2012年3月30日金曜日

最先端前立腺がん手術は国内30病院のみ

ロボット支援前立腺全摘除術

前立腺がんの手術は、従来型の開腹手術と最新のロボット手術で患者の負担が大きく違う。
従来の開腹手術で前立腺がんを手術すると出血は平均500~600ccだが、ロボット手術では100cc程度で済む。体を大きく切らないので手術後の回復も早く、2日目で歩行開始、7日目の退院が可能。

しかも、先進医療としてロボット支援前立腺全摘除術は、4月1日から保険適用となった。これまでは全額自己負担の高額医療だったために、自己負担が約140万円も必要だったので、 前立腺がんを患う患者には福音と言える。

ここでロボット手術とは?
ロボット手術とは全自動で機械が手術するものではなく、いわば執刀医の手術補助システムというのが妥当だろう。患者に開けた小さな穴から4本のロボットアームを患者の体内に挿入して施術する。ロボットアームの先端には、それぞれに内視鏡や超音波メスなどが装着されいて、手術台横のコンソールに座る執刀医師が操作するのだ。ここで、内視鏡から送られる画像は、3Dハイビジョンの高画質で、医師は画像をビューワで見ながらコントローラを操作することで、ロボットアームがその動きを再現するという仕組み。

高画質の内視鏡は最大15倍までズーム拡大が可能で、しかもビューワ内の画像は立体的な3D。手術処置している所に執刀医自身の目があるかのような感覚で操作が可能なのだ。さらに、執刀医の指が5cm動いても手術器具は1cmしか動かない。人間の指先の震えさえもロボットアームへの伝達時に取り除いてくれることで、精度が高くなる。

前立腺がんは、神経や血管を温存する緻密な手術が、手術後の排尿・性機能を大きく左右するため、精度の向上は大変な進歩なのだ。

この前立腺がんを高精度に執刀できるロボットは、米国製で「ダヴィンチ」。既に米国では前立腺がん根治手術の90%はこのロボット「ダヴィンチ」で手術されているが、日本国内の導入台数は2011年にようやく30台を超えたばかり。また、経験を積んでいる病院は多くないため、 100例以上の実績を持つ病院は稀少なのだ。

保険適用を機に、今後の前立腺がんの手術は日本でもロボット手術が標準となることは間違いない。

2012年3月29日木曜日

前立腺がんの原因と予防と食事

日本の伝統的な食事の重要性

前立腺がんを予防できる食事は、ずばり日本食だ。

つい数十年前まで日本人の前立腺がんの発症率は、欧米人に対してわずか4%程度だった。しかし、食文化の西洋化が進んだ近年は著しい増加傾向となっている。
中高年の男性に発症しやすい前立腺がんの要因は、加齢に伴って女性ホルモンが減少し、ホルモンバランスが崩れることが原因とされている。

このホルモンバランスを調整するのが、日本の伝統食、中でも豆類に含まれるイソフラボンという成分。大豆は、ファイトケミカルの一種の“イソフラボン”は、大豆に多く含まれることから、毎食に大豆が原料の味噌汁を飲み、おかずに大豆製品である豆腐や納豆から自然と摂取されていたのだ。

しかし、現代の食生活では、大豆製品を通じてイソフラボンを得る機会が大幅に減ってしまった。毎食摂取する必要はないものの、納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品は積極的に摂ることで、前立腺がんの予防には極めて有効。その他にも高い抗酸化作用があるリコピンを豊富に含むトマトなども、前立腺がんの予防に有効だ。

日本食は、前立腺がんだけでなく、乳がんの予防に優れた効果のある食品、積極的に取りべきだ。

2012年3月28日水曜日

肝臓がんの余命を3倍にする新治療法

難治性肝臓がんの生存率改善  微小球放射線塞栓療法

結腸直腸がんの患者の約半数でがん転移が発生し、 がん原発部位から主に肝臓へとがんが広がってしまう。患者の約90%が、最終的にはがんの広がりによる肝不全のために死亡する。結腸直腸がんは、2008年に米国で15万3000人、欧州では33万3000人が発症している。食生活に密接したがんで、アジアでは韓国での発症例が多い。日本にも食の西洋化が進展したために、非常に発症の多いがんである。

この結腸直腸がんに多い転移した肝臓がんに新しい治療方法の研究が進んでいる。

新しいがん治療方法は、放射線塞栓療法。選択的体内照射療法(SIRT)とも呼ばれ、放射性物質(イットリウム)の微小球(SIR-スフェアズのマイクロスフェア)を使って治療する新たな大腸がん治療手法だ。微小球は放射線医が体内に設置し、健康な肝臓組織には影響を与えずに選択的に腫瘍に照射する。
この新治療法を推進しているのは、オーストラリアはシドニーのセント・ビンセント病院。研究結果は腫瘍外科学会の第65回年次がんシンポジウムで発表されたが、治療の難しい肝臓がん患者が放射線塞栓療法で生存率が大幅に改善したとされた。

新しいがん治療法の研究対象となったのは、化学療法が難しいとされた肝臓がん患者が中心の463人。
結腸がん・直腸がんから肝臓がんにがん転移した251人の患者のうち、放射線塞栓療法を受けた220人の患者の平均生存期間は11.6ヶ月。これに対し標準的または最高の支持療法を受けた31人の患者では6.6ヶ月。
その他の適用例は、胆嚢がん(41)神経内分泌がん(40)肝細胞がん(27)すい臓がん(13)乳がん(11)胃がん(9)その他のがん(71)などから転移した肝臓がん患者212人。 SIR-スフェアズ微小球による治療を受けた180人の患者の平均生存期間は9.5カ月だったが、標準的または最高の支持療法を受けた32人の患者では2.6カ月だった。

以上より、放射線塞栓療法は、転移した肝臓がんに対して、従来のがん治療法よりも2倍~3倍の生存期間の向上と、大幅な病状改善に効果があると結論された。

今後は、放射線塞栓療法の評価についてさらに大規模の治験を実施しつつ、さらに肝細胞がんについても試験が行われる予定だ。

2012年3月27日火曜日

肺がん手術が日帰りの最新治療機器

がんを日帰りで治療する超高精度スナイパーマシン

新世代の放射線がん治療機器「サイバーナイフ」を用いたがん治療が拡がっている。
「サイバーナイフ」は大掛かりな がん治療システムだ。

「サイバーナイフ」の放射線発射装置である「リニアック」は、先端から放射線をがん細胞に向けて発射する最小5mmの放射線ビームを放つ。これは世界最小クラスの細さのビーム口径である。
横たわるがん患者の周囲を「リニアック」が 1200通りの角度と方向からがん細胞に向かって細い放射線ビームを照射する。様々な方位から細くがん細胞だけを狙い打つことで、正常細胞のダメージを最小化しつつ、がん細胞だけが繰り返し放射線を照射される治療法なのだ。

