2011年5月23日月曜日

がんを防ぐ食材はヨーグルト

乳酸菌がNK細胞を活性化…がんを防ぐ食材研究「ヨーグルト」

がんの食事療法の名医、済陽(わたよう)高穂医師(西台クリニック院長/三愛病院医学研究所所長)があげる手っ取り早い“がんを防ぐ食材”として以前、「レモンの搾り汁」を紹介した。今回は続いて「ヨーグルト」の効用を考える。1日最低300グラムを摂取するのがポイントだ。

【抗体の60%が腸管で】

済陽医師自身、毎日リンゴ1個と「飲むヨーグルト」500ミリリットルを昼食にしているという。

ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を混ぜて発酵させたもの。健康維持やがん予防に役立つ要となるのは“乳酸菌”だ。

よく「乳酸菌は腸を元気にさせる」といわれるが、腸の働きが健康にどれほど重要なのか。済陽医師は「腸管の役割は消化・吸収だけでなく、1億個もの神経細胞があり、全身の免疫を司るリンパ球の60~70%が存在する。抗体全体の60%は腸管で作られているのです」と説明する。

その腸管免疫を正常に保つには、300種類、1兆個以上という腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスが重要になる。

【乳酸菌がNK細胞を活性化】

年をとると善玉菌が優勢だった正常な腸内は、次第に善玉菌が減り、悪玉菌が多く繁殖してくる。

すると悪玉菌が作り出す毒素物質の影響によってがんなどさまざまな病気の要因になるのだ。

善玉菌を増やし、悪玉菌を抑え込むには、善玉菌の代表格である乳酸菌をヨーグルトという食品で直接補充するのが最も手っ取り早い。

さらに済陽医師は乳酸菌のがん予防の効能について、「近年の研究で乳酸菌の腸内繁殖と菌体成分の刺激によって免疫の作用物質である『インターフェロン』の生産能力が向上し、がん細胞を攻撃するNK細胞を活性化させることが確認されている」と強調する。

【球菌主体がおススメ】

ちなみに乳酸菌とは単一の菌ではなく、糖質を“エサ”にして、多量の乳酸を作りだす菌の総称。

ひと言でヨーグルトといっても種菌の種類(乳酸菌の構成が違う)によって味や発酵温度で硬さなどが微妙に違う。

済陽医師は「乳酸菌でも細長い形の桿(かん)菌と丸い球菌がある」と、おススメの種菌のヨーグルトをこう話す。

「含まれる体面積当たりの菌数が多くなるので球菌主体の種菌のヨーグルトの方がいい。たとえば、カピス海・ヨーグルト、ブルガリア・ヨーグルト、ケフィア・ヨーグルトなどです」

いまはヨーグルトメーカー(発酵器)も手頃な値段であるので、気にいったヨーグルトがあったら、それを種菌にして自家製で作れば費用も安上がりで食べられる。

また、「牛乳が苦手の人は豆乳ヨーグルトで摂取しても効果は同じ」と済陽医師はアドバイスする。

できることからコツコツと、がんを防ぐ食習慣を身に付けていこう。


2011年5月19日 ZAKZAK