2011年11月28日月曜日

肝臓がんの再発予防法


多様な方法で抑制抗 ウイルス薬など有効

肝細胞がんの再発予防  肝細胞がんは、早期に発見されれば、肝切除や経皮的ラジオ波凝固療法により完全に治療ができます。しかし、治療後の再発が多いことが最も大きな問題となっています。
 現在、確実に再発を抑える方法は、まだ確立されていません。しかし、再発を抑えるために、さまざまな方法が行われています。
 C型肝炎の場合は、インターフェロン治療に再発を抑える効果があることがわかっています。ウイルスが消失しない場合でも、ALT値が低下する場合や、AFPという腫瘍マーカーが低下する場合は、再発抑制効果が期待できます。
 B型肝炎の場合は、核酸アナログと呼ばれる抗ウイルス薬が有効です。この薬は、再発を抑える効果に加え、肝機能を良くする効果もあります。
 ウイルスに関連のないものとしては、ソラフェニブがあります。この薬は、現在進行肝細胞がんに対して使われている、分子標的薬と呼ばれる新しい抗がん剤です。再発予防にも有効と考えられ、現在臨床試験が行われています。
 また、非環式レチノイドというビタミンAの仲間の薬に再発抑制効果があることが報告され、これも臨床試験が行われています。
 その他、研究段階のものとして、がんワクチンがあります。これは、がん細胞に特異的なたんぱく質の一部を患者さんに接種し、がん細胞を攻撃するリンパ球を誘導する方法です。将来的には、がんワクチンが有効な肝細胞がん治療の一つとなることが期待されています。
 最近、肥満に伴ってインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)と、がんが再発しやすいことがわかってきました。このような場合には、食事、 運動療法により体重を減らすことや、インスリン抵抗性を改善する薬剤を使用することにより、再発を抑える効果が期待できます。分枝鎖アミノ酸製剤にも、イ ンスリン抵抗性を改善する効果があることが報告されています。
 慢性肝疾患がある場合は、鉄が過剰に肝臓に蓄積しており、瀉血(しゃけつ、血を抜くこと)や鉄制限食で肝臓から鉄を取り除くことにより、再発を抑えられる可能性があります。
 肝細胞がんの再発予防に対して、現在以上のようなことが行われています。肝細胞がんを治療した後には、再発を抑えるための治療をできる限り行うことが大切です。

2011年11月28日 岐阜新聞