もう一つのサイバーナイフの特色が呼吸で動くがんの自動追尾機能だ。呼吸によって、肺だけなくがん患部も微妙に動くが、このがん患部の動きに合わせて放射線も動きながら照射するのだ。
追尾する情報は、天井に取り付けられた3台のカメラからの情報から分析される。 X線カメラが2台と、赤外線カメラが1台。

患者は、体の動きが少なくなるように固定用マット敷いたベッドに横たわり、 LEDライトをお腹に装着する。

体内のがんを直接に見ているのではなく、がん細胞の至近に「金マーカー」と呼ばれる目印が入れられている。太さ1.1mm、長さ5mmの微小な「金マーカー」が呼吸に合わせてがんと同じ動きをするのを、 X線カメラが追尾する。

金マーカーのトレースはX線カメラで行われるが、 X線を患部周囲へ投影し続けるのは放射線被爆となるので望ましくない。そこで体に害の無い赤外線カメラでLEDライトと金マーカーの距離と呼吸による動きの相関を調べることで、呼吸によって動きがん患部の位置を補足し、トレースし続ける。サイバーナイフによるがん治療は1回30分間程度で、入院の必要も無い。 2週間で計4回程度の治療となる。

1.5cmの肺がんが、1ヵ月後にはがんが消えたもある

サイバーナイフで治療が可能ながんは、今のところ肺がん、脊椎がん、脳腫瘍などである。
残念ながら放射線に弱い粘膜を持つ消化器系のがんには使えないために、胃がん、大腸がん には使えないのだ。

しかし、海外では乳がん治療にサイバーナイフを利用して効果が上がっているとの報告もある。今後は、乳がん に続き、肝臓がんやすい臓がんの治療への応用に強い期待が寄せられている。

がんは切らずに、日帰り治療で治す時代はもうそこまで来ている。

がん治療のための栄養士レシピ本


大学病院のがん患者の"専任栄養士"さんが、がん患者の要望を汲んだレシピ本を出版した。がん患者は、抗がん剤や放射線治療の副作用で食欲が落ち、口内炎になることが多く、治療状況に応じたきめ細かな栄養管理が不可欠だ。

そこで、島根大付属病院の川口美喜子医師(副部長)が、栄養士の青山広美さん を“がん専任栄養士”に任命した。青山さんは病室を回り、がん患者1人ひとりの病状を知るとともに、病院食への不満や希望などを聞き、「がん患者に食べる喜びを」と、レシピに工夫を凝らしたのだ。
小児がん治療のために口内炎や吐き気で食欲がない女の子からは「お子さまランチが食べたい」とのお願い、 結腸がんから肝臓転移術後の60代男性からは「普通の家庭の食事がほしい」との要望。「病院食に飽きた」「何も食べたくない」「魚のにおいが気になる」などの意見も多く出たそうだ。

そして、がん患者のために、
○ 嚥下障害(飲み込みに問題)がある場合には、卵に浸したむせないパンがゆ
○ 口内炎には口がすっきりするモモとミカンのシャーベット
○ 口に入れやすいスティックおにぎり
○ 酒好きだった患者には居酒屋風くし焼き
などを考案した。今では提供したがん患者用の個別食は300メニューを超えた。

この300メニューの中から厳選した73メニューをレシピ集として纏めた出版するに至った。川口副部長は「患者さんの食事対応で一番大切なことは、わずかな量でも口から食事をとることと、満足感です」と話している。

「73の食事レシピ」(127ページ)は、医学書院(東京都)から1冊1890円で発売中。

2012年3月26日月曜日

がん新薬開発へ治験の費用を助成

がん新薬の実用化を後押しする28億円

有効な治療法がない前立腺がんに対する新薬の治験が、6月に開始される。患者の免疫力を活用してがん細胞だけを攻撃する「がんペプチドワクチン」の実用化が近い。治験を実施するのは、九州は久留米大の先端癌(がん)治療研究センター。

 研究段階にとどまっている難治性がんや希少がん治療薬の実用化を後押しするため、厚生労働省は2012年度から、大学などが始める新薬承認に向けた治験の助成に乗り出しているが、久留米大(福岡県久留米市)のがんワクチンの治験への助成が第一弾となる。

この助成制度は、患者の少ないがん治療薬の研究開発費を助成することで、新薬を早期に治験段階に引き上げるための、新たな取り組みなのだ。

この助成制度の対象は、難治性の膵臓がんや肺がん、肉腫、小児がん。厚生労働省では九州に患者が多い難治性血液がん、成人T細胞白血病(ATL)も対象として含める方針で、 2012年度予算案に関連予算28億6千万円を盛り込んでいる。

 難治性がんや希少がんの新薬開発は、患者が少なく研究投資に見合う収益が得られにくいことから民間の製薬会社では躊躇されがちだった。また、大学などが研究開発に取り組んでも、臨床データを収集する治験段階に進めず、足踏みしている研究が多いとされる。そこで、助成対象を企業だけでなく大学などの研究グループにも拡大。新薬承認に必要な3段階の治験のうち、安全性や有効性を確認する第2段階までの経費を厚生労働省の予算で負担する仕組みだ。第2段階の治験まで終えて有効性を確認できれば民間企業も開発へ参入し易い。 治療の成功率を調べる第3段階へは、大学から製薬会社へ引き継ぎ、新薬研究を実用化につなげる計画だ。

厚生労働省では がん細胞内の特定の分子だけ狙い撃つ「分子標的薬」を中心とした新型抗がん剤の実用化研究も対象として期待を寄せている。新薬を研究段階で終わらせず、治療新薬を待望する患者に届けることが目標の意欲的な取り組みだ。

2012年3月23日金曜日

家庭薬で膵臓がんを予防

薬局で購入可能なアスピリンを毎日少量服薬した人は、3年後にがんを発病する確率が服用しなかった人に比べ24%も低いことが、分かった。さらに、量に関わらず毎日アスピリンを飲んだ人は5年後にがんで死亡する確率が37%低かった。この現象は男女の性別に関わらず、有意に出現した。

アスピリンは、約2400年前の古代ギリシア医学者のヒポクラテスの時代に起源を持つ薬で柳の樹皮に含まれるサリシンという成分が原材料になっている鎮痛剤。今では、薬局で1粒約2円50銭程度の安価で購入が可能だ。

