2011年10月14日金曜日

死亡率が高いすい臓がんを予防する方法

唾液ですい臓がんを早期発見
 すい臓がんは死亡率の高いがんとして知られる。5年生存率は10~20%程度とされ、アップル社の前CEO、スティーブ・ジョブズ氏もつい先日この病気で亡くなっている。
 死亡率が高い最大の原因は、早期発見の難しさにある。米国で発見されたすい臓がんのうち、手術が有効な初期に発見されたものはわずか15%といわれる。それ以上に進行したものについては化学療法が行われるが、治療効果は高くない。
 そんなすい臓がんを早期に発見できる検査法を、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校の膵臓病センターの準教授ジェームズJ.ファレル博士らが発見した。米国の健康医療情報サイト「HealthDay」が12日に伝えた。
 研究結果はガット誌オンライン版最新号に掲載されている。
 唾液中の細菌で判定
 研究者が注目したのは、すい臓がん患者の口内に生息する細菌だった。人の口内には、およそ300~400種の細菌が生息している。
健康な人とすい臓がん患者の口内細菌を調べたところ、がん患者に特有の細菌が31種、健康な人のみに生息していた細菌が25種見つかったという。
 こういった細菌構成の違いは、すい臓がんになりやすい慢性すい炎の患者でも見られた。
 口内衛生ですい臓がん予防も?
 研究者はさらに、この細菌構成の違いは、「すい臓がんがもたらした結果」なのか、それとも「こういった細菌がすい臓がんを発症させている」のか、研究が必要と語っている。
 口内環境が心臓病や肺疾患に結びつくことはすでによく知られている。すい臓がんにもその可能性がある、と考えれば新しい研究分野が開ける。
 将来的には、口内衛生を保つことですい臓がんを予防できる時代が来るかもしれない。