶」は1キロ2万人民元(約27万円)で売買されている。

       安氏によると、パンダは栄養の吸収効率が悪く、食料である竹から吸収できる栄養部はわずか30%。
       従ってふんには、竹の葉に含まれる抗がん成分が豊富に含まれるため、ふんを肥料にすれば、抗がん作用のある茶葉を栽培することが可能だとしている。
       パンダのふんは1頭1日20キロ程度。繊維質が多く含まれるため、紙にすくことで、はがきなどとして商品化されていた。  安氏はパンダ茶が中国の「国茶」となると鼻息も荒いが、専門家には懐疑的な声もある。

      ※注:〓は王ヘンに「炎」

      2011年9月12日 中国時報

      2011年9月9日金曜日

      唾液を調べるだけの最新がん検査

      9月13日放送の『みんなの家庭の医学』は、「がん治療にまつわる3つのスゴイ事実」を大公開!!この30年間日本人の死亡原因の第1位となっている「がん」。がんは早期に発見、治療できるかが生命のカギを握っている。

       まず現在、慶応大学で行われている「唾液を調べるだけでガンかどうかがわかる」という最新研究を紹介。次に女性が発症しやすいがんの第1位である「乳がん」に注目。自身が乳がんを患い、乳がん根絶の啓蒙にも努めるタレントの山田邦子が「乳がんで失った乳房が元通りになる」という最新乳がん治療の現場に密着する。はたしてその最新乳がん治療のスゴイ事実とは!?さらに3つ目のスゴイ事実として「1ミリ以下のガンも見つける!最新の乳がん検診」に注目。ハリセンボンの近藤春菜と箕輪はるか、タレントの新田恵利らが"初めての乳がん検診"を体験する。はたしてその検診の内容とは...?

      ■『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学 』
      2011年9月13日(火) 20:00 ~ 20:54(テレビ朝日系)

      2011年9月8日 テレビドガッチ