アスピリンが、長期的にがんによる死亡の確率を低下させることは、既に2007年に研究報告がされていた。しかし、その際には効果が表れるのは8年以上経過してからだと考えられていたのだ。
ところが、今回の研究では、短期間でもアスピリンにはがん予防効果があることが判明したのだ。これは、がん治療にも利用できる可能性が示されたされている。

アスピリンは価格が安いという点と 安全性が極めて高いという2点で、非常に評価されるだろう。また、アスピリンの副作用とされる内出血のリスクも3,4年で低下するとされた。
家族にがん、特にすい臓がん患者を持つ人、さらには、心臓発作や脳卒中のリスク要素を持つ中年の人は、アスピリンを日常的に服用することでがんリスクが低下する可能性が高い。

研究は、医学誌ランセットに21日発表された。

2012年3月22日木曜日

肺腺がんを抑制できる特効薬へ

肺腺がん細胞の急所発見

死亡率第一位のがんの中でも、日本で最も患者の多い肺がん。その肺がん中で最多の患者がでる肺腺がんのがん細胞の生死を決定する遺伝子が発見された。肺腺がんの分子標的薬、特効薬の期待が高まってきた。

発見したのは名古屋大大学院の高橋隆教授と山口知也助教らの研究グループ。

高橋教授らは2007年には、肺腺がんに特に多いTTF1という遺伝子を発見していた。しかし、TTF1はがん細胞だけでなく正常な肺の機能にも必要であり、当時は肺腺がんが引き起こされる仕組みまでは解明されていなかったのだ。
その後も人間の肺腺がんの細胞株を使った実験を継続した。そして、ついにTTF1が出現させるROR1というタンパク質が、肺腺がんを生死を決めていることを突き止めた。マウスに肺腺がんの細胞株を移植し、ROR1を抑制すると肺腺がんが細胞死し、がん細胞は増殖しないことが確認された。
肺腺がんの治療薬としては、分子標的薬「イレッサ」が主流となりつつあるが、イレッサは別の遺伝子を標的にしている。そしてイレッサは、服用から1年程度で耐性ができてしまい、抗がん剤が効かなくなる例が報告されている。しかし、ROR1を抑制すれば、イレッサへの耐性ができた場合でも、がん細胞の増殖が抑えられることも確認された。
日本の非喫煙者の女性の肺がんは、ほぼ肺腺がんとされる、最も症例数が多い肺がんだけに、狙うべき遺伝子がROR1と特定されたことで、抗がん効果の高い特効薬の開発が期待されている。
研究論文は、米がん専門誌キャンサーセル(電子版)に発表された。

手術不能大腸がん の余命延長新薬

分子標的抗がん剤の副作用皮膚障害を激減

がん細胞だけに作用して、副作用が無いとされ期待の大きかった分子標的薬タイプの抗がん剤だが、実際には副作用が出ている。大腸がんのがん治療に用いた分子標的薬の副作用の中では、皮膚障害が大きな問題になっている。 抗がん剤使用開始時からの予防的治療の必要性を検証した。

分子標的薬は、がん細胞特有の分子を攻撃する抗がん剤だが、皮膚などの正常細胞も攻撃することが解ってきた。
大腸がんで用いられる分子標的薬 セツキシマブとパニツムマブの場合にも副作用は皮膚に出る。分子標的薬 セツキシマブとパニツムマブはがん細胞に過剰に出ているEGFR(上皮細胞増殖因子受容体)分子を攻撃することで、がん細胞の増殖を抑える。患者の適性が合致し効果があった場合には、手術不能の再発大腸がん=末期がんの生存期間を平均6カ月から約2年と4倍にまで延長でき症例まで報告されている。一方、かなりの高確率で、顔などに酷いニキビ状の皮疹、指の亀裂、爪周囲の炎症などの副作用が発生する。これは、分子標的薬抗がん剤が、皮膚や毛、爪の増殖や分化も抑制することが原因だ。
対策の一歩は、分子標的薬には「効かない患者がいる」の確認。セツキシマブとパニツムマブに関しては、約4割が効かない患者。効果の無い患者に副作用だけを強いるのは、処方は時間と体力と費用の無駄だ。これは、処方前の遺伝子検査で適性の有無を確認できる。
遺伝子検査の結果で適性が確認できた後に投与するのだが、対策は初日から必要だ。

投与初日から抗生物質「ミノマイシン」を飲み、保湿剤およびステロイドの塗り薬を利用することで、皮膚への副作用は軽減できるのだ。この皮膚への副作用障害の予防対策は、知らない開業医が多いので留意する必要がある。抗菌剤の塗り薬などでの対処では、効果が薄いのだ。
抗がん剤、ましてや新薬、さらには分子標的薬による副作用とその対応は、皮膚科医でも知見が深いとは限らない。がんは、医師任せではなく、患者側でもがんに関する知識を深め、主治医および関係医師と協力することが不可欠な病なのだ。

2012年3月21日水曜日

プラズマで がん新治療法

プラズマで悪性細胞死滅 卵巣がん治療で効果確認
正常な細胞を傷つけずに悪性細胞だけを狙って死滅させる全く新しいがん治療法に、名古屋大の吉川史隆教授(産婦人科学)らの研究グループが成功した。
新しいがん治療法は、特殊な装置で発生させたプラズマを卵巣がんの細胞に照射することで、 がん細胞の死滅を計る。炎症を伴わずにがん細胞だけが自ら死ぬ「アポトーシス」という現象を引き起こすため、正常な細胞への炎症=副作用は無いのだ。
通常のプラズマは大気中で発生させると高温になるが、当該研究では大気中でも低温のプラズマを発生させる装置を開発した。このプラズマをシャーレ上に培養したがん細胞に照射すると、炎症によって周りの細胞を傷つけることもなく、がん細胞だけが死滅した。
実験では、約10分間のプラズマ照射でがん細胞の7割が死滅することを確認。さらに正常な細胞にプラズマを照射した場合でも死滅する細胞数は少なく、殆ど影響が無いとの結果を得た。実験は、卵巣がんが対象であったが、卵巣がん以外のがんにも効果が期待されるため、プラズマ照射によるがん細胞のアポトーシスが引き起こされる詳しい仕組みの解明が待たれる。。
手術、放射線、抗がん剤の現在の3大がん治療に加えて、 第4のがん治療の主流になる可能性がある。
研究論文は米科学誌アプライド・フィジックス・レターズに掲載された。

