2011年7月7日木曜日

胃がん新薬で入院長期化

高額新薬「平均+1SD」ルールを緩和へ- DPC分科会が骨子案了承

厚生労働省は、新たに承認されたり効能が追加されたりした高額薬剤を当面はDPCの対象外にし、出来高算定にする際の判断基準となる、現行のいわゆる「平均+1SD(標準偏差)」ルールを緩和する方針を固めた。抗がん剤などの高額薬剤をDPC対象病院で使いやすくするのが狙い。来年4月に予定している診療報酬改定で対応する方針だ。

7月6日のDPC評価分科会に対応の骨子案を提示し、了承された。同省は、8月1日に予定している次の会合に見直しの具体案を示す。

新規に薬価収載された医薬品は、DPCの診療報酬点数に反映されないため、一定の基準に該当する医薬品などを使用した患者については包括評価の対象外と し、次の診療報酬改定までは出来高算定することになっている。具体的には、「新薬を使用した場合の標準的な費用の見込み額」が、その診断群分類における薬 剤費の分布の平均値+1SDを超える場合に出来高算定する。

点数表に反映されていない高額薬剤を使用することにより、DPC対象病院の持ち出しが発生することに配慮した措置だが、現場からは「基準が厳しすぎる」との指摘がある。分科会が6月に行った関係者からのヒアリングでは、胃がんの治療に使う「トラスツズマブ」の使用に支障が生じ、治療が制限されているとの声が上がっていた。

この日分科会が了承した骨子案によると、こうした状況を防ぐため現行の判断基準を緩和するとともに、出来高評価にする新薬の適応・効能や、それらを使用 する診断群分類を明確化する。一方で、薬剤の費用をカバーしようと入院期間を長引かせるのを防ぐため、点数設定上での工夫を検討する。

判断基準の見直しについて分科会の委員からは、標準偏差の代わりに「パーセンタイル値」を使うべきだとの意見があった。

2011年7月6日 キャリアブレイン