2011年10月3日月曜日

微量血液から初期がんを発見

がん診断、微量血液で 国立がんセンター

 国立がん研究センター研究所と東レの研究チームは、血液中の「マイクロ(微小)RNA(リボ核酸)」を手掛かりに、がんかどうかを診断する手法の開発にメドをつけた。新たに開発した試薬とDNA(デオキシリボ核酸)チップを使う。今後、がんの種類ごとにどのマイクロRNAが目印(マーカー)になるかを調べ、早期の実用化を目指す。3日から名古屋市で始まる日本癌学会のセミナーで発表する。

 現在、血液中の特定のたんぱく質を目印にがんを診断する検査はあるが、がんの初期段階にきちんと判断するのは難しい。血液検査で分かるとされる前立腺がんの場合も、実際には前立腺肥大と区別できないケースが多い。

 たんぱく質を作る遺伝子の働きを制御するマイクロRNAを目印に使えるようになれば、微量の血液からがんが診断できるようになり、患者の負担も軽くなる。

 研究チームの新手法では、血液の上澄み(血清)が300マイクロ(マイクロは100万分の1)リットルあれば、従来の約4倍にあたる300~700種類のマイクロRNAを調べることができるようになった。

 実際に健康な人と乳がん患者の血清を測ったところ、がん患者に特有の2種類のマイクロRNAを検出できた。胃がん肺がんなどでも調べると、別の種類のマイクロRNAが出ていることも分かった。

2011年10月2日 日本経済新聞