2011年9月6日火曜日

全がんリスク上昇のサプリメント

真逆のエビデンス情報

「ビタミンサプリの継続摂取、女性で循環器系疾患リスク減」と報じた国立ガン研究センターの論文発表は、日経夕刊紙(8・ 25)で「ビタミン剤長期摂取の女性、癌リスク上昇」と報じた。ちなみに時事通信社は「ビタミン摂取、癌リスク低減=女性のみ、生活習慣も重要」と報じ た。詳細は健康産業新聞「話題追跡」に掲載されているが、要点を紹介する。

コホート研究は1990年から94年に全国9地域の40~69歳の男女、循環器系疾患を発症しなかった6万人を06年まで追跡調査するという大掛かりな もの。追跡期間中4501人が何らかの癌、1858人に循環器系疾患の発症が確認されたというもの。調査対象は5年間に亘り①サプリを摂らなかった、②開 始時は摂っていたが5年後は摂らなかった、③開始時は摂らず、5年後は摂った、④ずっと摂っていた、の4グループで行われた。
その結果②で17%、③で24%、全がんリスクが上昇したとしている。一方、循環器疾患では④でリスクが40%減少し、特に脳梗塞で有意に発症リ スクが減少したと。また、公表された図によれば④の女性では全がんで8%循環器系で40%のリスク低減があり、時事通信はこれをもとに、「ビタミン剤の摂 取を続けた女性ではガンや循環器系疾患の発症リスクが低減する」と報じた。一方日経では、①に比べ、②では発症リスクが17%高かったというデーターに基 づき「ビタミン剤長期摂取の女性、がんリスク上昇」と報じた。ただ、概要版を見ると②のグループは、他のグループに比べ肥満者や喫煙者、高血圧や糖尿病治 療の割合が高く、身体且つ同僚が少ないなど、不健康な特徴を持つと指摘している。
調査から見えてくるのは、サプリメントの摂取が循環器系疾患には効果的であり、食生活など健康に注意することで、とりわけいい結果をもた らすと読めるのではないか。ちなみに④は肥満者が少なく健診受診率が高く、果物や食事からの葉酸や・ビタミン摂取が多いなどの特徴を持つとしている。
医療はセフティーネット、健康はモチベーションであるとの指摘どおり、サプリメントの利用者が健康への関心を高めることで、更に健康になるという構図が見えてこないか。


2011年9月5日 健康産業新聞