2011年8月10日水曜日

水溶性より不溶性が高い抗がん効果

食物繊維の摂取で循環器病リスク低下- 喫煙すると効果は帳消し
国立がん研究センターはこのほど、「食物繊維を多く摂取すると、脳卒中などの循環器病の発症リスクが低下する」との研究結果をまとめた。ただし、その効果は喫煙で相殺されるという。

岩手、秋田、茨城、新潟、長野、高知、長崎、沖縄の9保健所地域に住む男女約8万7000人(45-74歳)について、1995-98年から2004年まで追跡調査。食物繊維の摂取量によって5つのグループに分類し、循環器病の発症リスクとの関連を調べた。期間中に2553人が脳卒中を、684人が虚血性心疾患を発症した。

 調査結果によると、女性では、食物繊維の摂取量が多いほど発症リスクが低下。摂取量が最も多いグループのリスクは、最も少ないグループに比べて0.65倍にまで下がった。しかし、男性では、こうした傾向は表れなかった。
 さらに、喫煙との関連を調べたところ、男女とも、非喫煙者のグループでは、食物繊維の摂取量が多いと発症リスクが低くなったのに対し、喫煙者のグループでは、食物繊維を多く取っても、リスクが下がることはなかった。

 これらから同センターの研究班は、「女性に比べて喫煙率の高い男性では、食物繊維による予防効果が相殺されたものと考えられる」と分析。また、水溶性の食物繊維よりも不溶性のものの方が、高い予防効果が見られたとしている。

  2011年8月10日 日本経済新聞