2012年3月19日月曜日

肺がんが劇的消滅の抗がん剤新薬

がん細胞が2週間でほぼ消滅

肺がん治療は、1980年代以降に分子生物学が発達したことで、がん細胞の増殖や転移に関係するがんに関連する遺伝子の解明が進んだ。しかし、毎年7万人近くが肺がんで命を失っているため、日本人のがん死亡原因の第1位は肺がん。

肺がんには、小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4種類があるのだが、 2000年代までは、肺がんは、小細胞がん、もしくは非小細胞がんのわずか2分類で肺がん治療法が決されていた。

しかも、旧来の抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞も攻撃してしまうために、
治療効果よりも副作用が強い場合が多く、がん細胞に対する効果が不十分な治療が多かったのだ。
その後に新開発された分子標的薬は、がん細胞で活性化している特定の分子だけをターゲットにするため、 がん細胞だけに特異的に作用し、効果が高く副作用が少ないのが特徴とされた。 そして、肺がん治療にも分子標的薬が開発された。 それが肺がん分子標的薬、ゲフィチニブ(2002年:商品名イレッサ)と、エルロチニブ(2007年:商品名タルセバ)だ。それぞれ保険承認を受けている。しかし、当初の肺がん分子標的薬は、副作用が酷く、医療訴訟にまで発展してしまったのだ。

その後、2004年に、イレッサを初めとする分子標的薬の向き不向きに関して、遺伝子内に指標があることが確定された。

日本では肺がんの70%が腺がん だが、この半数近くにEGFR遺伝子の変異が認められるのだ。イレッサやタルセバはEGFR(上皮成長因子受容体)という遺伝子の変異に対する薬だが、 EGFR遺伝子突然変異がある肺がん患者に対して、分子標的薬が劇的な効果があることが判明した。 著効例では、イレッサ投与後の2週間でがん細胞がほぼ消滅した例もある。

反対に、EGFR(上皮成長因子受容体)が認められない場合には、効果効能が期待薄で、もしろ激しい副作用が発現する可能性が高いことから、 分子標的薬の肺がん治療前には遺伝子検査が強く推奨されるようになった。

イレッサは日本を含むアジア人、女性、非喫煙者の肺がん、特に腺がんに著効が期待できる、効果が高い特効薬なのだ。

肺がんが2週間で消失した抗がん剤新薬

がん細胞が2週間でほぼ消滅

肺がん治療は、1980年代以降に分子生物学が発達したことで、がん細胞の増殖や転移に関係するがんに関連する遺伝子の解明が進んだ。しかし、毎年7万人近くが肺がんで命を失っているため、日本人のがん死亡原因の第1位は肺がん。

肺がんには、小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4種類があるのだが、 2000年代までは、肺がんは、小細胞がん、もしくは非小細胞がんのわずか2分類で肺がん治療法が決されていた。

しかも、旧来の抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞も攻撃してしまうために、
治療効果よりも副作用が強い場合が多く、がん細胞に対する効果が不十分な治療が多かったのだ。
その後に新開発された分子標的薬は、がん細胞で活性化している特定の分子だけをターゲットにするため、 がん細胞だけに特異的に作用し、効果が高く副作用が少ないのが特徴とされた。 そして、肺がん治療にも分子標的薬が開発された。 それが肺がん分子標的薬、ゲフィチニブ(2002年:商品名イレッサ)と、エルロチニブ(2007年:商品名タルセバ)だ。それぞれ保険承認を受けている。しかし、当初の肺がん分子標的薬は、副作用が酷く、医療訴訟にまで発展してしまったのだ。

その後、2004年に、イレッサを初めとする分子標的薬の向き不向きに関して、遺伝子内に指標があることが確定された。

日本では肺がんの70%が腺がん だが、この半数近くにEGFR遺伝子の変異が認められるのだ。イレッサやタルセバはEGFR(上皮成長因子受容体)という遺伝子の変異に対する薬だが、 EGFR遺伝子突然変異がある肺がん患者に対して、分子標的薬が劇的な効果があることが判明した。 著効例では、イレッサ投与後の2週間でがん細胞がほぼ消滅した例もある。

反対に、EGFR(上皮成長因子受容体)が認められない場合には、効果効能が期待薄で、もしろ激しい副作用が発現する可能性が高いことから、 分子標的薬の肺がん治療前には遺伝子検査が強く推奨されるようになった。

イレッサは日本を含むアジア人、女性、非喫煙者の肺がん、特に腺がんに著効が期待できる、効果が高い特効薬なのだ。

新しい抗がん酵素を発見

全てのがんの進行を抑制する万能酵素が世界初で発見された。
肺がん、リンパ腫、乳がんや子宮がん、骨髄がんなどあらゆるがん細胞には、「Akt」という酵素が、異常に活性化していることは既に知られている。Akt酵素は、がん細胞の成長を促すだけでなく、がん細胞を体の他の部分へ転移させるのにも関わっているのだ。また、がん細胞に、抗がん剤への耐性を持たせてしまうばかりでなく、がん再発も手助けしてしまう、まさにがん促進酵素なのだ。
Akt酵素の悪しき振る舞いについては1990年代末までに確認されはいたが、肝心のAkt酵素を抑制する物質や方法については、まで見つかっていなかった。
韓国の建国大学・微生物工学科のアン・ソングァン教授とべ・スンヒ博士は、タンパク質分解誘導酵素の「ムーラン(Mulan)」が、Akt酵素を分解することで、がん成長を抑制し、がん細胞を殺せる酵素であることを発見した。
研究チームでは、ムーラン(Mulan)酵素がAkt酵素の284番目のアミノ酸にくっついて分解を誘導し、結局、がん細胞の進行を抑制することを確認したのだ。また、研究チームはAktの分解が細胞の生き残りや死滅に大変重要な器官であるミトコンドリアで行われることも、追加で明らかにした。
Akt酵素は、ほぼ全てのガンに関わっている。これを抑制できるムーラン(Mulan)酵素を活用すれば、全てのがんを抑制し、再発予防できる新概念の抗がん新薬の開発が期待される。

2012年3月16日金曜日

中部地方で初の最新がん診断機器を導入

がん転移、正確に診断する次世代PET-CT装置

最先端のがん診断が可能となる「次世代PET-CT装置」を、中部地方の医療機関では初めて富大附属病院が導入した。画像撮影時間は従来の半分に短縮され、従来より小さながん腫瘍(しゅよう)を発見できる程に性能が向上した。病院は新しい装置を有効活用して、分子レベルのがん治療に役立てたいと話している。

