2011年8月25日木曜日

ビタミン剤とがんリスク

ビタミン剤、過信は禁物 女性の循環器疾患は低減

ビタミン剤を飲み続けた女性が心筋梗塞などの循環器疾患になるリスクは、全く飲まない人の6割に下がるが、生活習慣に気をつけることが大前提―。こんな研究結果を、国立がん研究センター予防研究部の笹月静室長らが25日、公表した。

1990年代前半に40~69歳だった男女に5年間隔で2回、ビタミン剤の摂取状況を調査。回答した約6万人を2006年まで追跡し、ビタミン剤摂取と、循環器疾患やがんとの関係を調べた。  

2011年8月25日 共同通信



ビタミン剤1年以上摂取の女性、がんリスク上昇 がんセンター発表

ビタミンサプリメントを過去に摂取した女性はがんになるリスクが高いとの調査結果を国立がん研究センターがまとめ、25日発表した。週に1日以上、1年間 以上摂取した経験のある人は、まったく摂取したことがない人に比べてリスクが17%高かった。ただサプリメントの作用と発がんとの因果関係は明らかではな いという。

過去にサプリメントを摂取した経験を持つ女性は肥満や高血圧、糖尿病治療の割合も多かった。同センターの笹月静予防研究部室長はサプリメントが原因というよりも、「過去に摂取の経験がある人は不健康な傾向がある場合が多く、その影響も出たのではないか」とみている。

調査は1990~2006年に40~69歳の男女約6万3千人を対象にアンケート方式で実施。期間中がんになった人は4501人。90年時点でサプリメントを摂取し、その後5年以内にやめた女性は摂取経験のない人に比べがんになる確率が17%高かった。

男性ではこうした傾向は見られなかった。「(調査時点で)飲酒や喫煙をしている人の割合が高く、(それらに隠れて)サプリメントの影響が見えにくかった可能性が高い」としている。

2011年8月25日 日本経済新聞


ビタミン剤摂取、がんリスク減=女性のみ、生活習慣も重要-がんセンター

国立がん研究センター(東京都中央区)などの研究班は25日、ビタミン剤の摂取を続けた女性ではがんや循環器疾患の発症リスクが低下するとの調査結果を発表した。男性について関連は認められず、同センターは「男性の場合は、喫煙や飲酒の影響があるのでは」としている。  

研究班は全国9地域を対象に、1990年から94年にかけ、40~69歳の調査を開始。このうち、開始5年後にがんや脳卒中などの循環器疾患にならな かった男女6万2629人を追跡調査した。その結果、追跡調査を始めてから7~11年間に4501人は何らかのがんと診断され、1858人が循環器疾患を 発症したことが分かった。  研究班は、対象者をビタミン剤の摂取状況に合わせ
(1)調査開始時・5年後とも非摂取
(2)開始時摂取・5年後非摂取
(3)開始時非摂取・5年後摂取
(4)開始時・5年後とも摂取
-の4群に分類。

摂取の定義は、調査開始時は週1日以上、5年後では週1日以上を1年以上継続とした。  

女性について(1)のがんリスク値を1.0とした場合、(2)が1.17、(3)が1.24、(4)は0.92。同様に循環器疾患は(2)1.08(3)1.32(4)0.60だった。男性は関連性が一切なかった。  女性の(2)は肥満や喫煙、高血圧の割合が高く、(3)はデータを精査した結果、ビタミン摂取を始めた時に潜在的疾患が既にあり、がん発症と関連はないと結論付けた。(4)の摂取継続者は検診受診率が高く、食事によるビタミン摂取量が多いなどの特徴があったという。

同センターの笹月静予防研究部室長は「男性で差が出ないのは飲酒や喫煙により、ビタミン剤の効果が打ち消されたためと思われる。ビタミン剤以外にも、運動や食事などによる生活習慣の改善が重要だ」としている。

2011年8月25日 時事通信