2012年3月27日火曜日

がん治療のための栄養士レシピ本


大学病院のがん患者の"専任栄養士"さんが、がん患者の要望を汲んだレシピ本を出版した。がん患者は、抗がん剤や放射線治療の副作用で食欲が落ち、口内炎になることが多く、治療状況に応じたきめ細かな栄養管理が不可欠だ。

そこで、島根大付属病院の川口美喜子医師(副部長)が、栄養士の青山広美さん を“がん専任栄養士”に任命した。青山さんは病室を回り、がん患者1人ひとりの病状を知るとともに、病院食への不満や希望などを聞き、「がん患者に食べる喜びを」と、レシピに工夫を凝らしたのだ。
小児がん治療のために口内炎や吐き気で食欲がない女の子からは「お子さまランチが食べたい」とのお願い、 結腸がんから肝臓転移術後の60代男性からは「普通の家庭の食事がほしい」との要望。「病院食に飽きた」「何も食べたくない」「魚のにおいが気になる」などの意見も多く出たそうだ。

そして、がん患者のために、
○ 嚥下障害(飲み込みに問題)がある場合には、卵に浸したむせないパンがゆ
○ 口内炎には口がすっきりするモモとミカンのシャーベット
○ 口に入れやすいスティックおにぎり
○ 酒好きだった患者には居酒屋風くし焼き
などを考案した。今では提供したがん患者用の個別食は300メニューを超えた。

この300メニューの中から厳選した73メニューをレシピ集として纏めた出版するに至った。川口副部長は「患者さんの食事対応で一番大切なことは、わずかな量でも口から食事をとることと、満足感です」と話している。

「73の食事レシピ」(127ページ)は、医学書院(東京都)から1冊1890円で発売中。