この最新のがん検査装置はドイツ・シーメンス社の最新型で、設置費用も含めた総額で約2億6千万円。1日6人程度の検診が可能で、一般の検診費用は90,750円。

がんの活性度や悪性度などを診断できるPET(陽電子放射断層撮影)とがんの形や大きさが分かるCT(コンピューター断層撮影)を行える。 撮影時間は計10~15分程度と短く従来の半分。撮影感度が向上したために画像の精度も高まり、リンパ節に転移したがん腫瘍については、従来の半分の大きさの5mm大でもがんの判別が可能となった。

また、患者が入る装置の口径は、閉所恐怖症や肥満気味の利用者にも対応できるよう従来より20センチ大きい77cmとなった。CTは体を40列にスライスして断層撮影した画像を診断する方式で、放射線被曝の低減化も図られた。

2012年3月15日木曜日

進行膀胱がんの手術克服体験記

膀胱がん闘病記をまとめ出版

「誰でも膀胱がんになる可能性がある。手記ががんの早期治療の啓発になれば」と手記

 山本哲司さん(63)が、膀胱がんの闘病生活をまとめた手記「小心者の患者力」を自費出版した。

山本さんは膀胱摘出の手術後から両足に障害を出て、その痛みとも闘かった。「自分で判断して血尿を放置し、その結果がんが進行した。体に異常があればすぐに病院に行ってほしい」と本の出版を決意した理由を語る。

2003年に痛み等の自覚症状はなかったが、残尿感があり、血尿が出た。当初は、数日すると普通の尿に戻ったため「もう少し様子を見よう」と放置したことを後悔しているという。その後に度々血尿が出続け、2008年に固まった血で尿道が詰まり、尿が出なくなった。慌てて、救急車で北見赤十字病院(日赤)に運ばれたのだ。

病院での精密検査の結果、膀胱がんと診断された。すぐに手術を受けたが、がんは筋肉まで進行していたために、1度では全部を切除できなかった。さらに手術では、膀胱を摘出し、人工膀胱を付けた。その手術の直後から、両足に痛みを感じるようになり、歩けない状態になってしまった。現在では少し改善したが、しびれや痛みは残っており、歩行には杖が必要なこともある。

手記には医師にがん宣告された時の心情を「『がん』イコール『死』という構図が赤信号の点滅の如くパカパカしていた」と綴っている。

 このほか手記には、不安だった入院生活、家族の支え、合併症、リハビリなど、がんに苦しみながらも懸命に病気と闘い、克服した生活について紹介している。

膀胱がん体験談の手記は四六判130ページで1200円(税込)。

2012年3月14日水曜日

海外の抗がん剤新薬を利用する制度を創設

がんなどの重病 海外承認薬の保険適用へ

厚労省が14年度にも新制度 で混合診療へ
海外で承認されていても、国内の保険承認を受けていないために、がん治療に使えない、もしくは高額の薬剤費を自己負担して困窮しているがん患者が多い。このドラッグラグと呼ばれる新薬の取り扱いに関して、厚生労働省は、がん等の重い病気の患者に関して、国内未承認の新薬を使いやすくする制度を2014年度を目処に創設する。
がんなどが進行し、新薬の保険審査・承認を待てない患者が多いが、がん新薬での投薬治療の機会を提供する狙いだそうだ。治療を受けるがん患者の経済的な負担を和らげるため、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」を新制度に一部適用する方向で検討されている。がんなどの重度の病気で他に治療法の無い患者に対して、未承認薬を提供する。2013年の通常国会に薬事法改正案として提出し、早ければ2014年度から未承認薬と保険診療との混合診療が可能性なる算段だ。
この仕組みは、欧米で導入されている「コンパッショネート・ユース制度(CU制度)」という制度で、厚労省が日本版として詳細を詰めている。対象となる医薬品は、欧米など日本と同じ水準の規制がある国で承認済みで、日本の製薬会社が国内での開発・製造を検討している医薬品を想定している。がんなどの重度の病気にもかかわらず、製薬会社が新薬の安全性を最終確認する「治験」に参加できないような患者が対象となる。
対象の新薬は、製薬会社がまとめて輸入し、患者は「一定の条件を満たした医療機関」で治療を受ける。
これまでは、抗がん剤の新薬は日本で未承認のために治療に使えない薬が多かった。例えば、欧米でがん、腫瘍の治療に使われるザノザールは、日本では今だ臨床研究の段階だ。また、前立腺がんの治療薬のフィルマゴンも日本では、まだ未承認だ。
海外承認済みの新薬でも、最初に日本で治験に参加できるのは年間数万人。これは、米国の10分の1程度の患者数に留まっている。新薬の治験の参加基準に該当せず、重度の病気でも新薬による治療を受けられない患者は、非常に多く苦渋の闘病を余儀なくされてきた。
現在は、未承認薬で治療を行う場合には医師による厚労省に届出が不可欠で、さらに新薬の入手も患者が海外から個人輸入するケースが多かった。新薬の申請から承認までの期間が、日本では1~2年間と長かったためだ。しかし、国内で未承認薬での治療を行うと、治療全般に公的保険が適用されない事態となり、患者は薬代だけでなく検査費や入院費など全額を負担する必要に追い込まれたのだ。病気によっては、薬代や医療費で月100万円近く負担。
新制度では、患者の自己負担は薬代だけとして、それ以外の医療費には公的保険を適用する「混合診療」を認めることを検討している。「混合診療」は、現在は一部の大学病院などで先進的な医療を提供する場合に限り、例外的に認められている。新制度では一部に限られてきた「混合診療」の対象医療機関を広げる仕組みとして期待されている。
日本の新薬承認までの期間は、最近は短縮傾向と言われている。しかし、治験の開始までに時間がかかって承認が遅れる例もあることから、欧米に比べて薬の使用が可能になるまでの期間が長い薬もまだまだ多い。重度の病気では承認を待ち切れない患者が多く、政策対応を求める声が強かった。
混合診療は日本医師会が「貧富の差による医療格差が広がる」などと反対しているが、実際には、混合診療が認めらないために、富める者しか最新医療が受けられないという矛盾が生じている。
一部の先進治療(久留米大学のがん治療ワクチンなど)で緩和ははじまったが、対象はまだ約100例程度。患者団体からは「希望する治療を受けやすくなる」と解禁を求める声が高まっている。

