2012年2月3日金曜日

脳に免疫細胞を入れる がん治療

免疫細胞 神経侵入の仕組み解明

血液の中にある免疫細胞が、脳や脊髄に侵入し炎症を引き起こす仕組みを、大阪大学の研究グループが世界で初めて解明し、アルツハイマー病やパーキンソン病など、免疫細胞が症状を悪化させる病気の新たな治療法の開発に役立つと注目されています。

免疫細胞は、体内に侵入した病原体を殺す一方、脳や脊髄などの中枢神経に入り込み、アルツハイマー病やパーキンソン病などの病気を悪化させたりしますが、どのようにして神経に入り込むのか、その仕組みは分かっていませんでした。大阪大学大学院の村上正晃准教授らの研究グループでは、マウスを使った実験を繰り返し、足などの末しょう神経が刺激されると、脳や脊髄の周辺にある血管に穴が出来て、免疫細胞が中枢神経に侵入していく「入り口」になることを突き止めました。免疫細胞が中枢神経に侵入する仕組みが解明されたのは世界で初めてで、免疫細胞が症状を悪化させるアルツハイマー病やパーキンソン病などの新たな治療法の開発につながると期待されています。研究を行った村上准教授は「入り口が分かったので、人為的に閉じたり広げたりすれば、免疫細胞の出入りをコントロールできるようになる。免疫細胞が脳に入り込み症状を悪化させる病気を防いだり、逆に脳に免疫細胞をたくさん入れて、がんなどの治療ができたりするかもしれない」と話しています。

2011年2月3日 NHK