2012年3月13日火曜日

乳がん、前立腺がん予防に効く食品

アメリカ癌学会 (ACS)が伝統大豆食品を認定

大豆や豆腐などの「大豆や豆腐などの伝統大豆食品が乳がん、前立腺がん等のがんリスクを低下する」と、アメリカ癌学会 (ACS)が発表した。

アメリカ癌学会(ACS)は医療専門家、政策立案者、一般市民に対し、 がんのリスクを減らす食事や生活習慣等のアドバイスをするために 『栄養と身体活動(健康)に関するガイドライン』を発行している。
このアメリカ癌学会の栄養・身体活動ガイドライン諮問委員会が、 2006年のガイドラインリリース以降に発表された、人間の母集団の研究や室内実験からのエビデンスを再検討した結果、この2012年のガイドラインとして、更新・発表された。

大豆・大豆食品は優れたタンパク源であり、肉の良い代替品となる。 また大豆はいくつかの植物性化学物質を含有しており、弱いエストロゲン作用がありホルモン依存性癌を予防するイソフラボン植物性化学物質が豊富なのだ。さらに、豆腐などの伝統大豆食品の摂取は、 乳癌・前立腺癌・子宮内膜癌のリスクを軽減することも疫学的研究で多く証明されている。

がん予防に関するアメリカ癌学会が推薦する4つの基本原則は下記のとおり。

  1. 健康的な体重を生涯を通じて維持すること
  2. 運動を心掛けたライフスタイルを身に付けること
  3. 植物性食品の摂取を中心とした健康的な食事をすること
  4. アルコール飲料は量を控えめにすること

2012年3月12日月曜日

大腸がんに「幹細胞」の新治療法

幹細胞1個から大腸組織再生 大腸がん治療に応用も

手術で傷ついた大腸本体を再生する技術の開発が成功した。

実験では、マウスの幹細胞を体外で大量に培養して、手法を適用した。大腸の上皮にある幹細胞1個を培養細胞し、傷ついた大腸に再び戻すと、大腸の傷を覆うようにくっつき正常な組織に育った。

実験で大量培養したのは、複数の種類の大腸上皮細胞に育つことができる「体性幹細胞」で、マウスの大腸上皮の細胞から「幹細胞」を取り出し、幹細胞を増やす因子をふりかけてコラーゲンなどと一緒に浮遊液の中で育てた。実験では、薬で腸炎を起こさせたマウスに対して、肛門から粘性のある液体と一緒に培養した「幹細胞」注入したところ、1週間で傷口にくっつき徐々に正常組織を作り出したのだ。6カ月後には傷は治り、懸念されたがん化も確認されなかった。「注入した大量の幹細胞が次々と上皮細胞を作り出し、組織を再生した」と結論付けられた。

この新治療法が、人間に応用できれば、難病の潰瘍性大腸炎やクローン病の治療、大腸がん手術後に大腸が狭くなる症状の緩和などに有効な治療法となる。

開発者は、東京医科歯科大学の渡辺守教授と中村哲也講師らで、研究論文は、米科学誌ネイチャー・メディスンに12日掲載された。

腹部筋肉を移植して舌がん克服

88歳 舌がんを克服した歌声が響く

2008年12月に舌がんが見つかり、2009年1月に舌の4分の3を切除して、腹部の筋肉を移植する手術を受けた88歳の声楽家前川圓さん。「もう一度歌いたい」と、発声練習や体力づくりに励み、2010年春のロビーコンサートで術後初めての「舞台」に挑み、がん闘病以前にも劣らない歌声を響かせた。

舌がんの手術を乗り越えた声楽家前川圓さんは、88歳。「体はよみがえってくるもの」とあふれる笑顔を見せたそうだ。

2012年3月9日金曜日

がん治療克服後の妊娠成功体験談

がん克服後の妊娠に成功

卵子保存した35歳女性が国内2例目

がん治療のために卵子ができなくなる恐れのあった女性(35)が、治療前に冷凍保存しておいた卵子を使って、がん克服後の妊娠に成功した。国内の民間不妊治療施設でつくる「A-PART日本支部」が8日に発表した。

「卵子冷凍保存によるがん治療後の妊娠」成功は、国内で2例目という。現在のところ、妊娠9週目で経過は順調だそうだ。

卵子を保存した「加藤レディスクリニック」(東京都新宿区)によると、女性が罹患したがんは、血液のがん「悪性リンパ腫」だった。冷凍保存の卵子でがん治療経験者が妊娠したのは、 2011年の大阪府の例が国内初だったが、無事に出産も成功した。

女性は悪性リンパ腫の抗がん剤治療中の2007年3月、 がん治療により卵子ができなくなる恐れがあったため、未受精卵子7個を採取。 がんを克服した後に結婚し、2011年8月から保存していた卵子を使った体外受精による不妊治療を始めていた。

最新の がん治療設備を東北初導入

山形県に重粒子線がん治療施設の構想
山形大に来月に準備室

重粒子線がん治療は、最新のがん治療機器で、精度が高く効果が大きいながらも、副作用の殆ど無い、夢の次世代がん治療機器だ。 北海道・東北では初の設置となる「重粒子線がん治療施設」を山形大学医学部に設置する構想を推進するため、設置準備室を4月1日に設置する。室長には、3月末で国立がん研究センター理事長を退任する嘉山孝正教授(62)が就く。

 嘉山教授は前 山形大学医学部長で、2004年ごろから付属病院への重粒子線がん治療施設の導入を提唱してきた。準備室は学長直属とし、スタッフは嘉山教授ら数人の予定。

 施設の導入費用が高額で約250億円が必要。さらに、維持費用として、年間18億円が不可欠との見込み。患者の治療費はそれでも1人約300万円と言われている高額医療なのだ。

 準備室では各メーカーの機器の評価や運用スタッフの規模、資金調達などについて検討する予定。

重粒子線がん治療は、がん細胞に重粒子線を照射して死滅させる治療法で、肺や前立腺など体の深部のがんを切らずに治療できる。

2012年3月8日木曜日

睡眠薬が がんリスクを高める?

睡眠薬が がん(癌)のリスク増大と関連
睡眠薬を使用している人のがんリスクが、3~5倍に高まることが、米国の研究であきらかになった。
米国スクリプスクリニック・ビタビファミリー睡眠センター Scripps Clinic Viterbi Family Sleep Center(カリフォルニア州)の Daniel Kripke博士らの研究は、平均年齢54歳の1万500人以上を追跡して、睡眠薬とがんの関連性を調査した。被験者の健康状態はさまざまで、2002~2007年に平均約2.5年間、睡眠薬の処方を受けていた。
がんリスクと関連していると指摘された睡眠薬は、下記の睡眠薬(英文表記のものは日本国内では未承認の薬)。

  • ベンゾジアゼピン系薬剤のtemazepam(Restorilなど)、
  • 非ベンゾジアゼピン系薬剤のゾルピデム(Ambien 、日本での商品名:マイスリー)
  • eszopiclone(Lunesta)
  • zaleplon(Sonata)
  • バルビツレート系薬剤、
  • 鎮静薬の抗ヒスタミン薬
研究の結果として、 1年18回量未満を処方された群では非処方群に比べて死亡リスクが3.6倍、 18~132回量の処方群では4倍以上高かった。 132回量超の処方群では非処方群の死亡リスクの5倍に達した。この相関は年齢を問わず認められたが、18~55歳の人が最も相関が高かった。ゾルピデムを服用していた4,336人では265人、鎮静薬、睡眠薬ともに服用しなかった2万3,671人では295人が死亡した。
また、最も高用量の群では食道がんやリンパ腫、肺がん、大腸がん、前立腺がんなどの発症リスクも高かった。一方、白血病、乳がん、子宮がん、膀胱がん、白血病、メラノーマのリスク増大は指摘されなかった。この関連性は既存の健康障害では説明できず、睡眠薬が衝撃的な死亡の増加と新たながんの増加に関連している と指摘された。
睡眠導入(補助)薬の処方は夜間に十分な休息を必要とする人には有用かもしれないが、常用は死亡や特定のタイプのがん(癌)の発症につながる可能性が高いことが、新しい研究で示唆された。
研究成果は睡眠補助薬と死亡リスクの関連性を示したものに過ぎず、因果関係を示すものではないため、多くの専門家はこの知見から性急に何らかの結論を下さないよう警告しているが、興味深い結果だと言える。
研究成果は、医学誌「BMJ Open」オンライン版に2月27日掲載された。

2012年3月7日水曜日

簡単に がんリスクを低減する5つの方法

生活習慣改善でがんリスク低下
生活習慣と全がん発生率との関連を国立がん研究センターが調査したところ、生活習慣を少しでも見直すと、がんが発生するリスクが明確に低下することが証明された。がんリスクを低減させる生活習慣の改善は下記の5項目。
1つの生活習慣を改善するごとに、男性で14%、女性で9%もがんのリスクが低下する。
  1. 喫煙 → 禁煙
  2. 飲酒 → 節酒
  3. 食事 → 減塩
  4. 運動 → 活動
  5. 肥満 → 適正体重
具体的には、「節酒」なら週にエタノール換算で150グラム程度、「減塩」は月に1回のタラコ4分の1腹程度、「活動」は、男性なら筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上、女性なら歩いたり立ったりしている時間を1日3~8時間以上とされている。「適正体重」に関しては、男性はBMI値…21~27、女性でBMI値…19~25。
なお、調査結果から、上記の生活習慣改善でのがんリスク低下は、年齢に関係なく有効であることも判明した。調査対象者を60歳未満と60歳以上の年齢別に分析しても、結果に差は無く、同様にがん予防効果があったのだ。
この調査は1995~99年に岩手県、秋田県、長野県、沖縄県、茨城県、新潟県、高知県、長崎県、大阪府の10保健所管内に在住していた45~74歳のがんや循環器疾患の既往がない約8万人を対象に、2006年まで追跡調査を実施された。非常に大規模な調査で、信頼性は高い。

2012年3月6日火曜日

大腸がんの5年生存率と最新治療法

日本人の3人に1人が がんで死亡する。死因の1位である。
中でも大腸がんは生活習慣の欧米化の影響で急激に増加している。
大腸がんの死亡者は男性では肺がん、胃がんに次いで3位、女性のがんでは。ただ、近年は医療技術が進歩し、早期発見で治療することでほぼ確実に治癒できるという。
大腸がんの分類は6ステージ
 大腸は水分を吸収する器官で、結腸、直腸S状部、直腸に分けられる。 大腸がんは進行度によって、6段階のステージ(0、I、II、IIIa、IIIb、IV)に分類。大腸がんの治療法は下記の3つを進行度によって組み合わせる。

  • 抗がん剤治療
  • 手術=外科治療(内視鏡治療を含む)
  • 放射線治療
近年の効果的な抗がん剤が開発されたことで、治療の選択肢は増えている。
がんが大腸の粘膜の中に留まっている状態のステージ0であれば、ほぼ百パーセント治療することが可能とされる。リンパ節転移の懸念が薄く腫瘍が一度に切除できる場合ならば、内視鏡で取り除くことも多い。
 リンパ節転移がないステージI・IIは手術で腫瘍を取り除く。しかし近年の大腸がん手術も腹部を切開しない腹腔鏡(ふくくうきょう)手術の適用が確立された。
腹腔鏡手術は、従来のように大きく切り開いて開腹しない。腹部を炭酸ガスで膨らませ、数カ所の"穴"から内視鏡や鉗子の手術機器を体内へ差し込み腫瘍を取り除くのだ。切開手術に比べて痛みが少なく入院期間も短縮できるのだ、体への負担が軽く、手術後の免疫力・体力低下によるがんの転移再発にも寄与できる。
大腸がんのステージIの5年生存率は90%以上、ステージIIは80~85%とされている。
大腸がんがリンパ節に転移した状態のステージIIIa・IIIbは、手術だけでなく抗がん剤治療の併用が必要となる。また、がんが肺や肝臓などに転移した状態のステージIVでは、抗がん剤や放射線療法などを選択することになる。
全てのがんに共通するように、大腸がんは術後の治療と経過観察が大切だ。特に再発への注意は万全を期せねばならない。しかし、大腸がんは再発しても治すことができる点が他のがんと違うのだ。
大腸がんを克服するためには、当然に早期発見が不可欠であり、検診が極めて重要だ。大腸がん表面からの微量な出血がないかどうかを調べるには、便の潜血検査が簡単で、費用も500円~1000円程度。(自己負担分)。検便検査をするだけで死亡率減少効果を示す十分なデータがあることを、厚生労働省も推奨している。
さらに、万全を期す場合の詳細検査としては、全大腸内視鏡検査がある。大量の腸管洗浄液を飲んで便を全部出し、大腸全体を内視鏡で観察する方法なので非常に精度が高い。
大腸がんは一般的に遺伝性は少ないが、親兄弟に大腸がん患者がいた場合には、生活環境が近いことから発病リスクが高く、検査を頻繁にすることが推奨される。
大腸がんを予防するには、喫煙や肥満、運動不足、過度の飲酒を避けること。全ての健康に共通するバランスの良い食事を心掛け、運動をすることが大腸がんのみならず全ての病気の予防に有効。大腸がん予防に最適なのは腸の動きを活発にして免疫力が高まる有酸素運動なので、水泳やウオーキングなどが最適なのだ。

2012年3月5日月曜日

胃がん、肺がん の抗がん剤新薬

胃がん、肺がん 抗がん剤新薬への適応追加申請

「胃癌および非小細胞肺癌」への適応を追加に承認申請を行ったのは、大鵬薬品。3月1日に抗がん剤アブラキサン点滴静注用100mg(一般名:パクリタキセル注射剤(アルブミン懸濁型))を、新薬として追加承認申請した。

抗がん剤アブラキサンは、既に「乳がん」への抗がん剤適用で保険承認を2010年7月に取得している。同剤は、人血清アルブミンにパクリタキセルを結合させ平均130nmにナノ粒子化した新剤型・新用量のパクリタキセル製剤。過敏症を予防するためのステロイドや抗ヒスタミン剤の前投薬が必須ではない特徴がある。
抗がん剤アブラキサンは、さらに適応を「非小細胞肺がん、膵がんおよび悪性黒色腫」に拡大するための開発が今も米国で継続されている。

胃がんが高リスクの血液型は?

胃がんか胃潰瘍かを 遺伝子から予測
ピロリ菌が感染すると胃がんの原因となることは周知の事実だ。簡単な検査でピロリ菌の感染は確認が可能だ。さらに胃がんが発生する前にピロリ菌を除去することも薬剤で容易である。
東京大学の研究によって、血液型と1つの遺伝子から、胃の粘膜にピロリ菌が感染した場合に、胃がんになりやすい人と、十二指腸潰瘍になりやすい人を判断できる目処がついた。
ピロリ菌は、日本人の大人のおよそ半数が感染している。このピロリ菌が、胃がんや十二指腸潰瘍の原因となるのだ。
東京大学医科学研究所のグループは、胃の粘膜にピロリ菌が感染した場合に胃がんになりやすい人と、十二指腸潰瘍になりやすい人がいることに注目し、それぞれの患者と健康な人合わせて3万4000人の遺伝情報を分析、上記の結果を得た。
血液型と細胞の増殖に関係するPSCAという遺伝子によって、ピロリ菌が原因で胃がんとなるのか十二指腸潰瘍になるのかが、決まるのだ。
PSCA遺伝子は、人によって3つの型に別れるが、血液型との相関が指摘されている。
     X) 十二指腸潰瘍になりやすい遺伝子型で血液型がOの場合
     Y) 胃がんになりやすい遺伝子型で血液型がAの場合
XとYを比べると、Xは、十二指腸潰瘍になるリスクは3分の1と低いものの、胃がんになるリスクが1.8倍もあることが分かった。日本人には、胃がんになりやすい型のPSCA遺伝子を持つ人の割合が欧米人よりも多いことも胃がん発病が多い原因なのだ。
遺伝子を調べることで胃がんリスクが測れることは、胃がんの早期発見・早期治療が増えることが期待される。

2012年3月2日金曜日

余命が2倍になる末期肝臓がんの新治療法

末期肝臓がん患者の生存期間を2倍に

新薬だけががん患者の生存期間を余命を延ばせるわけではない。試すべき治療法はまだまだあるのだ。
韓国の国立がんセンターの研究チームが、既存の治療法を応用した新しい治療法で、手術が不可能な末期肝臓がん患者の生存期間を倍に延ばした。
研究チームは末期の肝臓がん患者に対して、「塞栓術」と「標的治療療法」を一緒に試みた。塞栓術はがん細胞に栄養分を供給する血管を除去することでがん細胞を飢え死にさせる治療法。もう一方の標的治療療法としては抗がん剤「ネクサバール」を投与した。「ネクサバール」は、がん細胞に栄養分を供給する新生血管が新しく発生しない薬効だ。
研究チームは2009年7月~2011年5月の約2年間に、手術が不可能とされた肝臓がん患者50人に対してこの新治療法を試した。
その結果、治療効果維持期間を4ヵ月から7ヵ月へ3ヵ月増やす成果が得られたとのこと。治療効果維持期間とは、発生したがんが大きくならなかったり、新しいがんが発生しない期間。この期間が増えるということは、末期がん患者の生存期間が延びたことを意味している。
抗がん剤の新薬の多くが、末期がんである3、4期のがん患者の生存期間をわずか3ヵ月程度だけ延長した成果をもって新薬承認を獲得している。対するこの新治療法では、患者次第で1年以上の余命延長も可能なのだ。
この新しい治療法は、これから『複合療法』として、さらに詳しい治験を通じて、末期肝臓がん患者の生命を延長が模索される。

2012年3月1日木曜日

がん根治する画期的な新薬が 2015年に

がん幹細胞薬を15年にも発売
がんの再発や転移の原因となる細胞を「がん幹細胞」という。
現在はまだ既存薬では「がん幹細胞」は治療できない。
しかし、がん領域を専門とする米バイオベンチャー、ボストン・バイオメディカル(BBI社、マサチューセッツ州)が、世界初のがん幹細胞向け抗がん剤を開発中で、2015年に発売を計画中。
開発中の世界初のがん幹細胞向け抗がん剤は低分子経口剤「BBI608」と「BBI503」。うち「BBI608」は既に北米で大腸がんに対する第3相臨床実施試験(フェーズ3)の実施準備段階にある。
BBI社は、大日本住友製薬が買収を発表し、開発中の「がん幹細胞向け抗がん剤」が実用化すれば、がん幹細胞の根治につながる薬ゆえに、多くのがん患者が待望している大型抗がん剤新薬と言える。多くのがん治療に共通する課題である治療抵抗性、再発、転移に対する効果が大きいと期待されている。
開発会社でも年間1000億円以上の売上となる期待の新薬ゆえに、開発が急がれている。

乳がん、前立腺がん新薬の治験フェーズ3を開始

前立腺がん、閉経前乳がんの新薬治験がフェーズ3へ
独自のマイクロカプセル製剤技術により徐放性製剤として開発した前立腺がん・閉経後乳がん治療薬リュープリン(一般名:リュープロレリン酢酸塩)の治験フェーズ3が開始された。
多施設共同・無作為化・非盲検比較試験で、前立腺がん患者、閉経前乳がん患者を対象として、それぞれ約160名の患者登録。同剤は当初1日1回投与であったが、日本では現在は1カ月製剤、3カ月製剤が既に承認済み。
今回は、6カ月に1回投与する製剤の国内フェーズ3を開始する。ちなみに、6カ月製剤は欧米では既に発売されている。